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謎に包まれた亜人Ⅲ
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「大爆発!」
俺は躊躇することなく右手に向けて発動させた。その甲斐があってか亜人の手は取れてしまった。少し怯んだようだが、痛覚無効Ⅴの影響で苦しむことなく左手を振りかざして来た。俺はそのまま上に跳んで、亜人の胸を斬りつけた。すると亜人は後退りをしながら怯み、俺を睨めつけてきた。
「流石にタフだな」
俺がそう思っていると、倒れている亜人の所へ何やら向かった。倒れている亜人に関してはもう立つことができないような状態だった。
「何をする気だ?」
すると、亜人は倒れている亜人に触れるなり、青い炎のような浮遊物を体内に取り込んだ。
「ナリユキ様! あれは魂吸引です!」
「あ――そうか――その手があったか」
この亜人は仲間の魂を自身のエネルギーに変換したのだ。勿論、魂を抜き取られたあの亜人は死んでしまった。仲間意識というものは無いのだろうか――?
「それにしても躊躇ねえな」
「さっきまでの状態はまだ理性があるようでした――が、今は恐らく理性という概念はありませんね。痛覚無効があるのでアンデッド族のように何度でも起き上がってくることでしょう」
ミアがそう解説してくれた。
「因みに神聖なる治癒って洗脳系統なら何でも解けるんだっけ?」
「基本的にはそうですが、やはり術者の強さによって多少変わってきますからね。アリシア様やミク様であれば解くことができると思いますが、それでも解けない場合は――」
「原因不明ってことだな。とりあえず早めにカタをつけないとな」
「そうですね――強敵ですからね」
「多分そうじゃない」
そう割って入って来たのはミーシャだった。
「そうじゃないとは?」
ミアが怪訝な表情を浮かべていた。
「あの敵は元々の力を出しているのか、操る力が強くなってしまった為暴走しているかの2択となる。操られている力が強くなっている以上は、元々の力が出ていたとしても、あの亜人の体に大きい負荷がかかっているはず。ナリユキ様はそれを見越して早くカタをつけたいと考えているのだろう」
凄いじゃんミーシャ――流石幹部兼従者のリーダーだ。
「そうなのですか?」
「ああ。ミーシャの言う通りだ」
「敵の事まで考えて戦うなんて寛大なお心ですね。私には到底そのような真似はできません。この国の主がナリユキ様で本当に良かったです」
と、目をキラキラと輝かせていた。アリシアもそうだけど女性陣の森妖精達は俺のことヨイショし過ぎじゃない?
「マズいな戦闘値が少しだけど上がったな」
「いくらになったのですか?」
「5,200だな。ここ最近インフレ凄くて困るんだけど」
俺がそう言っていると、亜人が俺に向かって掌を向けて来た。
「俺の後ろにいろ!」
俺がそう言うと、ミーシャとミアは俺の後ろに隠れた。
膨大なエネルギーが溜まって放たれた巨大で邪悪なエネルギー光。そう悪の破壊光だ。
俺はそのエネルギー光を手で弾き、亜人の方へと返した。しかし、亜人はそのエネルギー光を俺の方へと返して来た。
「面白い」
俺の方へ再度飛んできた悪の破壊光。どうせならエネルギーの塊でキャッチボールしようじゃないか!
そう思って弾き飛ばすときは悪の破壊光に対して、スキルリターンで跳ね返すだけはなく、MPも少し消費して悪の破壊光の威力を上げていた。当然跳ね返す度に速度が上がる。
「す――凄い」
「悪の破壊光のスキルリターンがもはや玉遊びに見えます」
と、ミアの後にミーシャがそう続いた。
「おら!」
跳ね返して返ってくるのが0.5秒とかのレベルになったときに、亜人は反応できずに攻撃に直撃した。MPを消費して大きくしていたからなかなか大きい悪の破壊光だった。
亜人も相当なダメージを受けたのか、倒れてからなかなか起き上がることができないようだ。
「今だ」
俺は亜人の体に乗って胸に刀を突き刺した。赤い血がスプリンクラーのように撒き散らされるが、これだけ攻撃を喰らっても声1つ上げないから不気味なものだ。突き刺したあとはバックジャンプでミーシャとミアの所に戻る。
「大爆発!」
恐らく俺がこの攻撃を行っても死ぬような奴じゃないから遠慮なく爆破した。地面を大きく揺るがす衝撃。耳栓が発動しているのにも関わらず大きく響く衝撃音。どれも威力が十分な事を指している。
黒煙が少しずつ晴れていくなか、うっすらと姿を現す亜人――。後ろにいるミーシャとミアは思わず固唾を飲んでいた。
すると元の姿になっており地面で倒れていた。ピクリとも動かない姿を見ると気絶しているようだった。
「あの亜人は連れて行くぞ。ミクちゃんとアリシアの神聖なる治癒で無理なら、アリシアの森羅万象で、亜人の体の中にある何らかのスキルを無にしてやる」
「かしこまりました」
こうして俺達の戦闘は終わった。残りはミクちゃんとアリシアのアグリオス戦だけだ。
俺は躊躇することなく右手に向けて発動させた。その甲斐があってか亜人の手は取れてしまった。少し怯んだようだが、痛覚無効Ⅴの影響で苦しむことなく左手を振りかざして来た。俺はそのまま上に跳んで、亜人の胸を斬りつけた。すると亜人は後退りをしながら怯み、俺を睨めつけてきた。
「流石にタフだな」
俺がそう思っていると、倒れている亜人の所へ何やら向かった。倒れている亜人に関してはもう立つことができないような状態だった。
「何をする気だ?」
すると、亜人は倒れている亜人に触れるなり、青い炎のような浮遊物を体内に取り込んだ。
「ナリユキ様! あれは魂吸引です!」
「あ――そうか――その手があったか」
この亜人は仲間の魂を自身のエネルギーに変換したのだ。勿論、魂を抜き取られたあの亜人は死んでしまった。仲間意識というものは無いのだろうか――?
「それにしても躊躇ねえな」
「さっきまでの状態はまだ理性があるようでした――が、今は恐らく理性という概念はありませんね。痛覚無効があるのでアンデッド族のように何度でも起き上がってくることでしょう」
ミアがそう解説してくれた。
「因みに神聖なる治癒って洗脳系統なら何でも解けるんだっけ?」
「基本的にはそうですが、やはり術者の強さによって多少変わってきますからね。アリシア様やミク様であれば解くことができると思いますが、それでも解けない場合は――」
「原因不明ってことだな。とりあえず早めにカタをつけないとな」
「そうですね――強敵ですからね」
「多分そうじゃない」
そう割って入って来たのはミーシャだった。
「そうじゃないとは?」
ミアが怪訝な表情を浮かべていた。
「あの敵は元々の力を出しているのか、操る力が強くなってしまった為暴走しているかの2択となる。操られている力が強くなっている以上は、元々の力が出ていたとしても、あの亜人の体に大きい負荷がかかっているはず。ナリユキ様はそれを見越して早くカタをつけたいと考えているのだろう」
凄いじゃんミーシャ――流石幹部兼従者のリーダーだ。
「そうなのですか?」
「ああ。ミーシャの言う通りだ」
「敵の事まで考えて戦うなんて寛大なお心ですね。私には到底そのような真似はできません。この国の主がナリユキ様で本当に良かったです」
と、目をキラキラと輝かせていた。アリシアもそうだけど女性陣の森妖精達は俺のことヨイショし過ぎじゃない?
「マズいな戦闘値が少しだけど上がったな」
「いくらになったのですか?」
「5,200だな。ここ最近インフレ凄くて困るんだけど」
俺がそう言っていると、亜人が俺に向かって掌を向けて来た。
「俺の後ろにいろ!」
俺がそう言うと、ミーシャとミアは俺の後ろに隠れた。
膨大なエネルギーが溜まって放たれた巨大で邪悪なエネルギー光。そう悪の破壊光だ。
俺はそのエネルギー光を手で弾き、亜人の方へと返した。しかし、亜人はそのエネルギー光を俺の方へと返して来た。
「面白い」
俺の方へ再度飛んできた悪の破壊光。どうせならエネルギーの塊でキャッチボールしようじゃないか!
そう思って弾き飛ばすときは悪の破壊光に対して、スキルリターンで跳ね返すだけはなく、MPも少し消費して悪の破壊光の威力を上げていた。当然跳ね返す度に速度が上がる。
「す――凄い」
「悪の破壊光のスキルリターンがもはや玉遊びに見えます」
と、ミアの後にミーシャがそう続いた。
「おら!」
跳ね返して返ってくるのが0.5秒とかのレベルになったときに、亜人は反応できずに攻撃に直撃した。MPを消費して大きくしていたからなかなか大きい悪の破壊光だった。
亜人も相当なダメージを受けたのか、倒れてからなかなか起き上がることができないようだ。
「今だ」
俺は亜人の体に乗って胸に刀を突き刺した。赤い血がスプリンクラーのように撒き散らされるが、これだけ攻撃を喰らっても声1つ上げないから不気味なものだ。突き刺したあとはバックジャンプでミーシャとミアの所に戻る。
「大爆発!」
恐らく俺がこの攻撃を行っても死ぬような奴じゃないから遠慮なく爆破した。地面を大きく揺るがす衝撃。耳栓が発動しているのにも関わらず大きく響く衝撃音。どれも威力が十分な事を指している。
黒煙が少しずつ晴れていくなか、うっすらと姿を現す亜人――。後ろにいるミーシャとミアは思わず固唾を飲んでいた。
すると元の姿になっており地面で倒れていた。ピクリとも動かない姿を見ると気絶しているようだった。
「あの亜人は連れて行くぞ。ミクちゃんとアリシアの神聖なる治癒で無理なら、アリシアの森羅万象で、亜人の体の中にある何らかのスキルを無にしてやる」
「かしこまりました」
こうして俺達の戦闘は終わった。残りはミクちゃんとアリシアのアグリオス戦だけだ。
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