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すると彼女は恥ずかしげな笑みを見せた後にこう言った。
「ねえ、もっと甘えてもいいかしら」
彼女を抱き寄せてから耳元に向かって囁いてみることにする。
(君の為ならばどんな苦労だって惜しまないさ)
その言葉を聞いた彼女は僕の背中に手を回して強く締め付けてくるのだった。
「それでは参りましょうか」
そう告げると彼女は僕の手を引いて部屋を出て行く。
そして廊下を歩いていると様々な場所で他の女性とすれ違うことになる。
その度に彼女は僕を自慢するように見せびらかすのだ。
当然、その光景を見せつけられた周囲の女性は嫉妬の目を向けるのである。
その視線が痛い。
何せ僕の隣にはエリザベッタがいるのである。
そしてその事実を隠そうともしないのである。
これでは僕の立場が無いのではないだろうか。
そう思っているとエリザベッタが口を開いた。
「あなたも大変ね。こんな女に好かれてしまって」
「それはこっちのセリフだよ。君は一体誰だい?」
と聞くと彼女は不敵な笑いを漏らす。
「私はあなたの妻です」
「へぇーそうなのかい。ところでこの国の名前って何だっけ?」
と質問すると彼女は怒り気味に答える。
「あなたって本当に失礼な人ね。よくもまぁ人のことを馬鹿にできるものね。
一応聞いてあげるけど 自分の名前を覚えているのでしょうね」
「勿論だとも。僕はエリック・フォンティーヌ。この国の王だ。それで君の名は?」
「私はエリザベッタ。貴方の夫であるあなたの妻なの。よろしく頼むわ」
「こちらこそ宜しく頼んだよ。愛する我が妃殿」
「あなた……♡」
こうして2人は夫婦となった。
エリザベッタは幸せに満ちた毎日を送るようになる。
夫の寵愛を一身に受けて幸せな日々を過ごす。
そんなある日のこと。
夫が仕事を終えて帰ってくるといつものように出迎える。
すると夫はエリザベッタのお腹にそっと触れて嬉しそうに笑う。
それだけで彼女はとても満たされる。
それからというものの毎晩エリザベッタの部屋へと訪れるようになり彼女と交わり続けた。
最初は嫌がる様子を見せていたものの今ではすっかりと慣れてしまったようです。
エリザベッタの身体には既に幾つもの愛の証としての印が残されている。
「ねぇ、もう限界なんだけどまだ続けるつもりなのかしら。
あなたの事好きなんだけれども正直勘弁して欲しいわ」
「どうして?  僕たちは夫婦じゃないか。お互い好き合っている者同士が性行為するのは普通だと思うよ。
そもそも君のほうから誘ってきたんじゃないか」
僕の指摘を受けて彼女は顔を真っ赤にして俯く。彼女は意外に初心なところがある。
そこもまた魅力的で可愛く思えるのだが、そんなところを見せられるとその気になってしまい、
彼女の事を激しく責め立てる事になるので困ったものである。
やがて彼女は快楽に耐えきれず絶頂に達して果ててしまうのだが、
「ちょっと待ってくれないかな。このまま続けようとしたんじゃないだろうね」
僕としてはまだまだ足りないのだけど これ以上続けてしまえば彼女は
壊れてしまいかねないので自重する事にした。
僕がその場を離れるとエリザベッタはぐったりと横たわりながら虚空を見つめて 放心状態になっていた。
僕はそんな彼女の傍にいると彼女の髪を撫でてあげてあげて彼女を慰めてあげることにした。
すると彼女は僕に抱きつきながら
「大好き。私の事ずっと大切にしてくれるよね」
と涙目になりながらも訴えかけてきたので、
「ああ、約束しよう。必ず守ってみせるとも」
と応えた。
それを聞いて安心したのか、再び眠りについてしまった。
僕も眠くなってきたので眠ることにした。
目を覚ますと隣で寝ていたはずのエリザベッタの姿が見えなかった。
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