大富豪とシンデレラ ～おひとりさま生活を満喫していたら、大企業の御曹司に拾われました。でも、溺愛されすぎて、毎日ドキドキしています～

48.

「え、ちょっと待ってください、それってどういうことですか？」
と尋ねると、 それを聞いた彼は、ニヤリと笑ってこう答えてくれました。

なんでも、この式場を予約していた時に、私が偶然にもキャンセル待ちに当選してしまっていたらしいんですが、
そのことをすっかり忘れていたせいで、勝手に話を進めてしまったことが原因だそうで、だから、今回のことは、
あくまでも事故のようなものであり、わざとではないということなんですよ。

「でも、それならそうと事前に教えてくれれば良かったじゃないですか！」
と言ったところ、彼から返ってきた答えは意外なものであり、なんと、結婚相手が急遽変更になってしまったために、
その埋め合わせとして、私の名前を使ってしまったとのことでした。

もちろん、そんなことを聞かされたところで納得できるはずもなく、抗議しようとしたんですが、
その前に彼がこんなことを言い出したものですから、つい黙り込んでしまい、結局、
言いくるめられる形で了承することになってしまいます……まあ、これも惚れた弱みというやつなんでしょうね、きっと。

そんなことがあってからは、あっという間に式の当日を迎えることになりまして、ついにこの日がやってきたんだなぁと思うと、
なんだか感慨深い気持ちになりましたね。
それから、挙式が始まるまでの間、控え室で待機していると、そこへやってきた彼がこう言ったんです。

それは、これから行う儀式についての説明なんですけど、簡単に言うと、誓いの言葉の後にキスをするというものなんですね。

「えっと、さすがに人前でするのは恥ずかしいです」
と言ったら、彼は、そんなことは気にする必要はないと言ってきて、強引に唇を奪われてしまったんですが、
その直後、神父様が部屋に入ってこられたおかげで助かりましたよ。

その後、無事に式を終えた私たちは、新居となる屋敷へと移り住むことになりましたが、その間もずっと一緒でしたからね、
むしろ幸せすぎて怖いくらいですよ。

「今日からここが、私たち二人の家になるんだね」
そう言いながら、彼に向かって微笑むと、彼も微笑み返してくれたので、心が暖かくなりましたね。

それから、しばらくは新婚生活を楽しみつつ幸せな日々を過ごしていたのですが、ふと、あることを思い出してしまったせいで、
このままではいけないと考え始めてしまいます。
というのも、最近になって、お腹の辺りに違和感を覚えるようになったせいでもあるんですが、
その原因は言うまでもなく、彼の子供を妊娠してしまったからなんですよね。

それを自覚した時には、正直戸惑いましたが、同時に嬉しくもありましたよ。
だって、大好きな人の子供を産むことができるんですから、これを喜ばずにはいられませんよね！
それからしばらくして、いよいよ臨月を迎えた私は、自宅で出産の準備を進めていたのですが、
やはり初めての経験ということで緊張してしまい、何度も深呼吸を繰り返していたのですが、そんな私の手を優しく握ってくれた蓮さんは、
私を勇気づけてくれたばかりか、こうして寄り添ってくれることで、安心感を与えてくれたお陰で、無事に生まれることができたんですよ。

そして、生まれたばかりの我が子を胸に抱いた瞬間、何とも言えない幸福感に包まれたんですが、それと同時に、
これまで味わったことのない感情も湧き上がってきて、その想いのままに泣いてしまいましたね。
そんな様子を見ていた彼は、私が落ち着くまで抱きしめてくれていて、それに甘えているうちに、だんだんと気持ちが落ち着いてきた頃、
再び口を開いた蓮さんが、こんなことを言ってきたんです。