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13章「新しい変化と誘惑」
第133話「診断書と疑念(紗月視点)」
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#第133話「診断書と疑念(紗月視点)」
はぁ……いろいろと大変だ。
さすがに司くんも、そろそろ真面目になるだろう。クランを追い出されたら大変だものね。
いくら司くんでもそこまでは許さないだろう。もう真面目になるしか道はない。
石動さんは社長直轄の相談役。誰も逆らえないし、司くんももう逃げ場はないよ。
(厳しいようにも感じるけども、それぐらい厳しい状況のほうが司くんにはちょうどいいかもね。さすがにさぼりすぎだし、考え方も甘いし今の厳しいぐらいの対応が必要だとは思う)
司くんは中途半端に忠告しても、どうせまた適当な逃げ道を作って言い訳して逃げるだけだろう。これまでがそうだった。今の厳しい状況は仕方がないと言える。
ただし、これは私の問題でもある。会社で仕事しながらのダンジョン活動は大変だ、厳しいけどできる範囲で頑張らないと。そうしないと私も追い出される可能性がある。
……とはいえ、さすがに毎日ダンジョンに潜るのは無理。
女性の特権もあるし、月に5日くらいは他の人よりも多く休みをもらってはいる。
やはり生理休暇が欲しいと言えば強い。もちろん本当にきつい日があるのだから嘘でもない。きつい時にダンジョンに入って戦闘なんてあり得ないからね。
会社勤めとダンジョンの両立をしているだけでも、十分すごいこと。これくらいの甘えは許されるだろう。使えるものは何でも使わないと損だ。
その後しばらくして――司くん、真面目になるかなと思ったら全くの逆で、すっかり顔を見せなくなった。
リーダー降格からもう二週間。連絡も一度もない。
(まさか? もしかしてクラン脱退も視野に考えてる?)
気になって佐藤君に聞いてみたけど、彼も知らないという。
「このままだと追放もありえるかもしれません」と真顔で言われてしまった。
「それはそうだよね。連絡も無しにこないのはまずいよね」
(はぁ……どうしたものか)
仕方がないので、私のほうから司くんに連絡を取ってみた。
すると「最近、体調を崩していた。昨日、病院に行ったらインフルエンザだった」とのこと。
「それは大変。お見舞いに行こうか?」と聞いたら、
「いや、インフルエンザが感染する可能性があるから来ないほうがいい」と言われた。
それはそうだ。詳しくは知らないけどインフルエンザならば感染力が強いだろう。クランで流行ったら大変なことになるよね。司くんの言うことはもっともだ。
そして、かわりに「診断書をもらったから、それを佐藤君に渡してほしい」と頼まれた。
数日後、私はその診断書だけを受け取った。
本当に医師の名前も押印もある。PCR検査の結果も「陽性」と書かれている。結構大変だったっぽく、しばらく安静が必要らしい。これはどう見ても嘘ではない。
(……仮病かと思ったけど、本当みたいね。これじゃ休むのも仕方がない。張りつめっていた緊張が切れたせいもあるかもしれない。ちょっとかわいそうかも)
私はその診断書を佐藤君に渡した。
「司くん、しばらくダンジョンに来られないらしいよ。インフルエンザなんだって。かなりひどいらしいよ。これ診断書を受け取ったから確認お願いね」と伝えると、
佐藤君は眉をひそめながらも、「そうですか」とだけ答えた。
どうやら彼も仮病を疑っていたらしい。私もそう思ったぐらいだから佐藤君が当然だろう。おそらくはクランのメンバー全員が疑っていると思う。
でも、さすがに診断書がある以上、事実としか言えない。医者を騙すことは司くんでもできないだろうからね。
「いつ復帰するんですか?」
「それは私に聞かれても分からないよ。診断書をもらっただけだからね。インフルエンザ感染の可能性があるからここ最近は会ってもいないよ。リーダー権限で会社経由とかで直接確認取ったらいいと思うよ」
「そっか、それじゃ仕方がないよね。復帰を待つしかないか」
佐藤君に復帰の時期を聞かれたけど、私は医者じゃないからそんなの分かるはずもない。
それにしてもこの人任せにする感じは司くんと同じ気配を感じる。佐藤君もちょっと頼りない。この調子だと確認さえも取らないかも。
クランは今、佐藤君を中心に動いているけれど、レベル3メンバーだけでレベル4を突破するのはやっぱり大変。司くんはどうしても必要なピースだと思う。
そして佐藤君は強引にひっぱっていくタイプでもないのでクランのメンバーがちょっと緩んでいるようにも感じる。学生時代のサークルっぽい雰囲気になってきたような?
以前は司くんへの反発心もあって、それで負けじと頑張っている人も多かったけど今は石動さんの指示通り、書類通りに機械的にやっているだけ。上を目指しているという雰囲気でもない。これはこれでやばいかもしれない。
それでも私は私なりにやるしかないんだよな。
あるいは石動さんに今のちょっと緩んでいる雰囲気を相談するべきか……
それにしても、佐藤君はどうするつもりなのだろう。
私は無理に動くつもりはないから、今のゆるんだ雰囲気は悪いわけでもない。居心地がいいぐらいだ。だから石動さんに相談するのもためらっている。
どちらにしろ状況を見て、都合のいい方向に動くだけだ。
(それが、今の私にできる一番賢いやり方。責任はできるだけ人に押し付けて、大きな失敗だけはしないようにしよう。そうすれば問題ないはずだ)
はぁ……いろいろと大変だ。
さすがに司くんも、そろそろ真面目になるだろう。クランを追い出されたら大変だものね。
いくら司くんでもそこまでは許さないだろう。もう真面目になるしか道はない。
石動さんは社長直轄の相談役。誰も逆らえないし、司くんももう逃げ場はないよ。
(厳しいようにも感じるけども、それぐらい厳しい状況のほうが司くんにはちょうどいいかもね。さすがにさぼりすぎだし、考え方も甘いし今の厳しいぐらいの対応が必要だとは思う)
司くんは中途半端に忠告しても、どうせまた適当な逃げ道を作って言い訳して逃げるだけだろう。これまでがそうだった。今の厳しい状況は仕方がないと言える。
ただし、これは私の問題でもある。会社で仕事しながらのダンジョン活動は大変だ、厳しいけどできる範囲で頑張らないと。そうしないと私も追い出される可能性がある。
……とはいえ、さすがに毎日ダンジョンに潜るのは無理。
女性の特権もあるし、月に5日くらいは他の人よりも多く休みをもらってはいる。
やはり生理休暇が欲しいと言えば強い。もちろん本当にきつい日があるのだから嘘でもない。きつい時にダンジョンに入って戦闘なんてあり得ないからね。
会社勤めとダンジョンの両立をしているだけでも、十分すごいこと。これくらいの甘えは許されるだろう。使えるものは何でも使わないと損だ。
その後しばらくして――司くん、真面目になるかなと思ったら全くの逆で、すっかり顔を見せなくなった。
リーダー降格からもう二週間。連絡も一度もない。
(まさか? もしかしてクラン脱退も視野に考えてる?)
気になって佐藤君に聞いてみたけど、彼も知らないという。
「このままだと追放もありえるかもしれません」と真顔で言われてしまった。
「それはそうだよね。連絡も無しにこないのはまずいよね」
(はぁ……どうしたものか)
仕方がないので、私のほうから司くんに連絡を取ってみた。
すると「最近、体調を崩していた。昨日、病院に行ったらインフルエンザだった」とのこと。
「それは大変。お見舞いに行こうか?」と聞いたら、
「いや、インフルエンザが感染する可能性があるから来ないほうがいい」と言われた。
それはそうだ。詳しくは知らないけどインフルエンザならば感染力が強いだろう。クランで流行ったら大変なことになるよね。司くんの言うことはもっともだ。
そして、かわりに「診断書をもらったから、それを佐藤君に渡してほしい」と頼まれた。
数日後、私はその診断書だけを受け取った。
本当に医師の名前も押印もある。PCR検査の結果も「陽性」と書かれている。結構大変だったっぽく、しばらく安静が必要らしい。これはどう見ても嘘ではない。
(……仮病かと思ったけど、本当みたいね。これじゃ休むのも仕方がない。張りつめっていた緊張が切れたせいもあるかもしれない。ちょっとかわいそうかも)
私はその診断書を佐藤君に渡した。
「司くん、しばらくダンジョンに来られないらしいよ。インフルエンザなんだって。かなりひどいらしいよ。これ診断書を受け取ったから確認お願いね」と伝えると、
佐藤君は眉をひそめながらも、「そうですか」とだけ答えた。
どうやら彼も仮病を疑っていたらしい。私もそう思ったぐらいだから佐藤君が当然だろう。おそらくはクランのメンバー全員が疑っていると思う。
でも、さすがに診断書がある以上、事実としか言えない。医者を騙すことは司くんでもできないだろうからね。
「いつ復帰するんですか?」
「それは私に聞かれても分からないよ。診断書をもらっただけだからね。インフルエンザ感染の可能性があるからここ最近は会ってもいないよ。リーダー権限で会社経由とかで直接確認取ったらいいと思うよ」
「そっか、それじゃ仕方がないよね。復帰を待つしかないか」
佐藤君に復帰の時期を聞かれたけど、私は医者じゃないからそんなの分かるはずもない。
それにしてもこの人任せにする感じは司くんと同じ気配を感じる。佐藤君もちょっと頼りない。この調子だと確認さえも取らないかも。
クランは今、佐藤君を中心に動いているけれど、レベル3メンバーだけでレベル4を突破するのはやっぱり大変。司くんはどうしても必要なピースだと思う。
そして佐藤君は強引にひっぱっていくタイプでもないのでクランのメンバーがちょっと緩んでいるようにも感じる。学生時代のサークルっぽい雰囲気になってきたような?
以前は司くんへの反発心もあって、それで負けじと頑張っている人も多かったけど今は石動さんの指示通り、書類通りに機械的にやっているだけ。上を目指しているという雰囲気でもない。これはこれでやばいかもしれない。
それでも私は私なりにやるしかないんだよな。
あるいは石動さんに今のちょっと緩んでいる雰囲気を相談するべきか……
それにしても、佐藤君はどうするつもりなのだろう。
私は無理に動くつもりはないから、今のゆるんだ雰囲気は悪いわけでもない。居心地がいいぐらいだ。だから石動さんに相談するのもためらっている。
どちらにしろ状況を見て、都合のいい方向に動くだけだ。
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