平成清風高校 料理科 朱鷺みずほ

宮部ナオキ

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2 益田川   温泉街

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 みずほの住む街の主な産業は温泉観光でなりたっていた。

 街道のそばには古城がそびえ旧家が並び川の側には遊歩道が整備され、

涼しい風を肌に感じることができる。

 温泉と温泉の間を浴衣で移動し、
観光客は散策や買い物をしたり、
グルメを楽しんだりしていた。

 また、夏には全国的に有名な踊りが近くのまちで催されていた。

 自然豊かな景色を楽しみ、

鮮やかな季節料理をホテルや旅館ごとに特色を出し提供していた。

料理を目当てにくる県内外の観光客もおり、一年中喜ばれていた。

 みずほの幼いころから街はいつも人でにぎわっていた。

 住人はなんらかの観光業に携わっていることが珍しくなかった。

 みずほもこの街に育ち、
将来はホテルや旅館の仕事に自分も就くことになるのだろうとうっすらと思っていた。

 みずほの通う平成清風高校は県内でも調理科が特に有名であった。

 地元商店街で職人と高校生が共同開発した。

 お腹にいい栗クッキーや特産品の鮎を生かした名物どんぶりを売り出した。

といったニュースがよく岐阜県内のテレビ放送で流れていた。

 過去には名古屋の高真島屋というデパートでけいちゃんトマト弁当屋を1000食販売し多くのお客を集めたこともあった。

 そういった背景もあって、
みずほは自分もテレビに出られるかも、

そして作った料理が爆発的にヒットして儲かるかもと

ミーハーな気持ちで入学することを少しも考えなくなかったのだが、

 とにかく制服が可愛いこともあり、この高校の料理科に行こうとかなり早いうちに決めたのだ。

 

 みずほは子供のころに家族のために料理をしたことがあった。

 初めて作ったのは仕事に行った母親がスーパーの昼休憩に、自分の様子を見に帰ってきてくれるのを逆に気遣って作った、
野菜と卵焼きだけの冷やし中華だった。

 その時、母親が野菜の一つ一つの切り方を

「上手だね、綺麗に揃ってるね」
と褒めながら時間がないのに美味しそうに完食してくれた。

料理初体験での感動があった。

 料理を作ることで、誰かの喜ぶ顔がみられる。
 子供ごころに料理人っていいな
料理で仕事できたらなと考えた。  
 
 誰かの役にたつこと、自分にできることが今まであまりなく、
自信がまったくもてないままでいたが、

 このときの初めてできた感動が何よりうれしかった。
 そういった感動の気持ちを料理で叶えつづけたいとずっとおもってきた。

だから当初は高い理想をもってこの高校の調理科に入ったのだった。

 だがしかし、高校の授業では栄養学といった学問としての料理の時間が半分以上を占めており、

そういったものがこの世の中にはあることを予想だにしなかったみずほにとって、授業は苦痛の時間となっていた。
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