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休息Ⅲ
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俺はミクちゃんとミーシャをイメージしていた。何やら手を繋いだ方が一緒に指定の場所へと行けるらしい。
ミーシャはエントランスロビーのとろこで頭を抱えていた。
「ナリユキ様は連行されてしまいミク様は行方不明……」
そうぶつぶつと言っていたので俺はミクちゃんを見ると、俺から目を反らして上の空状態だった。1人だと反対
されるから皆に黙って出て来たのか――。
「ミーシャ」
俺がそう声をかけると――。
「また夢を見てしまったのでしょうか――?」
ミーシャは虚ろな目で俺の顔を見ていた。もう吃驚するくらい涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた。
「いや、本物だよ」
仕方ないと思い俺はミーシャの方に近寄り抱き寄せた。するとミーシャは口をパクパクとせて「これは夢。これは夢」と呟いていた。ミクちゃんの視線は特に痛くないから何とも思っていないんだろうな。
「な? 本物だろ?」
ようやく理解したのか。ミーシャは耳元で「ナリユキ様~!」と大泣きし始めた。その大泣きで人が集まって来るなり、従者達は一斉に近寄って来た。
いや、そんな30人程で一気に囲わないでくれ。
「迷惑かけて悪かったな」
俺がそう言うとミーシャは――。
「迷惑だなんて……ナリユキ様は存在するだけで尊い存在……ご無事で何よりです!」
そう力強く言われた。それを聞いた俺まで涙を出しそうになったからぐっと堪えた。押し殺していた感情が爆発しそうだった。
「そう言ってくれてありがとう」
俺がそう頭を撫でるとミーシャは余計に泣いた。そして何だろ――無意識で頭を撫でたせいか後ろからの視線が痛い――。
「とりあえず皆様を呼んできます!」
数名の従者達がそう言って出て行った。勿論、レンさん達も呼んでくれるらしい。
「ミーシャ――もういいか? ミクちゃんが怒りそう」
俺がそう言うと、ミーシャはハッとした表情を浮かべていた。俺の胸で泣きじゃくり、ぐちゃぐちゃになった顔が一気に元通りになったので面白い。
「し――失礼致しました。会議室の方へ行きましょう」
「ああ」
俺とミクちゃんはミーシャに会議室に案内されてしばらく皆を待っていた。
待つこと数分、ノア、ベリト、アリシア、フィオナ、メイの5人。そして、レンさん、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんの面々が集まった。ベルゾーグとアリスはカーネル王国で調査を行っているとのことだ。後で会いに行こう。
「迷惑かけてしまって本当に申し訳なかった」
俺がそう頭を下げると「下げなくていいですよ!」と全員に突っ込まれた。
「ナリユキ様、ミク様。本当にご無事で何よりです」
ベリトの口元がプルプルと震えていた。今にも泣きだしそうな――そんな表情だった。
「本当に良かったです――一時はどうなることかと――ナリユキ様とミク様がいなければ私達は……」
アリシアに関してはもはやハンカチで涙を拭いている。俺が適当に出したピンク色のハンカチを出して渡した物を使っているようだ。
「ナリユキもミクも無事で良かったよ本当に。暴れるところだった」
ノアがそうニッコリと言っていたので放っておいたらヤバいことになるのは直感的に感じた。
「本当に良かったですぅぅぅ……」
こう言いながらぐずっているのはメイ。メイらしい反応と言えばメイらしい。
「ホンマに2人共無事で何よりやわ。一時はどうなるかと思ったで。べりーちゃんも青龍さんと2人きりになったと思ったら消えているねんもん。俺達からしたら青龍さんに何かされたんかと思ってしまったで」
「その件はごめんなさい……」
ミクちゃんは自分の身勝手な行動に心底反省していた。そんなミクちゃんをレンさんはこれ以上咎めることは無かった。
「まあ……確かに突っ込むって言っていたら俺達は止めていたやろうな――黙って一緒に行った人が青龍さんで良かったわ」
レンはっそう言ってニッと微笑んでいた。
「怪我は無いのですか?」
ノーディルスさんが俺にそう問いかけてきた。
「まあ大丈夫だけど、正直に言うと……いや、やっぱり止めておくわ」
俺は腕を斬り落とされた話をしようとしたが止めた。理由としてはベリトが怒り狂いそうだからだ。それこそ普段冷静なのに、俺の事になると視野が極端に狭くなり、周りが見えずに無鉄砲に突っ込むからな――。
「メリーザに助けられたよ」
「メリーザがですか?」
アリシアがそう聞き返してきた。
「俺の事を気にかけていてくれた。それに有力な情報もメリーザから聞いたんだ」
「有力な情報ですか?」
アリシアとベリトそう聞き返してきた。他の皆もキョトンとした表情をしている。
「メリーザによると、マーズベルにヴェドラウイルスの感染者がいたことは知らないらしいんだ」
「何やそれ。マカロフ卿達は関係ないんですか?」
こう訊き返してきたレンさんを始め、皆怪訝な表情を浮かべていた。
「それはどうか分からないな」
「知性・記憶の略奪と献上は使わんかったんですか? マカロフ卿か誰かに」
「使っていない。と、いうか使えなかったってのが正しいかな。状況が状況だったのもあるし。相手を殺すか殺さないかのやりとりをな」
「成程な~」
レンさんはそう言って不服そうな表情を浮かべていた。
「いずれにせよ情報が集まり次第の方がいいですね。ナリユキ様がそもそも捕まったのって単体で動くという情報を事前に知られていたからだったので、その情報を流した人間がQと名乗る男と繋がっている可能性が高いと思っております」
「俺もそう踏んでいる」
俺がそうベリトに返すと、ベリトは満足そうな表情を浮かべていた。
「でも一体誰なのでしょうか? ナリユキ様の情報を流したのは――」
フィオナの言葉に俺も「予測できないな」と言うしか……いや待てよ……?
「怪しい奴いたかもしれない……」
俺がそう呟くと皆の視線が一気に集まった。
ミーシャはエントランスロビーのとろこで頭を抱えていた。
「ナリユキ様は連行されてしまいミク様は行方不明……」
そうぶつぶつと言っていたので俺はミクちゃんを見ると、俺から目を反らして上の空状態だった。1人だと反対
されるから皆に黙って出て来たのか――。
「ミーシャ」
俺がそう声をかけると――。
「また夢を見てしまったのでしょうか――?」
ミーシャは虚ろな目で俺の顔を見ていた。もう吃驚するくらい涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた。
「いや、本物だよ」
仕方ないと思い俺はミーシャの方に近寄り抱き寄せた。するとミーシャは口をパクパクとせて「これは夢。これは夢」と呟いていた。ミクちゃんの視線は特に痛くないから何とも思っていないんだろうな。
「な? 本物だろ?」
ようやく理解したのか。ミーシャは耳元で「ナリユキ様~!」と大泣きし始めた。その大泣きで人が集まって来るなり、従者達は一斉に近寄って来た。
いや、そんな30人程で一気に囲わないでくれ。
「迷惑かけて悪かったな」
俺がそう言うとミーシャは――。
「迷惑だなんて……ナリユキ様は存在するだけで尊い存在……ご無事で何よりです!」
そう力強く言われた。それを聞いた俺まで涙を出しそうになったからぐっと堪えた。押し殺していた感情が爆発しそうだった。
「そう言ってくれてありがとう」
俺がそう頭を撫でるとミーシャは余計に泣いた。そして何だろ――無意識で頭を撫でたせいか後ろからの視線が痛い――。
「とりあえず皆様を呼んできます!」
数名の従者達がそう言って出て行った。勿論、レンさん達も呼んでくれるらしい。
「ミーシャ――もういいか? ミクちゃんが怒りそう」
俺がそう言うと、ミーシャはハッとした表情を浮かべていた。俺の胸で泣きじゃくり、ぐちゃぐちゃになった顔が一気に元通りになったので面白い。
「し――失礼致しました。会議室の方へ行きましょう」
「ああ」
俺とミクちゃんはミーシャに会議室に案内されてしばらく皆を待っていた。
待つこと数分、ノア、ベリト、アリシア、フィオナ、メイの5人。そして、レンさん、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんの面々が集まった。ベルゾーグとアリスはカーネル王国で調査を行っているとのことだ。後で会いに行こう。
「迷惑かけてしまって本当に申し訳なかった」
俺がそう頭を下げると「下げなくていいですよ!」と全員に突っ込まれた。
「ナリユキ様、ミク様。本当にご無事で何よりです」
ベリトの口元がプルプルと震えていた。今にも泣きだしそうな――そんな表情だった。
「本当に良かったです――一時はどうなることかと――ナリユキ様とミク様がいなければ私達は……」
アリシアに関してはもはやハンカチで涙を拭いている。俺が適当に出したピンク色のハンカチを出して渡した物を使っているようだ。
「ナリユキもミクも無事で良かったよ本当に。暴れるところだった」
ノアがそうニッコリと言っていたので放っておいたらヤバいことになるのは直感的に感じた。
「本当に良かったですぅぅぅ……」
こう言いながらぐずっているのはメイ。メイらしい反応と言えばメイらしい。
「ホンマに2人共無事で何よりやわ。一時はどうなるかと思ったで。べりーちゃんも青龍さんと2人きりになったと思ったら消えているねんもん。俺達からしたら青龍さんに何かされたんかと思ってしまったで」
「その件はごめんなさい……」
ミクちゃんは自分の身勝手な行動に心底反省していた。そんなミクちゃんをレンさんはこれ以上咎めることは無かった。
「まあ……確かに突っ込むって言っていたら俺達は止めていたやろうな――黙って一緒に行った人が青龍さんで良かったわ」
レンはっそう言ってニッと微笑んでいた。
「怪我は無いのですか?」
ノーディルスさんが俺にそう問いかけてきた。
「まあ大丈夫だけど、正直に言うと……いや、やっぱり止めておくわ」
俺は腕を斬り落とされた話をしようとしたが止めた。理由としてはベリトが怒り狂いそうだからだ。それこそ普段冷静なのに、俺の事になると視野が極端に狭くなり、周りが見えずに無鉄砲に突っ込むからな――。
「メリーザに助けられたよ」
「メリーザがですか?」
アリシアがそう聞き返してきた。
「俺の事を気にかけていてくれた。それに有力な情報もメリーザから聞いたんだ」
「有力な情報ですか?」
アリシアとベリトそう聞き返してきた。他の皆もキョトンとした表情をしている。
「メリーザによると、マーズベルにヴェドラウイルスの感染者がいたことは知らないらしいんだ」
「何やそれ。マカロフ卿達は関係ないんですか?」
こう訊き返してきたレンさんを始め、皆怪訝な表情を浮かべていた。
「それはどうか分からないな」
「知性・記憶の略奪と献上は使わんかったんですか? マカロフ卿か誰かに」
「使っていない。と、いうか使えなかったってのが正しいかな。状況が状況だったのもあるし。相手を殺すか殺さないかのやりとりをな」
「成程な~」
レンさんはそう言って不服そうな表情を浮かべていた。
「いずれにせよ情報が集まり次第の方がいいですね。ナリユキ様がそもそも捕まったのって単体で動くという情報を事前に知られていたからだったので、その情報を流した人間がQと名乗る男と繋がっている可能性が高いと思っております」
「俺もそう踏んでいる」
俺がそうベリトに返すと、ベリトは満足そうな表情を浮かべていた。
「でも一体誰なのでしょうか? ナリユキ様の情報を流したのは――」
フィオナの言葉に俺も「予測できないな」と言うしか……いや待てよ……?
「怪しい奴いたかもしれない……」
俺がそう呟くと皆の視線が一気に集まった。
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