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前夜Ⅰ
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俺達は潮が満ちないところまで引き下がり家を建てた。で、現在は俺とミクちゃんとアリスの3人でその家にいるわけだ。アリシアには一度戻ってもらい、ランベリオン達に説明してもらうことにした。いずれにせよ俺はここでしばらく滞在したほうがよさそうだ。
明日にはミクちゃん、アリス、そしてノアが行くことになる。戦闘力に関しては俺とほぼ互角だから、まあ何とかなるだろって感じではある。ただ、まだまだ子供だから、感情に任せて人を殺さないか少し心配だ。
そして今は目の前で起こっている平和なひと時を堪能することに専念だ。
ミクちゃんがアリスに料理を教えているという何とも微笑ましい光景だ。この何とも言えない光景を動画にアップすると、PV数はそこそこ稼げるはずだ。ましてや、ミクちゃんのチャンネルにアップなんかすれば多分めちゃくちゃバズるぞ。
しかもこれ俺の為に2人とも作ってくれているんだぜ? やばくね?
「な――なかなか上手く巻けないですね」
「少々形が崩れても味は同じだから大丈夫だよ」
多分この感じは出汁巻きだな。そう思って気になったので覗いてみると、やはり出汁巻きを作っていた。少しの焦げ目と、少し形が崩れた出汁巻きは、俺からすれば何とも素晴らしい形に見えた。
そこから巻きすを使って形を整える作業に移ったが、やはり少しだけ崩れているには変わりなかった。俺も作った時は分量間違えて崩れたりしたからな。動画で上がっている分量を何度か試して作り慣れて飽きた頃、こだわってみたいと思って自分なりに、出汁の配分考えてやったのがいい思い出だったりする。
え? 何の卵使っているかって? 勿論怪鳥の魔物の卵だ。しかも結構大きい卵だから、1個で4個分くらいの大きさがあり、取れたときはテンションが上がっていた。
そうして、出汁巻きが出来上がると、怪鳥肉のステーキやら、野菜のスープが出来上がった。出汁巻きには、ハーブ系の葉っぱを見つけたので、その葉っぱが添えられて、テーブルに並んだ。
「あの、ミク様に教えられながら作りましたけどあまり自信無くて。不快な思いをさせたら申し訳ございません」
「大丈夫だって。少し崩れているのがポイントだ」
「ですよね」
俺とミクちゃんがそう言っていると、アリスは不思議そうにキョロキョロとし始めた。
「え? どういうことですか?」
「一生懸命に作ってくれた料理に不味いって概念が無いってことさ」
「愛なんだよな~」
と、ミクちゃんがアリスの事を見つめながら言っていた。主に徹底的に尽くすということだろうか? 泣けるねえ――。
「さあ、冷めてしまうのでそろそろ食べましょう」
「いただきます」
さっそく俺が出汁巻きを取ると、アリスが不安そうに見ていた。
まあ気にせず食べてみたが口の中で深い出汁の味わいが広がった。形は崩れているけど、食感も柔らかくて申し分ない。むしろ幸せが詰まった最高の一品である。
「美味しいよ」
すると、アリスは涙目になりながら全力の「ありがとうございます」を言ってくれた。
「よかったねアリスちゃん」
「はい! ミク様のお陰です!」
と、全力で喜んでいる一見少女に見えるこの子は、人魚姫の長なんだぜ? 俺達から見れば自分が自分じゃない状態になっていたんじゃないか? って思う。
「ナリユキさん。私が作ったステーキも食べてみて下さい」
「おう」
そうミクちゃんに言われたのは怪鳥肉のステーキだ。さっき出汁巻きに添えていたハーブの葉を巻いて食べてほしいとのことらしい。
「思い付きで考えて見たんですけど、この葉っぱはハーブの香りがする割には、そこまで自己主張が激しくないので、サムギョプサルみたいな感じで楽しめるかなと思いまして。自炊していたナリユキさんなら、食べる前に味が想像できると思いますよ?」
そう言われて、ナイフでステーキを1口サイズに切ってみた。程よく火が通っていて、牛肉のようなジューシーな脂が溢れ出す。堪らん。どうやったらこんなに上手に焼けるの?
それをこの葉に巻いて口元に近付けると、ミントのような香りが漂った。ミントといえば好き嫌いが分かれそうだが、レモンの香りのような柔らかいパンチがあり、とても爽やかだ。
口の中に入れると予想を遥かに超えてきた。お肉のジューシーさとこの肉厚と、ほんの少し感じる甘味。何よりこの肉と葉のフレーバーが上手く調和していて、最高の一品になっていた。
料理に点をつけてどっちが良いか決めてくださいと言うなら、明らかにミクちゃんだろう。しかし、俺は2人に満点をあげたい。アリスの料理には幸福と不器用なりに頑張ったという過程の2つの調味料があるからな。
「マジで2人の料理最高に美味しいよ。多分俺明日死ぬ」
「死なないでください!」
――と。2人同時に言ってきたのは言うまでもない。
「まあ冗談だって。そんだけ美味しいんだよ」
「それ、FPSだったらフラグですからね。あ、敵はもういないですね~。って言って5秒後にグレネードやC4や砂が飛んでくるやつ」
「――。それはとてつもないフラグだな」
「冗談でもあまりマイナスな事言わないで下さいね。でもそう言って頂けて嬉しいですよ。ほらアリスちゃん」
「はい!」
そう言って2人はハイタッチをしていた。
うん。平和だ。
明日にはミクちゃん、アリス、そしてノアが行くことになる。戦闘力に関しては俺とほぼ互角だから、まあ何とかなるだろって感じではある。ただ、まだまだ子供だから、感情に任せて人を殺さないか少し心配だ。
そして今は目の前で起こっている平和なひと時を堪能することに専念だ。
ミクちゃんがアリスに料理を教えているという何とも微笑ましい光景だ。この何とも言えない光景を動画にアップすると、PV数はそこそこ稼げるはずだ。ましてや、ミクちゃんのチャンネルにアップなんかすれば多分めちゃくちゃバズるぞ。
しかもこれ俺の為に2人とも作ってくれているんだぜ? やばくね?
「な――なかなか上手く巻けないですね」
「少々形が崩れても味は同じだから大丈夫だよ」
多分この感じは出汁巻きだな。そう思って気になったので覗いてみると、やはり出汁巻きを作っていた。少しの焦げ目と、少し形が崩れた出汁巻きは、俺からすれば何とも素晴らしい形に見えた。
そこから巻きすを使って形を整える作業に移ったが、やはり少しだけ崩れているには変わりなかった。俺も作った時は分量間違えて崩れたりしたからな。動画で上がっている分量を何度か試して作り慣れて飽きた頃、こだわってみたいと思って自分なりに、出汁の配分考えてやったのがいい思い出だったりする。
え? 何の卵使っているかって? 勿論怪鳥の魔物の卵だ。しかも結構大きい卵だから、1個で4個分くらいの大きさがあり、取れたときはテンションが上がっていた。
そうして、出汁巻きが出来上がると、怪鳥肉のステーキやら、野菜のスープが出来上がった。出汁巻きには、ハーブ系の葉っぱを見つけたので、その葉っぱが添えられて、テーブルに並んだ。
「あの、ミク様に教えられながら作りましたけどあまり自信無くて。不快な思いをさせたら申し訳ございません」
「大丈夫だって。少し崩れているのがポイントだ」
「ですよね」
俺とミクちゃんがそう言っていると、アリスは不思議そうにキョロキョロとし始めた。
「え? どういうことですか?」
「一生懸命に作ってくれた料理に不味いって概念が無いってことさ」
「愛なんだよな~」
と、ミクちゃんがアリスの事を見つめながら言っていた。主に徹底的に尽くすということだろうか? 泣けるねえ――。
「さあ、冷めてしまうのでそろそろ食べましょう」
「いただきます」
さっそく俺が出汁巻きを取ると、アリスが不安そうに見ていた。
まあ気にせず食べてみたが口の中で深い出汁の味わいが広がった。形は崩れているけど、食感も柔らかくて申し分ない。むしろ幸せが詰まった最高の一品である。
「美味しいよ」
すると、アリスは涙目になりながら全力の「ありがとうございます」を言ってくれた。
「よかったねアリスちゃん」
「はい! ミク様のお陰です!」
と、全力で喜んでいる一見少女に見えるこの子は、人魚姫の長なんだぜ? 俺達から見れば自分が自分じゃない状態になっていたんじゃないか? って思う。
「ナリユキさん。私が作ったステーキも食べてみて下さい」
「おう」
そうミクちゃんに言われたのは怪鳥肉のステーキだ。さっき出汁巻きに添えていたハーブの葉を巻いて食べてほしいとのことらしい。
「思い付きで考えて見たんですけど、この葉っぱはハーブの香りがする割には、そこまで自己主張が激しくないので、サムギョプサルみたいな感じで楽しめるかなと思いまして。自炊していたナリユキさんなら、食べる前に味が想像できると思いますよ?」
そう言われて、ナイフでステーキを1口サイズに切ってみた。程よく火が通っていて、牛肉のようなジューシーな脂が溢れ出す。堪らん。どうやったらこんなに上手に焼けるの?
それをこの葉に巻いて口元に近付けると、ミントのような香りが漂った。ミントといえば好き嫌いが分かれそうだが、レモンの香りのような柔らかいパンチがあり、とても爽やかだ。
口の中に入れると予想を遥かに超えてきた。お肉のジューシーさとこの肉厚と、ほんの少し感じる甘味。何よりこの肉と葉のフレーバーが上手く調和していて、最高の一品になっていた。
料理に点をつけてどっちが良いか決めてくださいと言うなら、明らかにミクちゃんだろう。しかし、俺は2人に満点をあげたい。アリスの料理には幸福と不器用なりに頑張ったという過程の2つの調味料があるからな。
「マジで2人の料理最高に美味しいよ。多分俺明日死ぬ」
「死なないでください!」
――と。2人同時に言ってきたのは言うまでもない。
「まあ冗談だって。そんだけ美味しいんだよ」
「それ、FPSだったらフラグですからね。あ、敵はもういないですね~。って言って5秒後にグレネードやC4や砂が飛んでくるやつ」
「――。それはとてつもないフラグだな」
「冗談でもあまりマイナスな事言わないで下さいね。でもそう言って頂けて嬉しいですよ。ほらアリスちゃん」
「はい!」
そう言って2人はハイタッチをしていた。
うん。平和だ。
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