意地悪令息は絶交された幼馴染みに救われる

るべ

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四章

四章(5)

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食事が終わったら各々割り当てられた部屋へ戻ることとなった。
シグルドは両親の部屋の隣で、兄と同室となっている。エリックは客室の奥にある寝室の扉を開くと、二台ある内の目の前の寝台に横たわった。
さも疲れたと言わんばかりの大きな溜め息をつくと、次は大の字になる。
「あ~……眠い……」
「兄様、お風呂入るまで寝ないでくださいね」
「ああ。……なぁ、フィンネル大丈夫なのか?」
「それは、大丈夫だとは言いづらいですけど……」
「エンリケ、だっけ?あの従者も死にそうな顔してたもんな。俺のミケルも直接関わったことはないけど心配してた、目の前でそんな現場見たら立ち直れないって」
ミケルはエリックの従者で、童顔だからか年上の筈なのに幼く見られがちだ。ミケルもエリック同様フィンネルとエンリケとの接点がほぼ無いため、お互い顔見知り程度だろう。それでも同じ従者としての立場から同情しているようだ。
そう言われてみれば、参列者に随伴していた従者の中にはエンリケに哀れみの目を向けるものもいた気がする。
ミケルは同室の居間の方で休んでいるが、ベイルはエンリケに会いに行くと言っていた。自分も会いに行って元気付けるべきだろうと思い至った。
「……僕、フィンネルに会いに行ってくるよ」
「ん、ベイルは」
「大丈夫。ベイルもエンリケが気になるだろうし、二人にしてあげたい。屋敷の中のだいたいの地図は頭の中にあるし迷子にはならないよ」
「わかった、行ってらっしゃい」
起き上がること無くユラユラと手を振る兄に苦笑し、居間に居るミケルにもフィンネルに会いに行くと伝える。
ベイルがいない事が気掛かりなのか、彼は少々困った顔をしたが頷いて送り出してくれた。
廊下に出ると壁の燭台には火が灯されており、薄暗く静かだ。
泊まっている客室は一階にあり、二階にフィンネルの部屋がある。一度エントランスに戻り階段を上がるために其方へ足を向けた。すると薄暗がりの中、視線の先に人影が階段を上っているのが見えた。
茶色いスーツを着て少々腹の出っ張った男……以前屋敷に泊まった際にも見掛けた男の筈だ。式の最中もアロイスの近くに立って話をしている姿を目撃している。彼もまた泊まるようだ。
知らない大人ということもあり何となく近寄りがたく足を止めていると、大きな姿の隙間から明かりを反射する金色がみえた。足音を立てないように慎重に進むとそれがフィンネルの髪であったことが姿を見て確認された。
二人が並ぶとフィンネルは男の胸辺りの背丈だ。手を引かれるように階段を上りきると男が先導してフィンネルの部屋へ向かうようだ。
シグルドも見失わないようにいそいそと階段を上り、気付かれない距離を保ちつつ着いて行く。時折男が顔をフィンネルに向け、フィンネルも見上げて頷く仕草が見てとれる。何か会話をしているようだ。
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