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魂魄と石板Ⅱ
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「それで? 確か石板も見たいのだったな?」
「石板と地下世界の地理だな」
「地理に関しては、ナリユキが知性・記憶の略奪と献上を使えばいいだけだからな。案内しよう」
「サンキュー」
俺達四人はそうしてゾークにこの部屋のさらに奥の部屋に連れ込まれた。何度も言うが、凄く厳つい見た目をしているので、S級の入口に立ち始めたくらいの実力の人間なら、奥の部屋に連れ込まれて食べられてしまうんじゃないか? とビクビクと恐怖におののいても不思議ではない。
近くにあると思っていたのに意外と遠かったな。あれから10分程歩いてやっと違う空間に出て来た。ゾークが佇んでいた空間とあまり変わらない。強いて言うならば、玉座は無く、部屋の中央に黄金の石板が地面に刺さっているくらいだ。
「大きな石板だね」
「立派だな」
「埃を被っているようじゃが、黄金の輝きは保たれたままじゃのう」
「地下世界にはこのような石板がある。何かの鍵にはなると思うのだが、我には何にを示しているのか分からん。しかし、あの石板は伝説の三大スキルについて記されている。自分達の目で確かめるとよい」
ゾークにそう言われて俺は石板の前に立った。しかしこの世界の言語でも無ければ、ラテン語でも無い。英語でもないしドイツ語でも無い――。
「龍族語でもない」
「魔族語でも無いのう」
青龍さん、アスモデウスさんの順番にそう呟いていた。
「森妖精語でも無いですね」
ミクちゃんはそう言って眉をひそめていた。
「あ、すまない」
ゾークはそう言って申し訳なさそうに謝罪をすると、ゾークは中腰になって俺を見つめて来た。
「これは神族語と言ってな。神の力を持つ者が秘密裏で使っていた語学だ。ナリユキならそれに相応しい力を持っている。我から地理と語学に関する情報を抜き取ると良い。あ、ちゃんと共有で返してもらわないと困るからな」
ゾークにそう忠告された。神族語? 何だそりゃ? とか思いつつも、俺はゾークの頭に手を置いて、神族語に関する情報と、地下世界に関する情報を抜き取った。
名前が名前だけに気になっていたが、太古の昔には神と呼ばれる存在がこの世界には何人もいたようだ。知性・記憶の略奪と献上もその神のなかの一人だ。それが今は俺の力になっているわけでが、その神々が使っていた能力が、今俺達のユニークスキルとなっているようだ。じゃあ神の名前が付いていない他のユニークスキルはどうなの? ってところまでは正直分からない――が、その神々が使っていた言語が神族語と呼ばれる言語らしい。つまり、地上、魔界、地下世界を含めてこの言語を知っているのは俺を含めて片手で数えられる程しかいないようだ。まあ、地下世界では冥龍オルクスも知っているようだけど、青龍さんが知らない言語と言う事は、黒龍も分からないだろう。
「大丈夫?」
ミクちゃんがそう心配そうな表情を浮かべて俺にそう問いかけてきた。
「大丈夫。無事に言語を理解できた。あとはこの石板を読むだけだ」
記されている内容はこうだ。今から遠い昔。神々の中でも特段力を持っていた3人の神がいた。それがアルカナ、アース、ゼウスの3人らしい。ゼウスについては俺達の世界でも馴染みのあるゼウスをイメージしていいだろう。それらの3人が互いの価値観の違いから始まり、最終的には世界を巻き込む大戦争を起こしたそうだ。当然、周りの神々も止めには入ったが、3人の力は凄まじく、他の神々は次々に戦死してしまった。ところがその戦争を止めた一人の人物がいた。その人物は驚く事に、3人の力を自身のユニークスキルに変えてしまった――。
「おい――これってもしかして?」
俺は思わずゾークを見た。ゾークは「うむ」と静かに呟いた事によって俺の考えは確信へと繋がる。
「どうしたのじゃ? ものすごい怖い顔をしておるのう――まあ、それはそれで妾はそそるのじゃが」
「話してくれ。何て書いてあったのだ?」
「どこから話せばいいかな――とりあえず、太古の昔には神様と呼ばれる存在が何人もいて、その神々が世界を統べる人物として君臨してみたいだ。もっと砕いて言うと、神々の六芒星みたいなのがあったらしい」
「――いきなりスケールの大きい話になってきたね」
「成程じゃな。でも今は実際にはいないのじゃろ? 長い事生きておるのに、妾が神の存在すら知らなかったなんて話があったら恥ずかしいわい」
アスモデウスさんがそう言っていたので、俺は頷いた後に「今はいない」と答えた。
「そもそも、余も龍ではあるが神様が本当にいたなんて話聞いたことがなかったな」
「そこは仕方ないと思います。神の存在そのものが数千以上も前から言い伝えられていないのですから」
「それは何で?」
ミクちゃんがそう問いかけてきたので、俺は「まあちょっと待って」と言い放つと、ミクちゃんは首を傾げていた。
「そんで、その神々のなかには俺達が今回問題視している1つ、アルカナ、アース、ゼウスという3人の神が、価値観のズレによって世界を巻き込む戦争を起こした。因みに、その価値観ってのは具体的には記されていないから今のところ分からん」
「価値観の違いで戦争って――」
「今の世界じゃ信じられないな――」
「魔界では良くある事じゃのう。気性の荒い魔王共がよく戦争するからのう――」
と、アスモデウスさんは笑っていたけど、今回はスルーしておこう。
「そんで、皆巻き込まれていて神々は次々に命を落としていった。なかなか止まらない3人の戦争に突如現れた人物が3人を倒して、その3人の力をユニークスキルへと変換させて、戦争を終わらせた人物がいたらしい――ここまで言えば分かるよな? そのスキルって今は誰が持っている? って話だよ」
俺がそう言うと、ミクちゃんも、青龍さんも、アスモデウスさんも驚いた表情を浮かべながら、ゆっくりと口を開いてこう言った。
「ミロク……!」
そう、神の戦争を止めた人物とは森妖精の祖。ミロクだ――!
「石板と地下世界の地理だな」
「地理に関しては、ナリユキが知性・記憶の略奪と献上を使えばいいだけだからな。案内しよう」
「サンキュー」
俺達四人はそうしてゾークにこの部屋のさらに奥の部屋に連れ込まれた。何度も言うが、凄く厳つい見た目をしているので、S級の入口に立ち始めたくらいの実力の人間なら、奥の部屋に連れ込まれて食べられてしまうんじゃないか? とビクビクと恐怖におののいても不思議ではない。
近くにあると思っていたのに意外と遠かったな。あれから10分程歩いてやっと違う空間に出て来た。ゾークが佇んでいた空間とあまり変わらない。強いて言うならば、玉座は無く、部屋の中央に黄金の石板が地面に刺さっているくらいだ。
「大きな石板だね」
「立派だな」
「埃を被っているようじゃが、黄金の輝きは保たれたままじゃのう」
「地下世界にはこのような石板がある。何かの鍵にはなると思うのだが、我には何にを示しているのか分からん。しかし、あの石板は伝説の三大スキルについて記されている。自分達の目で確かめるとよい」
ゾークにそう言われて俺は石板の前に立った。しかしこの世界の言語でも無ければ、ラテン語でも無い。英語でもないしドイツ語でも無い――。
「龍族語でもない」
「魔族語でも無いのう」
青龍さん、アスモデウスさんの順番にそう呟いていた。
「森妖精語でも無いですね」
ミクちゃんはそう言って眉をひそめていた。
「あ、すまない」
ゾークはそう言って申し訳なさそうに謝罪をすると、ゾークは中腰になって俺を見つめて来た。
「これは神族語と言ってな。神の力を持つ者が秘密裏で使っていた語学だ。ナリユキならそれに相応しい力を持っている。我から地理と語学に関する情報を抜き取ると良い。あ、ちゃんと共有で返してもらわないと困るからな」
ゾークにそう忠告された。神族語? 何だそりゃ? とか思いつつも、俺はゾークの頭に手を置いて、神族語に関する情報と、地下世界に関する情報を抜き取った。
名前が名前だけに気になっていたが、太古の昔には神と呼ばれる存在がこの世界には何人もいたようだ。知性・記憶の略奪と献上もその神のなかの一人だ。それが今は俺の力になっているわけでが、その神々が使っていた能力が、今俺達のユニークスキルとなっているようだ。じゃあ神の名前が付いていない他のユニークスキルはどうなの? ってところまでは正直分からない――が、その神々が使っていた言語が神族語と呼ばれる言語らしい。つまり、地上、魔界、地下世界を含めてこの言語を知っているのは俺を含めて片手で数えられる程しかいないようだ。まあ、地下世界では冥龍オルクスも知っているようだけど、青龍さんが知らない言語と言う事は、黒龍も分からないだろう。
「大丈夫?」
ミクちゃんがそう心配そうな表情を浮かべて俺にそう問いかけてきた。
「大丈夫。無事に言語を理解できた。あとはこの石板を読むだけだ」
記されている内容はこうだ。今から遠い昔。神々の中でも特段力を持っていた3人の神がいた。それがアルカナ、アース、ゼウスの3人らしい。ゼウスについては俺達の世界でも馴染みのあるゼウスをイメージしていいだろう。それらの3人が互いの価値観の違いから始まり、最終的には世界を巻き込む大戦争を起こしたそうだ。当然、周りの神々も止めには入ったが、3人の力は凄まじく、他の神々は次々に戦死してしまった。ところがその戦争を止めた一人の人物がいた。その人物は驚く事に、3人の力を自身のユニークスキルに変えてしまった――。
「おい――これってもしかして?」
俺は思わずゾークを見た。ゾークは「うむ」と静かに呟いた事によって俺の考えは確信へと繋がる。
「どうしたのじゃ? ものすごい怖い顔をしておるのう――まあ、それはそれで妾はそそるのじゃが」
「話してくれ。何て書いてあったのだ?」
「どこから話せばいいかな――とりあえず、太古の昔には神様と呼ばれる存在が何人もいて、その神々が世界を統べる人物として君臨してみたいだ。もっと砕いて言うと、神々の六芒星みたいなのがあったらしい」
「――いきなりスケールの大きい話になってきたね」
「成程じゃな。でも今は実際にはいないのじゃろ? 長い事生きておるのに、妾が神の存在すら知らなかったなんて話があったら恥ずかしいわい」
アスモデウスさんがそう言っていたので、俺は頷いた後に「今はいない」と答えた。
「そもそも、余も龍ではあるが神様が本当にいたなんて話聞いたことがなかったな」
「そこは仕方ないと思います。神の存在そのものが数千以上も前から言い伝えられていないのですから」
「それは何で?」
ミクちゃんがそう問いかけてきたので、俺は「まあちょっと待って」と言い放つと、ミクちゃんは首を傾げていた。
「そんで、その神々のなかには俺達が今回問題視している1つ、アルカナ、アース、ゼウスという3人の神が、価値観のズレによって世界を巻き込む戦争を起こした。因みに、その価値観ってのは具体的には記されていないから今のところ分からん」
「価値観の違いで戦争って――」
「今の世界じゃ信じられないな――」
「魔界では良くある事じゃのう。気性の荒い魔王共がよく戦争するからのう――」
と、アスモデウスさんは笑っていたけど、今回はスルーしておこう。
「そんで、皆巻き込まれていて神々は次々に命を落としていった。なかなか止まらない3人の戦争に突如現れた人物が3人を倒して、その3人の力をユニークスキルへと変換させて、戦争を終わらせた人物がいたらしい――ここまで言えば分かるよな? そのスキルって今は誰が持っている? って話だよ」
俺がそう言うと、ミクちゃんも、青龍さんも、アスモデウスさんも驚いた表情を浮かべながら、ゆっくりと口を開いてこう言った。
「ミロク……!」
そう、神の戦争を止めた人物とは森妖精の祖。ミロクだ――!
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