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客人Ⅰ
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待っているとベリトがカーネル王、ルイゼンバーンさん、クロノスさんが見えた。カーネル王は俺達の存在に気付くと、いつものひょうひょうとした感じで「やあ」と手を振っていた。ワイバーンに乗ってきたそうだから、流石にスーツでは無いらしい。アイスグレーのそこそこ派手な鎧を着ていて、相変わらずキラキラ王様感が出ている。いや、本当にキャラ濃いな。存在だけで面白いんだけど。
「ナリユキ様。私はこの辺で持ち場に戻ります」
「ありがとうな」
俺はそう告げると、ベリトは持ち場に戻った。そして――。
「マーズベル共和国にようこそいらっしゃいました」
数十人の従者がそう出迎えると、カーネル王も、ルイゼンバーンさんも、クロノスさんも「おお――」と声を漏らしていた。そしてその後カーネル王は笑顔に戻った。
「もう来ちゃったよ」
「お忙しいところ申し訳ございません」
そうクロノスさんが謝ってくれたけど本当に早いな。まあ、わざわざ交渉に行かずに済んだから助かるんだけど。
「建国して間もないのに随分と発展しているね。それにあの大きな建造物は何だい?」
「あれは時計台ですよ」
「成程。あれは嫌でも目が付くね。観光スポットにして反応が良ければ、入場料を取るって算段だね?」
「バレていましたか。まあ今のところはただの時計台ですよ。あとはマーズベル森林を見渡す高台ですね」
「成程。で、ランベリオンはいないのかい?」
「朝稽古していたのでシャワーを浴びていますよ」
「シャワー?」
「水浴びのことですよ」
ミクちゃんがすかさずフォローを入れてくれた。
「立ち話も何なんで中でゆっくりお話ししましょう。私の屋敷でくつろいで行って下さい」
「お気遣いありがとうございます」
従者が先頭に立ち、会議室へと足を運んだ。
「どうぞかけて下さい」
従者の案内で奥から順にかけていくと、すぐにコーヒーが人数分出された。俺、ミクちゃん、アリスさん、カーネル王、ルイゼンバーンさん、クロノスさんの分だ。そして、ちょうどいつも服に着替えてもらったランベリオンとベルゾーグが会議室に到着した。しかし、ベルゾーグに関しては、いつもの服だと上半身裸になるので、黒に白のストライプが入った少しカジュアルな着物を着てもらっていた。
「お、来たか。ベルゾーグそれ似合っているな」
そう言うと、ベルゾーグはミクちゃんとアリスさんに目線を向けると、それに気付いた2人うんうんと頷いていた。ベルゾーグでも女性の目は気にするんだと思い、ちょっと安心した。ベルゾーグも満足しているのか、ほんの少し鼻を伸ばしているし平和で何よりだ。まあ顔がやたら整っているランベリオンとは違い、顔が濃いイケメンだしなコイツ。ぶっちゃけランベリオンがV系のボーカルで、ベルゾーグがやんちゃっ気あるジャニーズみたいな感じだ。そら着物も似合うわ。
全員席に着くと、まず始めに口を開いたのはルイゼンバーンさんだった。
「ナリユキ殿。また、ヤバい魔物を仲間にしているな。ベルゾーグ殿といいアリス殿といい」
「まあ、今まで人間がマーズベルを国にできなかったのってこういう事だったのかと思いました」
「仮に魔物が国を造ったらそれはそれで大事だからな」
「まあ、ナリユキ君とミクさんがこっちの世界に転生してくれて本当に良かったよ。まあ、正直こんなにヤバい戦力が揃っていると、敵になったときが恐ろしすぎて喧嘩なんか売れないしね」
「別にカーネル王国がうちに手を出さない限りで大丈夫ですよ」
と、俺が話をしていると、俺とカーネル王以外は異様な空気に包まれていた。あ、これ俺が言うと恐喝みたいになるのか。まあ王はこんな性格だからまず気にも留めていないだろうけど。
「あ、私の発言で空気を重くしちゃったね。失敬失敬」
「あはは」ってめちゃくちゃ笑っているけど、ルイゼンバーンさんとクロノスさんは未だに凄い顔をしていた。この人の付き人は苦労するな。絶対。
「で、ナリユキ様。ここは都市でいいんですよね? 何というお名前にしたのですか?」
「ここはマーズベル共和国のリリアンという中心地です」
「それは何か意味が込められているのかな?」
「ええ。まあこっちの世界の前の世界で使われていた文字を使って組み合わせました。こう書くんです」
俺はLife、 Rich、 Planと横に書き、その3つの文字の下に矢印をつけてLiRianと書いた。
「英語をもじったんだね」
知ってるのかよ。いや、なんで知っているんだよ。
「ナリユキ君もミクさんも何で知っている? って思ったでしょ? なあに、英語の話はランベリオンから聞いていたから知っているのさ。まあ、ぶっちゃけた話、転生者が本を出していたりするからそれを見たりもしているんだけどね。いや、非常にいい言葉じゃないか! 素晴らしい名前だよ」
「僕も読書は好きなので、こういう知性がある言葉遊びみたいな名前の付け方好きですね」
「若いが情熱に溢れていて私も好きだな」
なんだ。こいつ等めちゃくちゃ褒めてくるな。読書好き3人もいたのかよ。
「ナリユキ様。私はこの辺で持ち場に戻ります」
「ありがとうな」
俺はそう告げると、ベリトは持ち場に戻った。そして――。
「マーズベル共和国にようこそいらっしゃいました」
数十人の従者がそう出迎えると、カーネル王も、ルイゼンバーンさんも、クロノスさんも「おお――」と声を漏らしていた。そしてその後カーネル王は笑顔に戻った。
「もう来ちゃったよ」
「お忙しいところ申し訳ございません」
そうクロノスさんが謝ってくれたけど本当に早いな。まあ、わざわざ交渉に行かずに済んだから助かるんだけど。
「建国して間もないのに随分と発展しているね。それにあの大きな建造物は何だい?」
「あれは時計台ですよ」
「成程。あれは嫌でも目が付くね。観光スポットにして反応が良ければ、入場料を取るって算段だね?」
「バレていましたか。まあ今のところはただの時計台ですよ。あとはマーズベル森林を見渡す高台ですね」
「成程。で、ランベリオンはいないのかい?」
「朝稽古していたのでシャワーを浴びていますよ」
「シャワー?」
「水浴びのことですよ」
ミクちゃんがすかさずフォローを入れてくれた。
「立ち話も何なんで中でゆっくりお話ししましょう。私の屋敷でくつろいで行って下さい」
「お気遣いありがとうございます」
従者が先頭に立ち、会議室へと足を運んだ。
「どうぞかけて下さい」
従者の案内で奥から順にかけていくと、すぐにコーヒーが人数分出された。俺、ミクちゃん、アリスさん、カーネル王、ルイゼンバーンさん、クロノスさんの分だ。そして、ちょうどいつも服に着替えてもらったランベリオンとベルゾーグが会議室に到着した。しかし、ベルゾーグに関しては、いつもの服だと上半身裸になるので、黒に白のストライプが入った少しカジュアルな着物を着てもらっていた。
「お、来たか。ベルゾーグそれ似合っているな」
そう言うと、ベルゾーグはミクちゃんとアリスさんに目線を向けると、それに気付いた2人うんうんと頷いていた。ベルゾーグでも女性の目は気にするんだと思い、ちょっと安心した。ベルゾーグも満足しているのか、ほんの少し鼻を伸ばしているし平和で何よりだ。まあ顔がやたら整っているランベリオンとは違い、顔が濃いイケメンだしなコイツ。ぶっちゃけランベリオンがV系のボーカルで、ベルゾーグがやんちゃっ気あるジャニーズみたいな感じだ。そら着物も似合うわ。
全員席に着くと、まず始めに口を開いたのはルイゼンバーンさんだった。
「ナリユキ殿。また、ヤバい魔物を仲間にしているな。ベルゾーグ殿といいアリス殿といい」
「まあ、今まで人間がマーズベルを国にできなかったのってこういう事だったのかと思いました」
「仮に魔物が国を造ったらそれはそれで大事だからな」
「まあ、ナリユキ君とミクさんがこっちの世界に転生してくれて本当に良かったよ。まあ、正直こんなにヤバい戦力が揃っていると、敵になったときが恐ろしすぎて喧嘩なんか売れないしね」
「別にカーネル王国がうちに手を出さない限りで大丈夫ですよ」
と、俺が話をしていると、俺とカーネル王以外は異様な空気に包まれていた。あ、これ俺が言うと恐喝みたいになるのか。まあ王はこんな性格だからまず気にも留めていないだろうけど。
「あ、私の発言で空気を重くしちゃったね。失敬失敬」
「あはは」ってめちゃくちゃ笑っているけど、ルイゼンバーンさんとクロノスさんは未だに凄い顔をしていた。この人の付き人は苦労するな。絶対。
「で、ナリユキ様。ここは都市でいいんですよね? 何というお名前にしたのですか?」
「ここはマーズベル共和国のリリアンという中心地です」
「それは何か意味が込められているのかな?」
「ええ。まあこっちの世界の前の世界で使われていた文字を使って組み合わせました。こう書くんです」
俺はLife、 Rich、 Planと横に書き、その3つの文字の下に矢印をつけてLiRianと書いた。
「英語をもじったんだね」
知ってるのかよ。いや、なんで知っているんだよ。
「ナリユキ君もミクさんも何で知っている? って思ったでしょ? なあに、英語の話はランベリオンから聞いていたから知っているのさ。まあ、ぶっちゃけた話、転生者が本を出していたりするからそれを見たりもしているんだけどね。いや、非常にいい言葉じゃないか! 素晴らしい名前だよ」
「僕も読書は好きなので、こういう知性がある言葉遊びみたいな名前の付け方好きですね」
「若いが情熱に溢れていて私も好きだな」
なんだ。こいつ等めちゃくちゃ褒めてくるな。読書好き3人もいたのかよ。
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