ビザランティア彷徨妖星の弁才天(菊之助外伝)

二市アキラ(フタツシ アキラ)

文字の大きさ
2 / 6

2: 下拵え

しおりを挟む

 悟浄と定吉は、まるで指で桃でも割るように無慈悲に菊之助の双臀をたち割り、その奥に秘められた菊花の蕾を露わにさせた。
 普段、風の当たらないところに冷ややかな空気の気配を覚え、菊之助は狼狽する。
     そのうえ、悟浄が鼻を奥まった蕾へ極度に近づけ匂いを嗅ぎ取ろうとする気配がある。

「な、なにを、なさるっ!」
「おおお、このこもった匂い。ちょっと臭えが、ずきずきと俺のチンボに響くぜ、」
「そ、そのようなところを嗅いではならぬっ、たっ、たのむから、もう、もう。離れてくれっ、いやっ。」 

 定吉もそれを見ると我慢が効かない。
    悟浄が離れまいとするその顔へ、自分の顔をすり寄せて、鼻先を菊之助の尻の間に押し込もうとする。

「くっ、きたきた。この香りはぁっ。」
「すこし、くせえけど、どこか懐かしいようなにおいだぜ。」
 ひどく恥ずかしい尻穴嗅ぎに、一段落つくと悟浄と定吉は、さんざん嗅ぎ回した菊之助の蕾に、椿油をべったり塗りつけ出した。
     菊之助は激しい狼狽を示した。

「ま、まだ、そこをっ、な、なにをするのですっ。や、やめて下さい!」
 菊之助は破戒坊主と下男の無骨な指先が、自分のやわらかい尻たぶの内側に触れたのを感じるとたまらない嫌悪感を感じ、彼らの手を振り切ろうとするかのように双臀を狂おしく揺さぶるのだった。

「ええ、ききわけのねえ坊ちゃんだな。俺たちは、おめえのかわいい尻のことを気遣って準備してやってるんじゃねえか。岩本院と勝負するからには、ここん所をよくほぐして、滑りのいいものなんぞをしっかり塗り込んでおかねばならんよ。何の準備もなく、岩本院のあんな馬並みのものを、まともにぶちこまれちゃ肉がはじけ飛んじまうぞ。」

 悟浄のその言葉を聞くと、菊之助は魂が打ち砕かれるような衝撃を受け、赤く上気した頬が、真っ青に変じた。

「い、岩本院が」
「岩本院は、私のそんなところに?」
 菊之助は気が遠くなりかける。
 恐怖の戦慄で開股に縛りつけられている両腿の筋肉が断続的に震え出す。

 そんな菊之助の恐怖にひきつった表情を光之介は楽しそうに眺めて、
「そう情けない顔するな。一足先に、千手観音屋に連れて行かれた貴様の兄上は、岩本院が父の仇である事を訴えながらも、その相手に無理矢理に契りを結ばせられたのだ。岩本院の精を、人には見せぬ穴に深く流し込まれそれを受け入れたのだぞ。」

「いや、実にたのしい晩だった。兄上は貴様よりもっと綺麗な着物を着せられて、唇には紅をぬって、とても一刀流の使い手とは思えぬ姿になって座敷に引かれてきた。あれがこの儂と互角に刃を交えた剣士だとはな、、儂は美形に生まれず、つくづく良かったと思ったものよ。 その上にな、力丸どのは、尻を貫かれる前に、様々な余興をされてみんな大満足だったのだ。嫌がってはおったが、親分衆の杯に己のチンボをあてがって、ひとつずつ小便を上手についだのだからな。」

「そういや八戒和尚、あの力丸殿の小便酒は、結局のところ、親分連中はどう始末したんだ?」

「それが、あのとんでもねえ変態連中ときたら、迷いも何もなく、ぐびりぐびりと舌なめずりしながら一滴残らず呑んでしまいおったわ。」

「うへえ、そらまたひでえ。この菊之助も千手観音屋に移せばどういう目を見るんだか、空恐ろしいってもんだ。」

 光之介はそう言って、菊之助の兄は、本当の意味で完膚無きまでに「返り討ち」にあったのだと菊之助に諭した。

「だから貴様も兄じゃと同じように、花柄の綺麗なべべを着せた姿で、岩本院に返り討ちのとどめを刺させる。岩本院も役得だな。しかしそうしておかなければ兄弟の配分がたたぬ。 貴様も岩本院の矛先を尻の穴で受け入れろ。かわいい、いいすぼまりをしておるではないか。 ただ、兄上はそれをもみほぐしもなく、かちかちに硬い男尻のまんまずっぱりやられちまったらしくてな。普段は出す方にしか使わぬ穴だからな、無理無体もいいところさ。兄上も、さぞかし痛かったろう。 まだ年若い貴様の尻に、そんな乱暴はさせられねえ、しっかり準備してやるから安心しな。」
「せいぜい、めそめそ泣いて観客の雲助どもを楽しませるんだな。ハハハ、わかったか」

 光之介がそういった時、襖が開いて岩本院ともう一人の仇である定十郎が、入ってもよござんすか、と顔を見せる。

 岩本院の顔は、この男の頭部全体を覆う酷いやけどを隠すために、なめしつくした面妖な革袋でぴったりと覆われており、菊之助などは何度見ても驚きを覚えるのだが、光之介は何も感じないようである。

「おお、丁度、よい所へ来た。今、菊之助はお前を受け入れるために尻の穴に磨きをかけておる所だ。もうしばらくここに来て待つがよかろう。」
 と、光之介は手招きして二人を呼び入れるのだ。

    菊之助は父の仇である岩本院、定十郎両人の顔を見ると、さすがに口惜しげに歯を噛みしめ、さっと視線をそらせた。
 菊之助の心は乱れた。

 岩本院には昨日、後一歩で首をとる勝負にまで持ち込んだのだが、今思い出しても卑怯な手で逃れられてしまった。
 今度は逆に、岩本院はその意趣返しをするつもりなのだろう。
    この革面の憎き男に屈辱を…与えられるのか、、女にされてお尻や陰茎をおもちゃにされるのだ、そう恩うと菊之助は息が止りそうになった。

 その上、不浄なお尻の穴に、なんという恥ずかしさだ。

「この場で岩本院、定十郎、両人と衆道の契りを結ぶのだ、」といった光之介に菊之助は悲痛な表情を向けて「そ、そればかりは、ああ、お許し下さい。光之介どのっ」と、半泣きになってわめくように訴えるのだった。

「どうした。親の仇に尻を貸すというのはそんなに辛いか。心配するな。お前のその涙で潤む目で、しなしなと優しくしてくれるよう頼めば、無粋なあいつらとて、いきり立った男のものをお前の尻の穴に、つっこむ前に、けつもよく開いて弄ってもくれよう。お前の玉袋やその色づいた陰茎もよく揉んで可愛がって気持ちよくさせてくれるさ。」

 (ああ、兄上、菊之助はこのような屈辱を忍んでまで、命を守らねぱならぬのですか)
菊之助は胸の中で血を吐くように叫んだ。

 ここにいる程度の低い者どもに、自分の誇りを傷つけられぬためには、一切の拒否、一切の無反応を持って答えるべきなのだ。 

 それだというのに、自分はこのデロデロとした恥ずかしい護謨の衣類を着せられて赤面し、それを捲られて悲鳴を上げ、尻の穴をいじられて泣き、その泣き声と恥ずかしがる態度自体がこの男達を愉しませている。
 最低の芸者のように、そうだ最低の男芸者。

 岩本院達に狂女のなりで男色の契りを結ぶなど、想像するだけでも菊之助の心臓は止りそうになる。

「ともかく返り討ちのとどめとして岩本院に、菊之助の尻を抜かせて観念させ、因果を含めてから千手観音屋に連れてこいというのが親分衆の指示だ。立合人として拙者らがここで最後まで見とどけてやる。」

 光之介は、そういうと、菊之助の背後に廻っている悟浄と下男の定吉に
「ともかく、尻を岩本院にやらせるが、この生白い尻だ、壊してしまっては元も子もない、お前ら手はず通り、菊之助が多少は受け入れやすいように、尻の準備をしてやれ。」

 悟浄と定吉がいそいそと背後に回り、菊之助の双腎の肉に再び手をかけ、ぐっと左右に割り開く。
「あっ」
 菊之助は下郎どもの指先がそれに触れ、再び、淫靡ないたぶりを開始すると狂ったように左右に首を振った。

「もっとよく揉んで柔らかくしておかなきゃ駄目だ。これから馬並みのでっかいものをぶちこまれるんだろ。下手すると肉がはじけ飛んじまうぜ。」
 定吉と悟浄はクスクス笑いながら菊之助の双臀深くの陰微な蕾を露わにさせ、しきりに油を塗りつけつつ、指の先で微妙に揉みほぐすのだった。

 菊之助の繊細な頬は真っ赤に上気し、下郎どもの淫靡な指の動きに歯をカチカチ噛み合わせながら堪えていたが、定吉の指先がぐっと深く内部に押し進むと、ひきつったような悲鳴を上げ、激しく前髪を慄わせながら身悶えした。

 それは誰が見ても、ため息が出るような綺麗なお尻の穴だった。
 雪の小山のような尻の底に、ほんの少し淡いすみれ色がにじんだような可憐なすぼまりを、目の前にして、悟浄は不思議に胸が絞られるような、欲望と、憧れみの混じり合った気持ちになっていた。

「大丈夫かね、こんな可愛い、おもちゃのようなお尻の穴で岩本院を受ける事が出来るのかね?」
 悟浄は心からそう思った。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...