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掘り出されたアイテムⅡ

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「そしてこの日記だな」

 カルディアがそう言って手に取った日記。革で出来ているしっかりとした日記は、本と言い切ってしまって問題無い程の重厚感があった。紙に関しては黄ばんでおり、この世界の言語っぽいが、古文のように規則性がバラバラで内容が分からない。当然、1,000年近く生きているスカーやカリブデウスに訊いても、読めないとのことだった。

「これはアーツさんとかじゃないと分からないかもしれないな。とりあえず持ち帰ってアリシアに訊いているしかない」

「そうだね。アリシアさんはマーズベルのなかでは一番の長生きだし、知能が高い森妖精エルフだから、文字が読める可能性は一番高そうだからね。あとはフーちゃんとかも知っているかも?」

「確かにそうだな。因みにカルディア達の知り合いで、こういうのが得意そうな人がいるか?」

「俺がそんな人脈を築いていると思うか?」

 カルディアに真顔でそう即答された。確かに人脈築くの下手くそそうだもんな――。と、俺は思わず苦笑いをしていた。心を読まれていたのか、カルディアはフンと鼻を鳴らした。

「悪いな。カルディアがこうだから人脈を築くのは下手くそなんだ。寧ろ、こうやってナリユキ殿達とこうして普通に交流できている事が奇跡に近い」

「尊敬できる人じゃないと関りを持ちたがらない」

「それに人に興味が無いしな」

 スカーとカリブデウスがカルディアの事をそう弄っていると、カルディアは眉を細めて2人を睨めつけた。

「おい」

 ドスの効いた声でそう威嚇しているカルディアの後ろには魔王のような異形の姿をしたオーラが見えた気がする。ただならぬ殺気に2人はコホンと咳払いをした。これが魔真王サタンをコントロールできるようになった男の殺気か。数字だけで見ると俺より強いもんな。

「とりあえずこれらのアイテムは鑑定が必要だな。これもルミエールかアーツさんに訊くしか無いな」

「カーネル王なら多分腕利きの考古学者を知っている筈」

「珍しく人の情報を知っているんだな」

「俺達が所属しているギルドの国の王だからな。あの人は国民から慕われているから、王に関する情報は意外と出回っている。有名な貴族や王と会うってなった日には、国民は鼻の下を伸ばして誇らしげに語りながら酒を飲んでいたりするもんだ」

「カルディアそういうの嫌いそうだもんな?」

「そうだな。俺はあまりそういうのは好きじゃないから、それが悪い記憶となって憶えていたりする。いくら人の事が興味無いと言っても、一定の頻度で特定の人物の情報が入ると嫌でも覚える」

「成程ね。何から何までありがとうな」

 俺がそうカルディアにお礼を言うと「大したこと無い」といつも通りぶっきらぼうに言っていたが、何となく恥じらっているようにも思えた。

「カルディアさんありがとう!」

 トドメのミクちゃん。それに対して俺と同じような返事をするがそのまま顔を反らしてしまった。まあ俺からすれば、表情が読み取りづらいカルディアが、俺達に少しずつでも心を開いてくれているようで、嬉しい気持ちになれる。

「まあ後は一旦全て持ち帰って解析して、カードだけは青龍リオさんのところへ持っていくか」

「そうだね。あと一応殺戮の腕ジェノサイド・アームも持って行ってもいいんじゃないかな?」

 ミクちゃんはそう言いながら、俺に殺戮の腕ジェノサイド・アームの説明書を渡してきた。色々と探している中で、この殺戮の腕ジェノサイド・アームの説明書を見つけ出すことができたのは大きな収穫だ。これを持ち帰るとうちにある殺戮の腕ジェノサイド・アームは2つになる。まあ、普通に考えたら、こんなハイスペックな科学の塊を軍事利用するのはどうかと思うけど、その辺りは六芒星会議ヘキサグラム・サミットで決めようと思う。まずは、青龍リオさんにお披露目しておいた方が、話がスムーズだと判断した。

「俺達は先に帰ってる。カルディア達は、飛行船オスプレイを向かわせるからこの国で待機しておいてくれ。そしたらマーズベルで今回の旅の疲れると思うしな。それに来てくれたら存分にもてなすからさ」

 俺がそう言うと、カリブデウスとスカーはカルディアの方に視線を移した。

「――そうさせてもらう」

「我は腹一杯のビガーポークが食べたいな」

「拙僧はお酒をたしなみたい」

 カリブデウスとスカーはそう言いながら目を輝かせていた。カルディアが「好きにしろ」と言うと、2人は大いに盛り上がっていた。

「決まりだな。じゃあこれを身に着けておいてくれ」

 俺はそう言って3台の機械を渡した。

「何だ? この黒いアーティファクトは?」

「これはもしかしてナリユキ殿の世界のアーティファクトか?」

 スカーにそう聞かれたので俺は「そうだ」と頷いた。

「これは発信機と呼ばれるアーティファクトだ。マカロフ卿達が協力してくれているので、こういうのもうちの国は持っているんだ。これを身に着けておいてくれれば、どこにいても飛行船オスプレイで迎えに行くことができる」

「それは便利なアーティファクトだな。それではとりあえずここの国にいればいいんだな?」

「ああ。できれば近くの町のマーティンにいれてくれるとありがたい」

「分かった。そうする」

「おう。じゃあまたな! 3日もあれば着くはずだから!」

「体調に気を付けて下さいね」

 俺とミクちゃんがそう言うと各々リアクションをくれた。その反応を見た後、俺達は入手したアイテムを持って一度マーズベルへと転移テレポートイヤリングを使って帰還した。
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