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アルボス城での激闘Ⅰ
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「ナリユキ閣下は手紙を見てくれているのだろうか?」
深く息を吐きながらスカーは俺にそう言って来た。
「別にいいだろ。見ていても見ていなくても、あの人は国主だから色々と多忙なんだろ?」
「確かにそうだな」
スカーがそう言って見上げた。
「立派な城だ。古びているがな。情報だとここなんだろ? 派手に暴れよう」
カリブデウスはそう言って口角を吊り上げている――。
エウルアにあるマーティンという町から数キロ離れた森にある白い巨城。その城は神出鬼没に現れては消えるという――なのでマーティンの住民達はあまり認知していないようだった。しかし、創生に関する大聖堂を4つ回って辿り着いた場所だ。何より俺の眼が正しいと言っている。
「敵はいるか?」
スカーが俺にそう問いかけてきた。
「ああ。わんさかいるぞ。それに魔石を体に宿している奴もいるようだ」
「と、言う事はディアン公爵みたいな奴がいるってことか?」
「そうだな。創世の幹部で間違いないだろう」
「なら、八つ裂きにしてやる。ディアン公爵にやられた分を返してやる」
カリブデウスは水蛇竜の姿へと戻り、スカーは妖鬼の姿に戻った。
「おい待て。どうする気だ」
「決まっているだろ。この城ごと破壊してくれるわ!」
「馬鹿か。相手は創世だ。結界なりを張っている筈だ。攻めるなら上から行こう。正面からいく必要がない。と、いうことで俺とスカーを乗せろ」
「それが人に物を頼む態度か!?」
「人じゃないだろ。誰がどう見たって竜だ」
「そういうのはいい!」
と、いつも通り喧嘩が始まったわけだ。コイツの面倒くささは異常だ。
「今は一刻を争う。早めに潜入してカタをつけるのが最優先」
「――分かった。早く乗れ」
カリブデウスの背中に乗り、地上高100mほどのこの城の上空にまで到達した。正直なところ、こんな巨大な城の存在が一般人に認知されていないというのはにわかに信じ難い話だが。
「いけカリブデウス。結果は張っているが、あのあたりが薄い。屋根が二番目に高いところだ」
「任せろ」
カリブデウスの口には巨大な赤いエネルギーが集中していた。
「龍の咆哮!」
ギイイイイイという超高音と共に、カリブデウスの口から赤いエネルギー波を発射された。
その攻撃は見事に城に直撃。結界もろとも粉砕して城の一部を破壊した。
「上出来だ。あそこに行け」
「分かった」
破壊した場所では数名の人が横たわっていた。まあ俺からしたら運が無かったとしか思わないし、そもそも人を殺す事に抵抗が無い俺からすれば、こいつらの命なんてどうでもいいことだ。
「何者だ貴様等!」
「魔物だ」
「増援を頼む! 水蛇竜が襲って来たぞ!」
と、案の定白の鎧を身に着けた兵士共が集まってきた訳だ。
「貴様等雑魚に興味は無い。ボスはいるか?」
「タダでは済むと思うな!」
「生きて返さない!」
そう言って火のスキルやら、光のスキルやらの攻撃を仕掛けて来た。
「話が通じない馬鹿共の集まりだな」
「まあ、いきなり城の一部を破壊したら冷静さを失うよな」
「――それは確かに正論だな。カリブデウス。奴等を跡形も無く消せ。俺が進む道の邪魔をする奴は全員殺せ」
「お前――相当イライラしているな。まあいい」
カリブデウスはそう言って、雑魚共の攻撃を避けながら龍の咆哮を浴びせた。雑魚共は紙くずのように吹き飛び、そのまま城の外に放り出される人間もいた。
「命を無駄にしたくなければボスを呼べ!」
俺がそう言うと雑魚共は完全に怖気づいていた。当然さっきの龍の咆哮で、さらに城の一部が壊れたこともあり、奴等の心の中は迷いと混乱に満ち溢れていた。
「ん――? どういう事だ?」
「どうした?」
俺の隣に座っているスカーがそう問いかけて来た。
「今、魔眼で奴等の心を読み取ろうとしているのだが、急に希望に満ち溢れたような感情になってやがる」
「どういう事だ?」
「分からん」
何だ――この違和感は――?
そう思い、城全体を見渡した。そして気付いた――。
「魔石を持っていた奴がいなくなった――!」
「正解」
俺がそう焦りをみせると後ろから声がした――!
「貴様いつの間に?」
「そうだね~。ついさっきかな?」
そう舐めた口調で話をしてくるのは、白いローブを身に纏った金色蛇の仮面の人物だった。腕にはあの殺戮の腕も装着している。が――空を飛んでいる原理は分からない。何かのスキルだろうか? 殺戮の腕を使っているようにも思えないしな。
「そうか――そう言えばここ最近我々の素性を暴こうとしている輩がいたって言っていたね。君達の事だったかな?」
そう柔らかい口調で自信満々に切り込んできた。
「そうだと言ったらどうなるんだ?」
「殺すに決まっているよね? 何より、神聖なアルボス城を破壊したんだ。理由はどうであれ万死に値する」
「それなら話が早い。創世の幹部だな?」
「そうだよ。僕はここを統括している長とでも言えばいいのかな? 正確にはこの辺りを監視している者だけどね。君たち名前は? なかなか強そうだから名前くらいは憶えておいてあげるよ」
「随分と自信満々だな。名乗る前にまず自分から名乗ったらどうだ?」
すると男は「失礼」と言ってお辞儀をした。
「僕はLだ」
「それはコードネームだよな?」
「へえ。よく知っているね。確かにそうか。Qと戦ったことがあるもんね」
「そうだな。俺はカルディアだ」
「拙僧はスカーだ」
「我はカリブデウス」
そう俺達は名を名乗った。すると、Lは拍手を行いだした。
「話は通じそうで何よりだ。たまに言い損するときがあるからね~。直ぐに言ってくれなかったら、いつも通り殺していた所だ」
「その減らず口を言っていられるのも今のうちだ」
「どうかな?」
そう首を少し傾けたL。叩き潰してやる――!
深く息を吐きながらスカーは俺にそう言って来た。
「別にいいだろ。見ていても見ていなくても、あの人は国主だから色々と多忙なんだろ?」
「確かにそうだな」
スカーがそう言って見上げた。
「立派な城だ。古びているがな。情報だとここなんだろ? 派手に暴れよう」
カリブデウスはそう言って口角を吊り上げている――。
エウルアにあるマーティンという町から数キロ離れた森にある白い巨城。その城は神出鬼没に現れては消えるという――なのでマーティンの住民達はあまり認知していないようだった。しかし、創生に関する大聖堂を4つ回って辿り着いた場所だ。何より俺の眼が正しいと言っている。
「敵はいるか?」
スカーが俺にそう問いかけてきた。
「ああ。わんさかいるぞ。それに魔石を体に宿している奴もいるようだ」
「と、言う事はディアン公爵みたいな奴がいるってことか?」
「そうだな。創世の幹部で間違いないだろう」
「なら、八つ裂きにしてやる。ディアン公爵にやられた分を返してやる」
カリブデウスは水蛇竜の姿へと戻り、スカーは妖鬼の姿に戻った。
「おい待て。どうする気だ」
「決まっているだろ。この城ごと破壊してくれるわ!」
「馬鹿か。相手は創世だ。結界なりを張っている筈だ。攻めるなら上から行こう。正面からいく必要がない。と、いうことで俺とスカーを乗せろ」
「それが人に物を頼む態度か!?」
「人じゃないだろ。誰がどう見たって竜だ」
「そういうのはいい!」
と、いつも通り喧嘩が始まったわけだ。コイツの面倒くささは異常だ。
「今は一刻を争う。早めに潜入してカタをつけるのが最優先」
「――分かった。早く乗れ」
カリブデウスの背中に乗り、地上高100mほどのこの城の上空にまで到達した。正直なところ、こんな巨大な城の存在が一般人に認知されていないというのはにわかに信じ難い話だが。
「いけカリブデウス。結果は張っているが、あのあたりが薄い。屋根が二番目に高いところだ」
「任せろ」
カリブデウスの口には巨大な赤いエネルギーが集中していた。
「龍の咆哮!」
ギイイイイイという超高音と共に、カリブデウスの口から赤いエネルギー波を発射された。
その攻撃は見事に城に直撃。結界もろとも粉砕して城の一部を破壊した。
「上出来だ。あそこに行け」
「分かった」
破壊した場所では数名の人が横たわっていた。まあ俺からしたら運が無かったとしか思わないし、そもそも人を殺す事に抵抗が無い俺からすれば、こいつらの命なんてどうでもいいことだ。
「何者だ貴様等!」
「魔物だ」
「増援を頼む! 水蛇竜が襲って来たぞ!」
と、案の定白の鎧を身に着けた兵士共が集まってきた訳だ。
「貴様等雑魚に興味は無い。ボスはいるか?」
「タダでは済むと思うな!」
「生きて返さない!」
そう言って火のスキルやら、光のスキルやらの攻撃を仕掛けて来た。
「話が通じない馬鹿共の集まりだな」
「まあ、いきなり城の一部を破壊したら冷静さを失うよな」
「――それは確かに正論だな。カリブデウス。奴等を跡形も無く消せ。俺が進む道の邪魔をする奴は全員殺せ」
「お前――相当イライラしているな。まあいい」
カリブデウスはそう言って、雑魚共の攻撃を避けながら龍の咆哮を浴びせた。雑魚共は紙くずのように吹き飛び、そのまま城の外に放り出される人間もいた。
「命を無駄にしたくなければボスを呼べ!」
俺がそう言うと雑魚共は完全に怖気づいていた。当然さっきの龍の咆哮で、さらに城の一部が壊れたこともあり、奴等の心の中は迷いと混乱に満ち溢れていた。
「ん――? どういう事だ?」
「どうした?」
俺の隣に座っているスカーがそう問いかけて来た。
「今、魔眼で奴等の心を読み取ろうとしているのだが、急に希望に満ち溢れたような感情になってやがる」
「どういう事だ?」
「分からん」
何だ――この違和感は――?
そう思い、城全体を見渡した。そして気付いた――。
「魔石を持っていた奴がいなくなった――!」
「正解」
俺がそう焦りをみせると後ろから声がした――!
「貴様いつの間に?」
「そうだね~。ついさっきかな?」
そう舐めた口調で話をしてくるのは、白いローブを身に纏った金色蛇の仮面の人物だった。腕にはあの殺戮の腕も装着している。が――空を飛んでいる原理は分からない。何かのスキルだろうか? 殺戮の腕を使っているようにも思えないしな。
「そうか――そう言えばここ最近我々の素性を暴こうとしている輩がいたって言っていたね。君達の事だったかな?」
そう柔らかい口調で自信満々に切り込んできた。
「そうだと言ったらどうなるんだ?」
「殺すに決まっているよね? 何より、神聖なアルボス城を破壊したんだ。理由はどうであれ万死に値する」
「それなら話が早い。創世の幹部だな?」
「そうだよ。僕はここを統括している長とでも言えばいいのかな? 正確にはこの辺りを監視している者だけどね。君たち名前は? なかなか強そうだから名前くらいは憶えておいてあげるよ」
「随分と自信満々だな。名乗る前にまず自分から名乗ったらどうだ?」
すると男は「失礼」と言ってお辞儀をした。
「僕はLだ」
「それはコードネームだよな?」
「へえ。よく知っているね。確かにそうか。Qと戦ったことがあるもんね」
「そうだな。俺はカルディアだ」
「拙僧はスカーだ」
「我はカリブデウス」
そう俺達は名を名乗った。すると、Lは拍手を行いだした。
「話は通じそうで何よりだ。たまに言い損するときがあるからね~。直ぐに言ってくれなかったら、いつも通り殺していた所だ」
「その減らず口を言っていられるのも今のうちだ」
「どうかな?」
そう首を少し傾けたL。叩き潰してやる――!
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