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「お前に何ができるんだよ」
そんな声と共にユリウス様に拳を振り上げた男性を見て私は反射的に飛び出していました。
男性を地面に叩きつけると男性に向かっていったのです。
ユリウス様を傷つけられて、許せなかったんです……。
そんな私の行動を見て唖然とする男性の前で私は剣を引き抜くと躊躇なく男性を突き刺したのでした。
私は男性を殺すとその場に崩れ落ちました。
その場で泣いてしまいまいた。
そんな私の元に来ると抱き締めて背中をさすってくれました。
その日以来、
「お前が殺したのか?  あいつはお前の為に……」
そう言って男性を気遣うユリウス様を見る度に罪悪感が募りました。
私は何度も謝りました。
そんなある日の事、ユリウス様は私の手を優しく握ると言いました。
「もう気にしていないから、これから先どんなことがあっても君だけは守っていくよ」
「はい……」
私はユリウス様の手を強く握り返して返事をするのでした。
ユリウス様と出会ってから半年程経ったある日、 私はいつも通りお勉強をしていた時の事でした。
私は突然ユリウス様の部屋へ呼び出されました。
何かあったのでしょうか。
私は急いでユリウス様の元へ向かいました。
するとそこには見知らぬ女性の姿がありました。
そしてユリウス様は私の方を見ると微笑みながら、言いました。
「今日から彼女が君の専属メイドだ。よろしく頼むよカルネ」
すると女性はこちらに近付いてくると私を見下ろしました。
「ふん。貴方みたいなガキがユリウス様の恋人なんて身のほど知らずもいいところね」
そう言うと私から離れて行きユリウス様の側へ行きました。
どうやらユリウス様が頼んだ訳ではなくこの方が勝手に来たみたいです。
そう考えているとユリウス様が口を開きました。
「彼女はアリッサ。俺が信頼しているメイドの一人だよ。彼女の仕事ぶりを見たらカルネにも分かると思うよ。
だからそんな怖い顔で睨まないであげてくれるかな?」
「別に睨んでなんか……ごめんなさい」
私はそう言うと俯きました。
そんな私を見てユリウス様が笑い出すと私を抱き寄せました。
それから数日後、 私はメイドさん達に呼ばれました。
どうやら私をお茶会に参加させるつもりのようです、そんな事に意味は無いと思います。
メイドさん達が話しているのを聞いていました。
どうやらユリウス様も参加するらしいですが、私を誘わなかった辺りから考えると嫌がらせの類でしょうね。
私はメイドさん達と一緒にユリウス様を待ちましたが一向に来ません。
それから数時間後、
「遅いですね」
「きっとあの女の人が来るのを嫌がって逃げたんですよ」
そんな事を言われながらユリウス様を待っていると漸く姿を現しました。
どうやら逃げ遅れたようでかなり疲れきっている感じです。
その後、私達はお茶を飲みました。
どうやらお酒が入っています。
ユリウス様はどうするつもりなのでしょうか。
そんな事を考えながら紅茶を飲んでいるとユリウス様と目が合いましたそして、
私の元にやって来ると手を掴みました。
そしてそのまま強引に引っ張っていかれてしまいます。
「ちょっとユリウス様何処に行くのですか!?」
そう言うとユリウス様は私を連れて廊下に出ていきました。
暫く歩いていると中庭に出たので私は慌てて手を払うと距離を取りました。
そんな私を見てユリウス様は寂しそうな表情を浮かべました。
暫く無言のまま歩き続け、やがて辿り着いたのは図書室でした。
私はそこで初めて知ったのです。
ユリウス様が私の事を想っていてくれたという事が……私が不安そうにしているとユリウス様は無表情になり、
「俺はカルネ以外を愛する事は出来ない」
はっきりと断言してくれました嬉しかった。
「私だって同じ気持ちですよ」
「良かった」
安堵した表情を浮かべるのでした。
私も安心して笑みを向けるとその笑顔を見てユリウス様に抱き寄せられるのと同時に唇を奪われてしまうのでした。
……恥ずかしかったけど凄く幸せな気分になれました。
私は恥ずかしくて目を閉じている間にユリウス様に服を脱がされてしまいました。
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