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3章 活躍する坊主

レンタル坊主

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 灯とエリスが無事出来たので、二人とも生まれるまで冒険者稼業はお休み、暫くは3人で写経や木仏を掘っていたが、ずっと家に篭って居てもストレスがたまるので揃って散歩に出ている、2人がかりで両脇をガードされているので自由は無いが、そこまで自由の翼に執着していないし、二人は楽しそうにしているので問題は無い。
 結局、エリスの案内で丸一日かけて村の端から端までぐるっと回った。
 正直地理感と常識が無いので、先にやって置くべきだったとは思うが、意外と忙しかったなと思い返す。

 ギルド前の食堂で食事をとって居たら、他の冒険者に話しかけられた。正直3人PTで他のPTとの連携など取って居なかったので珍しい。
 前回ギルド内の腕相撲で腕を折ったPTだった。
「最近見かけなかったけどどうしてたんだ?」
「この二人、嫁なんですけど、出来ましたので、休んでました。」
 灯とエリスを嫁として紹介する。二人が誇らしげに胸を張って、暗にお腹をアピールする。
「それは目出度い、酒でもおごろうか?」
 ガハハと笑いながら、歩み寄って来る、この人は距離が近いな。
「2人とも禁酒中ですので、俺だけ飲むわけにも。」
「良いですよ、和尚さんだけ飲んで、私たちは果実水もらいますね?」
「おう、好きなの選べ。」
 エリスがウエイトレスを呼んで注文を付ける、会計この人に付けてくださいねと釘を刺している。

「で、何か良い事あったんですか?」
「ああ、この間ギルドの依頼で沼の方に行ってたんだが、珍しくてデカい鱗を見つけてな、トカゲとも魚とも違う珍しいもんだから、ギルドに提出したところ、意外と良い金になった、あぶく銭って事でこうして宴会中だ。」
 酒のせいもあるだろうが、上機嫌で語る。
 多分ドラゴンのあれだ・・・そういえば骨と牙だけ回収しといて鱗が結構そのまんまだった。
「それはおめでとう御座います。」
「おう、それとだ、二人共妊娠してるんなら、出稼ぎって事でこっちのPT来ないか?」
「お気持ちだけで。」
 ノータイムで断ろうとするが、まてまてと制される。
「そっちのガンダーラ解散しろってわけじゃない。あくまで臨時の出稼ぎだ、都合が悪くなったら好きな時に抜けてくれて構わない。」
「報酬配分は?」
 エリスが混ざってきた。
「等分だ、俺たちにも生活があるからな。」
「あんまり遠くに連れてかないでくださいね?」
「当然だ、新婚生活邪魔するようなことはしない。危険すぎるようなのも受けない。俺たちも死にたいわけじゃない。」
 他には条件ないかという様子でエリスを見る。
「出来れば日帰り、帰ってきたら1日休み、連続外泊は2日まで。」
「それぐらいなら大丈夫だ、」
「この和尚さん強いけど、一部常識無いからって騙したら怒る。返さなかったら一生恨む。」
「わかったわかった、何なら誓約書書こうか?」
「お願い。」
「はいよ。」
 紙とペンを取り出し、さらさらと書き出す。髭熊のような見た目でまめな男だ。
「じゃあ、これでいいか?」
 エリスが出来上がった誓約書を眺める。
「はい、大丈夫です。」
「良いの?」
 流石に灯が突っ込んだ。
「流石に私たちだけで和尚さん独占してるのも悪いし、生活費困らないけど、大量発生の前兆とかのクエストほったらかしにしたら、勿体無いどころじゃなくて酷いことになるから、私たちの我儘で遊ばせておくわけにいかないのです。」
「そう言う事ならしょうがないか・・」
 エリスの説得で灯が折れた、どうやらのんびりできる流れではないらしい。諦めてレンタルされることにしよう。
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