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アルボス城での激闘Ⅱ
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「ちょこまかと――!」
俺はカリブデウスの背中から降りて、黒翼を使ってLと空中戦を繰り広げていた。そして、スカーの指示でカリブデウスがタイミング良く支援をしてくれるのだが、Lはちょこまかと動き回り俺達の攻撃をいとも簡単に避けやがる。そもそもの話だがコイツ――。
「お前何者だ? 魔石が体内に埋め込まれているとは言え俺達の攻撃をこうも簡単に避けやがるとは」
「だから言っているじゃないか。僕の名前はL。でもまあ、魔石が無くても君たち程度なら勝つことはできるけどね」
「ほう。見せてみろよ」
「本当にいいの?」
「ああ――」
俺がそう言った途端、俺の背筋に寒気が走った。仮面の特殊な効果で生憎俺の魔眼の透視は阻害されていて、Lの表情を拝むことはできないが嫌な予感がした。それは本能的にだった。
「カリブデウス! スカー!」
俺がそう叫んで後ろに振り返った時にはすでに遅かった。Lが出した水刃でカリブデウスの翼はもがれていたのだ。
「クソオオオ!」
そう言って落下していくカリブデウスとスカー。
「チッ……」
俺が動こうとしたきだった。
「自分の心配しないと」
後ろからそう声がしたので俺は一度Lから距離をとった。気付けば俺の首は少し切れていた。
ズドーン!
そう衝撃音が聞こえた。上空110m程から落下したカリブデウスとスカー。2人を見る限り無事は無事だが創世の兵士達に取り囲まれてい――る?
「気付いたようだね。この城にいる創世の幹部は僕だけじゃない」
Lが言う通り、地上にはもう1人魔石が埋め込まれている人間がいた。Lと同等の強さのようだ。
「まあいい。俺が貴様をさっさと始末すればいいだけの話だからな」
「そう簡単にはいかないよ。創世の幹部を名乗っているのに弱い何て話――恥ずかしくてできないよ。それに、Qに手こずっていたんじゃ僕には勝てない。例え君が人間と魔族のハーフであろうとね」
「ほざけ。お前の心臓を喰らって全ての情報を吐いてもらうぞ」
「確か心臓喰らいだったね。情報は知っているよ。君たちがノックを殺してQの正体を突き止めたこともね」
「俺達の事――どこまで知っていやがる?」
「さあ?」
Lがそうとぼけた瞬間。俺は奴に向かって襲い掛かった。俺は肉弾戦が得意だから、できるだけLとの距離を縮めることにした。
「遅い」
そう言い残した時には俺の眼前からLの姿はなくなっていた。Lの気配は後ろにある。そう思って振り返ったときだった。
右頬に生温かいものが付着した。そう思うと次には右肩に激痛が走る。一方、Lは背を向けたまま俺の方へと振り返る。
自分でも信じられない量の血が流れていたのだ。誰がどう見ても致命傷。それに激痛が俺の全身を駆け巡った。
「いつの間に――」
俺はそう呟きながらも自分の右肩に視線を向けながら魔眼の回復を使用した。確かに痛い――が、問題はそこではない。
「一体どんなカラクリだ? 俺が目で追えない程のスピードとは」
「ただ、速いだけだよ」
今のは魔石の力なのか? それともLの身体能力なのか? いずれにしても、あの出鱈目な速さと俺の肩を抉った正体が分からなければ話が進まない。
現状――Lは何も所有していない。殺戮の腕からビームサーベルを出していたわけでもない。Lは今手ぶらだからな――。
「今、そうやってゆっくりと考えることができるのも僕が攻撃を仕掛けていないからだ。でもそんな暇――これから与えないよ」
Lはそう言って振り返った。そして、右手を何やら動かしていた。
そう思っていたら次の瞬間には――。
「一体何をした――!」
俺の体は血まみれになっていた。訳も分からず俺の体は傷だらけになっていたのだ。全身に激痛が走る――。
「さあね」
そう言ってLはまた手を動かした。とりあえず手が俺の方に向いているのは確かだ。俺は魔眼の回復を使って全身の傷を癒しながら、魔族特有の黒翼を使って上昇した。魔眼で視えないのは不気味だが、透明な何かが俺を襲っているに違いない――という結論に至った。それがスキルなのか武器なのかは分からない。
「へえ――避けるんだね」
「お前の手の動きに注意をしておけば問題無いだろう」
俺は身体向上を使って目一杯Lに突っ込んだ。Lは「いいだろう」と呟きながら手を動かしてきた。案の定手は俺の方を向いている。
「何っ――?」
俺がLの攻撃を見切って間合いに入ると、奴の顔面を殴打した。そしてLの腹部に掌底打ちを炸裂させる。物理攻撃無効のスキルはついていないようだ。案の定、体内の魔石に痛みを届けるイメージで奴に攻撃を喰らわせると、吐血して苦しんでいた。
器用に宙に浮きながらも息を切らすL。俺はそのまま奴の顔面に跳び蹴りを浴びせた。
すると奴は後ろに吹き飛んだ。
数秒すると俺は目を疑った。
Lはまるで空中に床があるかのように空の上を滑っていた。音は鳴っていないものの、俺の脳内でズザザザ――という音が自動再生される。
「空の上を歩いているのか? 飛んでいるのではなく――」
そう思ってLが俺の前に姿を現した時の全身の姿を思い出していた。思い出すと、足は垂直ではなく水平になっていた。
「と――いう事は叩き落して大ダメージを与えることができないのか? それは何かのパッシブスキルか? 俺は聞いたことが無いが」
「僕に一撃を入れた事を称賛し、1つ教えてあげよう。僕は空を歩くことができる。地上も空も僕の領域さ」
「成程な。じゃあさっき消えたのは何だ?」
「そこまで教えることできないよ。自分で見極めてもらうしかない」
「そうか。吐かせてやる」
確かにLはディアン公爵より強そうだ。面白くなってきた。
俺はカリブデウスの背中から降りて、黒翼を使ってLと空中戦を繰り広げていた。そして、スカーの指示でカリブデウスがタイミング良く支援をしてくれるのだが、Lはちょこまかと動き回り俺達の攻撃をいとも簡単に避けやがる。そもそもの話だがコイツ――。
「お前何者だ? 魔石が体内に埋め込まれているとは言え俺達の攻撃をこうも簡単に避けやがるとは」
「だから言っているじゃないか。僕の名前はL。でもまあ、魔石が無くても君たち程度なら勝つことはできるけどね」
「ほう。見せてみろよ」
「本当にいいの?」
「ああ――」
俺がそう言った途端、俺の背筋に寒気が走った。仮面の特殊な効果で生憎俺の魔眼の透視は阻害されていて、Lの表情を拝むことはできないが嫌な予感がした。それは本能的にだった。
「カリブデウス! スカー!」
俺がそう叫んで後ろに振り返った時にはすでに遅かった。Lが出した水刃でカリブデウスの翼はもがれていたのだ。
「クソオオオ!」
そう言って落下していくカリブデウスとスカー。
「チッ……」
俺が動こうとしたきだった。
「自分の心配しないと」
後ろからそう声がしたので俺は一度Lから距離をとった。気付けば俺の首は少し切れていた。
ズドーン!
そう衝撃音が聞こえた。上空110m程から落下したカリブデウスとスカー。2人を見る限り無事は無事だが創世の兵士達に取り囲まれてい――る?
「気付いたようだね。この城にいる創世の幹部は僕だけじゃない」
Lが言う通り、地上にはもう1人魔石が埋め込まれている人間がいた。Lと同等の強さのようだ。
「まあいい。俺が貴様をさっさと始末すればいいだけの話だからな」
「そう簡単にはいかないよ。創世の幹部を名乗っているのに弱い何て話――恥ずかしくてできないよ。それに、Qに手こずっていたんじゃ僕には勝てない。例え君が人間と魔族のハーフであろうとね」
「ほざけ。お前の心臓を喰らって全ての情報を吐いてもらうぞ」
「確か心臓喰らいだったね。情報は知っているよ。君たちがノックを殺してQの正体を突き止めたこともね」
「俺達の事――どこまで知っていやがる?」
「さあ?」
Lがそうとぼけた瞬間。俺は奴に向かって襲い掛かった。俺は肉弾戦が得意だから、できるだけLとの距離を縮めることにした。
「遅い」
そう言い残した時には俺の眼前からLの姿はなくなっていた。Lの気配は後ろにある。そう思って振り返ったときだった。
右頬に生温かいものが付着した。そう思うと次には右肩に激痛が走る。一方、Lは背を向けたまま俺の方へと振り返る。
自分でも信じられない量の血が流れていたのだ。誰がどう見ても致命傷。それに激痛が俺の全身を駆け巡った。
「いつの間に――」
俺はそう呟きながらも自分の右肩に視線を向けながら魔眼の回復を使用した。確かに痛い――が、問題はそこではない。
「一体どんなカラクリだ? 俺が目で追えない程のスピードとは」
「ただ、速いだけだよ」
今のは魔石の力なのか? それともLの身体能力なのか? いずれにしても、あの出鱈目な速さと俺の肩を抉った正体が分からなければ話が進まない。
現状――Lは何も所有していない。殺戮の腕からビームサーベルを出していたわけでもない。Lは今手ぶらだからな――。
「今、そうやってゆっくりと考えることができるのも僕が攻撃を仕掛けていないからだ。でもそんな暇――これから与えないよ」
Lはそう言って振り返った。そして、右手を何やら動かしていた。
そう思っていたら次の瞬間には――。
「一体何をした――!」
俺の体は血まみれになっていた。訳も分からず俺の体は傷だらけになっていたのだ。全身に激痛が走る――。
「さあね」
そう言ってLはまた手を動かした。とりあえず手が俺の方に向いているのは確かだ。俺は魔眼の回復を使って全身の傷を癒しながら、魔族特有の黒翼を使って上昇した。魔眼で視えないのは不気味だが、透明な何かが俺を襲っているに違いない――という結論に至った。それがスキルなのか武器なのかは分からない。
「へえ――避けるんだね」
「お前の手の動きに注意をしておけば問題無いだろう」
俺は身体向上を使って目一杯Lに突っ込んだ。Lは「いいだろう」と呟きながら手を動かしてきた。案の定手は俺の方を向いている。
「何っ――?」
俺がLの攻撃を見切って間合いに入ると、奴の顔面を殴打した。そしてLの腹部に掌底打ちを炸裂させる。物理攻撃無効のスキルはついていないようだ。案の定、体内の魔石に痛みを届けるイメージで奴に攻撃を喰らわせると、吐血して苦しんでいた。
器用に宙に浮きながらも息を切らすL。俺はそのまま奴の顔面に跳び蹴りを浴びせた。
すると奴は後ろに吹き飛んだ。
数秒すると俺は目を疑った。
Lはまるで空中に床があるかのように空の上を滑っていた。音は鳴っていないものの、俺の脳内でズザザザ――という音が自動再生される。
「空の上を歩いているのか? 飛んでいるのではなく――」
そう思ってLが俺の前に姿を現した時の全身の姿を思い出していた。思い出すと、足は垂直ではなく水平になっていた。
「と――いう事は叩き落して大ダメージを与えることができないのか? それは何かのパッシブスキルか? 俺は聞いたことが無いが」
「僕に一撃を入れた事を称賛し、1つ教えてあげよう。僕は空を歩くことができる。地上も空も僕の領域さ」
「成程な。じゃあさっき消えたのは何だ?」
「そこまで教えることできないよ。自分で見極めてもらうしかない」
「そうか。吐かせてやる」
確かにLはディアン公爵より強そうだ。面白くなってきた。
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