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掘り出されたアイテムⅢ

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「何だ。ナリユキ殿とミク殿か。余が渡した 転移テレポートイヤリングを存分に活用しておるな」

「こんにちは青龍リオさん」

 荷物を置き、殺戮の腕ジェノサイド・アームを装着した状態で青龍リオさんがいる場所へ訪れた。

青龍リオ・シェンラン様こんにちは」

 俺とミクちゃんがそう言うと青龍リオさんは笑顔を見せた。今日はマスクを付けていないらしい。なので、見た目は完全に美青年だ。

「それにしてもここ寒いですね。どこかの洞窟ですか?」

「そうだ。ナリユキ殿は一度来たことがあるな?」

「ええ」

 そう。ここの奥を進んで行くと、黒龍ニゲル・クティオストルーデが封印されている場所へ行くことができる。

「この国の状況も少し変わってな。来てくれたのはタイミングが良い。ミク殿も見ておいて欲しいのだ」

「何をですか?」

「ついてくれば分かる」

 青龍リオさんはそう言って奥へ進んで行った。ミクちゃんは首を傾げながら「何を見せてくれるんだろう?」と俺に訊いてきた。

「すぐに分かるさ」

 俺がそう言うとあまり納得していない表情を浮かべながら、俺の後についていくるミクちゃん。

真実を解けリメールサール

 以前と同じ合言葉を青龍リオさんが言うと、黒い鉄の門は開かれた。そしてその先に見えるのは結晶体と石板。勿論、石板の中には野球ボール程の大きさの黒の水晶が統一性なく数百程埋め込まれていた。以前来た時と同じ光景だ――ん?

「ナリユキ君。凄い綺麗な所に連れて来られたけどここはどこ? それに石板に描かれているあの黒い龍は?」

黒龍ニゲル・クティオストルーデが封印されている場所だよ。でも変だな――めちゃくちゃ黒色の水晶体が増えている気がする」

 俺が来た時と比べて明らかに黒い水晶体が増えている――これはつまりもう少しで黒龍ニゲル・クティオストルーデが復活するというサイン。

「そうなのだ。何故これほどまでに進行が早くなってしまったのか分からないが、あと半月もあれば復活してしまう。黒龍ニゲル・クティオストルーデがな」

「え? どういう事? もう復活しちゃうんですか?」

 と、あたふたとするミクちゃん。俺としては前々から聞かされていた事だったけど、とうとう復活してしまうのか――という複雑な心境だった。

「急いで、六芒星会議ヘキサグラム・サミットを開催するべきですね」

「うむ。そうなのだ。既に、各国の皆に六芒星会議ヘキサグラム・サミット開催の案内状を送っている。勿論マーズベルにもな」

「そうすると、本当にタイミング良かったんですね」

「そういう事だ。で、その腕は殺戮の腕ジェノサイド・アームか?」

「そうです。色々と調査していたところ、敵のアジトから殺戮の腕ジェノサイド・アームの説明書を見つけることができました。詳しい事も書いているので使い方どころか、開発もできるかもしれません。ただ、まあこれを軍事利用していいかどうかは、各国の皆様の意見を聞きたいと思っております」

「その話を六芒星会議ヘキサグラム・サミットで共有したいという事か?」

「そうです」

「確かに、マカロフ卿が現れてから出回り始めたオスプレイや手榴弾――自動追尾対空砲などとは訳が違うからな」

「まあ、それらはスキルがあれば破壊することができますからね。市場では高値なので、マカロフ卿が開発したアーティファクトを買える人は絞られておりますし」

「そうだな。中には小さい国の国家予算程の値段だったりするが、それは置いておいて、その殺戮の腕ジェノサイド・アームは誰でも超人的な力を得ることができる優れものだからな」

「そうなんですよ。様々な国と友好関係を築きたいと思っている私だからこそ、この殺戮の腕ジェノサイド・アームの使い方は皆で決めたいと考えています」

「いいだろう。黒龍ニゲル・クティオストルーデ殺戮の腕ジェノサイド・アームについてだな」

「それと創世ジェスに関しての進捗がありましたので、その話も共有します。そして――」

 俺はそう言ってアルボス城で入手した26枚のカードを出した。勿論、青龍リオさんは何だそれは? という反応を見せてくれる。

「このカードは、アルボス城と呼ばれている創世ジェスのアジトから見つけた代物です。恐らく、創世ジェスの初代幹部をカード化したもので、右下には人物の名前が記されています。そして、今回騒動を起こしていたQキューことストーク・ディアン公爵ですが、そのストーク・ディアン公爵と似ている人がいたのです。まずはその人物のラストネームに見覚えが無いか見て頂きたいと思いまして」

 俺はそう言って青龍リオさんにシレークス・ヴァレンタインを先頭にして渡した。

「どれどれ」

 そう言って青龍リオさんはまず、シレークス・ヴァレンタインのカードを眺めていた。

「ストーク・ディアン公爵に似ているのか?」

「はい」

「そうか――確かにヴァレンタインという貴族はいたぞ。隣国のディオール王国の貴族だ。しかし、数十年前にヴァレンタイン家は滅亡していたはずだが――」

「滅亡!?」

 俺はそう大きな声をあげてしまった。勿論、ミクちゃんと目を合わせたのは言うまでもない。

「そうだ。確か暗殺されたようだ。原因は分かっていないがな。これはあくまで余の仮説に過ぎないが、もしストーク・ディアン公爵がヴァレンタイン家の血を引いているのであれば、非常に稀な血を引いている事になる。それに身分を隠してカルカラに移住したと考えるのが妥当だろうな」

「稀な血というのはどういう事ですか?」

「条件を満たすことで時空間移動できる特殊能力だ」

 その言葉を聞いてカルディアから聞いた話と全く同じだった。カルディアは言っていた。大聖堂にいたかと思えばいきなり森に移動していたと――まさかその特殊能力がヴァレンタイン家が持っている特殊能力なのだろうか?

「その話、もう少し聞かせて下さい」
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