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アスモデウスとルシファーの復活Ⅰ
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次の日のお昼。校舎に全ての物を設置して食堂のテラス席で休憩をしているところだった。リーズからアスモデウスさんとルシファーが目を覚ましたとの報告が入った。
俺は直ぐに医療施設に転移イヤリングを使ってアスモデウスさんの病室へと入った。
「気分はどうだ? アスモデウスさん」
「うむ悪くない。心配かけて申し訳ないのう」
「いえいえ。ご無事で何よりです」
「ルシファーもこの施設にいるのか? 奴の邪気が大きくなっておる」
「先程起きたみたいだな――これは英雄ノ神と堕天ノ王の相乗効果だな。英雄ノ神は瀕死状態で復活したら少し戦闘値上がるし、堕天ノ王は瀕死状態から復活したら邪気が大幅に上がる」
「成程――そのような効果じゃったのか」
「おあ。お陰様で俺も戦闘値上がっているぜ。そもそも英雄ノ神を入手したしな」
「流石ナリユキ閣下じゃ! 英雄ノ神を使ってルシファーを倒したのか?」
「まあそんなところだ」
俺がそう言うとアスモデウスさんは「おお――」と声を漏らした。どうやらめちゃくちゃ感心しているようだ。
「今の戦闘値はどのくらいなのじゃ?」
「9,500くらいだな。デアにはまだ届かないよ」
「でも、9,500とは思えない程の実力があるのは違いないのう」
「そもそもナリユキはスキルを覚醒してない状態だしな」
と、突如俺の後ろから声がした。俺はその声を聞いて心底安心した。ただ、アスモデウスさんは驚いているようだけど。
「ルシファー。無事だったか?」
「お陰様でな。本当に死ぬと思ったのは初めてだ」
「動ける程回復したって事でいいんだよな?」
「ああ」
ルシファーがそう笑みを浮かべると、アスモデウスさんも涙で瞼がパンパンに腫れているパイモンも、鳩が豆鉄砲を食ったかのように目を丸くしていた。
「驚きすぎだろ」
俺がそう呟くと、二人は我に返って「ルシファーが微笑んだ!」と大盛り上がりをみせた。パイモンは勿論様を付けている。
「うるさい」
ルシファーがそう二人を睨みつけると、アスモデウスさんもパイモンも口を閉じた。
「ナリユキ。少し二人で話がしたい」
「ああ。別にいいけど」
俺がそう返して、ふとパイモンの方を見た。パイモンの嫉妬なのだろうか。どこから取り出したか分からないハンカチを噛んで、悔しさをかみしめていた。これランベリオンもしていたよな。確か――。
二人きりなれるところ――。俺は施設内の屋上へルシファーを案内して二人でベンチに腰をかけた。
「無事だったようだな。あの怪物誰だったんだ?」
あの怪物――コヴィー・S・ウィズダムの事だ。
「あれはコヴィー・S・ウィズダムという人物で転生者だ。デアが色々な種族の血を引いているのは知っているだろ?」
「ああ。一緒に戦った天衣無縫を使う少女だな?」
「そうだ。あのデアに龍族、魔族、森妖精の血を入れて、様々な種族のスキルだったり特性だったりを使えるようにした張本人。表の顔では混合種によって人類の更なる成長って言っているらしいけど、奴は何か別の野望を持っている。俺の目の前で黒龍の破壊神を奪った」
「破壊神を奪ったのか――あのユニークスキルの脅威が完全に消えた訳では無いという事か」
「そういう事だ」
俺の話を聞いてルシファーは深刻な表情を浮かべていた。
「話を戻すようだが、その人間もデアのように様々な血が混じっているのか?」
「ああ。勿論だ。左目が魔眼だったのは確認しているだろ?」
「ああ」
「それで右目は龍の目なんだ。魔族の血は魔王ザガンの血が混ざっている可能性が高いとアスモデウスさんが言っていた。龍族に関しては赤龍の目と血を引いている可能性が高い。赤龍は生命の象徴らしいから、その影響で奴は永遠の命を手に入れている。奴が寿命で死ぬことは無い」
「成程。地上には厄介な奴ばかりいるな」
「嫌になるよ本当に。つうか言い忘れていた。ありがとうな。手伝ってくれて。お陰で英雄ノ神を手に入れることができたしな」
「黒滅斬もだろ?」
「勿論忘れていないさ。ところで英雄ノ神のアクティブスキルや特性を入手するには何かコツとかあるのか?」
ルシファーは俺の問いに「そうだな――」と唸った。
「特に無いと言った方が正しいな。英雄神とまずは会ってからだな。使って感じたと思うが、英雄ノ神は一撃必殺のスキル。創造主のように連発するスキルではない為、スキルを使う頻度が少ない。英雄ノ神の発動条件も少し特殊で、MPが1/10以下の時で、相手が格上の時でないと発動しないからな。そして、実力が離れている程威力を発揮し、相手が龍族であればさらに威力が増すユニークスキルだ。当然、スキルとの親和性を高めるのは他のスキルと比較しても困難な部類に入る。なので出来る事とすれば、己の精神を高めてひたすらに強さを求める事だと思う。これは私が行ってきた事だ」
「成程――」
精神を高めてただひたすらに強さを求めるか――。確かにルシファーらしいな。
「スキルを覚醒させるのも困難。スキルの固有特性とアクティブスキルやアルティメットスキルを会得するのも非常に困難だ。しかし、入手したときの恩恵は非常に強力だ。ナリユキの創造神は原初の三神のスキル。宇宙を創造する権利を与えられたと言われている強力なスキルだからな」
「宇宙の創造か――。話が飛躍し過ぎてよく分からん」
「だろうな。私もよく分からない。ただ、英雄ノ神がそう言っていたとだけ言っておこう」
「英雄ノ神が?」
「ああ。眠っている間に会っていたんだ。その時にそう言っていた」
眠っていた時――。もしかすると、神と会えるのは死の瀬戸際の時なのだろうか? でも、俺は今回会っていないしな――。
神と会える条件さえ分かればもっとスキルについてのヒントが貰えるのに――。
俺は直ぐに医療施設に転移イヤリングを使ってアスモデウスさんの病室へと入った。
「気分はどうだ? アスモデウスさん」
「うむ悪くない。心配かけて申し訳ないのう」
「いえいえ。ご無事で何よりです」
「ルシファーもこの施設にいるのか? 奴の邪気が大きくなっておる」
「先程起きたみたいだな――これは英雄ノ神と堕天ノ王の相乗効果だな。英雄ノ神は瀕死状態で復活したら少し戦闘値上がるし、堕天ノ王は瀕死状態から復活したら邪気が大幅に上がる」
「成程――そのような効果じゃったのか」
「おあ。お陰様で俺も戦闘値上がっているぜ。そもそも英雄ノ神を入手したしな」
「流石ナリユキ閣下じゃ! 英雄ノ神を使ってルシファーを倒したのか?」
「まあそんなところだ」
俺がそう言うとアスモデウスさんは「おお――」と声を漏らした。どうやらめちゃくちゃ感心しているようだ。
「今の戦闘値はどのくらいなのじゃ?」
「9,500くらいだな。デアにはまだ届かないよ」
「でも、9,500とは思えない程の実力があるのは違いないのう」
「そもそもナリユキはスキルを覚醒してない状態だしな」
と、突如俺の後ろから声がした。俺はその声を聞いて心底安心した。ただ、アスモデウスさんは驚いているようだけど。
「ルシファー。無事だったか?」
「お陰様でな。本当に死ぬと思ったのは初めてだ」
「動ける程回復したって事でいいんだよな?」
「ああ」
ルシファーがそう笑みを浮かべると、アスモデウスさんも涙で瞼がパンパンに腫れているパイモンも、鳩が豆鉄砲を食ったかのように目を丸くしていた。
「驚きすぎだろ」
俺がそう呟くと、二人は我に返って「ルシファーが微笑んだ!」と大盛り上がりをみせた。パイモンは勿論様を付けている。
「うるさい」
ルシファーがそう二人を睨みつけると、アスモデウスさんもパイモンも口を閉じた。
「ナリユキ。少し二人で話がしたい」
「ああ。別にいいけど」
俺がそう返して、ふとパイモンの方を見た。パイモンの嫉妬なのだろうか。どこから取り出したか分からないハンカチを噛んで、悔しさをかみしめていた。これランベリオンもしていたよな。確か――。
二人きりなれるところ――。俺は施設内の屋上へルシファーを案内して二人でベンチに腰をかけた。
「無事だったようだな。あの怪物誰だったんだ?」
あの怪物――コヴィー・S・ウィズダムの事だ。
「あれはコヴィー・S・ウィズダムという人物で転生者だ。デアが色々な種族の血を引いているのは知っているだろ?」
「ああ。一緒に戦った天衣無縫を使う少女だな?」
「そうだ。あのデアに龍族、魔族、森妖精の血を入れて、様々な種族のスキルだったり特性だったりを使えるようにした張本人。表の顔では混合種によって人類の更なる成長って言っているらしいけど、奴は何か別の野望を持っている。俺の目の前で黒龍の破壊神を奪った」
「破壊神を奪ったのか――あのユニークスキルの脅威が完全に消えた訳では無いという事か」
「そういう事だ」
俺の話を聞いてルシファーは深刻な表情を浮かべていた。
「話を戻すようだが、その人間もデアのように様々な血が混じっているのか?」
「ああ。勿論だ。左目が魔眼だったのは確認しているだろ?」
「ああ」
「それで右目は龍の目なんだ。魔族の血は魔王ザガンの血が混ざっている可能性が高いとアスモデウスさんが言っていた。龍族に関しては赤龍の目と血を引いている可能性が高い。赤龍は生命の象徴らしいから、その影響で奴は永遠の命を手に入れている。奴が寿命で死ぬことは無い」
「成程。地上には厄介な奴ばかりいるな」
「嫌になるよ本当に。つうか言い忘れていた。ありがとうな。手伝ってくれて。お陰で英雄ノ神を手に入れることができたしな」
「黒滅斬もだろ?」
「勿論忘れていないさ。ところで英雄ノ神のアクティブスキルや特性を入手するには何かコツとかあるのか?」
ルシファーは俺の問いに「そうだな――」と唸った。
「特に無いと言った方が正しいな。英雄神とまずは会ってからだな。使って感じたと思うが、英雄ノ神は一撃必殺のスキル。創造主のように連発するスキルではない為、スキルを使う頻度が少ない。英雄ノ神の発動条件も少し特殊で、MPが1/10以下の時で、相手が格上の時でないと発動しないからな。そして、実力が離れている程威力を発揮し、相手が龍族であればさらに威力が増すユニークスキルだ。当然、スキルとの親和性を高めるのは他のスキルと比較しても困難な部類に入る。なので出来る事とすれば、己の精神を高めてひたすらに強さを求める事だと思う。これは私が行ってきた事だ」
「成程――」
精神を高めてただひたすらに強さを求めるか――。確かにルシファーらしいな。
「スキルを覚醒させるのも困難。スキルの固有特性とアクティブスキルやアルティメットスキルを会得するのも非常に困難だ。しかし、入手したときの恩恵は非常に強力だ。ナリユキの創造神は原初の三神のスキル。宇宙を創造する権利を与えられたと言われている強力なスキルだからな」
「宇宙の創造か――。話が飛躍し過ぎてよく分からん」
「だろうな。私もよく分からない。ただ、英雄ノ神がそう言っていたとだけ言っておこう」
「英雄ノ神が?」
「ああ。眠っている間に会っていたんだ。その時にそう言っていた」
眠っていた時――。もしかすると、神と会えるのは死の瀬戸際の時なのだろうか? でも、俺は今回会っていないしな――。
神と会える条件さえ分かればもっとスキルについてのヒントが貰えるのに――。
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