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第68話 力尽きた二人
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火柱と言うか、三昧真火の火塵旋風が収まると、周囲は異様な静けさに包まれた。
ザザーンザザーンと言う波の音しか聞こえない、先程まで怪しい呪文とよくわからないノイズの様な音も全て無くなり、無音にすら感じる。
葛様は注意深く周囲を見渡した後で、ゆっくりと小狐丸を納刀した。
カチン
小さく音が鳴る。
「おっとと」
葛様が砂に足を取られてバランスを崩した。
咄嗟に手を伸ばし、手を掴み、そのまま強く引き寄せる。
勢い余って抱き締める形に成ったが、自分自身も限界だったらしく、衝撃といつもより増えている重量に耐えきれずに一緒に砂浜に倒れ込んだ。
咄嗟に自分が下に成った事は褒めてもらいたい。
「今一恰好が付かんな?」
腕の中で何時もより成長した葛様が気を悪くした様子も無く笑う。
「すいません、頼り無くて」
内心小さくなるが、恰好が付かないのは今更なので、抱き締めた手は其のままにした。ここでわたわたした方が怒られる。
「まあ、言うほど失敗しておらんぞ、クトルーの触手の猛攻を一人で凌いだんじゃ、自覚は無いかも知れんが、其処等の退魔師じゃ即死しとったLVじゃから、アレだけで上出来じゃ」
良い子良い子と言った感じに、よしよしと頭を撫でられる、どっちにしても敵いそうにないので、大人しく撫でられる事にした。
でも、あれ即死する程度の攻撃だったんだ・・・・
内心で寒くなるが、大丈夫だと見たから任されたのだろうと言う事で納得して置く事にする。
「でも珍しいですね? 葛様が倒れるなんて?」
ああ、あれかと言った感じに葛様が気持ち赤くなる。
「ハスターの奴がクトルー本体に攻撃できるってここぞとばかりに張り切ってな? 儂が纏ってた分の狂風だけじゃ無く、縁が繋がってる関係でお主の方に残ってた蜂蜜酒の分と、儂の潜在的な霊力迄まるっきり使い切りおった、そんな訳で暫くは動けんな?」
そんな訳で、しばらく休ませろとばかりに目を閉じて、そのまますうすうと寝息を立て始めた。
ぶるぶるとポケットの中のスマホが震えた。表示された名前は、一三さんだった。
「はい、陽希です、はい、こっちは無事です、クトルー本体は退けました、はい、葛様の方も力尽きて寝てるんで動けません、起きたらまた連絡します」
ふと、通話に反応したのか葛様が目を開け、不機嫌そうに手を伸ばして、何か近くの石を拾って何処かに投げると、満足そうに眼を閉じてもう一度寝息を立て始めた。
何をやったのか判らないが、まあ何かあったのだろう程度にして、此方も少し眠ることにした。
真夏じゃ無くて良かったと言った感じの、程良く心地良い陽射しだった。
ザザーンザザーンと言う波の音しか聞こえない、先程まで怪しい呪文とよくわからないノイズの様な音も全て無くなり、無音にすら感じる。
葛様は注意深く周囲を見渡した後で、ゆっくりと小狐丸を納刀した。
カチン
小さく音が鳴る。
「おっとと」
葛様が砂に足を取られてバランスを崩した。
咄嗟に手を伸ばし、手を掴み、そのまま強く引き寄せる。
勢い余って抱き締める形に成ったが、自分自身も限界だったらしく、衝撃といつもより増えている重量に耐えきれずに一緒に砂浜に倒れ込んだ。
咄嗟に自分が下に成った事は褒めてもらいたい。
「今一恰好が付かんな?」
腕の中で何時もより成長した葛様が気を悪くした様子も無く笑う。
「すいません、頼り無くて」
内心小さくなるが、恰好が付かないのは今更なので、抱き締めた手は其のままにした。ここでわたわたした方が怒られる。
「まあ、言うほど失敗しておらんぞ、クトルーの触手の猛攻を一人で凌いだんじゃ、自覚は無いかも知れんが、其処等の退魔師じゃ即死しとったLVじゃから、アレだけで上出来じゃ」
良い子良い子と言った感じに、よしよしと頭を撫でられる、どっちにしても敵いそうにないので、大人しく撫でられる事にした。
でも、あれ即死する程度の攻撃だったんだ・・・・
内心で寒くなるが、大丈夫だと見たから任されたのだろうと言う事で納得して置く事にする。
「でも珍しいですね? 葛様が倒れるなんて?」
ああ、あれかと言った感じに葛様が気持ち赤くなる。
「ハスターの奴がクトルー本体に攻撃できるってここぞとばかりに張り切ってな? 儂が纏ってた分の狂風だけじゃ無く、縁が繋がってる関係でお主の方に残ってた蜂蜜酒の分と、儂の潜在的な霊力迄まるっきり使い切りおった、そんな訳で暫くは動けんな?」
そんな訳で、しばらく休ませろとばかりに目を閉じて、そのまますうすうと寝息を立て始めた。
ぶるぶるとポケットの中のスマホが震えた。表示された名前は、一三さんだった。
「はい、陽希です、はい、こっちは無事です、クトルー本体は退けました、はい、葛様の方も力尽きて寝てるんで動けません、起きたらまた連絡します」
ふと、通話に反応したのか葛様が目を開け、不機嫌そうに手を伸ばして、何か近くの石を拾って何処かに投げると、満足そうに眼を閉じてもう一度寝息を立て始めた。
何をやったのか判らないが、まあ何かあったのだろう程度にして、此方も少し眠ることにした。
真夏じゃ無くて良かったと言った感じの、程良く心地良い陽射しだった。
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