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第228話 番外 社員旅行、お風呂の風景(彩羽視点)
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「ふひぃぃぃぃぃ……」
温泉に浸かって第一声、思わず変な声が出た。
初夜のアレコレと、社員旅行で温泉に来ているのだが、直前のお仕事があまりにも激務で、寝不足で疲れきっていて。
そんな疲れた身体に、温泉が染み渡る。
疲れが溜まって、代謝がおかしくなっていたらしく、指先や足先が冷えていたのが、温泉の熱でほぐされて、血が通っていくのが判る。
「ああああああああ……」
思わずまた変な声が出るが、一緒に入って居る面々、同僚達も似たようなものなので、 気にした様子も無い。
温泉の浴場は、私等社員旅行な面々が、恥じらいも何もなく、全裸の肌色で埋め尽くしていた。
まあ、女の裸何て、同性からしたら誰得な物だし。
タオル巻いて隠すなんて、こういった施設ではもってのほかだし。
「寝るな、寝たら死ぬぞ!」
「と言うか風呂で寝るな」
「普通に死ぬわ!」
「溺れるぞ!」
「寝てない!」
「死ねない!」
「あの男の子にまた会うまでは!」
「と言うか、あの時私等臭くなかった?」
「知らん、鼻馬鹿になってるし」
「香水使うなよ? この旅館も猫居るから」
「お猫様優先だからねえ」
「いや、人からしても、純粋に臭いんじゃ」
「身だしなみとか気を遣う余裕無かったからなあ」
「着てた服は纏めて置いて、フロントに預けていいよ、クリーニング頼んどくから、帰るまでには上がってるだろうし、経費でイケる」
「よっしゃあ! ありがとうございます!」
「最後の激務は私等の失敗だからね、コレ位はサービスせんと」
意識も身体も、半分温泉に溶けている状態な私等だが、元気なのは居る様子で、わいきゃいと声が聞こえて来る。
半分眠る一歩手前みたいな心境で、そんな喧騒をぼんやりと右から左に聞き流す。
「あれって、カワセミさんの中身?」
「声同じだから、恐らく」
「と言うか写真集もあの人、だよね?」
「活動開始時期、同じだし」
「実物凄いなあ……」
「何だかいい匂いした」
「良いなあ、前列席…………」
やっぱりと言うか何と言うか、翡翠さんの事も話題に上がっている。
「ちょっと背中頼む」
「はいはい」
「こってるとこないですか?」
「肩と背中」
「はいはい、確かにこってる、この駄肉めえ」
「うぎゃあああ」
「あら良い声」
「もっと手加減をだなあ?」
「えいっ」
「ひぎぃ」
巨乳と貧乳な確執とか感じさせる声とかも聞こえる。
流石、女三人寄れば姦しいとはよく言ったもので、とてもやかましかった、これなら眠くなることも無さそうである。
「せっかくの混浴なのに、居ないか……」
「居るわけないじゃん」
「こんな雌だらけの空間、ピラニア水槽にダイブする生肉じゃあるまいし」
「パクーの水槽にバナナだよ」
「吸いつくされると言うか、食われるかな?」
「混浴なんて、ただの方便で、男湯造るの勿体ないってだけの話だって」
「何とも世知辛い」
「女の裸何て見飽きとるんじゃい」
あの時、あの人、普通に居たよなあ。
脳裏に、例の出会いとか思い出される。
混浴で、一糸纏わぬ、神々しくさえある、そんな裸身、内心では手を合わせて拝んでいた位である。
実際、男性の裸なんて、見たのはアレが初めてだし。
やっぱり、脂肪でだらしない女の裸とは全然違う神々しさとかあった。
アレ以降、夜寝る前の日課なおかずはアレばっかりである。
今夜は、アレを好き勝手出来るんだ?
「ふひっ」
思わず、口元が緩んで、変な声が出た。
びくりと、自分の声で現実に戻ってくる。
目を開けると、何だか生暖かい目で見られて居た。
「ダメだよ? お湯の中でナニしちゃ?」
「やらんわい!」
同僚から第一声、変な事を言われて、思わず反射的に、食い気味に否定する。
「じゃあ、何考えてたのさあ?」
「………………………今夜の宴会、何出るかなあって」
海と山の幸、楽しみだなあってと、小さく続ける。
我ながら白々しい。
「嘘だね?」
「嘘じゃないやい」
見透かされた感が有るが、雑に否定する。
「じゃあ、彩羽、ヒヨ社長とは出来てるの?」
不意打ち気味にそんな事を言われて、びくりと目を開く。
「そそそそそそそ、そんな訳」
「ちょろい」
「確定」
「語るに落ちてる」
どもった時点で、びくりとした時点で負けで有った。
混ざる声が増える、好機の目線が集中しているのが判る。
その目と口元には、一様に美味しそうな餌を見つけた、野生動物的な、嗜虐的な笑みが浮かんでいた。
女同士、嗜好は分かる、同僚の色恋沙汰とか、無限に味がする美味しいネタである。
あ、コレはもう終わるやつだ……
数時間単位で根掘り葉掘り聞かれて、ダシガラに成るまで弄られるやつだ、内心で、私の安らぎタイム終了のお知らせとか、そんな文字が躍る。
「そうだよ? この娘は私の、だから、茶化すの禁止」
不意打ち気味にヒヨが、ここぞとばかりに横に来て、私を抱きしめた。
思わずこれ幸いと、ヒヨに抱き着いて、顔とか隠す。
絶対これは人に見せられる顔じゃない。
「あらま、そりゃあご馳走様です」
「おめでとうございます」
ヒヨが混ざった事により、当たり障りなく、祝福の言葉とか告げて人の興味がそれるのが判った。
「ありがとうございます……」
人が少なくなった頃に、小さく礼を告げる。
自分の身体が、瞬間的な恐怖で小さく震えていたのが、今更分かった。
「遅かれ早かれこうなるから、もとはと言えば私のせいだし、私がフォローできるタイミングで良かった」
優しい声でそんな事を返しながら、私の髪とかを手櫛でとかすように、頭を撫でてくれる。
「らぶらぶだ……」
「これ茶化したら野暮」
「そうれ、散れ散れ、馬に蹴られるぞ」
外野のそんな言葉に、ヒヨが軽い調子で返す、何だかんだ、人生経験とか、度量とか、 ヒヨの方が遥かに上手だった。
追伸
ヒヨヒヨは伊達や酔狂で社長やって無いので、こういったものはお手の物。
温泉に浸かって第一声、思わず変な声が出た。
初夜のアレコレと、社員旅行で温泉に来ているのだが、直前のお仕事があまりにも激務で、寝不足で疲れきっていて。
そんな疲れた身体に、温泉が染み渡る。
疲れが溜まって、代謝がおかしくなっていたらしく、指先や足先が冷えていたのが、温泉の熱でほぐされて、血が通っていくのが判る。
「ああああああああ……」
思わずまた変な声が出るが、一緒に入って居る面々、同僚達も似たようなものなので、 気にした様子も無い。
温泉の浴場は、私等社員旅行な面々が、恥じらいも何もなく、全裸の肌色で埋め尽くしていた。
まあ、女の裸何て、同性からしたら誰得な物だし。
タオル巻いて隠すなんて、こういった施設ではもってのほかだし。
「寝るな、寝たら死ぬぞ!」
「と言うか風呂で寝るな」
「普通に死ぬわ!」
「溺れるぞ!」
「寝てない!」
「死ねない!」
「あの男の子にまた会うまでは!」
「と言うか、あの時私等臭くなかった?」
「知らん、鼻馬鹿になってるし」
「香水使うなよ? この旅館も猫居るから」
「お猫様優先だからねえ」
「いや、人からしても、純粋に臭いんじゃ」
「身だしなみとか気を遣う余裕無かったからなあ」
「着てた服は纏めて置いて、フロントに預けていいよ、クリーニング頼んどくから、帰るまでには上がってるだろうし、経費でイケる」
「よっしゃあ! ありがとうございます!」
「最後の激務は私等の失敗だからね、コレ位はサービスせんと」
意識も身体も、半分温泉に溶けている状態な私等だが、元気なのは居る様子で、わいきゃいと声が聞こえて来る。
半分眠る一歩手前みたいな心境で、そんな喧騒をぼんやりと右から左に聞き流す。
「あれって、カワセミさんの中身?」
「声同じだから、恐らく」
「と言うか写真集もあの人、だよね?」
「活動開始時期、同じだし」
「実物凄いなあ……」
「何だかいい匂いした」
「良いなあ、前列席…………」
やっぱりと言うか何と言うか、翡翠さんの事も話題に上がっている。
「ちょっと背中頼む」
「はいはい」
「こってるとこないですか?」
「肩と背中」
「はいはい、確かにこってる、この駄肉めえ」
「うぎゃあああ」
「あら良い声」
「もっと手加減をだなあ?」
「えいっ」
「ひぎぃ」
巨乳と貧乳な確執とか感じさせる声とかも聞こえる。
流石、女三人寄れば姦しいとはよく言ったもので、とてもやかましかった、これなら眠くなることも無さそうである。
「せっかくの混浴なのに、居ないか……」
「居るわけないじゃん」
「こんな雌だらけの空間、ピラニア水槽にダイブする生肉じゃあるまいし」
「パクーの水槽にバナナだよ」
「吸いつくされると言うか、食われるかな?」
「混浴なんて、ただの方便で、男湯造るの勿体ないってだけの話だって」
「何とも世知辛い」
「女の裸何て見飽きとるんじゃい」
あの時、あの人、普通に居たよなあ。
脳裏に、例の出会いとか思い出される。
混浴で、一糸纏わぬ、神々しくさえある、そんな裸身、内心では手を合わせて拝んでいた位である。
実際、男性の裸なんて、見たのはアレが初めてだし。
やっぱり、脂肪でだらしない女の裸とは全然違う神々しさとかあった。
アレ以降、夜寝る前の日課なおかずはアレばっかりである。
今夜は、アレを好き勝手出来るんだ?
「ふひっ」
思わず、口元が緩んで、変な声が出た。
びくりと、自分の声で現実に戻ってくる。
目を開けると、何だか生暖かい目で見られて居た。
「ダメだよ? お湯の中でナニしちゃ?」
「やらんわい!」
同僚から第一声、変な事を言われて、思わず反射的に、食い気味に否定する。
「じゃあ、何考えてたのさあ?」
「………………………今夜の宴会、何出るかなあって」
海と山の幸、楽しみだなあってと、小さく続ける。
我ながら白々しい。
「嘘だね?」
「嘘じゃないやい」
見透かされた感が有るが、雑に否定する。
「じゃあ、彩羽、ヒヨ社長とは出来てるの?」
不意打ち気味にそんな事を言われて、びくりと目を開く。
「そそそそそそそ、そんな訳」
「ちょろい」
「確定」
「語るに落ちてる」
どもった時点で、びくりとした時点で負けで有った。
混ざる声が増える、好機の目線が集中しているのが判る。
その目と口元には、一様に美味しそうな餌を見つけた、野生動物的な、嗜虐的な笑みが浮かんでいた。
女同士、嗜好は分かる、同僚の色恋沙汰とか、無限に味がする美味しいネタである。
あ、コレはもう終わるやつだ……
数時間単位で根掘り葉掘り聞かれて、ダシガラに成るまで弄られるやつだ、内心で、私の安らぎタイム終了のお知らせとか、そんな文字が躍る。
「そうだよ? この娘は私の、だから、茶化すの禁止」
不意打ち気味にヒヨが、ここぞとばかりに横に来て、私を抱きしめた。
思わずこれ幸いと、ヒヨに抱き着いて、顔とか隠す。
絶対これは人に見せられる顔じゃない。
「あらま、そりゃあご馳走様です」
「おめでとうございます」
ヒヨが混ざった事により、当たり障りなく、祝福の言葉とか告げて人の興味がそれるのが判った。
「ありがとうございます……」
人が少なくなった頃に、小さく礼を告げる。
自分の身体が、瞬間的な恐怖で小さく震えていたのが、今更分かった。
「遅かれ早かれこうなるから、もとはと言えば私のせいだし、私がフォローできるタイミングで良かった」
優しい声でそんな事を返しながら、私の髪とかを手櫛でとかすように、頭を撫でてくれる。
「らぶらぶだ……」
「これ茶化したら野暮」
「そうれ、散れ散れ、馬に蹴られるぞ」
外野のそんな言葉に、ヒヨが軽い調子で返す、何だかんだ、人生経験とか、度量とか、 ヒヨの方が遥かに上手だった。
追伸
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