戦闘員A(雑魚)、中身は伝説のフィクサー。~洗脳が効かなかったので、無能な幹部を裏から操り、窓際姫を悪の女帝にプロデュースします~

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第11話:戦死報告はバラ色に

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アビス第7支部、通称「ボロアパート」。  カビ臭い一室で、俺はひたすらキーボードを叩いていた。画面に並ぶのは、アビス本部に提出するための「戦闘詳報」だ。

(……よし。これでデッド・ホーン様は、組織のために散った英雄だ)

 モニターに映るのは、昨日の爆発現場の映像。  真実は、俺が通信機でレオを助けた結果、爆発のエネルギーが逃げ場を失ったデッド・ホーンを直撃したという、俺による「身内の間引き」だ 。だが、俺が今書き上げている報告書では、デッド・ホーンはレオの必殺技をその身に受けながらも、最期の一撃でヒーローを一時撤退に追い込んだ「至高の戦士」へと昇華されている 。

「お疲れ様。クロウ、お茶が入ったわよ」

 背後から、アルティナ様が申し訳なさそうに泥水のような安物の茶を差し出してきた 。  彼女は、自分が「何もできなかった」と落ち込んでいるようだが、それでいい 。彼女にはまだ、清廉潔白な「神輿」でいてもらう必要がある。

「イーッ(ありがとうございます、閣下。さて……毒を食らわば皿まで、だ)」

 俺は仕上げに、ある男へ向けて「極秘」の通信回線を開いた。  画面に映し出されたのは、冷酷な銀縁眼鏡の怪人――モルク査察官だ 。

『……何の用だ、1024号。私は忙しい』

 「(……査察官閣下。ドラクマ局長との不適切な交際、および軍需物資の横領に関する追加証拠が見つかりましてね)」 

 俺はボイスチェンジャーを切り、地声でドラクマのリベートのリストをちらつかせた 。

「(安心してください。俺はこれを公表したいわけじゃない。むしろ、ドラクマ局長を助けたいんです。デッド・ホーン様が死んだのは、彼が補給局から十分な整備や予備装甲を与えられていなかったせいですよね?  これが本部にバレれば、ドラクマ局長の責任問題になる。……ですが、今回の件を『英雄的な戦死』として処理すれば、局長の不備はすべて闇の中だ)」

 整備不良という致命的な弱みを突かれたモルクは、苦虫を噛み潰したような顔で頷いた 。

『……貴様、何を企んでいる』 

「(簡単な『貸し』ですよ。俺がこの報告書を本部に通す。代わりに、今回の戦功報酬として第7支部への『特別戦略予算』をねじ込んでもらいたい)」 

 数時間後。本部から届いた通知は、予想以上のものだった。

『伝達。第7支部に対し、デッド・ホーン追従予算およびレオ迎撃の戦功を認め、追加予算1億アビスを支給する』

 沸き立つ支部。だが、あの守銭奴ドラクマが、素直に現金を振り込むはずがない 。  翌日、支部の前に届いたのは、山積みの「コンテナ」だった。

「……な、何かしら、これ。お肉? お肉が届いたの、クロウ!?」

 期待に胸を膨らませるアルティナ様 。だが、コンテナの中身を見た俺の顔は、般若のように歪んだ。  そこに入っていたのは、肉でも金でもない。

「イーッ(……旧型怪人用の、劣化した強化プロテイン。それと、十年前に型落ちした戦闘員用の錆びたナイフ一万本……)」

 ドラクマめ。予算を支給したという「名目」だけ作り、在庫処分品を送りつけて帳尻を合わせやがったな 。

(面白い。横領、中抜き、現物支給による粉飾……。いいだろう、補給局長。あんたがその気なら、こっちも「秘書」のやり方で、その腐った胃袋の中身を全部吐き出させてやる)
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