身代わりにと差し出された悪役令嬢は上主である、公爵様に可愛がられて~私は貴方のモノにはなれません~

一ノ瀬 彩音

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そして始まる音楽に合わせてステップを踏むのだがこれがなかなか難しいもので何度も躓いてしまっていた。
「大丈夫かい? ほら、しっかり掴まっていないと転んでしまうよ?」
と言われつつも必死に食らいつくように頑張るがどうしても上手くいかないものである。
もういっそ諦めてしまおうかと思ったその時だった。
突然ふわりと身体が浮いたかと思うと次の瞬間にはお姫様抱っこされていたではないか!?
「えっ!?」
驚きのあまり声を上げてしまったのだがそれも無理はないことだろう。
だっていきなりこんなことされたら誰だって驚くに決まっているのだから、
そんなことを考えているうちに運ばれていき椅子に座らされるとそのまま抱きしめられた状態で曲が終わるまで過ごしたのだった。
その後、解放された私は放心状態のまま帰宅したのだが、自室に入った途端に力が抜けてその場に座り込んでしまった。
そして、今になって羞恥心が襲ってきたのか顔中真っ赤に染め上げながら悶え苦しむ羽目になってしまったのである。
(うぅ、恥ずかしい、恥ずかしすぎるぅ、あんな大勢の人の前であんなことされるなんて)
思い出すだけで頭が沸騰してしまいそうなほどに熱くなり、心臓の音がバクバクとうるさく鳴り響いていた。
「はぁ……」
ため息を一つ吐くと気持ちを切り替えようと試みてみるがそう簡単にいくはずもなく、悶々とした気持ちを抱えたままベッドに潜り込むと
頭から布団を被って丸くなるのだった。
翌日、目が覚めると既に日が高く昇っていたことに気付き慌てて飛び起きると急いで支度を整えてから食堂へと向かった。
そこにはすでに家族全員が揃っており、私が最後だったようだ。
席に着くと朝食を食べ始めることにした。
メニューはトーストに目玉焼き、サラダ、スープというシンプルなものだったがどれも美味しいものばかりでついつい夢中になって
食べていたらあっという間に平らげてしまっていた。
食後の紅茶を飲みながら一息ついていると、ふと昨日のことを思い出してしまって恥ずかしくなる。
(うう、思い出したくないことなのにぃ……)
頭を抱えていると、突然声をかけられてビクッと肩を震わせてしまった。
恐る恐る顔を上げるとそこにはレリオ様が立っていてこちらを見下ろしている姿が目に入る。
(ひゃうっ!)
思わず変な声が出そうになるのを必死で堪えることに成功した私は偉いと思う。
そんな私を他所に彼は話しかけてくる。
「おはよう、よく眠れたかい?昨日は疲れただろうからゆっくり休むといい、朝食を用意しておいたからね、あとで食べにくるといい」
それだけ言うと立ち去ってしまったので拍子抜けしてしまったが同時にホッとしたのも事実である。
(良かった、昨日みたいな事はもうされずに済むんだ)
そう思った瞬間、何故か胸の奥がチクリとしたような気がしたがきっと気のせいだろうと思い込むことにして忘れることにするのだった。
それからしばらくして、身支度を整えると部屋を出た私は、そのまま玄関へと向かうと、そこには一台の馬車が用意されており、
御者台には既に人が乗っているようだった。
その後ろ姿に見覚えがあるような気がして声をかけようとしたところで先に相手が振り返ってきたので驚いて固まってしまう。
そこにいたのはなんと、レリオ様だったのだ。
しかも、いつもと違って髪をオールバックにしているせいか雰囲気が違って見える気がする。
それに、服装もいつもの軍服ではなくタキシード姿なので新鮮味があってドキドキしてしまう。
「やあ、待っていたよ、さあ、行こうか」
そう言って手を差し伸べてくる彼に戸惑いながらもおずおずと手を伸ばすと優しく握られたのでそのまま馬車に乗り込むことになった。
馬車に揺られること数十分、その間、特に会話もなく気まずい雰囲気の中、目的地に到着したようで停車するとドアが開かれる。
促されるようにして降りるとそこは立派なお屋敷の前であった。
(え、ここってもしかして……?)
嫌な予感を覚えつつ顔を上げると、にっこりと微笑む彼と目が合った。
「今日からここが君の家だよ」
そう言われてしまってはもう諦めるしかなかった。
こうして、私の新しい生活が始まったわけだが、ここでの生活は思ったよりも快適なもので困ることは何一つなかった。
むしろ、今までとは比べ物にならないくらいに贅沢な暮らしができるようになってしまったのだから感謝しなければならないだろう。
ただ一つだけ気になることがあるとすればそれは毎晩行われる行為のことだと言えるかもしれない。
というのも彼は毎日のように求めてくるのだ。
最初は痛くて苦しいだけだったはずなのに今ではすっかり慣らされてしまったせいで快感を得るようになってしまっている自分がいる。
最近では、自分から求めるようになってしまい、自分でも驚いているくらいなのだ。
(こんなはずじゃなかったんだけどなぁ……)
そう思いながら今日もまた彼の腕の中で目を覚ますことになるのだろうと思いながら目を閉じるとすぐに眠りに落ちていった。
翌朝、目が覚めると隣にはまだ眠っているレリオ様の姿があった。
起こさないようにそっとベッドから抜け出すと服を着てから部屋を出ると、使用人に頼んでお湯とタオルを用意してもらうことにする。
それから浴室に向かうとシャワーを浴びることにした。
温かいお湯を浴びながら昨夜のことを思い出して赤面する。
あの後、結局、明け方近くまで離してもらえなかったからだ。
おかげで身体中がベトベトになってしまっていたので綺麗にするために来たのだが、そこであることに気付いてしまった。
(あれ、なんかお腹の下の方が痛いような……?)
不思議に思って触ってみるとヌルッとした感触が伝わってきたことでその正体に気付いた途端、一気に顔が真っ赤になるのが分かった。
そう、つまりそういうことなのだろう。
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