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学校の設立Ⅲ
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まずはアリシアに結界を張ってもらう。範囲はこの開拓した場所と、開拓した場所の端から森のなかも百メートル程含む。次にアリスの特性 幻場を展開した。これにより俺が理想としていた学校はひとまず完成だ。
「二人共ありがとう。あとは検証だな」
「検証? 何をされるのですか?」
「ん? 森の中から突如として現れる湖に浮かぶオシャレな学校をイメージしているんだ。だから、森の中から学校に湖が見えないのに、結界内に入った瞬間に見えるのはおかしいだろ?」
「そういう事でしたか! それで森も結界に含んだんですね」
アリシアはどうやら森の一部にも結界を張る意味が分からなかったらしいが納得してくれたようだ。
「そう。だからあとは実際に違和感無く学校が現れるかどうかだな。ちょっと面倒くさい作業だけど検証しよう」
「はい」
アリシアとアリスがそう返事をしてくれたのでさっそく作業開始。360°全ての包囲から検証する事にした。この地味な作業は流石に面倒くさい。もっと人を呼んでやるべきだったと後悔した。
道がないところからも確認しておくのはシンプルに完璧にしておきたいから。どの角度から見ても本当に湖が存在するかのようにしておきたいからだ。
寒空のなか俺達のこの作業は四時間程かかってしまった。結局全ての角度から完璧に見える範囲は、開拓エリアの端から300メートル程まで拡張してやっと完璧となった。
「お疲れ様。学校の食堂でワインでも飲むか」
「いいですね!」
「ワイン楽しみです!」
アリシアとアリスはそう目をキラキラと輝かせていた。食堂のテラス席に移動して、湖を眺めながら俺達三人はマーズベルの白ワインを堪能した。マーズベル・スプランデュールシャルドネ・ソレイユだ。これはよくマーズベルが他国へ輸出しているオーソドックスな白ワイン。海外への輸出するワインは基本的にはソレイユという畑から収穫したブドウを使っている。
三人で湖――とは言っても、アリスが創った幻に過ぎないけどこれはこれで楽しめる。何しろ、無かった筈の湖を満喫できるんだからな。
「これはこれで風情がありますね」
「そうだろ?」
アリシアもどうやら満足をしてくれているみたいだ。学校は楽しく学べる場所じゃないと意味がない。行きたくない学校はではなく行きたい学校にする。このテラス席がある食堂だって、好きな人との食事もより優雅にできる。わざわざ飲食店に行かなくてもここで完結する事ができる。
「食堂の料理人も集めておかないとな」
「まあ、しばらくは従者の中から数名こっちに来させるかな。スタート時はそれほど人数多くないだろうし」
「そうですね。あとは私達でもできる事があれば――例えば、人魚姫の中からも数名なら何かお手伝いできるかと思います」
「その気持ちありがたいね~。調理補助や警備などで2、3人割いてもらうか」
「かしこまりました」
と、アリスは快く引き受けてくれた。
「森妖精からも何人かこちらへ派遣できますがいかがでしょうか?」
「そうだな。森妖精からも何人か派遣してもらうか。可能な限りでいいぞ」
「かしこまりました」
アリシアはそう言ってニコッと微笑んだ。
「あとは授業内容だな――」
科目は、言語、化学、数学、歴史、政治を必須科目にする。戦闘、美術、医療、技術、音楽、料理、農学、鍛冶、経営――と今のところ思い浮かぶ科目はこれくらいだけど、これらの授業は選択科目とする。他にも要望などがあれば増やしていくつもりだ。
マーズベルの人口は現在100万人。建国当初が数万人くらいだったので、一年も経たないうちに随分と増えたものだ。そのうちの子供の人数は10万人程だ。年齢は0歳~18歳までを指している。
始めのうちは数十人くらいで想定しているけど、果たしてどううなることやら。
「とりあえずはこんな感じかな」
俺がメモ用紙にペンで科目を書いて二人に渡した。
「これが考えている分野ですか?」
と、アリシアが問いかけてきた。隣に座っているアリスはアリシアに体を寄せて覗いている。
「そうだな。とりあえずこれだけはしたい。アリシアはめちゃくちゃ忙しいから、数学、音楽に関してはメリーザに頼んでみようとは思う」
「私、全然いけますよ。メリーザに頼まなくても――」
と、アリシアは少し寂しそうな表情を浮かべている――。ちょっと目をウルっとさせるの止めてくれ。
「いや、働き過ぎなんだって。アンタ定時で帰れないぜ?」
「別にいいですよ?」
と、けろっとした表情を見せるアリシア。
「駄目だって。ほら、今度飲みに連れて行くから教壇に立つのは止めておこうな? 他に何かは頼むかもしれないけど」
「ナリユキ様と飲みに行けるんですか!?」
さっきまで沈んでいた表情が嘘みたいに明るくなった。そんなに俺と飲みに行きたかったのかこの人。
「アリシアさんって本当にナリユキさんの事好きですよね」
と、サラッとアリシアが言われたくないであろう事をアリスが漏らすと、アリシアの顔はみるみる紅潮していき顔を両手で覆っていた。まあ、こんなん鈍感な俺でも好意を持たれているのは流石に分かる。だがしかし。アリシアに俺以外に好きな人が出来ないのは流石に困る。
「そう言えばアリスはいないのか? 好きな人」
俺がそう質問すると、アリスは口元に運ぼうとしていたワインを服の上に少し零してしまった。明らかに動揺しているけどいるのか!? これは気になる――。
「二人共ありがとう。あとは検証だな」
「検証? 何をされるのですか?」
「ん? 森の中から突如として現れる湖に浮かぶオシャレな学校をイメージしているんだ。だから、森の中から学校に湖が見えないのに、結界内に入った瞬間に見えるのはおかしいだろ?」
「そういう事でしたか! それで森も結界に含んだんですね」
アリシアはどうやら森の一部にも結界を張る意味が分からなかったらしいが納得してくれたようだ。
「そう。だからあとは実際に違和感無く学校が現れるかどうかだな。ちょっと面倒くさい作業だけど検証しよう」
「はい」
アリシアとアリスがそう返事をしてくれたのでさっそく作業開始。360°全ての包囲から検証する事にした。この地味な作業は流石に面倒くさい。もっと人を呼んでやるべきだったと後悔した。
道がないところからも確認しておくのはシンプルに完璧にしておきたいから。どの角度から見ても本当に湖が存在するかのようにしておきたいからだ。
寒空のなか俺達のこの作業は四時間程かかってしまった。結局全ての角度から完璧に見える範囲は、開拓エリアの端から300メートル程まで拡張してやっと完璧となった。
「お疲れ様。学校の食堂でワインでも飲むか」
「いいですね!」
「ワイン楽しみです!」
アリシアとアリスはそう目をキラキラと輝かせていた。食堂のテラス席に移動して、湖を眺めながら俺達三人はマーズベルの白ワインを堪能した。マーズベル・スプランデュールシャルドネ・ソレイユだ。これはよくマーズベルが他国へ輸出しているオーソドックスな白ワイン。海外への輸出するワインは基本的にはソレイユという畑から収穫したブドウを使っている。
三人で湖――とは言っても、アリスが創った幻に過ぎないけどこれはこれで楽しめる。何しろ、無かった筈の湖を満喫できるんだからな。
「これはこれで風情がありますね」
「そうだろ?」
アリシアもどうやら満足をしてくれているみたいだ。学校は楽しく学べる場所じゃないと意味がない。行きたくない学校はではなく行きたい学校にする。このテラス席がある食堂だって、好きな人との食事もより優雅にできる。わざわざ飲食店に行かなくてもここで完結する事ができる。
「食堂の料理人も集めておかないとな」
「まあ、しばらくは従者の中から数名こっちに来させるかな。スタート時はそれほど人数多くないだろうし」
「そうですね。あとは私達でもできる事があれば――例えば、人魚姫の中からも数名なら何かお手伝いできるかと思います」
「その気持ちありがたいね~。調理補助や警備などで2、3人割いてもらうか」
「かしこまりました」
と、アリスは快く引き受けてくれた。
「森妖精からも何人かこちらへ派遣できますがいかがでしょうか?」
「そうだな。森妖精からも何人か派遣してもらうか。可能な限りでいいぞ」
「かしこまりました」
アリシアはそう言ってニコッと微笑んだ。
「あとは授業内容だな――」
科目は、言語、化学、数学、歴史、政治を必須科目にする。戦闘、美術、医療、技術、音楽、料理、農学、鍛冶、経営――と今のところ思い浮かぶ科目はこれくらいだけど、これらの授業は選択科目とする。他にも要望などがあれば増やしていくつもりだ。
マーズベルの人口は現在100万人。建国当初が数万人くらいだったので、一年も経たないうちに随分と増えたものだ。そのうちの子供の人数は10万人程だ。年齢は0歳~18歳までを指している。
始めのうちは数十人くらいで想定しているけど、果たしてどううなることやら。
「とりあえずはこんな感じかな」
俺がメモ用紙にペンで科目を書いて二人に渡した。
「これが考えている分野ですか?」
と、アリシアが問いかけてきた。隣に座っているアリスはアリシアに体を寄せて覗いている。
「そうだな。とりあえずこれだけはしたい。アリシアはめちゃくちゃ忙しいから、数学、音楽に関してはメリーザに頼んでみようとは思う」
「私、全然いけますよ。メリーザに頼まなくても――」
と、アリシアは少し寂しそうな表情を浮かべている――。ちょっと目をウルっとさせるの止めてくれ。
「いや、働き過ぎなんだって。アンタ定時で帰れないぜ?」
「別にいいですよ?」
と、けろっとした表情を見せるアリシア。
「駄目だって。ほら、今度飲みに連れて行くから教壇に立つのは止めておこうな? 他に何かは頼むかもしれないけど」
「ナリユキ様と飲みに行けるんですか!?」
さっきまで沈んでいた表情が嘘みたいに明るくなった。そんなに俺と飲みに行きたかったのかこの人。
「アリシアさんって本当にナリユキさんの事好きですよね」
と、サラッとアリシアが言われたくないであろう事をアリスが漏らすと、アリシアの顔はみるみる紅潮していき顔を両手で覆っていた。まあ、こんなん鈍感な俺でも好意を持たれているのは流石に分かる。だがしかし。アリシアに俺以外に好きな人が出来ないのは流石に困る。
「そう言えばアリスはいないのか? 好きな人」
俺がそう質問すると、アリスは口元に運ぼうとしていたワインを服の上に少し零してしまった。明らかに動揺しているけどいるのか!? これは気になる――。
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