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第一章
24初めての晩餐会 後編
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私はレイジェス様に手を握られてもそのままにしていた。
男の人達が去ったあと、今度は女の人達が来た。2名だ。
「ごきげんよう、ダリア=トンプソン、伯爵令嬢です。16歳になります」
「ごきげんよう、マリー=ブラッドベリー、伯爵令嬢です。15歳でございます」
「ごきげんよう、レイジェス=アルフォード24歳、公爵をやっております」
「ごきげんよう、アリア=アズライル8歳です」
ダリア様はオレンジ色の髪で瞳の色は黒くて、赤いドレスを着ている。
眉が太くて気が強そうなイメージだった。でも、化粧臭くないと思う。
マリー様は紺色の髪をしていて、瞳の色は濃い灰色で肌の色が白い。鮮やかな青いドレスを着ている。胸が大きくて、見るからにけしからん体をしている。化粧臭くないし。どちらも美人だ。私はレイジェス様を見ている。
「まさか、アルフォード公爵様が晩餐会にいらっしゃるとは思いませんでした! お会い出来て光栄です! どうぞよろしくお願い致します」
はしゃいだ様子でダリア様が言った。
「社交は少し苦手なのでね。久しぶりに晩餐会に参加して、勝手もよくわからない有様ですよ。ははは」
レイジェス様は今まで見た事もない様な胡散臭い笑顔で愛想を振りまく。
「公爵様もそろそろご結婚を考えるお年ですよね? どうぞわたくしを選んでくださいませ…」
マリー様は大きく開いている胸元をちらりとレイジェス様に見せた。
レイジェス様を見ると眉がぴくりと動いた。それを良しとしたのかマリー様が舌で自分の唇を舐めまわす。レイジェス様は爽やかな笑顔でこう言った。
「使用人が呼んでいるようですよ? マリー様」
誰も呼んでいないじゃない? と小声でレイジェス様に言うと、【下がれ、という意味だ】と小声で返された。
…貴族って面倒臭いのね。
1人残ったダリア様は瞬間ガッツポーズをしていた。
「あれはちょっと直接的なお誘い過ぎますわよね? 浅ましいですわねぇ」
勝ち誇ったように言うが、レイジェス様の顔は渋い。
「私は人様の悪口を言う方は苦手ですね……浅ましい」
とばっさり切り捨てた。
ダリア様も使用人が呼んでいるようだ。
「皆様よく使用人に呼ばれますのね? お忙しいのでしょうか?」
私はそう言って、レイジェス様の顔を見た。
相変わらず私の手はテーブルの下で握られている。
レイジェス様に結婚のことを聞くべきなんだろうか?
よく考えてみる、結婚のこと聞くって何を? するかしないかだけじゃん。
するの? うん。
しないの? しない。
それだけだよね? 私は何が知りたいんだ? と考えて考えて、辿り着いた。
レイジェス様が私のことを好きなのか知りたいんだ。
前に大切だって言われたけど、好きだとか愛してるとか言われたわけじゃない。
普通、愛の言葉が先でしょ? って思ったのも言われたいからだ。
でも、レイジェス様が私に!? ……言う? 言ったら言ったで問題でしょ!?
大の大人が8歳児に……『愛してる』なんて言う訳ない。
想像出来ない。
もしそんな事言ったら……レイジェス様は周りの人達にロリコン、幼女趣味の変態野郎って、変質者の烙印を押されてしまう。
色々考えていたら握っていた手を更にぎゅって握られて、私はレイジェス様を見上げた。
「君は今、何を考えている?」
「……いえ、何も……」
なんだか色々考えてもやもやしてたら、さっき子供席で少しお話したカール=リッツ伯爵の令嬢シエラ様が来た。そして私の向かい側に座る。
「ごきげんよう、アリア様。先程はちょっとしかお話できず、残念に思っていたのです。同じ歳なので仲良くしたくて」
「ごきげんよう、シエラ様。わたくしも少しお話をしたかったのですよ。わたくしの周りには大人しかいないので、すごく嬉しいです。どうぞ仲良くしてくださいませ」
お互い微笑み合う。この子、性格いいな~ほんわかしてる。
「アリア様? さっき神様はみんなを見てるって言ってましたけど、本当ですの?」
とクリーム色の髪を揺らして水色の瞳で見つめてくる。
「本当ですよ。わたしもずっと見守られてました。今もきっと見ていてくれてると思います、父神様はお優しいのです。良き心を持ち、正しい道に進められればおのずと幸福はやってくるのです。神を信じてくださいませ」
シエラ様がもじもじして、レイジェス様を見る。
「アリア様のお父様ですか?」
わ~その質問言っちゃだめでしょ~。
レイジェス様の顔を見ると、こめかみがピクピクしてる。
「レイジェス様、さきほど子供席でお話しましたシエラ様です。リッツ伯爵のご令嬢だそうですよ」
「ほう、私は父ではなく、夫でございます。どうぞよろしくシエラ様」
レイジェス様はにっこり微笑んだ。
うわ~お父さんて呼ばれてちょっと怒ってる!!
しかも、もう夫とか言っちゃってる……。
顔はにっこりしてるけど、怒り心頭?
シエラ様は口を両手で押さえて
「失礼いたしました! 髪色が同じでしたので、わたくし勘違いしておりました!」
折角出来たお友達に、レイジェス様に悪い印象を持って欲しくないので頑張る私。
「偶然同じ色なのです。お揃いなんですよ」
とシエラ様の前でレイジェス様をぎゅっとしてみる。
ついでにレイジェス様の顔を見る。そこまで怒ってないかな?
「仲が良ろしいのですね」
シエラ様に微笑まれたので「ええ、とっても仲良しです」ともう一回ぎゅってやってみた。
これで機嫌良くなってくれないかな……と顔を覗き込んで見る。
じろりと睨まれた。なんですか? なんでご機嫌ななめなんですか?
私何かやった? と考えるが何も思い浮かばない。
そしたらキスされた。
舌が口の中にいっぱい入ってきて息できない!
ってか、シエラ様がぽかーんとしてるよ!
なんだ? なんだ? なんの嫌がらせ? 唇が離れた。
私はシエラ様になんと説明すればいいのか、固まってた。
「どうしたの~?」
と呑気な声でコモン様が現れて、シエラ様の隣に座った。
「やぁ君、可愛いね。お名前は?」
「シエラ=リッツ、リッツ伯爵家の娘でございます。8歳です」
お、いい所にフォロー来た!
なんか色々はぐらかしてお話してくれている……良かったぁ。
コモン様ありがとう、あなた神! まじ助かった! 唯一の同年齢のお友達がいなくなるところだった! 救いの神感謝!!
それとは反対で、レイジェス様! もう何やちゃってくれてんですか?
あ~もうレイジェス様が何考えてんだかさっぱりわかんない。
なんだか頭の中がぐちゃぐちゃしてたら左の袖を引っ張られて、見たら金髪碧目の男の子が立っていた。
「ごきげんよう、アリアだっけ? 俺、ゲイリー=クリストファー。次期侯爵11歳だ」
「? ごきげんよう? アリア=アズライル8歳ですわ?」
「お前って愛妾なの? その人とえっろいキスしてたけど」
ゲイリー君はレイジェス様を指差す、見ると激おこですよ。
……何か空間がゆらめいてますよ!
「ち、違います! 愛妾じゃないです!」
「愛妾なんだろ? 俺にもやらせろよ!」
ゲイリー君は強引に私の腕を引っ張った。
「やめて! 痛いです!」
レイジェス様が怒って私を抱っこして立ち上がった。
ゲイリー君の背じゃ、抱っこされてる私に届かないね。
「セバス、帰る」
「はい、旦那様」
「セバス、わたくしなんだか色々泣きたい気分ですわ?」
セバスは苦笑した。
「旦那様、事後処理に5分程要しますので、お先に馬車へお乗りください」
私は抱きかかえられ馬車に乗せられた。
そしてまた膝の上に乗せられキスをされた。
これ、ミドルキュアしたほうが良くない?
ぎゅうううって抱きしめられて苦しい。
そんな状態の中にセバスが馬車に乗り込んできた。
でもレイジェス様は気にしないで私をぎゅうぎゅうしてる。
私が困っているとセバスが苦笑いしてる。
あ~もう。
「レイジェス様? どうしました? 何かあったのですか?」
と聞いてみる。
顔を覗いてみると泣きそうな顔をしている。
私はいつもレイジェス様がしてくれるように抱きしめて背中をぽんぽんとした。
「大丈夫ですよ、私が付いてます」
ぽんぽん。
ぽんぽん。
レイジェス様は何も言わなかった。
セバスも目を瞑って寝た振りをしている。
私はぽんぽんとずっとしていた。
馬車から見える月が、来る時よりも小さくなっていた。
煌びやかな時間は終わったんだ。と……ふと思った。
お屋敷についても私を放さないので、セバスに私の着替えの下着と寝巻きをレイジェス様の部屋に持ってきて欲しいと言ったらすぐやってくれた。
部屋についてからセバスに部屋に誰も入れないでね、と言っておく。
レイジェス様はまだ私をぎゅううっとしてる。長椅子に座って? と言ったら座ってくれた。
「何があったんです? どうしちゃったの?」
優しく聞いてみた。
「……私の軽はずみな行動のせいで…君が愛妾と言われ侮辱された! 私のせいだ!!」
レイジェス様が泣いている。もう、いい大人なのに。
「それくらい、なんともないですよ」
「私は嫌だ!! 君を侮辱されたくない! でも私が原因で……」
も~面倒臭い人だなぁ……。
私はレイジェス様をぎゅっと抱きしめてから、またぽんぽんとリズム良く背中を叩いた。
「じゃぁ、」
と言ってレイジェス様にキスをした。舌を絡めて、めっちゃ吸ってやった。
口が小さいからべろも小さいし、大人のキスより全然劣るけど。
「こういうキスは二人っきりの時にしましょ?」
と言った。
「わたくしも、レイジェス様が幼女趣味って馬鹿にされるのは嫌なのです。わたくしも同じ気持ちなのですよ? ここのお屋敷の使用人達は慣れちゃったから大丈夫かも知れませんが、今日みたいな公の席ではまずいと思うのです」
しーん。黙られてしまった。
「……君にずっと触れていたい。抱きしめたい。誰にも触られたくない。誰にも見つめられたくない。閉じ込めたい。肉欲で穢したい!!」
ひ~っ。正気に戻って~。
「一回ミドルキュアをしましょう。そしたら、ちょびっとは落ち着くはずです。ね?」
と言ってミドルキュアしてもらう。
顔を覗き込む。大丈夫、瞳は赤黒くない。
「君に少し触れただけで硬くなる。出したくなる」
ミドルキュア効いてないし……。
「体だけ手に入ればいいのですか?」
「違う!! 君の気持ちも、全て、何もかも自分の物にしたい!! でも、出来なくて苦しい……」
レイジェス様は俯いてる。私はセバスが寝巻きと一緒に置いてくれてたタオルを持った。そして、レイジェス様の顔を上げさせタオルで涙を拭いて微笑む。
「そうやって微笑むのも嫌だ!」
「え……」
「違う! 私以外にだ!」
もう、どれだけ焼餅焼きなんだこの人!
「レイジェス様はわたくしを一体どうしたいんですか?」
あら黙ってしまった……。
私はレイジェス様を見つめる。ずっと答えを待つ。
「私の物になれ!!」
なんか、違う。私の顔が微妙な感じになって、レイジェス様が焦る。
私は溜息を吐いた。
「わたくしは、もう貴方の物ですよ?」
レイジェス様が目をぱちくりさせる。
あんなエロいことをしておいて、今更何言ってんですかって感じですよ。
これ、正解言うまでじっとまたないと駄目なの?
天然なのか擦れてないのか。
ヒントあげなきゃだめなの? どんだけ鈍いんだ。
「……今日、女性用のお茶会の方で爵位の件でリリーが聞きに行ったでしょ?」
「ああ、そうだな聞いてきた」
「その時レイジェス様、なんておっしゃいました?」
「……」
「誰と誰が結婚するんですって?」
「怒っているのか……?」
と上目遣いに私に言う。
「怒ってませんよ、怒りませんてば。今まであなたに何されても怒ったことないですよ?」
「うむ」
「ただ、順番が整っていればなぁとは思いましたけど」
「順番?」
「そうですよ。ヒューイット様だって、それないわ~って言ってましたよ?」
「なんの事だ?」
「わからないみたいなのではっきり言いますね」
「うむ」
「意地悪のつもりじゃないですから、でも泣いても知りませんよ? 知りたいですか?」
「……うむ」
「好きです」
「あなたのことを愛しています」
「結婚してください」
私は静かにそう言った後、レイジェス様の顔を見た。かなり動揺してるようだ。
頭をふるふるしてる。
「これが順番です。わかりました?」
私のおでこをレイジェス様のおでこに、こつんと付ける。
「結婚、してくださいます?」
レイジェス様はこくりと頷いた。
そして泣いた。私はタオルでその顔を拭く。
「大人のくせに全然だめだめですね」と悪態をついた。
まだ涙が出ているので拭いた。
そして、また背中をぽんぽんと叩く。
「落ち着きました?」
「……大分」
「レイジェス様、わたくし、いつかは大人になってしまいますよ? それでも……本当にわたくしでいいのですか?」
「君がいい……君じゃなきゃ嫌だ!!」
レイジェス様は私をぎゅっと抱きしめた。
私は彼の頭をそっと撫でた。
男の人達が去ったあと、今度は女の人達が来た。2名だ。
「ごきげんよう、ダリア=トンプソン、伯爵令嬢です。16歳になります」
「ごきげんよう、マリー=ブラッドベリー、伯爵令嬢です。15歳でございます」
「ごきげんよう、レイジェス=アルフォード24歳、公爵をやっております」
「ごきげんよう、アリア=アズライル8歳です」
ダリア様はオレンジ色の髪で瞳の色は黒くて、赤いドレスを着ている。
眉が太くて気が強そうなイメージだった。でも、化粧臭くないと思う。
マリー様は紺色の髪をしていて、瞳の色は濃い灰色で肌の色が白い。鮮やかな青いドレスを着ている。胸が大きくて、見るからにけしからん体をしている。化粧臭くないし。どちらも美人だ。私はレイジェス様を見ている。
「まさか、アルフォード公爵様が晩餐会にいらっしゃるとは思いませんでした! お会い出来て光栄です! どうぞよろしくお願い致します」
はしゃいだ様子でダリア様が言った。
「社交は少し苦手なのでね。久しぶりに晩餐会に参加して、勝手もよくわからない有様ですよ。ははは」
レイジェス様は今まで見た事もない様な胡散臭い笑顔で愛想を振りまく。
「公爵様もそろそろご結婚を考えるお年ですよね? どうぞわたくしを選んでくださいませ…」
マリー様は大きく開いている胸元をちらりとレイジェス様に見せた。
レイジェス様を見ると眉がぴくりと動いた。それを良しとしたのかマリー様が舌で自分の唇を舐めまわす。レイジェス様は爽やかな笑顔でこう言った。
「使用人が呼んでいるようですよ? マリー様」
誰も呼んでいないじゃない? と小声でレイジェス様に言うと、【下がれ、という意味だ】と小声で返された。
…貴族って面倒臭いのね。
1人残ったダリア様は瞬間ガッツポーズをしていた。
「あれはちょっと直接的なお誘い過ぎますわよね? 浅ましいですわねぇ」
勝ち誇ったように言うが、レイジェス様の顔は渋い。
「私は人様の悪口を言う方は苦手ですね……浅ましい」
とばっさり切り捨てた。
ダリア様も使用人が呼んでいるようだ。
「皆様よく使用人に呼ばれますのね? お忙しいのでしょうか?」
私はそう言って、レイジェス様の顔を見た。
相変わらず私の手はテーブルの下で握られている。
レイジェス様に結婚のことを聞くべきなんだろうか?
よく考えてみる、結婚のこと聞くって何を? するかしないかだけじゃん。
するの? うん。
しないの? しない。
それだけだよね? 私は何が知りたいんだ? と考えて考えて、辿り着いた。
レイジェス様が私のことを好きなのか知りたいんだ。
前に大切だって言われたけど、好きだとか愛してるとか言われたわけじゃない。
普通、愛の言葉が先でしょ? って思ったのも言われたいからだ。
でも、レイジェス様が私に!? ……言う? 言ったら言ったで問題でしょ!?
大の大人が8歳児に……『愛してる』なんて言う訳ない。
想像出来ない。
もしそんな事言ったら……レイジェス様は周りの人達にロリコン、幼女趣味の変態野郎って、変質者の烙印を押されてしまう。
色々考えていたら握っていた手を更にぎゅって握られて、私はレイジェス様を見上げた。
「君は今、何を考えている?」
「……いえ、何も……」
なんだか色々考えてもやもやしてたら、さっき子供席で少しお話したカール=リッツ伯爵の令嬢シエラ様が来た。そして私の向かい側に座る。
「ごきげんよう、アリア様。先程はちょっとしかお話できず、残念に思っていたのです。同じ歳なので仲良くしたくて」
「ごきげんよう、シエラ様。わたくしも少しお話をしたかったのですよ。わたくしの周りには大人しかいないので、すごく嬉しいです。どうぞ仲良くしてくださいませ」
お互い微笑み合う。この子、性格いいな~ほんわかしてる。
「アリア様? さっき神様はみんなを見てるって言ってましたけど、本当ですの?」
とクリーム色の髪を揺らして水色の瞳で見つめてくる。
「本当ですよ。わたしもずっと見守られてました。今もきっと見ていてくれてると思います、父神様はお優しいのです。良き心を持ち、正しい道に進められればおのずと幸福はやってくるのです。神を信じてくださいませ」
シエラ様がもじもじして、レイジェス様を見る。
「アリア様のお父様ですか?」
わ~その質問言っちゃだめでしょ~。
レイジェス様の顔を見ると、こめかみがピクピクしてる。
「レイジェス様、さきほど子供席でお話しましたシエラ様です。リッツ伯爵のご令嬢だそうですよ」
「ほう、私は父ではなく、夫でございます。どうぞよろしくシエラ様」
レイジェス様はにっこり微笑んだ。
うわ~お父さんて呼ばれてちょっと怒ってる!!
しかも、もう夫とか言っちゃってる……。
顔はにっこりしてるけど、怒り心頭?
シエラ様は口を両手で押さえて
「失礼いたしました! 髪色が同じでしたので、わたくし勘違いしておりました!」
折角出来たお友達に、レイジェス様に悪い印象を持って欲しくないので頑張る私。
「偶然同じ色なのです。お揃いなんですよ」
とシエラ様の前でレイジェス様をぎゅっとしてみる。
ついでにレイジェス様の顔を見る。そこまで怒ってないかな?
「仲が良ろしいのですね」
シエラ様に微笑まれたので「ええ、とっても仲良しです」ともう一回ぎゅってやってみた。
これで機嫌良くなってくれないかな……と顔を覗き込んで見る。
じろりと睨まれた。なんですか? なんでご機嫌ななめなんですか?
私何かやった? と考えるが何も思い浮かばない。
そしたらキスされた。
舌が口の中にいっぱい入ってきて息できない!
ってか、シエラ様がぽかーんとしてるよ!
なんだ? なんだ? なんの嫌がらせ? 唇が離れた。
私はシエラ様になんと説明すればいいのか、固まってた。
「どうしたの~?」
と呑気な声でコモン様が現れて、シエラ様の隣に座った。
「やぁ君、可愛いね。お名前は?」
「シエラ=リッツ、リッツ伯爵家の娘でございます。8歳です」
お、いい所にフォロー来た!
なんか色々はぐらかしてお話してくれている……良かったぁ。
コモン様ありがとう、あなた神! まじ助かった! 唯一の同年齢のお友達がいなくなるところだった! 救いの神感謝!!
それとは反対で、レイジェス様! もう何やちゃってくれてんですか?
あ~もうレイジェス様が何考えてんだかさっぱりわかんない。
なんだか頭の中がぐちゃぐちゃしてたら左の袖を引っ張られて、見たら金髪碧目の男の子が立っていた。
「ごきげんよう、アリアだっけ? 俺、ゲイリー=クリストファー。次期侯爵11歳だ」
「? ごきげんよう? アリア=アズライル8歳ですわ?」
「お前って愛妾なの? その人とえっろいキスしてたけど」
ゲイリー君はレイジェス様を指差す、見ると激おこですよ。
……何か空間がゆらめいてますよ!
「ち、違います! 愛妾じゃないです!」
「愛妾なんだろ? 俺にもやらせろよ!」
ゲイリー君は強引に私の腕を引っ張った。
「やめて! 痛いです!」
レイジェス様が怒って私を抱っこして立ち上がった。
ゲイリー君の背じゃ、抱っこされてる私に届かないね。
「セバス、帰る」
「はい、旦那様」
「セバス、わたくしなんだか色々泣きたい気分ですわ?」
セバスは苦笑した。
「旦那様、事後処理に5分程要しますので、お先に馬車へお乗りください」
私は抱きかかえられ馬車に乗せられた。
そしてまた膝の上に乗せられキスをされた。
これ、ミドルキュアしたほうが良くない?
ぎゅうううって抱きしめられて苦しい。
そんな状態の中にセバスが馬車に乗り込んできた。
でもレイジェス様は気にしないで私をぎゅうぎゅうしてる。
私が困っているとセバスが苦笑いしてる。
あ~もう。
「レイジェス様? どうしました? 何かあったのですか?」
と聞いてみる。
顔を覗いてみると泣きそうな顔をしている。
私はいつもレイジェス様がしてくれるように抱きしめて背中をぽんぽんとした。
「大丈夫ですよ、私が付いてます」
ぽんぽん。
ぽんぽん。
レイジェス様は何も言わなかった。
セバスも目を瞑って寝た振りをしている。
私はぽんぽんとずっとしていた。
馬車から見える月が、来る時よりも小さくなっていた。
煌びやかな時間は終わったんだ。と……ふと思った。
お屋敷についても私を放さないので、セバスに私の着替えの下着と寝巻きをレイジェス様の部屋に持ってきて欲しいと言ったらすぐやってくれた。
部屋についてからセバスに部屋に誰も入れないでね、と言っておく。
レイジェス様はまだ私をぎゅううっとしてる。長椅子に座って? と言ったら座ってくれた。
「何があったんです? どうしちゃったの?」
優しく聞いてみた。
「……私の軽はずみな行動のせいで…君が愛妾と言われ侮辱された! 私のせいだ!!」
レイジェス様が泣いている。もう、いい大人なのに。
「それくらい、なんともないですよ」
「私は嫌だ!! 君を侮辱されたくない! でも私が原因で……」
も~面倒臭い人だなぁ……。
私はレイジェス様をぎゅっと抱きしめてから、またぽんぽんとリズム良く背中を叩いた。
「じゃぁ、」
と言ってレイジェス様にキスをした。舌を絡めて、めっちゃ吸ってやった。
口が小さいからべろも小さいし、大人のキスより全然劣るけど。
「こういうキスは二人っきりの時にしましょ?」
と言った。
「わたくしも、レイジェス様が幼女趣味って馬鹿にされるのは嫌なのです。わたくしも同じ気持ちなのですよ? ここのお屋敷の使用人達は慣れちゃったから大丈夫かも知れませんが、今日みたいな公の席ではまずいと思うのです」
しーん。黙られてしまった。
「……君にずっと触れていたい。抱きしめたい。誰にも触られたくない。誰にも見つめられたくない。閉じ込めたい。肉欲で穢したい!!」
ひ~っ。正気に戻って~。
「一回ミドルキュアをしましょう。そしたら、ちょびっとは落ち着くはずです。ね?」
と言ってミドルキュアしてもらう。
顔を覗き込む。大丈夫、瞳は赤黒くない。
「君に少し触れただけで硬くなる。出したくなる」
ミドルキュア効いてないし……。
「体だけ手に入ればいいのですか?」
「違う!! 君の気持ちも、全て、何もかも自分の物にしたい!! でも、出来なくて苦しい……」
レイジェス様は俯いてる。私はセバスが寝巻きと一緒に置いてくれてたタオルを持った。そして、レイジェス様の顔を上げさせタオルで涙を拭いて微笑む。
「そうやって微笑むのも嫌だ!」
「え……」
「違う! 私以外にだ!」
もう、どれだけ焼餅焼きなんだこの人!
「レイジェス様はわたくしを一体どうしたいんですか?」
あら黙ってしまった……。
私はレイジェス様を見つめる。ずっと答えを待つ。
「私の物になれ!!」
なんか、違う。私の顔が微妙な感じになって、レイジェス様が焦る。
私は溜息を吐いた。
「わたくしは、もう貴方の物ですよ?」
レイジェス様が目をぱちくりさせる。
あんなエロいことをしておいて、今更何言ってんですかって感じですよ。
これ、正解言うまでじっとまたないと駄目なの?
天然なのか擦れてないのか。
ヒントあげなきゃだめなの? どんだけ鈍いんだ。
「……今日、女性用のお茶会の方で爵位の件でリリーが聞きに行ったでしょ?」
「ああ、そうだな聞いてきた」
「その時レイジェス様、なんておっしゃいました?」
「……」
「誰と誰が結婚するんですって?」
「怒っているのか……?」
と上目遣いに私に言う。
「怒ってませんよ、怒りませんてば。今まであなたに何されても怒ったことないですよ?」
「うむ」
「ただ、順番が整っていればなぁとは思いましたけど」
「順番?」
「そうですよ。ヒューイット様だって、それないわ~って言ってましたよ?」
「なんの事だ?」
「わからないみたいなのではっきり言いますね」
「うむ」
「意地悪のつもりじゃないですから、でも泣いても知りませんよ? 知りたいですか?」
「……うむ」
「好きです」
「あなたのことを愛しています」
「結婚してください」
私は静かにそう言った後、レイジェス様の顔を見た。かなり動揺してるようだ。
頭をふるふるしてる。
「これが順番です。わかりました?」
私のおでこをレイジェス様のおでこに、こつんと付ける。
「結婚、してくださいます?」
レイジェス様はこくりと頷いた。
そして泣いた。私はタオルでその顔を拭く。
「大人のくせに全然だめだめですね」と悪態をついた。
まだ涙が出ているので拭いた。
そして、また背中をぽんぽんと叩く。
「落ち着きました?」
「……大分」
「レイジェス様、わたくし、いつかは大人になってしまいますよ? それでも……本当にわたくしでいいのですか?」
「君がいい……君じゃなきゃ嫌だ!!」
レイジェス様は私をぎゅっと抱きしめた。
私は彼の頭をそっと撫でた。
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