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謎に包まれた亜人Ⅱ
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俺は刀で亜人の鉤爪を受け止めた。しかし、左の鉤爪で俺を攻撃してこようとしてきたので――。
「排除!」
亜人を後ろに吹き飛ばした。いつもならここで銃撃を浴びせるんだけどな――とか思いながら創造主でスローイングナイフを投げた。
3つ同時に投げてそれらは全て的中。亜人から赤い血が噴き出した。
しかし、特にリアクションを取らずに体勢を変えて地面に着地するなり3本のスローイングナイフを抜いた。
「あれが疑問なんですナリユキ様」
「疑問?」
「他の亜人の血は黒かったのですが、あの亜人だけ赤い血なのです」
「その正体を暴けばあの亜人の正体が分かるな」
「そういう事です」
この時俺はやる事を決めた。知性・記憶の略奪と献上で奴の記憶を奪ってやる。
そう思うと俺は亜人の方に駆けだしていた。亜人も俺に向かって走って来た。俺は左手を向けて「大爆発」と唱えて小規模の爆発を亜人に向けて放った。俺と亜人の戦闘値の差なら、普通はあれで倒すことができるんだけどな――と不思議でならなかった。
案の定、大爆発で動きが怯んだ。その隙に俺は金色に輝く手で亜人の頭を掴んだ。そして知性・記憶の略奪と献上を発動させた。しかし、この亜人から得られた情報は日々自分が何者か? という苦しみを受けている事だった。
「何だこれは――」
俺は慌ててミーシャ達がいるところに戻った。
「どうでしたか?」
「それがちょっと変わっていてな」
「それはつまりどういう事でしょうか?」
「自分が何者か分からないらしい――それに日々悩みを抱えている。俺が得ようとした知性や記憶は、純粋にこの亜人の記憶だ。しかし得られてた情報は自分が何者か? という事のみ。生い立ちとかも何も分からない。記憶が飛んでいる」
「無駄だ――」
そう一言話したのは俺と戦闘している亜人だった。その声色は少年のようだった。
「俺は自分が何者か分からないからな」
「なあ――元々は人間だったって事はないのか?」
「分からない。そして俺は何故ここにいるのかも分からない。全て分からない事だらけなんだ」
その声色には少し悲しみも入っていた。表情は無いけど感情はしっかりあるようだ。
「何の為に俺達と戦っているのかも分からないのか?」
「そうだ。ただ主からは君達を抹殺しろという命令が下されただけだ。亜人に感情などない――ただ下された命令を遂行するだけだ」
「他のは分からないけど、俺からするとアンタは感情があるように思えるけど?」
「そうだな。だから自分が何者なのか分からなくて困っているのだ。他の亜人とは違って言語を話すことができる。戦闘知識は無いのに本能のまま体が動いてしまう――そんな自分という存在が分からず日々を送っているのだ」
普通の魔物ならこんな悩みは生まれない――魔物でこんな悩みを抱えるとすれば、人型化を長く使い続けた魔物くらいだ。しかしこの亜人には俺が視た限りでは人型化を持っていない。そう考えると、この亜人の正体は人間なのではないのだろうか――? 血が赤い事も亜人では無い別の生物という可能性があるしな――。
「自分の正体が知りたいのか?」
「君達が俺の正体を暴くのか?」
「そうだ」
「どうやって調べるんだ?」
「脳波を調べるのさ。俺の国には優秀な医師達がいるからな」
すると亜人はしばらく黙り込んだ。
「その前にあの巨人を倒さないとな」
そう言って長い鉤爪を元の手に戻してくれたので、俺は亜人と戦わずに済んだ。そう思っていた。
「グアアアアア! ヤメロ! ヤメロー!」
と、頭を抱える亜人の断末魔が響いた。
「何か憑りつかれているいるのでしょうか?」
「様子が変だな。洗脳されているなら、ミクちゃんかアリシアの神聖なる治癒で解く事は可能なんだけど」
「私がやります!」
そう言って出て来たのはミアだった。
「頼む」
俺がそう言うとミアは苦しんでいる亜人に対して神聖なる治癒を行った。本来であれば光の輪が対象者を包み込んで、邪気が抜けていくのだが――。
「効きません!」
ミアはそう言って動揺していた。洗脳の類ではないのか!?
「うおおおおお!」
亜人は紫色の光と邪気に包み込まれた。俺と同じくらいの背丈だった亜人の身長は5m程の巨体になってしまった。特徴的な鉤爪は太刀の刀身のように長い。亜人というより小型の巨人族だ――。体格もガッシリとしていて威圧感も不気味さも先程とは比べ物にならない。そして気になる戦闘値は何と5,000――。
「それが正体なのか? えらく強くなったな」
「ご……5,000!?」
勿論、皆はそう言って驚いていた。
「俺から離れろ!」
振りかざしてくる巨大な手を睨めつけながら皆にそう忠告した。
「排除!」
亜人を後ろに吹き飛ばした。いつもならここで銃撃を浴びせるんだけどな――とか思いながら創造主でスローイングナイフを投げた。
3つ同時に投げてそれらは全て的中。亜人から赤い血が噴き出した。
しかし、特にリアクションを取らずに体勢を変えて地面に着地するなり3本のスローイングナイフを抜いた。
「あれが疑問なんですナリユキ様」
「疑問?」
「他の亜人の血は黒かったのですが、あの亜人だけ赤い血なのです」
「その正体を暴けばあの亜人の正体が分かるな」
「そういう事です」
この時俺はやる事を決めた。知性・記憶の略奪と献上で奴の記憶を奪ってやる。
そう思うと俺は亜人の方に駆けだしていた。亜人も俺に向かって走って来た。俺は左手を向けて「大爆発」と唱えて小規模の爆発を亜人に向けて放った。俺と亜人の戦闘値の差なら、普通はあれで倒すことができるんだけどな――と不思議でならなかった。
案の定、大爆発で動きが怯んだ。その隙に俺は金色に輝く手で亜人の頭を掴んだ。そして知性・記憶の略奪と献上を発動させた。しかし、この亜人から得られた情報は日々自分が何者か? という苦しみを受けている事だった。
「何だこれは――」
俺は慌ててミーシャ達がいるところに戻った。
「どうでしたか?」
「それがちょっと変わっていてな」
「それはつまりどういう事でしょうか?」
「自分が何者か分からないらしい――それに日々悩みを抱えている。俺が得ようとした知性や記憶は、純粋にこの亜人の記憶だ。しかし得られてた情報は自分が何者か? という事のみ。生い立ちとかも何も分からない。記憶が飛んでいる」
「無駄だ――」
そう一言話したのは俺と戦闘している亜人だった。その声色は少年のようだった。
「俺は自分が何者か分からないからな」
「なあ――元々は人間だったって事はないのか?」
「分からない。そして俺は何故ここにいるのかも分からない。全て分からない事だらけなんだ」
その声色には少し悲しみも入っていた。表情は無いけど感情はしっかりあるようだ。
「何の為に俺達と戦っているのかも分からないのか?」
「そうだ。ただ主からは君達を抹殺しろという命令が下されただけだ。亜人に感情などない――ただ下された命令を遂行するだけだ」
「他のは分からないけど、俺からするとアンタは感情があるように思えるけど?」
「そうだな。だから自分が何者なのか分からなくて困っているのだ。他の亜人とは違って言語を話すことができる。戦闘知識は無いのに本能のまま体が動いてしまう――そんな自分という存在が分からず日々を送っているのだ」
普通の魔物ならこんな悩みは生まれない――魔物でこんな悩みを抱えるとすれば、人型化を長く使い続けた魔物くらいだ。しかしこの亜人には俺が視た限りでは人型化を持っていない。そう考えると、この亜人の正体は人間なのではないのだろうか――? 血が赤い事も亜人では無い別の生物という可能性があるしな――。
「自分の正体が知りたいのか?」
「君達が俺の正体を暴くのか?」
「そうだ」
「どうやって調べるんだ?」
「脳波を調べるのさ。俺の国には優秀な医師達がいるからな」
すると亜人はしばらく黙り込んだ。
「その前にあの巨人を倒さないとな」
そう言って長い鉤爪を元の手に戻してくれたので、俺は亜人と戦わずに済んだ。そう思っていた。
「グアアアアア! ヤメロ! ヤメロー!」
と、頭を抱える亜人の断末魔が響いた。
「何か憑りつかれているいるのでしょうか?」
「様子が変だな。洗脳されているなら、ミクちゃんかアリシアの神聖なる治癒で解く事は可能なんだけど」
「私がやります!」
そう言って出て来たのはミアだった。
「頼む」
俺がそう言うとミアは苦しんでいる亜人に対して神聖なる治癒を行った。本来であれば光の輪が対象者を包み込んで、邪気が抜けていくのだが――。
「効きません!」
ミアはそう言って動揺していた。洗脳の類ではないのか!?
「うおおおおお!」
亜人は紫色の光と邪気に包み込まれた。俺と同じくらいの背丈だった亜人の身長は5m程の巨体になってしまった。特徴的な鉤爪は太刀の刀身のように長い。亜人というより小型の巨人族だ――。体格もガッシリとしていて威圧感も不気味さも先程とは比べ物にならない。そして気になる戦闘値は何と5,000――。
「それが正体なのか? えらく強くなったな」
「ご……5,000!?」
勿論、皆はそう言って驚いていた。
「俺から離れろ!」
振りかざしてくる巨大な手を睨めつけながら皆にそう忠告した。
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