【完結】淋しいなら側に

サイ

文字の大きさ
21 / 29
6黒国に戻って

1(※)

しおりを挟む
 部屋はそのままだった。
 閉ざされた空間。何もない部屋。
「約束通り、お前に自由をやろう。お前は今日から書記官だ。城勤めに毎日の登城はつらかろう。ここを居室としろ。俸禄ははずんでやる」
 つまり、朱国への名目上、千に役職も家も与えるが、生活は今までと変わらないという事だ。分かっていたことだが、毅旺の言う自由とは、城の中を行き来できるだけの自由だった。
 帰ってきてすぐ部屋に入れられ、毅旺はすぐにやってきた。
「脱げ」
 入って来るなりそう言う毅旺に、千はびくりと身体を固まらせた。
「どうした?聞こえなかったか」
「あ、明かりを……」
 夜とはいえ、部屋中の蝋燭を合わせると室内は明るい。千は懇願するように毅旺を見上げた。だが毅旺は少しも反応してくれない。
 思い出すだろう、かつての日々を。黒い瞳がそう言っているかのようだった。
仕方なく千はゆっくりと、着物を脱ぎ始めた。一枚ずつ、ゆっくりと脱いでいく。下着一枚になっても、毅旺は許しの言葉をくれなかった。寒さかおそれか、千はかすかに震え始める。
 少し目を閉じて自分に言い聞かせる。———心はここにはない。これはただの傀儡だ。
 ついに下着も全部脱いで、千は毅旺にその姿をさらした。
 上から下まで舐めるように見つめられ、千はいたたまれなくなって歯を食いしばった。一歩ずつ、毅旺が側に寄ってくる。心臓が激しく打つ。それと同時に、背中が嫌に寒かった。
「寒いか」
 言いながら、毅旺はすっと千の頬に手を這わせる。身体を硬くする千にかまわず、その冷たい手は首筋を伝い、胸を伝う。逃れたい衝動を必死で押さえていると、毅旺の指がふと一点で止まった。それがついこの間緋王につけられた証の部分だと気づいて、千は思わず背を向けた。
「誰が向こうを向けと言った」
 腕を抱き身を震わせる千の小さな背中に、毅旺は無感情な声を放つ。千は恐ろしくなって振り返れなかった。
「お怒りなのですか」
 恐る恐る、それだけ聞くのがやっとだ。
「怒る?何故」
「……このように———」
 泣きそうになって、泣きたくなくて千はそれ以上言えなかった。だが、愛情によって育まれた気持ちに、一転しこの扱いはつらすぎた。
 毅旺はそんな千を見て、今までにないほど穏やかな声を出した。
「勘違いするな。お前の身体を思い出しているだけだ。怒るなど、むしろ褒めてやりたいくらいだ。首尾良く成したことをな。あの若造の顔が見られたなら、私ももう思い残すことはない」
 毅旺が千の髪留めを外す。ぱさりと落ちた髪をかき分けながら、つ、と毅旺の指が首筋を撫でた。びくりと、また肩をふるわせる。毅旺の指はそのまま滑らかな背筋をすうっと降りるように撫でた。耐えられず、千は切れ切れに息を吐く。羞恥心と触るか触らぬかの毅旺の手が、思いとは裏腹に千の前を反応させ始めた。
「朱国で暮らし、堪え性が無くなったか」
「そんな……」
「緋王はお前をどう可愛がった?」
「もう……やめてください」
 毅旺の手は千の懇願を無視し、すっと背筋の下を這い、割れ目まで入ってくる。思わず逃げそうになって、毅旺のもう一方の手が前から首を絞めるように千を捕らえた。その手も、胸を這いゆっくりと肌を嬲りながら下へ向かう。片手で後ろをいじられながら、もう片方の手は先端の突起をつかんだ。
「ふっ……」
 思わず声を漏らしてしまう。毅旺は笑った様だった。
「どうやって耐えるのか、思い出させてやろう」
「やっ……」
 逃れることなどできない。毅旺の手は、巧みに千の感じやすい部分を愛撫し続けた。普段の冷たさからは想像できない繊細で優しい愛撫だった。前からも後ろからも愛撫され、千はすぐに達しそうになる。しかし、毅旺の手は千を解放せず、射精を許してくれない。行き場を失ったもどかしさが気を狂わせそうなくらい迸る。
「陛下……毅旺、さま」
 切れ切れに放った言葉も黙殺される。毅旺はさらに深く後ろを責めていた指を埋めた。二本の指で巧みに、深く、激しく一番感じるところを刺激される。
「は、あ……も……」
 どうしようもなくなって、千は頭を毅旺の胸に埋めた。全身で、毅旺の着ている絹の冷たい感触がわざわざと感じる。暴れそうな千の首筋に、毅旺が軽く噛み付く。噛みながらも舌で愛撫され、意識も切れ切れになってくる。
「ん———っふ、き、おう……さ」
 首を振って、お願いだから許してくれと切れ切れの声で頼む。だがやはり答えはなかった。
 立っていられなくなって、ほとんど毅旺に倒れかかるようになる。そのうち床に横にされ、それでもまだ愛撫は続いた。もう何度達したか分からない。放つことを禁じられた快感が、行き場を無くして暴れ回っている。罰を与えようとしているとしか思えないつらさだった。
「ど、して……」
 すべて言うとおりにしたのに、どうしてこんな事をされるのか。思いが自然と口に出ていた。
「可愛いぞ千。染まらぬお前を見ていると、この手で握りつぶしたくなる」
 そんな言葉も頭には入らない。
 毅旺は千の先端を握ったまま、千のものに舌を這わせた。びくりとからだがはねる。下から上に、つ、っと沿うように舌を這わされ、吸われ、千は爪が食い込むほど手を握りしめた。そしてもう意識も遠のきそうなほどまたいかされる。しかしそれでも、まだ離してはもらえなかった。千は身体を床にこすりつけるように、身を捩って抵抗した。
「千……」
 毅旺が満足そうに千の額をかきあげ、そっとその唇に自分の唇と落とす。
 きゅっと前が絞られ、やっと束縛が解かれた。
「はっ……あああ!」
快楽は途絶えることなく、狂うほどに尾を引きいつまでも続いた。
 そうして自分の手元に帰ってきた事を確信した毅旺は、満足そうに千を寝台に運び、息も絶え絶えの千の身体をまた責めにかかったのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...