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客人Ⅱ
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「で、今日の本題なんだけど。観光させてくれないかな?」
「いいですけど、そんなにいいの今のところないですよ。食料に関しては森妖精に取りに行かていますし」
「でも、このコーヒー物凄く美味しいよ! うちにも輸入してほしいくらいだ」
「それは喜んで。けれどもまだまだ自国で精一杯なんですよ。大量生産できるようになってからですね」
「む。それは残念だ。とりあえず案内してほしいな。あと、平和条約と国交を結んでほしい。今日はその為に来たんだよ」
「成程。うちとしては全然いいですよ。困ったときにルイゼンバーンさんのギルドにも手を貸してもらうかもしれませんしね」
「十分強い味方がいるのにその必要性は無いだろう。ナリユキ殿の幹部は私と同等の人物がわんさかいるのだ。ランベリオン、ベリト、アリス、ベルゾーグの四人」
「あと、もう一人アリシアっていう森妖精もいますよ。てかその中にミクちゃんとノアは入っていないんですか?」
「アリシアか。名前だけは聞いたことある。そうかマーズベル森林の管理人だったな。あと、同等と言ったろ。ナリユキ殿、ミク殿、ノアはレベルが違う」
「あれそうなのか?」
「そうですよ。ナリユキ様、ミク様、ノア様の実力を持つ戦力は国に1人いるくらいです。それが同じ国に3人もいて、尚且つ国の主が一番強い国は、マーズベル共和国以外ありません」
「まあ、マーズベルに喧嘩を吹っ掛ける馬鹿はいないと思うけど、その強さをどうにか手に入れようとして、ナリユキ君の部下を襲う輩もいるとは限らない。それに資源も豊富だし戦争の火種になる可能性は十分あるからくれぐれも気を付けてね」
「それは勿論気を付けるつもりです。じゃあそろそろ準備させます。ベルゾーグ、 魔物小屋にいるノアを呼んで移動が快適な魔物を連れてきてくれ」
「ああ。任せろ」
ベルゾーグはそう言ってノアのところへ行ってくれた。
「そういえばレイドラムからマカロフ卿の情報聞けましたか?」
「そうだね。単刀直入言うと、ジェノーバ・マカロフ卿は転生者らしい。けれども尻尾をなかなか掴ませてくれないとのことだ。足取りをつかせないためにアジトを転々と変える慎重な人物だという」
「やっぱり転生者でしたか」
「そうだ。ロビン・パーカー君は覚えているかな?」
「ブラックマーケットの商人ですよね?」
「そうだ。彼からの情報によるとベリトとレイドラムがブラックマーケットから姿を消してから、マカロフ卿の部下がうろうろしているそうだ。特にブラックマーケットに影響はないけれど、酒場でマカロフ卿の情報が、嘘か本当か分からないけれど手に入るようになったらしくてね」
「情報?」
「噂によると、マカロフ卿がアードルハイム帝国と手を組んだそうだ」
それは驚きだ。ベリトもアードルハイムのフレーズには敏感だからな。
「成程。それを聞いたらベリトも黙っていないですね」
「だね。とりあえず今は調査を進めているからもう少し待ってくれ」
「で、カーネル王は最近忙しくて休暇が取れなかったから、マーズベル共和国に遊びに来たわけだ」
ルイゼンバーンさんがそう言うと、「アハハ――」とカーネル王は苦笑いしていた。まあ、この人の場合、遊びではあるかもしれないが、国で一番の決定権を持っているから、俺の国と交渉しに来た時点で、まんざらサボりでも無いから別にいいのか。まあ、だからこの人数で来たのか。王が来ているのに護衛が2人しかいないもんな。
「まあ、ゆっくりして行ってくださいよ。ここにいる間は全力でもてなすので」
「やった!」
カーネル王はそう言って小さくガッツポーズを決めていた。本当に感情表現が豊かな人だ。
コンコンと音がした。そして「ナリユキ殿準備ができましたぞ」とベルゾーグの声が聞こえたので、屋敷の外へ出ることにした。
外に出ると、10人は入れるであろう巨大な馬車が用意されていた。そして、引っ張っる魔物はというと、体長4.0mの小型のティラノサウルスのような魔物が2頭いた。
「なんかラプトルみたいな魔物ですね」
「俺も思った。でも顔面はティラノサウルスみたいな顔面なんだよな」
そう話をしているとカーネル王が凄い! と興奮しながら言ったので、俺とミクちゃんは思わずビクッと驚いてしまった。
「これは、地風竜だね。マーズベルにはこんな魔物もいたのか」
「珍しいんですか?」
「絶滅危惧種に指定されていますからね」
クロノスさんもそう言って地風竜の頭を撫でていた。
「ボクが手なずけたから襲う心配は無いよ」
「地風竜は人懐っこい性格をしているからな。昔から移動手段として重宝されていたが、環境の変化でどんどん滅びていったのだ」
「成程。だからクロノスさんは躊躇せずに触りに行ったのですね?」
「そういうことです」
クロノスさんはそう言って笑みを浮かべていた。
そして、俺達全員は馬車に乗りノアが2頭の地風竜の手綱を持った。
「どうするナリユキ?」
「とりあえず風車のところへ行ってくれ」
「いいよ~。さあ、地風竜。君達の格好良い走りを魅せてくれ」
ノアがそう声をかけると2頭の地風竜は応えるように「グオオオン」と吠えた。
「行け!」
ノアのその合図で地風竜の馬車に乗って、初の来訪者達のマーズベル共和国観光巡りが始まったのだった。
「いいですけど、そんなにいいの今のところないですよ。食料に関しては森妖精に取りに行かていますし」
「でも、このコーヒー物凄く美味しいよ! うちにも輸入してほしいくらいだ」
「それは喜んで。けれどもまだまだ自国で精一杯なんですよ。大量生産できるようになってからですね」
「む。それは残念だ。とりあえず案内してほしいな。あと、平和条約と国交を結んでほしい。今日はその為に来たんだよ」
「成程。うちとしては全然いいですよ。困ったときにルイゼンバーンさんのギルドにも手を貸してもらうかもしれませんしね」
「十分強い味方がいるのにその必要性は無いだろう。ナリユキ殿の幹部は私と同等の人物がわんさかいるのだ。ランベリオン、ベリト、アリス、ベルゾーグの四人」
「あと、もう一人アリシアっていう森妖精もいますよ。てかその中にミクちゃんとノアは入っていないんですか?」
「アリシアか。名前だけは聞いたことある。そうかマーズベル森林の管理人だったな。あと、同等と言ったろ。ナリユキ殿、ミク殿、ノアはレベルが違う」
「あれそうなのか?」
「そうですよ。ナリユキ様、ミク様、ノア様の実力を持つ戦力は国に1人いるくらいです。それが同じ国に3人もいて、尚且つ国の主が一番強い国は、マーズベル共和国以外ありません」
「まあ、マーズベルに喧嘩を吹っ掛ける馬鹿はいないと思うけど、その強さをどうにか手に入れようとして、ナリユキ君の部下を襲う輩もいるとは限らない。それに資源も豊富だし戦争の火種になる可能性は十分あるからくれぐれも気を付けてね」
「それは勿論気を付けるつもりです。じゃあそろそろ準備させます。ベルゾーグ、 魔物小屋にいるノアを呼んで移動が快適な魔物を連れてきてくれ」
「ああ。任せろ」
ベルゾーグはそう言ってノアのところへ行ってくれた。
「そういえばレイドラムからマカロフ卿の情報聞けましたか?」
「そうだね。単刀直入言うと、ジェノーバ・マカロフ卿は転生者らしい。けれども尻尾をなかなか掴ませてくれないとのことだ。足取りをつかせないためにアジトを転々と変える慎重な人物だという」
「やっぱり転生者でしたか」
「そうだ。ロビン・パーカー君は覚えているかな?」
「ブラックマーケットの商人ですよね?」
「そうだ。彼からの情報によるとベリトとレイドラムがブラックマーケットから姿を消してから、マカロフ卿の部下がうろうろしているそうだ。特にブラックマーケットに影響はないけれど、酒場でマカロフ卿の情報が、嘘か本当か分からないけれど手に入るようになったらしくてね」
「情報?」
「噂によると、マカロフ卿がアードルハイム帝国と手を組んだそうだ」
それは驚きだ。ベリトもアードルハイムのフレーズには敏感だからな。
「成程。それを聞いたらベリトも黙っていないですね」
「だね。とりあえず今は調査を進めているからもう少し待ってくれ」
「で、カーネル王は最近忙しくて休暇が取れなかったから、マーズベル共和国に遊びに来たわけだ」
ルイゼンバーンさんがそう言うと、「アハハ――」とカーネル王は苦笑いしていた。まあ、この人の場合、遊びではあるかもしれないが、国で一番の決定権を持っているから、俺の国と交渉しに来た時点で、まんざらサボりでも無いから別にいいのか。まあ、だからこの人数で来たのか。王が来ているのに護衛が2人しかいないもんな。
「まあ、ゆっくりして行ってくださいよ。ここにいる間は全力でもてなすので」
「やった!」
カーネル王はそう言って小さくガッツポーズを決めていた。本当に感情表現が豊かな人だ。
コンコンと音がした。そして「ナリユキ殿準備ができましたぞ」とベルゾーグの声が聞こえたので、屋敷の外へ出ることにした。
外に出ると、10人は入れるであろう巨大な馬車が用意されていた。そして、引っ張っる魔物はというと、体長4.0mの小型のティラノサウルスのような魔物が2頭いた。
「なんかラプトルみたいな魔物ですね」
「俺も思った。でも顔面はティラノサウルスみたいな顔面なんだよな」
そう話をしているとカーネル王が凄い! と興奮しながら言ったので、俺とミクちゃんは思わずビクッと驚いてしまった。
「これは、地風竜だね。マーズベルにはこんな魔物もいたのか」
「珍しいんですか?」
「絶滅危惧種に指定されていますからね」
クロノスさんもそう言って地風竜の頭を撫でていた。
「ボクが手なずけたから襲う心配は無いよ」
「地風竜は人懐っこい性格をしているからな。昔から移動手段として重宝されていたが、環境の変化でどんどん滅びていったのだ」
「成程。だからクロノスさんは躊躇せずに触りに行ったのですね?」
「そういうことです」
クロノスさんはそう言って笑みを浮かべていた。
そして、俺達全員は馬車に乗りノアが2頭の地風竜の手綱を持った。
「どうするナリユキ?」
「とりあえず風車のところへ行ってくれ」
「いいよ~。さあ、地風竜。君達の格好良い走りを魅せてくれ」
ノアがそう声をかけると2頭の地風竜は応えるように「グオオオン」と吠えた。
「行け!」
ノアのその合図で地風竜の馬車に乗って、初の来訪者達のマーズベル共和国観光巡りが始まったのだった。
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