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ディーヴァ
23 ※ちょっとBLあり
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譜王は戯王と御王にラドとカナタを助け出す為一緒に行動するように命令した。
王族である彼らに命令できたのはつい最近まで司令官をしていたおかげだ。次の司令官が決められていない今、譜王を司令官とすることがディーヴァ達にとって楽な選択だった。
KTBと姫存軍の地上での乱戦の指揮は一時的にシーファとビトスに頼んでいる。譜王についてまわるあの二人なら譜王の仕事ぶりを1番近くで見ている。任せても大丈夫なくらいの信頼はあった。
[にしたってどうやって探すんだよ]
『ふん。ラドさんが何も考えずに出て行くわけがない。目には目を歯には歯を発信機には発信機をだ』
〔弱そうだな〕
[つまりラドさんにも発信機がついてると。さすがラドさん]
〔それで、どこにいる?〕
戯王が聞くと、譜王は小型の端末を取り出して画面を映し出す。
『地上に降りたKTBの機体の中にいる。着いてこい』
[おっけ~]
〔はやく済ませよう〕
地上に降りてKTBの機体へ向かうのは困難だ。
―――――……ディーヴァの一般市民なら。
怪力で頑丈に出来たディーヴァの王族たちが3人も集まると圧倒的だった。時々背を預けながら、次々と敵を倒して進んでいく。
譜王はすぐにでもラドを助け出したかった。だから王族3人で行動することに決めた。このまま進んでいけば、敵の数を減らしつつ、目的の人達もすぐに見つけられるだろう。
◇◇◇
その頃ラドとカナタは隣同士の部屋に閉じ込められていた。いつでも人質に出来るように連れてこられていたのだ。
機体の外から聞こえる騒音は、逆に機内に静けさを与えた。そんな静かな機内にカツカツと床と当たる足音が響き、カナタの前を一人の男が通過していく。
その顔を見て、カナタは絶句した。
あのヒソという男、KTB内で洗脳を担当している謎多き人物だった。
彼は隣の牢屋――ラドの牢屋へ入っていく。
「ラドさん! そいつの話を聞いちゃダメだ!!」
ヒソの、黙れ、と言う声が聞こえて、カナタの脳内はぼうっとしてその言葉に従うしかなくなる。
己の宿命は何か、ディーヴァと人間・化け物と人間は相いれない関係である、どれほど抗おうと人間と化け物では大きく異なるのだと。
ヒソは脳内に直接響いてくるような美しい声で語り掛ける。
いつか世界はディーヴァに支配され滅ぶだろう、人間は滅亡するだろう、己が何をすべきか分かる筈だと。
ヒソは美しい響きで脳を翻弄してくる。
正直、カナタの方が洗脳されそうだった。考える力が引っ張り取られるような感覚がする。
ラドは無事か、とカナタが心配した時だった。
「え、何?」
バカすぎる。
カナタは脳内に停滞していたわだかまりが一瞬にして解けたような感覚があった。
ヒソは諦めずにバカ相手でも洗脳を続けた。すると。
ラドは呆れるような声色で言い放つ。
「もううっさいな。どうでもいいんだよ。お前が言ったこと全部、もう答えは出した後なんだ」
え。とカナタは思う。バカが今までのヒソの質問の答えを出した?
俺には質問すら難しすぎて頭がいっぱいいっぱいになったのに。と。
出ていた答えに対しての質問の嵐に、ラドは面倒くさくなっていたのだろう。ラドはぶっきらぼうに答えた。
「俺の宿命? 化け物と人間の共存だ。人間は化け物をヒトと呼び、既に人間として扱っている。あとは化け物たちに己が人間であると理解させるだけの話だ」
愚かな。
「お前こそ。何をそこまで考えているんだ。……いや、考えていないな。決められたセリフを言っているだけのおもちゃに過ぎない」
貴様……。
ヒソがラドに手を出そうとした時だった。
ドォォォオンッと言う炸裂音の後に、ドタドタと複数の足音が近づいてくる。
『ラドさん!! 良かった無事で』
[誰だお前! ラドさんから離れろ]
〔ラドさん、助けに来ました〕
赤い髪の男が3人やって来た。
譜王、御王、戯王だ。
ラドはその三人を見て驚く。
「なんで王族3人がKTBの船に乗り込んで来ちゃうんだよ!!」
『最速を選びました』
譜王の素直さに呆れかえるラド。まあいいか、とラドは言う。
ヒソはさすがに王族3人を相手するのは困難だと考えたのか、牢屋から逃げ出し、御王が追ったが、見失ったらしく申し訳なさそうに帰って来た。
戯王がラドの拘束を解きながら言った。
〔糸王は敵だった〕
「あいつ……正体現したか……」
〔知っていたのか?〕
「ああ。保護してしまったから追い出せなくて。洗脳を解いてやりたかったんだけど。あいつより力が強い人物がいなくてさ」
〔そうだったのか……〕
譜王がカナタの拘束を解き、カナタは彼の後に続いて牢屋から出た。
ラドも牢屋から出ると、ずっと何かに耐えていた御王がラド目掛けて両手を広げて飛び出した。
[ラドさぁぁぁん!!]
唇を突き出して迫る御王を抑える。
「うわああああッ!? やめなさい! リカコが好きなんだろお前!」
[……!]
顔を鎮める御王たちに、ラドが冷や汗を垂らし尋ねる。
「何があった」
[吹姫はKTBに殺されました…ッ。跡形もなく消し去られてッ]
「…………っ」
ラドは眉を下げ、拳を強く握り震わせる。
そんなラドを見て、御王はラドの頬にぶちゅっとする。
「おい!?」
[ラドさんの責任じゃありませんよ]
「御王……」
悲しい雰囲気を明るくしようとしたのか……とラドが御王を見つめる。
[ん……]
「もういいから」
冗談めいてキス待ち顔をする御王の頬を押しのける。
「それより早く奏と合流しよう」
『奏と?』
「この状況を止められるのは奏の歌声だけだ」
『奏は学舎の空き教室に匿いました』
譜王が言うと、ラドは頷く。
「皆、行くぞ。カナタもな」
カナタに向けて優しい目を向けるラド。
カナタは驚いたが、表情を真剣にして言い放った。
「はい!」
王族である彼らに命令できたのはつい最近まで司令官をしていたおかげだ。次の司令官が決められていない今、譜王を司令官とすることがディーヴァ達にとって楽な選択だった。
KTBと姫存軍の地上での乱戦の指揮は一時的にシーファとビトスに頼んでいる。譜王についてまわるあの二人なら譜王の仕事ぶりを1番近くで見ている。任せても大丈夫なくらいの信頼はあった。
[にしたってどうやって探すんだよ]
『ふん。ラドさんが何も考えずに出て行くわけがない。目には目を歯には歯を発信機には発信機をだ』
〔弱そうだな〕
[つまりラドさんにも発信機がついてると。さすがラドさん]
〔それで、どこにいる?〕
戯王が聞くと、譜王は小型の端末を取り出して画面を映し出す。
『地上に降りたKTBの機体の中にいる。着いてこい』
[おっけ~]
〔はやく済ませよう〕
地上に降りてKTBの機体へ向かうのは困難だ。
―――――……ディーヴァの一般市民なら。
怪力で頑丈に出来たディーヴァの王族たちが3人も集まると圧倒的だった。時々背を預けながら、次々と敵を倒して進んでいく。
譜王はすぐにでもラドを助け出したかった。だから王族3人で行動することに決めた。このまま進んでいけば、敵の数を減らしつつ、目的の人達もすぐに見つけられるだろう。
◇◇◇
その頃ラドとカナタは隣同士の部屋に閉じ込められていた。いつでも人質に出来るように連れてこられていたのだ。
機体の外から聞こえる騒音は、逆に機内に静けさを与えた。そんな静かな機内にカツカツと床と当たる足音が響き、カナタの前を一人の男が通過していく。
その顔を見て、カナタは絶句した。
あのヒソという男、KTB内で洗脳を担当している謎多き人物だった。
彼は隣の牢屋――ラドの牢屋へ入っていく。
「ラドさん! そいつの話を聞いちゃダメだ!!」
ヒソの、黙れ、と言う声が聞こえて、カナタの脳内はぼうっとしてその言葉に従うしかなくなる。
己の宿命は何か、ディーヴァと人間・化け物と人間は相いれない関係である、どれほど抗おうと人間と化け物では大きく異なるのだと。
ヒソは脳内に直接響いてくるような美しい声で語り掛ける。
いつか世界はディーヴァに支配され滅ぶだろう、人間は滅亡するだろう、己が何をすべきか分かる筈だと。
ヒソは美しい響きで脳を翻弄してくる。
正直、カナタの方が洗脳されそうだった。考える力が引っ張り取られるような感覚がする。
ラドは無事か、とカナタが心配した時だった。
「え、何?」
バカすぎる。
カナタは脳内に停滞していたわだかまりが一瞬にして解けたような感覚があった。
ヒソは諦めずにバカ相手でも洗脳を続けた。すると。
ラドは呆れるような声色で言い放つ。
「もううっさいな。どうでもいいんだよ。お前が言ったこと全部、もう答えは出した後なんだ」
え。とカナタは思う。バカが今までのヒソの質問の答えを出した?
俺には質問すら難しすぎて頭がいっぱいいっぱいになったのに。と。
出ていた答えに対しての質問の嵐に、ラドは面倒くさくなっていたのだろう。ラドはぶっきらぼうに答えた。
「俺の宿命? 化け物と人間の共存だ。人間は化け物をヒトと呼び、既に人間として扱っている。あとは化け物たちに己が人間であると理解させるだけの話だ」
愚かな。
「お前こそ。何をそこまで考えているんだ。……いや、考えていないな。決められたセリフを言っているだけのおもちゃに過ぎない」
貴様……。
ヒソがラドに手を出そうとした時だった。
ドォォォオンッと言う炸裂音の後に、ドタドタと複数の足音が近づいてくる。
『ラドさん!! 良かった無事で』
[誰だお前! ラドさんから離れろ]
〔ラドさん、助けに来ました〕
赤い髪の男が3人やって来た。
譜王、御王、戯王だ。
ラドはその三人を見て驚く。
「なんで王族3人がKTBの船に乗り込んで来ちゃうんだよ!!」
『最速を選びました』
譜王の素直さに呆れかえるラド。まあいいか、とラドは言う。
ヒソはさすがに王族3人を相手するのは困難だと考えたのか、牢屋から逃げ出し、御王が追ったが、見失ったらしく申し訳なさそうに帰って来た。
戯王がラドの拘束を解きながら言った。
〔糸王は敵だった〕
「あいつ……正体現したか……」
〔知っていたのか?〕
「ああ。保護してしまったから追い出せなくて。洗脳を解いてやりたかったんだけど。あいつより力が強い人物がいなくてさ」
〔そうだったのか……〕
譜王がカナタの拘束を解き、カナタは彼の後に続いて牢屋から出た。
ラドも牢屋から出ると、ずっと何かに耐えていた御王がラド目掛けて両手を広げて飛び出した。
[ラドさぁぁぁん!!]
唇を突き出して迫る御王を抑える。
「うわああああッ!? やめなさい! リカコが好きなんだろお前!」
[……!]
顔を鎮める御王たちに、ラドが冷や汗を垂らし尋ねる。
「何があった」
[吹姫はKTBに殺されました…ッ。跡形もなく消し去られてッ]
「…………っ」
ラドは眉を下げ、拳を強く握り震わせる。
そんなラドを見て、御王はラドの頬にぶちゅっとする。
「おい!?」
[ラドさんの責任じゃありませんよ]
「御王……」
悲しい雰囲気を明るくしようとしたのか……とラドが御王を見つめる。
[ん……]
「もういいから」
冗談めいてキス待ち顔をする御王の頬を押しのける。
「それより早く奏と合流しよう」
『奏と?』
「この状況を止められるのは奏の歌声だけだ」
『奏は学舎の空き教室に匿いました』
譜王が言うと、ラドは頷く。
「皆、行くぞ。カナタもな」
カナタに向けて優しい目を向けるラド。
カナタは驚いたが、表情を真剣にして言い放った。
「はい!」
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