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第五章
16 秘密 セバス視点
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私が食堂のテーブルクロスを取り替えていると、いきなりゲートが開いて中からは、先程隣のユリウス様の屋敷に行った者達が帰ってきた。
ゲートを使える皆さんに言いたい、『食堂に開くな!』と。
ふいに現れるので驚くんですよね、まったく。せめて玄関にとお願いしたい所ではあるが、これが創造神であり、唯一無二の絶対神であるアズライル神様となると、そうそう無茶な事は言えない。
姫様にお土産のプリンを頂いたので、厨房にある冷蔵室に入れてきた。食堂に戻るとアズライル様達はお部屋に戻ったらしい。
姫様が私に聞く。
「レイジェス様は?」
「旦那様はお客様が来まして、執務室でお話をしております」
「お客様って、誰?」
「幼児福祉課、課長のギデオン様ですよ。昨日いらしたでしょう?」
「ああ、分かります。でも、どうしたの? 何かあったの?」
「ええと、」
私は少々悩んだ。問題が起きたには起きたが、アリア様のお友達のエリザベス様の事だ。それも言ってしまえば悪口になってしまうような事でもある。
「?」
「これは、悪口では無いですからね? 心を静めてお聞き下さい?」
「ええ、分かったわ?」
「昨日、エリザベス様が孤児院に行ったあと、こんな所にはいられないとシスターと揉めたそうです」
「まぁ、エリザベス様は伯爵令嬢ですからね、孤児院の生活なんてきっと初めてですよね」
「周りの子供達に馬鹿にされたらしく、衝突して問題になったそうで……」
「それは、嫌でしょうね……エリザベス様はプライドの高い方ですから」
「それでギデオン様が旦那様に相談にいらしたのです」
「そう……。エリザベス様、大変そう……。レイジェス様のお仕事のお話は暫く続きそう?」
「たぶん。あのギデオン様の様子では話が長くなるでしょう」
姫様は何か考えている様だった。
「ねぇ、セバス、学習室の左隣の部屋の鍵が欲しいの。持って来てくれる?」
「……はぁ」
私は疑問を感じた。学習室の左隣の部屋と言えば、今は使われていない。
元は前アルフォード公爵である、フェリシアン様の書斎だった。フェリシアン様が亡くなられてからはそのお部屋に手を付けてはいない。家具の埃を防ぐために白い布を掛けてあり、一年に二度程、お屋敷の全部の部屋を掃除するときに掃除する位だ。
何を持ってして、姫様がその部屋に興味を持ったのか、まったく分からない。
この屋敷の全ての部屋の鍵は私の執務室で管理している。私は一階左奥にある自分の執務室に向かった。とことこと姫様が私の後を付いてくる。
私の執務室まで入って来てじろじろと見られて、少々緊張した。
「へ~、セバスの執務室って、こんななんだ~。応接セットが無いのね」
「私は大体ここでは一人で仕事をしますからね。私へのお客様もありませんし、もし、お客様が来た場合は応接室にお迎えしますしね」
「そっか」
「鍵、持ちましたから、出ますよ?」
「は~い」
無意識なんだろう、姫様が私の手を握ったので、思わずびくっとしてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「いいですよ」
姫様の小さな手で、ぎゅっと自分の手を握られていると、手が汗ばんできた。
目的地の部屋に着き、私が鍵を開けてドアを開くと、姫様は興奮した様に私を押しのけて先に部屋に入った。そして言った。
「……ああ、懐かしい……」
懐かしい? 姫様がこの部屋に入ったのは今が初めてのはずだ。
「わたくしが、弾いてるピレーネは最初ここにあったんですよ。誰も使ってなくて、ここの他の家具達みたいに、白い布を被ってた」
「……」
それは私がこの屋敷に来る前の話だった。
「ねぇ、セバスは前にグレーロック城で『貴女の秘密は守ります』って、わたくしに誓ってくれた事、覚えてる?」
「ええ、もちろん覚えています」
「今もわたくしの秘密を守ってくれる?」
「ええ、姫様がそう望むなら」
「じゃあ、手伝って?」
「何をです?」
「ここの家具に掛けてる白い布を全部取って、そうね、入り口の辺りにまとめて置いて欲しいの。もちろんわたくしも手伝うわ」
姫様はそう言って書斎机に掛かっている布を取り始めた。大きな布を引っ張って肩に掛けて入り口の扉前に置いた。私も長椅子に掛かっている布を取った。暫くして二人で作業を終えると扉の前は白い布が山積みになっていた。これでは鍵が掛かっていなくても、外からドアは開けられないだろう。
「ちょっと来て?」
私は姫様に手を引かれ、部屋の隅に行った。姫様は屈んで、隣の部屋と続く壁の下にある腰壁を弄り始めた。そこの腰壁だけ、寄木細工のパズルの様になっていて、それを解くと壁の板が一部だけ取れるようになっていた。
……どういう事だ? 何故姫様はこんな所が動くことを知っている?
姫様は私の考えなど構いもせず、壁板を取って外した。それを横壁に立掛けた。
壁板を取るとそこには金属で出来た扉があった。
「ここが問題なの。ここに鍵穴があるでしょ? 小さい鍵穴。フェリシアンは……この部屋に鍵があると言っていたの。どこだか分かる? セバス」
「フェリシアン……? 姫様、一体あなたは……」
私の疑問の言葉を無視して、姫様は鍵を探し始めた。書斎机の引き出しをひとつひとつ引いて開けて見ていくが、無い。
鍵穴が小さかったので小さな鍵の入る所を姫様は想像したのか?
「鍵穴が小さいからと言って、鍵まで小さい訳では無いのでは? あんまり小さいと失くしますし」
「そっか」
「他にヒントは無いんですか?」
「この部屋のどこかにあって、よく考えれば分かるって言ってた。よく考えればって、何についてよく考えるんだろう? それでも変わると思うんだけどなぁ」
「その言い方ですと、フェリシアン様本人について、よく考えるという事でしょうかね?」
「だったら『ローズ』しかないわ!」
「薔薇ですか?」
「この部屋の中で薔薇の物……」
「壁に木彫りの薔薇の絵が」
姫様が私の前をたたっと走って行って、その絵に触ろうとしたが届かない。
私は姫様を抱き上げて、その木彫りの絵を触らせた。すると花びらの一部が取れ、その先が鍵になっていた。
「見つけたぁ!」
私が姫様を床に下ろすと、すぐに部屋の隅に行き、その金属の扉を開けた。
私はそれをしゃがんで一緒に見ていた。
金属の扉を開くと、そこには少し小さめの旅行鞄が入っていた。姫様はそれを取り出すと床に置いた。
しかし、その旅行鞄には両方に数字入力の鍵が付いている。数字を合わせなければこの鞄は開かない。
こんなに厳重に管理している鞄に、一体何が入っているのか?
これは、姫様の秘密と言うよりも、もはやフェリシアン様の秘密なのではないかと私は考えていた。
私が密かにそんな事を考えていると、あっという間に数字の入力は終わっていて、鞄は開かれていた。
そこにあったのは、薄汚れたぼろぼろの雑巾みたいな布切れだった。
姫様はそれを手に取った。
「何これ~? あっ! これ……」
それはよく見ると旦那様が小さな頃大切にしていた、『うさぎのぬいぐるみ』だった。
「それは、旦那様が小さい頃大切にしていたうさぎのぬいぐるみです。失くされて悲しんでいたのですが、大旦那様が持ってらしたんですね」
「きっと、フェリシアンが盗ったのね。ほんとに、どうしようもない人」
姫様はそのうさぎをぎゅっと抱きしめて、大旦那様を非難した。
そのぼろぼろのうさぎの左足裏に何か文字らしき物が見えた。
「姫様、ちょっとそのうさぎを貸して頂けますか?」
姫様が私にそのうさぎを渡し、足裏を確認して驚愕した。
そこには『アリア』と刺繍がされていた。色も褪せて何年も経っていてぼろぼろだが、私には分かった。
このうさぎのぬいぐるみは、姫様がピラトール侯爵様に頂いた、あの『うさぎのぬいぐるみ』だ。
旦那様が大切にしていた『うさぎのぬいぐるみ』と、姫様がピラトール侯爵様に貰った『うさぎのぬいぐるみ』が同じ物だと!? どういう事だ!?
私が姫様を見つめると、姫様は金魚の様に口をパクパクとしていた。
「どうしたんです? 姫様」
私が問うと姫様は悲しげに頭を左右に振った。
「ここで見た事、起きた事は全部秘密よ? 守ってね、セバス」
「ええ、姫様の父、アズライル様に誓います」
姫様はそのあと鞄の中をざっと見てから、鞄の蓋を閉めて数字をぐちゃぐちゃにした。そのあと自分の空間収納に鞄を仕舞っていた。
私はその荷物の中で、裸の姫様の絵を見てしまった。小さな絵だったが、あれは間違いなく姫様だった。
色々質問したい事が沢山あったが、どうしても我慢が出来なかった。
「姫様、質問がございます」
「なぁに?」
「何故、裸の姫様の絵が?」
「裸の絵を描きたかったのでは? 裸は描かないと約束してくださったんですけどね」
「それは、見たという事でしょうか? ……大旦那様が」
「それは誤解です。だって、わたくし、ハンスにも見せてないのに描かれましたよ? 描かれるたび見せたのか? なんて言われても困ります」
そう言われてみればそうだった。ハンスの描いたあの扇情的で厭らしい絵を私も見た。だが、実際の姫様の裸とは違うらしい。
旦那様も実物の姫様の裸の方が綺麗だと仰っていた。
もちろん、私は見た事が無いが。
姫様の返事を聞いて、どこかほっとして、安心している自分がいた。
「じゃあ、セバス、お片づけしましょう?」
「ええ」
姫様は秘密の一角を元に戻したあと、家具に白い布を掛けていった。空気を膨らませた方が早いので、二人で持って、1つの家具に一緒に布を掛ける作業をした。
ぶわっと広がる白い布、穢れなく美しい笑顔の姫様。
ああ……尊い。
部屋を片付けて鍵を掛けると、姫様は自分のお部屋へ戻られた。
私は厨房脇にある休憩室でプリンを食べた。ぷるんぷるんとして、スプーンで掬おうとすると逃げる。指で突いてみると姫様のほっぺの様だった。
突いた指を舐めると、甘く良い匂いがした。
スプーンで掬って食べると凄く美味しかった。姫様の言う通り、プリンを知らなかった私は、人生の半分を損していたかも知れない。
休憩室でまったりしてるとエドアルドが私を呼びに来た。
「アズライル様がお部屋にお呼びです」
「えっ」
「失礼の無い様に」
「はぁ」
私はアズライル様の宿泊している扉をノックした。ここの部屋にはインターホンが無い。
「セバスですが、私をお呼びになったそうで?」
「入れ」
「失礼します」
入ってすぐにお辞儀をするとアズライル様が言った。
「お前の血が欲しい」
「私のですか?」
「庇護者候補の血液採取に来たと、我は一番初めに言ったが?」
「私の事を知っていたんですね」
「我は全知全能の神だ。知っていて当たり前。ただ、お前が他の者に知られたくないだろうと思い、ここに呼んだ」
「ありがとうございます。……という事は、もしかして……、アリア様も私が庇護者候補だということを知っているのですか!?」
アズライル様が私を呆れた顔で見ていた。
キール様とリシュフェルが、腕を置くのに丁度良い位のチェストを二人で移動してきた。
「ほら、そこに腕を乗せろ」
「はい……。アリア様は何故私にその事を言ったり聞いたりしなかったのでしょうか?」
「セバス、お前は言ったり、聞いたりして欲しかったのか?」
「いいえ」
「アリアはこう考えたと思う。お前が黙っているという事は、庇護者候補であることは皆に知られたくない事だと。だから、お前が困らないように言わなかったし、聞かなかった、それだけではないか?」
「そうですね、アリア様はそういうお方です」
私の口から笑みが零れた。
採血はあっという間に終了して、私はまた食堂に戻った。
「アズライル様の用は何だったんです?」
「初めてプリンを食べた感想を聞きたかったそうです」
「ほぅ」
エドアルドに聞かれて、とっさにくだらない嘘をついてしまった。
私がエドアルドと話をしていると旦那様が来た。
「セバス、ちょっと来てくれ」
「おや、ギデオン様はもう帰られたのですか?」
「いや、まだいる。早く来い」
ふむ、旦那様がどうやらイラついているようだ。
私は急いで旦那様の執務室へ向かった。ノックしドアを開け、一礼して入ると二人とも応接セットの長椅子に腰掛けていた。
私が立っていると旦那様が私の袖を引っ張って隣に座らせた。
「立ってられると落ち着かない」
「で? どうされたんです?」
「エリザベスが孤児院でやっていくには難しいです。こちらで預かってもらうわけには行きませんか?」
ギデオン様が切実に私に訴えかけるが、困ったものだ。
「彼女の実の御両親は生きてらっしゃるんですよね?」
「朝一で御両親の所に伺って、断られてしまいました。御両親は一応貴族で子爵家の方なんですが、生活が厳しくてエリザベスを手放したとの事でした。なので引き取る事は出来ないと……」
「それは、御両親を説得なさらないと……」
「実の両親でさえ引き取らぬ者を、何の繋がりも無い私が引き取るのも変な話であろうが」
「そこの所をなんとか……。このままでは孤児院の中が荒れてしまう」
「ふん、結局自分が面倒事を背負いたくないだけではないか」
「そんなつもりでは……」
「質問なのですが、もしエリザベス様がご自宅に帰りたいと言った場合はどうなりますか?」
私は素朴に、思った疑問を聞いてみた。
「それは、彼女は虐待されたわけですから、孤児院で保護しなければいけませんが、本人が帰りたいと望んだ場合にはどうしようも出来ません。法律的にもそのようになっています。『基本孤児院預かりで、本人の意思で例外有り』と」
「では、そうなって帰った場合、カートラット伯爵も牢屋に一週間入牢済みの場合、また二人は一緒に暮らせるんですか?」
私はこれは危険なんじゃないかと言う意味で聞いた。花嫁にすると言っている中年男の元に、好みの年齢の少女を置くのは……。
「暮らせますね、法律的には。ただ、そこに信頼は無いでしょう? 地下室に閉じ込めたり、嫁にするとまで言ってるんですから」
私はため息が出た。
世の中には、役に立たない法律ほど沢山ありがちだ。
しかし、一番問題なのは、このギデオン様だ。法律的に一緒に住めるが、信頼関係は無いから性の関係までにはならないと、本当に思っているのか? この人は?
カートラット伯爵は、わざわざ子供を小さな頃から育てて、嫁にしようと思っている特殊性癖持ちの変態だというのに、世間の常識が通じるとでも思っているのか?
二人で一緒に住み始めると同時に、少女が犯されるという危険性を認識していない所が問題だ。34歳だというのに、あまりに世俗の垢に汚れていなさ過ぎる。
「信頼とかの問題では無いと思うのですが……。旦那様、どう思います?」
「正直、どうでもいい」
「彼女の事を可哀相だと思わないんですか?」
「可哀相だと思ってどうにか出来る問題なのか? 実際、ギデオン、お前だって、彼女を持て余して私に押し付けようとしてるじゃないか」
旦那様が強く言うとギデオン様は酷く暗い表情になり俯いた。
「貴様がこの屋敷に来てから、ずっとこの調子で、話をしてもどうどう巡りだ。規則で孤児院にいなければいけないなら、いさせればいい、貴族だからと甘やかすな! 甘やかすから我儘を言って争うんだ!」
「旦那様、それは少しきついかと」
「ギデオン、お前があの場所しかないと、エリザベス様に教えるしかないぞ? もう少し様子を見てやれ、昨日孤児院に連れて行ったばかりではないか。今日は慣れる事が出来なくても、明日は慣れるかも知れない。人を当てにして楽をするのはやめろ。お前がエリザベス様に市井での生き方を教え、導くんだ」
「……師長様」
ギデオン様は自分の愚かさを謝罪して屋敷を後にした。
「ずっと、預かれ! 嫌だ! などのやり取りをしていたんですか?」
「まぁ、そんな感じではあるが、別の話もした」
「折角旦那様に呼ばれたにも関わらず、あまりお役に立てなくて申し訳ありませんでした」
「いや、お前は役に立ったぞ。お前がいるお陰で、イライラしてあいつを殴らずに済んだ。要するに、お前がいるだけで私の心の抑制に繋がったという事だな」
「所で、別のお話をしたと仰っていましたが、何の話を?」
「いや、エリザベスは気が強くて、他の子とすぐ衝突するが、自分の孤児院にいるノエルという少女は、それを止めに入るそうだ。賢く可愛らしい少女だと言っていたが、あれは惚気だな」
「ノエル? どこかで聞いた様な……」
「私が孤児院を通して援助している少女だ。毎月彼女に援助する金を支払っているのはセバス、お前だろう?」
「ああ! 思い出しました。元騎士団長、リューク様の被害者の方ですね。え、でも……彼女は確かまだ、9歳でしたよね?」
「来月で10歳だそうだ」
「良いんでしょうか? 幼児福祉課の課長ともあろう方が、そんな幼い少女の事を惚気るほど気に掛けているとか」
旦那様は鼻でフッと笑った。
「ギデオンはたぶん、自分がそういう感情でノエルを見てると、まだ気付いて無いんだろう? だからノエルの事を私に話すことが出来た。気付いた時が楽しみだな。はははははっ!」
さっきまで不機嫌だったのに、ギデオン様の弱点を見つけた途端、勝ち誇ったかの様に高笑いする旦那様。
やはりこの人はどうしようもない大人だ。
「そういえば旦那様、昔旦那様が大切にしていた『うさぎのぬいぐるみ』ですが、あれ、どこにやりました?」
「……ああ、あれの事か。いつも抱いて寝ていたんだが、ある朝起きたら消えていた。結構汚かったから、使用人の誰かが捨てたのかも知れない」
「あのうさぎを誰に頂いたか覚えていますか?」
旦那様は暫く思い出そうと頑張っていたが無理だったようだ。
「誰かに貰ったのは分かるんだが、思い出せない」
「そうですか」
「それがなんだ?」
「いえ、別に、急に思い出したんですよ」
旦那様はうさぎのぬいぐるみの事は覚えていても、そのぬいぐるみをくれたであろうアリア様については、何も思い出せない様だった。
ゲートを使える皆さんに言いたい、『食堂に開くな!』と。
ふいに現れるので驚くんですよね、まったく。せめて玄関にとお願いしたい所ではあるが、これが創造神であり、唯一無二の絶対神であるアズライル神様となると、そうそう無茶な事は言えない。
姫様にお土産のプリンを頂いたので、厨房にある冷蔵室に入れてきた。食堂に戻るとアズライル様達はお部屋に戻ったらしい。
姫様が私に聞く。
「レイジェス様は?」
「旦那様はお客様が来まして、執務室でお話をしております」
「お客様って、誰?」
「幼児福祉課、課長のギデオン様ですよ。昨日いらしたでしょう?」
「ああ、分かります。でも、どうしたの? 何かあったの?」
「ええと、」
私は少々悩んだ。問題が起きたには起きたが、アリア様のお友達のエリザベス様の事だ。それも言ってしまえば悪口になってしまうような事でもある。
「?」
「これは、悪口では無いですからね? 心を静めてお聞き下さい?」
「ええ、分かったわ?」
「昨日、エリザベス様が孤児院に行ったあと、こんな所にはいられないとシスターと揉めたそうです」
「まぁ、エリザベス様は伯爵令嬢ですからね、孤児院の生活なんてきっと初めてですよね」
「周りの子供達に馬鹿にされたらしく、衝突して問題になったそうで……」
「それは、嫌でしょうね……エリザベス様はプライドの高い方ですから」
「それでギデオン様が旦那様に相談にいらしたのです」
「そう……。エリザベス様、大変そう……。レイジェス様のお仕事のお話は暫く続きそう?」
「たぶん。あのギデオン様の様子では話が長くなるでしょう」
姫様は何か考えている様だった。
「ねぇ、セバス、学習室の左隣の部屋の鍵が欲しいの。持って来てくれる?」
「……はぁ」
私は疑問を感じた。学習室の左隣の部屋と言えば、今は使われていない。
元は前アルフォード公爵である、フェリシアン様の書斎だった。フェリシアン様が亡くなられてからはそのお部屋に手を付けてはいない。家具の埃を防ぐために白い布を掛けてあり、一年に二度程、お屋敷の全部の部屋を掃除するときに掃除する位だ。
何を持ってして、姫様がその部屋に興味を持ったのか、まったく分からない。
この屋敷の全ての部屋の鍵は私の執務室で管理している。私は一階左奥にある自分の執務室に向かった。とことこと姫様が私の後を付いてくる。
私の執務室まで入って来てじろじろと見られて、少々緊張した。
「へ~、セバスの執務室って、こんななんだ~。応接セットが無いのね」
「私は大体ここでは一人で仕事をしますからね。私へのお客様もありませんし、もし、お客様が来た場合は応接室にお迎えしますしね」
「そっか」
「鍵、持ちましたから、出ますよ?」
「は~い」
無意識なんだろう、姫様が私の手を握ったので、思わずびくっとしてしまった。
「あ、ごめんなさい」
「いいですよ」
姫様の小さな手で、ぎゅっと自分の手を握られていると、手が汗ばんできた。
目的地の部屋に着き、私が鍵を開けてドアを開くと、姫様は興奮した様に私を押しのけて先に部屋に入った。そして言った。
「……ああ、懐かしい……」
懐かしい? 姫様がこの部屋に入ったのは今が初めてのはずだ。
「わたくしが、弾いてるピレーネは最初ここにあったんですよ。誰も使ってなくて、ここの他の家具達みたいに、白い布を被ってた」
「……」
それは私がこの屋敷に来る前の話だった。
「ねぇ、セバスは前にグレーロック城で『貴女の秘密は守ります』って、わたくしに誓ってくれた事、覚えてる?」
「ええ、もちろん覚えています」
「今もわたくしの秘密を守ってくれる?」
「ええ、姫様がそう望むなら」
「じゃあ、手伝って?」
「何をです?」
「ここの家具に掛けてる白い布を全部取って、そうね、入り口の辺りにまとめて置いて欲しいの。もちろんわたくしも手伝うわ」
姫様はそう言って書斎机に掛かっている布を取り始めた。大きな布を引っ張って肩に掛けて入り口の扉前に置いた。私も長椅子に掛かっている布を取った。暫くして二人で作業を終えると扉の前は白い布が山積みになっていた。これでは鍵が掛かっていなくても、外からドアは開けられないだろう。
「ちょっと来て?」
私は姫様に手を引かれ、部屋の隅に行った。姫様は屈んで、隣の部屋と続く壁の下にある腰壁を弄り始めた。そこの腰壁だけ、寄木細工のパズルの様になっていて、それを解くと壁の板が一部だけ取れるようになっていた。
……どういう事だ? 何故姫様はこんな所が動くことを知っている?
姫様は私の考えなど構いもせず、壁板を取って外した。それを横壁に立掛けた。
壁板を取るとそこには金属で出来た扉があった。
「ここが問題なの。ここに鍵穴があるでしょ? 小さい鍵穴。フェリシアンは……この部屋に鍵があると言っていたの。どこだか分かる? セバス」
「フェリシアン……? 姫様、一体あなたは……」
私の疑問の言葉を無視して、姫様は鍵を探し始めた。書斎机の引き出しをひとつひとつ引いて開けて見ていくが、無い。
鍵穴が小さかったので小さな鍵の入る所を姫様は想像したのか?
「鍵穴が小さいからと言って、鍵まで小さい訳では無いのでは? あんまり小さいと失くしますし」
「そっか」
「他にヒントは無いんですか?」
「この部屋のどこかにあって、よく考えれば分かるって言ってた。よく考えればって、何についてよく考えるんだろう? それでも変わると思うんだけどなぁ」
「その言い方ですと、フェリシアン様本人について、よく考えるという事でしょうかね?」
「だったら『ローズ』しかないわ!」
「薔薇ですか?」
「この部屋の中で薔薇の物……」
「壁に木彫りの薔薇の絵が」
姫様が私の前をたたっと走って行って、その絵に触ろうとしたが届かない。
私は姫様を抱き上げて、その木彫りの絵を触らせた。すると花びらの一部が取れ、その先が鍵になっていた。
「見つけたぁ!」
私が姫様を床に下ろすと、すぐに部屋の隅に行き、その金属の扉を開けた。
私はそれをしゃがんで一緒に見ていた。
金属の扉を開くと、そこには少し小さめの旅行鞄が入っていた。姫様はそれを取り出すと床に置いた。
しかし、その旅行鞄には両方に数字入力の鍵が付いている。数字を合わせなければこの鞄は開かない。
こんなに厳重に管理している鞄に、一体何が入っているのか?
これは、姫様の秘密と言うよりも、もはやフェリシアン様の秘密なのではないかと私は考えていた。
私が密かにそんな事を考えていると、あっという間に数字の入力は終わっていて、鞄は開かれていた。
そこにあったのは、薄汚れたぼろぼろの雑巾みたいな布切れだった。
姫様はそれを手に取った。
「何これ~? あっ! これ……」
それはよく見ると旦那様が小さな頃大切にしていた、『うさぎのぬいぐるみ』だった。
「それは、旦那様が小さい頃大切にしていたうさぎのぬいぐるみです。失くされて悲しんでいたのですが、大旦那様が持ってらしたんですね」
「きっと、フェリシアンが盗ったのね。ほんとに、どうしようもない人」
姫様はそのうさぎをぎゅっと抱きしめて、大旦那様を非難した。
そのぼろぼろのうさぎの左足裏に何か文字らしき物が見えた。
「姫様、ちょっとそのうさぎを貸して頂けますか?」
姫様が私にそのうさぎを渡し、足裏を確認して驚愕した。
そこには『アリア』と刺繍がされていた。色も褪せて何年も経っていてぼろぼろだが、私には分かった。
このうさぎのぬいぐるみは、姫様がピラトール侯爵様に頂いた、あの『うさぎのぬいぐるみ』だ。
旦那様が大切にしていた『うさぎのぬいぐるみ』と、姫様がピラトール侯爵様に貰った『うさぎのぬいぐるみ』が同じ物だと!? どういう事だ!?
私が姫様を見つめると、姫様は金魚の様に口をパクパクとしていた。
「どうしたんです? 姫様」
私が問うと姫様は悲しげに頭を左右に振った。
「ここで見た事、起きた事は全部秘密よ? 守ってね、セバス」
「ええ、姫様の父、アズライル様に誓います」
姫様はそのあと鞄の中をざっと見てから、鞄の蓋を閉めて数字をぐちゃぐちゃにした。そのあと自分の空間収納に鞄を仕舞っていた。
私はその荷物の中で、裸の姫様の絵を見てしまった。小さな絵だったが、あれは間違いなく姫様だった。
色々質問したい事が沢山あったが、どうしても我慢が出来なかった。
「姫様、質問がございます」
「なぁに?」
「何故、裸の姫様の絵が?」
「裸の絵を描きたかったのでは? 裸は描かないと約束してくださったんですけどね」
「それは、見たという事でしょうか? ……大旦那様が」
「それは誤解です。だって、わたくし、ハンスにも見せてないのに描かれましたよ? 描かれるたび見せたのか? なんて言われても困ります」
そう言われてみればそうだった。ハンスの描いたあの扇情的で厭らしい絵を私も見た。だが、実際の姫様の裸とは違うらしい。
旦那様も実物の姫様の裸の方が綺麗だと仰っていた。
もちろん、私は見た事が無いが。
姫様の返事を聞いて、どこかほっとして、安心している自分がいた。
「じゃあ、セバス、お片づけしましょう?」
「ええ」
姫様は秘密の一角を元に戻したあと、家具に白い布を掛けていった。空気を膨らませた方が早いので、二人で持って、1つの家具に一緒に布を掛ける作業をした。
ぶわっと広がる白い布、穢れなく美しい笑顔の姫様。
ああ……尊い。
部屋を片付けて鍵を掛けると、姫様は自分のお部屋へ戻られた。
私は厨房脇にある休憩室でプリンを食べた。ぷるんぷるんとして、スプーンで掬おうとすると逃げる。指で突いてみると姫様のほっぺの様だった。
突いた指を舐めると、甘く良い匂いがした。
スプーンで掬って食べると凄く美味しかった。姫様の言う通り、プリンを知らなかった私は、人生の半分を損していたかも知れない。
休憩室でまったりしてるとエドアルドが私を呼びに来た。
「アズライル様がお部屋にお呼びです」
「えっ」
「失礼の無い様に」
「はぁ」
私はアズライル様の宿泊している扉をノックした。ここの部屋にはインターホンが無い。
「セバスですが、私をお呼びになったそうで?」
「入れ」
「失礼します」
入ってすぐにお辞儀をするとアズライル様が言った。
「お前の血が欲しい」
「私のですか?」
「庇護者候補の血液採取に来たと、我は一番初めに言ったが?」
「私の事を知っていたんですね」
「我は全知全能の神だ。知っていて当たり前。ただ、お前が他の者に知られたくないだろうと思い、ここに呼んだ」
「ありがとうございます。……という事は、もしかして……、アリア様も私が庇護者候補だということを知っているのですか!?」
アズライル様が私を呆れた顔で見ていた。
キール様とリシュフェルが、腕を置くのに丁度良い位のチェストを二人で移動してきた。
「ほら、そこに腕を乗せろ」
「はい……。アリア様は何故私にその事を言ったり聞いたりしなかったのでしょうか?」
「セバス、お前は言ったり、聞いたりして欲しかったのか?」
「いいえ」
「アリアはこう考えたと思う。お前が黙っているという事は、庇護者候補であることは皆に知られたくない事だと。だから、お前が困らないように言わなかったし、聞かなかった、それだけではないか?」
「そうですね、アリア様はそういうお方です」
私の口から笑みが零れた。
採血はあっという間に終了して、私はまた食堂に戻った。
「アズライル様の用は何だったんです?」
「初めてプリンを食べた感想を聞きたかったそうです」
「ほぅ」
エドアルドに聞かれて、とっさにくだらない嘘をついてしまった。
私がエドアルドと話をしていると旦那様が来た。
「セバス、ちょっと来てくれ」
「おや、ギデオン様はもう帰られたのですか?」
「いや、まだいる。早く来い」
ふむ、旦那様がどうやらイラついているようだ。
私は急いで旦那様の執務室へ向かった。ノックしドアを開け、一礼して入ると二人とも応接セットの長椅子に腰掛けていた。
私が立っていると旦那様が私の袖を引っ張って隣に座らせた。
「立ってられると落ち着かない」
「で? どうされたんです?」
「エリザベスが孤児院でやっていくには難しいです。こちらで預かってもらうわけには行きませんか?」
ギデオン様が切実に私に訴えかけるが、困ったものだ。
「彼女の実の御両親は生きてらっしゃるんですよね?」
「朝一で御両親の所に伺って、断られてしまいました。御両親は一応貴族で子爵家の方なんですが、生活が厳しくてエリザベスを手放したとの事でした。なので引き取る事は出来ないと……」
「それは、御両親を説得なさらないと……」
「実の両親でさえ引き取らぬ者を、何の繋がりも無い私が引き取るのも変な話であろうが」
「そこの所をなんとか……。このままでは孤児院の中が荒れてしまう」
「ふん、結局自分が面倒事を背負いたくないだけではないか」
「そんなつもりでは……」
「質問なのですが、もしエリザベス様がご自宅に帰りたいと言った場合はどうなりますか?」
私は素朴に、思った疑問を聞いてみた。
「それは、彼女は虐待されたわけですから、孤児院で保護しなければいけませんが、本人が帰りたいと望んだ場合にはどうしようも出来ません。法律的にもそのようになっています。『基本孤児院預かりで、本人の意思で例外有り』と」
「では、そうなって帰った場合、カートラット伯爵も牢屋に一週間入牢済みの場合、また二人は一緒に暮らせるんですか?」
私はこれは危険なんじゃないかと言う意味で聞いた。花嫁にすると言っている中年男の元に、好みの年齢の少女を置くのは……。
「暮らせますね、法律的には。ただ、そこに信頼は無いでしょう? 地下室に閉じ込めたり、嫁にするとまで言ってるんですから」
私はため息が出た。
世の中には、役に立たない法律ほど沢山ありがちだ。
しかし、一番問題なのは、このギデオン様だ。法律的に一緒に住めるが、信頼関係は無いから性の関係までにはならないと、本当に思っているのか? この人は?
カートラット伯爵は、わざわざ子供を小さな頃から育てて、嫁にしようと思っている特殊性癖持ちの変態だというのに、世間の常識が通じるとでも思っているのか?
二人で一緒に住み始めると同時に、少女が犯されるという危険性を認識していない所が問題だ。34歳だというのに、あまりに世俗の垢に汚れていなさ過ぎる。
「信頼とかの問題では無いと思うのですが……。旦那様、どう思います?」
「正直、どうでもいい」
「彼女の事を可哀相だと思わないんですか?」
「可哀相だと思ってどうにか出来る問題なのか? 実際、ギデオン、お前だって、彼女を持て余して私に押し付けようとしてるじゃないか」
旦那様が強く言うとギデオン様は酷く暗い表情になり俯いた。
「貴様がこの屋敷に来てから、ずっとこの調子で、話をしてもどうどう巡りだ。規則で孤児院にいなければいけないなら、いさせればいい、貴族だからと甘やかすな! 甘やかすから我儘を言って争うんだ!」
「旦那様、それは少しきついかと」
「ギデオン、お前があの場所しかないと、エリザベス様に教えるしかないぞ? もう少し様子を見てやれ、昨日孤児院に連れて行ったばかりではないか。今日は慣れる事が出来なくても、明日は慣れるかも知れない。人を当てにして楽をするのはやめろ。お前がエリザベス様に市井での生き方を教え、導くんだ」
「……師長様」
ギデオン様は自分の愚かさを謝罪して屋敷を後にした。
「ずっと、預かれ! 嫌だ! などのやり取りをしていたんですか?」
「まぁ、そんな感じではあるが、別の話もした」
「折角旦那様に呼ばれたにも関わらず、あまりお役に立てなくて申し訳ありませんでした」
「いや、お前は役に立ったぞ。お前がいるお陰で、イライラしてあいつを殴らずに済んだ。要するに、お前がいるだけで私の心の抑制に繋がったという事だな」
「所で、別のお話をしたと仰っていましたが、何の話を?」
「いや、エリザベスは気が強くて、他の子とすぐ衝突するが、自分の孤児院にいるノエルという少女は、それを止めに入るそうだ。賢く可愛らしい少女だと言っていたが、あれは惚気だな」
「ノエル? どこかで聞いた様な……」
「私が孤児院を通して援助している少女だ。毎月彼女に援助する金を支払っているのはセバス、お前だろう?」
「ああ! 思い出しました。元騎士団長、リューク様の被害者の方ですね。え、でも……彼女は確かまだ、9歳でしたよね?」
「来月で10歳だそうだ」
「良いんでしょうか? 幼児福祉課の課長ともあろう方が、そんな幼い少女の事を惚気るほど気に掛けているとか」
旦那様は鼻でフッと笑った。
「ギデオンはたぶん、自分がそういう感情でノエルを見てると、まだ気付いて無いんだろう? だからノエルの事を私に話すことが出来た。気付いた時が楽しみだな。はははははっ!」
さっきまで不機嫌だったのに、ギデオン様の弱点を見つけた途端、勝ち誇ったかの様に高笑いする旦那様。
やはりこの人はどうしようもない大人だ。
「そういえば旦那様、昔旦那様が大切にしていた『うさぎのぬいぐるみ』ですが、あれ、どこにやりました?」
「……ああ、あれの事か。いつも抱いて寝ていたんだが、ある朝起きたら消えていた。結構汚かったから、使用人の誰かが捨てたのかも知れない」
「あのうさぎを誰に頂いたか覚えていますか?」
旦那様は暫く思い出そうと頑張っていたが無理だったようだ。
「誰かに貰ったのは分かるんだが、思い出せない」
「そうですか」
「それがなんだ?」
「いえ、別に、急に思い出したんですよ」
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