魔術師長様はご機嫌ななめ

鷹月 檻

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第二章

3アリアチャンネル

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 私と父神様は白空宮殿の内宮の中庭に天馬で舞い降りた。
白い女神の像の噴水から水が流れている。白いパンテオン神殿のような外宮を通って行くと天井がドーム状の内宮に続く。ここは父神様が生活する場所だ。
父神様は私を抱きかかえたまま内宮の自室に行った。

「今日はそなたの部屋は用意しておらぬ。私の寝台で休め」

 と父神様の寝台に放り込まれた。靴がいつの間にか脱がされていたのは魔法で脱がされたのだろうか? 気が着いたら寝台の脇に揃えられてた。
そして一緒に布団に入って父神様が言った。

「そなたに伝えていないことがあった。そなたはベテルの地からの魂と我の地の魔心核で出来ているが、心は大人だと思っているであろう?」
「え? …違うのですか?」
「ベテルの地での記憶はそのままだ。あちらの魂は大人である。しかしこちらの魂は年齢そのもの8歳の魔心核だ。そなたは大人の心と子供の心を持っている」
「であるから、子供の心と大人の心がバランスが取れない時がある」
「わたくし、今がそうです」

 父神様は頷いた。

「特に、年齢に合わぬ進んだ事をいたしていたようだからな。子供の心の部分が限界だったと思われる」

 それを聞いて私は顔から火が出そうになった。

「なんでそんな事知ってるのですか!?」

 父神様は顔面を片手で押さえた。

「神は人の子らを常に見守っているからな。アリアチャンネルという物があるのだ」
「は? なんですかそれは?」
「ベテルの惑星でいう所のテレビみたいな物だ。個人個人にチャンネルを合わせれば下界の者の生活が垣間見える」
「…は?」
「神は基本暇だからな。アリアチャンネルは神々の間で大人気でだぞ?」
「…それってもしかして…わたくしの極みを神々の皆様に見られていたと言うことでしょうか?」

 父神様は横目で私を見た。

「…まぁ気にするな」

 えええええええ!! 私のあんあん言ってる姿を神々様に見られていたの?
うぉおおおおお!! 恥ずかしすぎる!!
布団に顔を突っ込んで悶えていたら父神様にぽんぽんされた。

「そなたを見ていたから迎えに行けたのだ。今は天界にいるからアリアチャンネルは見られないがな」

 とくすくす笑う。

「父神様、わたくしさっきのノルン様の事で聞きたい事がございます」
「ん? なんだ?」
「ノルン様は今、天界にいるのですよね? わたくし会ってみたいのです」
「…それは出来ぬ。ノルンがお前には会えないと言っていた」
「どうして?」
「我にはよく分からぬ……ノルンには色々考えがあるようだ。だから我に動くなと牽制するのだろうが……。ノルンがそなたを知っていた事に驚いたがな」
「え? アリアチャンネルでわたくしを知ったのではないのですか?」
「そなたを下界に送り出した後にノルンはこちらに来た。この惑星に派遣された時には、もうそなたを知っていた。どこで知ったのか謎だ」

 父神様は眉間に皺を寄せて渋い顔をしていた。
私は布団の端を掴んで半分顔を隠して言った。

「あのぅ、父神様? 先程わたくし父神様を見たとき、すごく【お父さん】て感じが心の中に甦ってきて甘えたくなってしまったのですが、それも子供の心があるからなのでしょうか?」
「ああ、それもあるが、我がそなたの中身を造ったから、父という意識が強くなってる。逆に言うならばそなたを造った我にも娘という意識が強くなっている。だから甘えて良い」

 甘えて良いと言われてほっとした。

「父神様…」

 と言って抱きつく。そしてぽんぽんされる。

「そなたはもう寝よ。明日からは天界にいるのだから小さくとも神として働いてもらうぞ?」
「え? 父神様、わたくしは人ですよ? 神としてなんて働けませんってば」

 父神様は私を呆れたような目でみたあと、はたと気付いた顔をした。

「そなた何か勘違いをしておらぬか?」
「え?」
「そなた基本は神であるぞ?」

 私は父神様の言ってる意味が分からない。
あれ? 私って人族ってなってたような?

「よく考えてみよ? そなたは我とベテルの夫婦神の間に生まれたのだぞ? 丸っきりの神である。しかもアズライルの地は私が単神であった時に生んだ神しかおらぬ。夫婦神の間から生まれたそなたは末神まっしんだが神の中では私の次に位が高い」
「はっ? え? でも、わたくしのステータスでは人族ってなっておりますが?」
「それはただの表記の分類名に過ぎぬ。例えば普通の人間であれば表記名は人間になり、種族名は人族となる。では神と人の間に産まれた者はどうなるか? 表記名はそなたと同じ半神となり種族名は半人となる。半分神であり、半分人であるから当然だ。
ただ、【族】となるほど数が多くないのでただの【半人】だがな。
そなたの場合、表記名がそもそも【半神】だ。人で有りたいと願っていたから【神】という表記は止めた。しかし、人との間に生まれた訳でもないので種族名に半人とすることもできぬ。表記名が半神なら神族という種族名を付ける事は許されない決まりだ。
だから種族名として【人族】に振り分けた。【人族】には他にエルフやドワーフも含まれる。そなたは種族名では人族だが、人ではない。そなたが人として生きたがっていたから人族に分類しただけに過ぎぬ」

 私は目を瞬いた。

「ちなみに寿命も人間に合わせて70年前後にしてある。そなたの愛する者と同じ時を過ごせるようにしてあるが、能力は神そのものだが体は人間と大して変らない。神族である全神なら死は来ない。それぐらいか? 違いは。ああ、そなたは神でもあるから穢れに弱い。穢れでも死ねるな」
「じゃ、このつむじもきらきらしてるのはわたくしが神だからなのですか?」
「うむ。下界におると光らなくなる。そなたの光は小さい。天界におると光はどんどん強くなる」
「え? ……では休息を取って下界に戻ったら、凄く頭が光るということでしょうか?」

 不安気に私が聞くと父神様はにっと笑って、

「顔の判別が出来る位の光具合いになるのではないか?」

 と事も無げに言った。
きっとまたレイジェス様に頭の事でからかわれると思ったら、ちょっと鬱が入った。

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