魔術師長様はご機嫌ななめ

鷹月 檻

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第三章

9スライム狩り 後編

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 レイジェス様の召喚獣シリルが飛び立つと他の竜達も一斉に飛び立った。
その図は壮観だった。
澄んだ水色の空を飛んで行くと私が塔から見えた森があった。その森を越えた所に湿地帯が広がっている。その湿地帯の中でもいくつかある陸地に下りる。
皆がそこに降り立って召喚獣を停めるとレイジェス様が軽く説明をした。

「ここはリンド湿地帯と呼ばれる場所だ。主に出る魔獣はリンドスライムとリンドクロコ」
「リンドクロコ!? かなり凶暴で、強くレベルも高いと聞きますが?」

 驚いたレンブラント様が言う。

「レンブラントとヒューイットがスライムでは狩っても意味がないと言っていただろう? だからこの場所にした。リンドクロコならお前達でもレベルが上がるだろう?」

 レイジェス様が淡々と言った。

「まぁ、確かに、私達でもレベルが上がりそうだ」

 納得した様な声でユリウス様が言った。
その話を聞いて、レイジェス様のステータスを知ってしまっている私はレイジェス様を見た。
もうあなたカンストしてるでしょ? 上がらないじゃない。
という目で見ると指を一本口の前に出されてしーっとされた。
ふむ、皆さんレイジェス様がカンストしていると知らないようだ。
内緒なんですね? わかりました。

「リンドクロコは体内に魔石がある。王都でなら1つ2万ギル位で売れるだろう。小遣いにもなるぞ。皆、それぞれのパートナーを守りながら狩りをするように! 一歩間違えれば死ぬからな!」
「なんていう場所に連れて来るんだよ! レイジェス! 俺、もうちょっとまったりした感じのピクニックみたいの想像してたんだけど?」

 コモン様が頭を掻きながら言った。

「コモン様、守ってくださいね」

 シエラ様が可愛らしく言うと、コモン様がシエラ様を抱き上げぎゅうぎゅうしている。
ちなみに、私もまったりした感じのピクニックを想像していた。
ピレトス山に父神様と行った時のような感じなのかな? って思っていた。
あの時は、父神様はお茶を飲んだり本を読んだりしていたっけ。
私はカエルをやっつけてたけど。
セバス達、使用人は休憩所の準備を始めた。床に敷物を敷いたり、ワゴンにお茶の準備をしている。
レイジェス様が私と手を繋いで言った。

「リンドクロコは水際に多いがリンドスライムは陸地だ」

 そう言って私の手を引いて歩く。
早速1匹目のスライムが出た。前に見た溶けて伸びたような形のスライムではなくて、水色で頭がとんがっている玉ねぎ形のスライムだった。真ん中に赤い核がある。大きさは20センチくらいかな?

「ほら、でたぞ!」

 とレイジェス様が言ったので剣を出そうとしたら腰に挿していなかった。
少し大きくて危ないから、空間収納に閉まったままだった。出そうとしてレイジェス様がそれを止める。

「剣だと多分効率が悪い。リアは魔法適性の方が高いからな」
「え? 前も言ってましたね、そんなこと」
「今日は魔法で倒してみるか?」
「えええ!? やります! 魔法を教えてくださるんですね! わ~い!」
「そこまで喜ぶことか?」

 レイジェス様に呆れられた。

「だって! ファンタジーですよ! 凄いです!」
「ふぁん? 何やらよくわからんが、興奮しすぎるな?」
「え? はい、分かってますよ?」

 私は深呼吸をした。レイジェス様が説明をする。

「まず、魔法を使うには属性レベルを上げなければいけない。これには二通りの上げ方がある。まず、レベル自体を上げること。その他に、その属性の魔法を使い属性レベルを上げることの二通りだ」

 私はうんうん頷きながら真剣に話を聞いた。
これで私も魔法使いになれるんだから、真面目に聞かないとね!

「手っ取り早いのはレベルを上げる方が良い、レベルを上げると属性レベルも一緒に上がる。属性レベルだけを上げるにはその属性の魔法を沢山使えば上がる、だからレベルが低い時はレベル自体を上げる方が効率が良い」
「ふむふむ」
「ちなみに、リアは天界でレベル上げをしたので、私が最初リアのステータスを見たときは属性レベルが無かったが、レベルが上がったことにより、全部の属性がレベル1になっている。気付いていたか?」

 と言われ全然気付いていなかった自分。

「知りませんでした」
「あ、それと、よほど親しい仲でなかったら相手を鑑定するのはやめておきなさい、マナー違反だからな。時には訴えられて刑に服すこともある」
「はい!」
「ちなみにリアはまだ覚えてないが、君が今の段階で使える魔法は、風魔法でエア、水魔法でアクアウォッシュ、火魔法でファイア、土魔法でクリエイトホール、光魔法でライト、闇魔法だけはレベルが10にならないと使えない。無属性空間魔法では空間収納が使える。これは君も良く使っているな、この中で君が使える攻撃魔法はファイアくらいか」
「クリエイトホールって何ですの?」
「落とし穴だ」

 落とし穴なんて魔法使ってどうするんだ? いたずらにしか使えないのでは?

「ではファイアを教える」
「はい」
「まずは小さな火をイメージして自分の指の上に出してみろ、呪文と共にだぞ」

と言いながら、レイジェス様がお手本を見せてくれた。

「ファイア」

 レイジェス様の指先の10センチ上くらいに赤い炎が点った。
私は自分の人差し指を出しイメージした。指先に点る炎を。

「ファイア!」

 私の指先に青い炎が点った。ガスレンジの炎をイメージしたからかその炎は青い。

「なぜ青い?」

 とレイジェス様がじろりと私を横目で見る。

「あ、あの、青い炎の方が温度が高いのですよ」

 というとレイジェス様はふむと自分の顎を撫でた。

「その炎をあのスライムに投げてみよ」

 と言う。レイジェス様が指先をふいっとスライムに投げるポーズをして見せる。レイジェス様の炎はとっくに消されてないので形だけだ。
それを見て私は同じくやってみる。

「とりゃっ!」

 私の投げつけた炎はスライムに当たって、ジュッ!と音を立て、煙と共にスライムが蒸発した。赤い核も残っていない。
それを見たレイジェス様が呆然としている。

「……どういう事だ。核さえ残っていないぞ」

 レイジェス様はすぐに気を取り直した様で、次の段階に入る。

「では指に火をともさず、そのままスライムにファイアを唱えてみよ」

 私は言われた通りにやってみた。

「ファイア!」

 ジュッ! という大きい音が響き、そこにいたスライムだけでなく地面も抉れて葉が枯れていた。

「リアの魔法はどうやら威力が高いようだな」

 とレイジェス様が目を丸くしていた。

「ねぇねぇ? レイジェス様? わたくしクリエイトホールも覚えたいです」
「ん? もしかして、それを使っていたずらしようと考えていないか?」

 と言われてどきっとする。レイジェス様が落ちた所を想像していたから。

「そ、そんな事、わたくしが考えるはずがないでしょ?」

 と言ってみるが疑いの眼で見られる。

「小さい穴にしておけ?」

 と言ってさっきと同じで穴をイメージしろという。

「イメージする力が魔法の強さに繋がる。具体的に目の前にそれがあるように、現実であるかのようにイメージするのだ」
「ふむふむ」

 私は目を瞑り小さな穴を想像する。深さは拳が入るくらいで大きさは両手のひらを合わせたくらい、そして叫ぶ。


「クリエイトホール!」

 目の前に想像していたくらいの穴が出来ていた。

「ふむ、やはり、リアは剣より魔法の方が向いている。よく出来ているぞ?」

 レイジェス様が私の頭を撫でた。やっぱり褒められると嬉しい。

「えへへ~、ありがとうございます!」

 私は微笑んだ。それからはファイアを使って結構な数のスライムを倒してレベルが8まであがった。

「ふむ、そろそろ休憩に入るか」

 私達はさっきのセバスが作った休憩所に向かった。
シエラ様とコモン様はもう来ていてお茶を飲んでいる。クロエ様とユリウス様もお茶を飲んで二人と話をしていた。私達が来たすぐあとにレンブラント様とヒューイット様も現れた。大きな布袋を持っている。

「大量に魔石が取れた!」

 レンブラント様がほくほくしている。
皆がそろったのでセバスが食事の配膳をする。お皿に紙でつつんだピレトスフロッグのサンドイッチを乗せてカトラリーと共に渡していく。他の使用人達もそれを手伝っていた。

「私はワインが飲みたい」

 レイジェスが言うと、近くにいたシエラ様の側仕えのベティが、グラスに注いでレイジェス様に渡した。

「ああ、ありがとう」

 ベティはお辞儀をして下がった。皆に飲み物が配られ、レンブラント様もワインを飲んでいる。私は水で、シエラ様はオランジのジュースを飲んでいた。
天気はいいが熱いというほどでもなく、風がそよ風程度に吹いていて気持ちがいい。

「シエラ様は狩りはどうでした?」

 と聞くとコモン様とパーティを組んで戦ってレベルが3まで上がったと言う。

「え、パーティが組めるのですか?」

 と私が驚いてるとコモン様が言った。

「その方がシエラの状態がわかるから。疲れ具合とかMPの減りとかさ。俺がレベル高いからレベル差があって上がり難いけどね」

 と言う。

「そんな事出来るって聞いてませんけど?」

 とレイジェス様を睨むと事もなさげにレイジェス様が小声で言った。

「リアと私で組んでもほぼリアに経験地が入らないし、私に至っては経験地0だ全く入らん。折角リアが戦うのに、そんなもったいない事出来るか。結局リアが一人で戦った方が効率がいい」
「……そっか」

 私は簡単に納得した。
私はレイジェス様のステータスを見たことがあるので、レイジェス様がとっくにレベルをカンストしているのは知っていた。
レベル差があるとレベルが高い方が経験地が多く入り、低い方にはあまり経験地が入らない。レベルがカンストしている者とレベルが低い者とがパーティを組む場合どちらにも経験地は全く入らない。
パワーレベリングが出来ないように神様が決めたらしい。
それでレイジェス様は私が戦うなら一人で効率良く……と思っただけっぽい。
クロエ様にも様子を聞いてみる。

「クロエ様はどうでした?」
「わたくしはダメダメですね。お兄様がほぼやっつけてしまいました」

 私はレイジェス様との練習試合を思い出した。

「ユリウス様はお強いですものね」

 と言うとユリウス様が照れていた。
そしてユリウス様がサンドを食べてから私に聞いてくる。

「先程から食べているこの中の肉が凄く美味しいのですが、この肉はなんですか?」
「あ、それはピレトス山でわたくしが狩りをしたピレトスフロッグのお肉です」
「結構美味しいでしょう?レイジェス様もこれのから揚げが好きなのですよ」

 から揚げもありますからどうぞ。と、から揚げを2つ取りユリウス様のお皿に乗せた。

「ああ、本当にから揚げも美味い!」
「揚げたてのほうが凄く美味しいですけどね」

 私の左隣がレイジェス様、右隣がユリウス様、その隣がクロエ様、となっているのでレイジェス様がユリウス様に話しかける。

「ユリウス、君はリアといて平気なのか? 魅了されていないのか?」

 私も不思議に思っていた事だった。
過去に魅了された人達はみんな私に触りたがる。セバスはそうではないけど、ユリウス様にはセバスと同じものを感じる。

「魅了、されてますよ私も。けれど、抗っているのですよ、師長様。アリア様は手折ってはいけない花ですから……私は見るだけで良いのです」

 そう言うと何故かユリウス様の執事のオリオンがあからさまに顔を顰めた。
クロエ様も似たような顔をする。
レイジェス様は立てた膝に肘をのせて頬杖をついてユリウス様を見た。

「ユリウス、君はいい奴だ。アリアの魅了に抗い続けて、そのまま変らずにいて欲しい……」
「ええ、どこまで保てるのか挑戦するつもりです」

 とユリウス様が言った。私はそんな話は聞いてない振りをしてレイジェス様の左隣に座っているシエラ様とお話している。

「コモンはどうなのだ? お前は何も変らんがどうなってるんだ?」

とレイジェス様がコモン様の方を見る。

「あ、俺もう魅了されてない。解除されたっぽい」
「「はっ!?」」

 とレイジェス様とユリウス様が言う。

「シエラ様に会ったくらいからかな? 少し自分の中の感覚が変ってきて、それでステータスを見たら魅了されてなかった」

 と呑気にサンドを食べながら言う。

「それって……」

 私が驚いて言ったその後を、続けてレイジェス様が言う。

「ふむ、シエラ様を本当に愛してしまったということだろうな」

 シエラ様はなんの事が良く分かっていない。

「魅了が解除されるなんてことがあるのですね」

 ユリウス様が感心した様にコモン様を見た。

「ああ、本当に愛する者がいれば掛からない」

 レイジェス様がそう言うと、ヒューイット様が自慢するように言った。

「そうよ、だから、レンブラントも魅了にかかってないわ」

 ユリウス様が眉間に皺を寄せてレンブラント様を見た。レンブラント様はその目を逸らす。
私は少し前、コンサートの辺りからレンブラント様の様子がおかしいと感じてしまっていた。あの反応は私の魅了に掛かってるんじゃ・・・でも、ヒューイット様が掛かっていないと言っているのだから、私の勘違いかも知れない。あまり疑っては失礼よね。と考えを改める。

「本当にアリアちゃんの魅了に掛かってないのかな? ヒューイットは最近レンブラントのステータスを確認したか? きちんと確認した方がいいんじゃないか?」

 コモン様がくすりとヒューイット様を笑う。

「なんですって? 今まで女遊びの激しかったコモンが本気だとか笑っちゃう。あなたこそステータスを誤魔化してない?」

 とヒューイット様が反撃した。
いたたまれなかったのかレンブラント様が口を挟んだ。

「二人共やめろ! 私は自分のステータスの事で他の者にとやかく勘繰られたくはない。その話はもうやめてくれないか?」

 レンブラント様が怒ってしまったので、二人共レンブラント様に謝り、言い合いは終了した。ユリウス様は渋い顔をしている。その尖った雰囲気をなんとかしようと思ったのかクロエ様が言った。

「そういえば、公爵様は昨日のアリア様からの御褒美の良い事をして頂いたのですか?」

 え? は? 今ここで、その話ですか? ヒューイット様がめちゃめちゃ睨んでる。
「ああ、昨日してもらった。私は初めてだったが、あまりに気持ちよくて眠ってしまった」

 レイジェス様がそんな言い方をするものだから、皆さん私の方を一斉に見た。
シエラ様まで。

「アリア様……もしかして、蜜花を……?」

 とシエラ様がぷるぷる震えている。

「違いますってば!!」

 と私は言うが、まだ皆さんじとっとした目で見る。特にユリウス様。

「レイジェス様、わたくし凄く誤解されています。レイジェス様のせいです!!」

 ぷんぷん。私は頬を膨らませた。レイジェス様はそれを指でつついて空気を抜こうとする。

「皆誤解しているようだが、いやらしいことをしたのではないぞ?」

 と、すっとぼけた顔で言う。クロエ様が更に聞く。では何を?と。

「耳かきだ。気持ち良くてすっきりした。そしてリアの良い匂いに包まれて気分良くなって寝てしまったな」

そんな事を言うからヒューイット様からの殺気が凄い。
私、いつか殺されるのでは?

「なんだ耳かきか」

 とコモン様が言う。

「なんだコモンはしたことがあるのか?」
「ないよ?」
「ないのになんだと軽く流すな。本気であれはいい! 癖になる」
「そんなに凄いんだ?」

 コモン様が興味を持ったようだ。

「ああ、シエラ様にやってもらうといい」

 とレイジェス様が余計な事を言う。
コモン様はシエラ様に膝枕でやるんだって! ともうやり方を教えている。
私が以外だったのは皆さん耳かきをされた事がないという事だった。

「こちらでは耳かきをする人は少ないのですね」
「天界では耳かきをするのですか?」

 とユリウス様に聞かれた。

「父神様の耳かきもしましたから、皆普通にやるかと思います」

 それを聞いたレイジェス様が焼餅を焼いた。

「私がリアの初めてでは無かったのか……もうしないでくれよ? アズライル様の耳かきは禁止だ!」

 と言う。自分の父の耳かき位いいじゃない? って思うんだけどねぇ。

「アズライル様はリアに結婚を申し込まれた。魅了もされているようだし、心配なのだ」

 と言う。それをユリウス様が聞いて驚いている。

「アズライル様は父神ですよね? なのに結婚を申し込まれたと?」
「人と神では常識が違うのですよ。父娘でも神の世界では結婚できるそうですよ」

 私が説明するとユリウス様は渋い顔をした。
まぁ、人間の世界だとそれ近親相姦だからそういう渋い顔にもなるよね~。
わかるわ。
私がその顔を見てしょんぼりしたせいかユリウス様が言った。

「す、すまない! つい……」
「謝らなくていいですよ、私は神ですが精神は人に近いのです。だから人が何を考え、どう思うのかわかります」

 レイジェス様が私を抱き上げ膝に乗せた。そしてぎゅっと抱きしめる。

「もう、天界になど行くな」

 私は何も言えず、そのまま抱きしめられていた。
食事が終わってみんなもう一度狩りに行くかこのまま帰るかどうする?という会話になった。もう帰りたい派がコモン、シエラ組、レンブラント、ヒューイット組み。ヒューイット様は残りたがっていたけど、レンブラント様が帰りたいと言ってた。
なので、帰り道も近いし分かるだろうということでこの二組は帰ることになった。シエラ様の使用人もだった。帰り組みが飛び立ったあと声が聞こえた。

『いい匂いがする。お前か? お前なのか? この匂いは』
「え?」
『食べたい、お前を。食べさせろ! 私に!』
「え? わたくしのことですか?」

 私の様子がおかしいと思ったレイジェス様が私に話しかける。

「どうした? リア?」
「声が聞こえるんです。わたくしを食べたいって……」
「声だと?」

 レイジェス様が辺りを見ると、ズシン、ズシンと大きな音がして、そちらを見ると体長10メートル程の巨大なティラノザウルスのような恐竜らしき物がいた。

「なんですか!? あれは!」

 とユリウス様が言う。レイジェス様が眉間に皺を寄せた。

「グランドグロウ、リンドクロコの進化形だ」

 アーリンがざざっと私の前に出た。レイジェス様も。

「お下がり下さい姫様!」

セバスが私の所にきて私を抱き上げ後ろに下がる。アーリンが加速して疾走する。その勢いでグランドグロウの脚に剣を3回振った。そしてポキンと言う音と共に剣が折れた。すぐ後方に下がるアーリン。

「表皮が異常に硬いです! 剣では無理だ!」

 アーリンが叫ぶ。

「分かっている! こいつは魔法で倒す!!」

 レイジェス様が叫ぶ。ユリウス様も叫ぶ。

「師長様にだけいい所を持って行かれるわけにはいきません! 私も加勢しますよ!!」

 私もみんなの役に立ちたい! そして私は考えた。あのでかいグランドグロウを足止めするには落とし穴に落とせばいい。私はセバスから飛び降りた。
イメージして深呼吸する。あいつを落とせそうなくらいの落とし穴。

「クリエイトホール!」

 私は天高く指を掲げて呪文を唱えた。途端にグランドグロウの足元に大きな穴ができて恐竜はその中に足が嵌って動けない。

「いいぞ! リア! よくやった!」

 とレイジェス様。

『食わせろ! お前を食わせろ! 』

 他の人には聞こえない声で私に話しかける。

『お前は俺に食われる為にそこにいるんだ!』
「違うし!」

 レイジェス様が魔法でアイスランスを唱えると氷の槍が幾つか突き刺ささり痛がるグランドグロウ。けれど致命傷にはなっていない。

『お前は俺の腹の中に入る運命だ! そして俺と共に生きていく!』
「違う! そんなの嫌!!」

 ユリウス様が魔法エアソードを唱えたけれど、わき腹に少し切り傷が出来ただけだった。

『俺は今まで何人も神を食った。お前もそのうちの一人にすぎん!』

 何人もの神を食ったという言葉で私の中の何かがぷつんと切れた。

「うるさい、うるさい、うるさい!! わたくしは食べられない!! あんたなんかに食べられてたまるもんですか!!」
「待て! リア!!」

 レイジェス様が止めたけどもう呪文を言ってしまっていた。

「ファイア!!」

 私はその大きな体を包んで焼き尽くすイメージでファイアをグランドグロウに向けた。
青い炎がグランドグロウを包む。

「青い炎だと!?」

 ユリウス様が叫んだ。
その炎はグランドグロウを焼き尽くし後には拳大の赤い石が残っていた。
これがグランドグロウの魔石だろう。
私は胸がどきどきして苦しくて胸を押さえた。
はぁ、はぁ、はぁと息が切れる。グランドグロウが死んだと同時にレベルがいくつも上がったのがわかった。
レイジェス様が走って来た。空間収納から私の薬を出す。
鼓動を落ち着かせる赤い薬。
私はそれを抱きかかえられながら飲んだ。

「何故あんな無茶をした?」
「だって、あいつが話しかけてきてたんです……ずっと。……神様をいっぱい食べたって、私も食べるって。だからつい腹が立って……」

 ユリウス様もクロエ様と側にきて立っている。

「リアは落ち着くまで少し時間がかかる。……ユリウス、お前達は先に帰った方がいい」

 ユリウス様は頷いてクロエ様と、オリオン、アルテダを連れて帰った。
休憩所にはもう私達二人とセバス、アーリンしかいなくなってしまった。

「ごめんなさい、皆」
「謝ってもすぐには動けないだろうが。大人しくしていろ……寒くないか?」

 レイジェス様が座ったまま私を抱きかかえている。夕日が湿地帯に沈もうとしている。辺りは茜色に染まっていた。アーリンは周りを警戒して、予備の剣をその手に持っている。

「今は身内しかおりません、気を使わなくて良いのですよ、姫様」

 セバスが優しく言った。

「リア、今日の夜は大変だと思うぞ?」

とレイジェス様が言うので、何のことかと思った。

「レベルを1日で10以上上げると位階上げ痛がある。その日の夜に来る。だから、止めようと思ったが遅かった」
「ああ……だからあの時、レイジェス様は止めたのですね。……痛いのかしら?」

 と私が言うとアーリンが言った。

「人によってはその痛みが違う様ですよ。私は痛いというより苦しかったですね」
「アーリンもなった事があるのですね」
「まぁ、ガツガツレベル上げ、してましたからね」

 とニッと笑う。
私の具合が良くなるとレイジェス様は皆と一緒に城に帰った。
もう夕食の仕度がしてあったけど私は食欲が無くて、汗で気持ち悪かったのでお風呂に入りたいと言ったら小さいほうの風呂にすると言われた。ちゃんと石鹸で洗いたかったのでそっちの方がありがたい。レイジェス様は私を抱き上げお風呂に連れて行ってくれた。

 解除の神呪をして下着だけになる。それもレイジェス様は脱がしてくれた。私を脱がしたあと自分も脱いでお風呂にはいる。小さいお風呂と聞いていたけど、お屋敷のお風呂より少し広かった。洗い場の床にクッションマットが置いてあった。そこに私は寝かせられてレイジェス様はバスチェアに座ってささっと体を洗っている。髪も洗い終えてから私を寝かせたまま洗い出した。
「あの?」
「寝ていた方が楽だろ?」
「ええ、そうなんですけど……」
「ん?」
「変な気分になりそうです、クッションがいい感じで」
「そんなにストレートに誘われるとリアにむしゃぶり付きたくなるな」
「え? あ、そういうつもりではなかったのです」

 レイジェス様はフッと鼻で笑った。

「あとで部屋でリアを愛する、良いか?」
「ええ、いっぱい愛してくださいませ」

 私は両手を広げた。レイジェス様が来て私を抱きしめて口付けをする。舌が絡み合いレイジェス様の睫が私の鼻の頭に触れた。そんな事が嬉しく感じる。唇が離れてレイジェス様はふぅと息を吐いた。

「髪を洗う」

 そう言って座ったまま私を抱きかかえて器用に髪を右手で洗う。そして泡を流した。そして一緒にお風呂に入った。私が熱さでびっくりしないようにか、ゆっくりとお湯に浸けてくれる。

「今日のリアは勇ましかったな」

 レイジェス様が思い出してふふっと笑う。

「おかげでこんな介護状態みたいになってますけど?」
「まだ魔法を使い慣れていないから、思ったよりMPを使ったせいだろう。力が抜けたようになっているんだろ?」
「はい、そうです、力が入らなくて」
「明日になれば治る」

 私の頬にちゅっとキスをした。乳首を弄られてお股も弄られる。首筋にちゅうううと吸い付いて後を残したのが分かる。

「そこだと皆さんに見えてしまいます」
「見せればいい、リアは私の物だ。誰も文句は言えない」
「まぁ、皆さん内輪の方ばかりですけどね……」

 でも、ヒューイット様に見られたら、少し怖い。
レンブラント様の前でもあんな風に私を睨むのだ。こんな印を見たらどうなるか?

「レイジェス様、もしこの印を見たら……ヒューイット様は……」
「ヒューイットはレンブラントと致したのではないのか? エドアルドから報告が入ったが?」
「エドアルドが?」

 私は何故エドアルドがそんな事を知っているのか分からないが致したとしてもすぐ人の心って変るのか?

「今日も睨まれてました……わたくし」
「わかった。では見えない所に付ける」

 ざばっとお風呂の淵の段に座らせられ乳首を強く吸われた。唇が離れると乳首がぷっくりと立ち上がっていた。その乳首の左横を吸う。暫くちゅうちゅう吸ったあと唇を離すと赤い印ができていた。反対側も同じように乳首を強く吸う。ぷっくりと立つ乳首。その横を吸おうとしていたレイジェス様を止める。

「レイジェス様、わたくし、乳首を強く吸われるのが凄く気持ち良かったです。もっと吸って?」

と言うとレイジェス様は暫く固まってから横を吸わずに乳首を吸った。
私はレイジェス様の頭を撫でた。

「気持ちいぃ……ありがとぉ、レイジェス様ぁ……お部屋に、お部屋に行きたいです」

レイジェス様をみるとレイジェス様の物も大きくなっていた。

「では、あがるか」
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