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学校の設立Ⅳ

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「いないですよ!」

 とめちゃくちゃ慌てているけどこれは――?

「その反応気になる人はいるんでしょ? 吐きなさい」

 アリスに真剣な眼差しを向けるアリシア。いや、アリシアお姉さん。笑みを浮かべてはいるけど、さっきの暴露の仕返しをしてやろうって意気込みが伝わるんですがそれは。

「え、ナリユキさんです」

 と、アリスが言った途端に凍りつくアリシア。いやこれは面白すぎる。多分、これ嘘付いているわ。俺の事は人と好きって意味で本当に好きなのか気になるのは人は伏せている感じだな。でも――。

「ありがとう!」

 と、俺が言うとアリシアが凍りついている間にアリスはサムズアップをした。俺はそれを見て、上腕を叩いて腕を上げたな~とサインをすると、「すみません」と照れ笑いを浮かべるアリス。とりあえず、どっちか分からないけど後で聞こう。んで、知っている人だったらその対象の相手と距離を縮める事ができるようにセッティングしよう。でもどんな人が好きなんだろうな~。アリスめちゃくちゃ可愛いもんな。ミクちゃんに言ったら食いつくだろうな~。

「よし、そろそろ戻るか」

「そうですね。顔ポカポカしていますけど」

「アリスはもう切り上げでいいよ。仕事ある程度終わっているだろ?」

「はい。任せているので」

「アリシアはどうするの?」

 とアリシアに質問したけど、「はい、何でしょう――」と声にいつもの元気が無い。そんなダメージ受ける?

「アリシアも今日は休め」

「いえ――私は――!」

「俺は仕事しているから、傍でゆっくり休んでおけ。これは命令な」

 俺がそう言うとアリシアの表情が明るくなった。

「それはつまり襲ってもいい――」

「違います」

 俺がそう言い放つと、少し拗ねて指をツンツンとするアリシア。何か今まだ傷が癒えてなくて眠っているどっかの女性魔王と似ているな――。

「ナリユキ様。私はこれで」

 アリスはそう俺に一礼をしてきた。

「ああ。ゆっくり休んでな。今日はありがとう」

「いえいえ! とんでもございません。また何かあれば念話でお呼びください」

「おう。宜しくな」

 アリスはもう一度一礼するなりこの場から学校から離れて森の中へと消えていった。

「二人きりですね」

 アリシアはそうボソッと呟き妖しく俺をじっと見てきた。

「そうですね」

 と、返して俺が席を立つとアリシアが俺についてくる。

 そして俺がとりあえずやる事は適当な部屋に入って必要な物や道具を揃える為に紙に書きだす事。そしてその作業部屋にアリシアが寝るベッドを置く事だ。

「よし、ここでしばらく寝ておきな」

「一緒に寝ないのですか?」

「寝ん!」

 俺がハッキリと断るとどこか寂しそうにしながらベッドの中に入って俺を見てくるアリシア。

「何か異世界って肉食系の女性の人多いな。アリシアと言いアスモデウスさんといい。ミクちゃんは上司にあたるけど罪悪感とか無いの?」

「それとこれとは話が別です」

「えらいハッキリ言うんだな」

「はい」

 と、アリシアの瞳は真剣そのものだった。頼む。他の人を好きになってくれ。まあ、アリシアの献身的な立ち振る舞いには感謝しているけどな。本当に何でもやってくれるんだもん。凄いよ。

「ところでナリユキ様。今何をされているのですか?」

「ああ。まずはこの学校の大まかな図面を書いているんだ。図面と言っても建築でやるようなガチガチの図面ではなくて簡易的なやつ。上から見た――つまり鳥の目から見た状態の1Fと2Fの各部屋に何を置くかを考えているんだ。俺がきた世界の学校ってのは、科目毎に色々な部屋があってな。言語、化学、数学、歴史、政治などの一般科目は普通の教室で授業を受けるんだけど、美術とか医療とかは専門道具が必要な科目は他の教室に移動して授業を受けるんだ」

「成程。では、戦闘や音楽とかもそうですよね? 戦闘の授業は実戦をするので特殊なステージ――あるいは何も無い場所のほうがいいですし、音楽はリュートやフルート、ピアノ、ハープなども必要になってきます」

「そういう事。まずはある程度イメージしておきたいから書いているんだよ」

「成程――。でもパッと出したこの学校の図面を書くことができるなんて流石ですね」

「これも訓練さ。創造主ザ・クリエイターで物を出すには具体的なイメージが必要になるからな。カルベリアツリーのダンジョンで始めのうちに腐る程スキルを使っていたし、マーズベル建国時や、アードルハイム帝国の帝都を再建したときに、死ぬ程家を建てたからな」

「言われてみれば確かにそうです」

 と、アリシアは俺の事を心底感心していた。

「さては寝る気ないな」

「ナリユキ様が仕事をしているところを見れる機会なんて滅多に無いので」

 と嬉しそうだった。確かに尊敬している人の仕事をじっくり見れるのは俺でも見入ってしまうな。前の世界の会社の部下とかもそうだったな。まあ、どちらかと言うと俺が商談している良いところを何が何でもインプットしてやる! みたいな意気込みだった気もするけど。

「そんな仕事って言っても大したことしてないって」

「立派なお仕事ですよ」

 と、アリシアが微笑んだ。少し可愛いと思った俺は、ミクちゃんに一発殴られても良いと思う。でも、ミクちゃんならアリシアさんは綺麗だし可愛いよね! とか言ってめちゃくちゃ乗ってきそう。

 そうこうしている間に図面は完成。気が付けば二時間くらい経っていてアリシアはぐっすりと眠っていた。
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