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まるで、蛇のようにゆっくりとした動きだったので私は思わず吐息を漏らしてしまったのだけど、
ユリウス様はそれを聞き逃さなかったみたい。
だって、くすっと笑うような声が聞こえてきましたもの。
その後は一気に加速していきましたわ
私は恥ずかしさと快感とが入り混じった感情を抑えきれずにいたのですわ。
「カルネ、お前の中はとても暖かいんだね。いつまでもここに居たくなってしまうよ。ずっとこうして
繋がっていれれば幸せになれるんじゃないかってね。
でも駄目なんだカルネ。私はこの国の王になる男だ。そのために必要な物を手に入れるためなら
どんな手段だって厭わないよ。でもね、今はカルネだけを見ていたいと思っている。
愛しているよカルネ。これからも僕と一緒に生きてくれますか?」
私はユリウス様の手を取り自分の頬に持っていき微笑むと、
「もちろんですわ。私は一生ユリウス様のお傍を離れませんの。例え地の果てまで追い回されようが
必ずやあなたの下へ戻りますの。
ユリウス様は私の居場所なのですもの。ですから離さないでくださいまし。絶対に離したりなんかしたら
許しませんからね?」
と言って、私は彼に口づけをしたの。
その時ユリウス様の瞳が妖しく光ったのを見て背筋がぞくっと震えてしまったのよ。
その夜はいつもより激しく求められましたの。
私のことを滅茶苦茶にして欲しいと思ったくらいに求められて、嬉しい気持ちと悲しいという二つの
相反する思いが混ざり合っていましたが、
「カルネッ!!好きだ、大好きなんです!愛しています。私と永遠に一緒にいて下さい」
私の名前を呼び、愛を語る彼がたまらなく好きで愛おしかったの。私は気付いたら涙が出ていましたわ。
どうしてか分かりませんでしたけど。そして、次の日目覚めてからもユリウス様は私を求め続けてきましたわよ!
流石に体がもたないので休ませてほしいと訴えたんですけれど、聞き入れてもらえませんでしたのよ。
結局そのまま一日中愛し合いましたが、翌日起きた時に私に膝枕をしてくださり頭を撫でてくださいましたの。
「おはようカルネ」
「はい、ユリウス様」
「昨夜は少し無理をさせすぎてしまい申し訳ありません」
「いいえ、大丈夫ですわよ」
「朝食をお持ちしました。今朝のメニューはパンとスープ、目玉焼きとベーコンです。
デザートとしてリンゴとブドウを用意しています」
テキパキと準備してくれましたのよ、それから二人で食事を取っていますと、不意にユリウス様が呟きましたの。
「貴方様を愛しております」
と、突然言われてしまいまして動揺を隠せませんでしたのよ。
しかし、私は平静を装うと笑顔で返す。
「あら、どうかなさいましたかしら?
急に愛の告白をされるとびっくりしてしまいましたのよ。
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