2 / 15
第1話
痴漢
しおりを挟む
私の名前は藤川エレナ《ふじかわえれな》。
今は休日を利用して彼氏の家に向かっている所。
「‥‥っ」
あまりの苦しさに吐息が漏れる。
その理由は乗車率120%を越えるこの超満員電車にある。
━━土曜日なのになんでこんなに混んでるの?
ほら、今夜はあの有名アイドルグループのライヴがあるから
通りでオタクっぽい人達が多いと思った━━━
周りのそんな会話を耳にして、私もなるほどなと頷く。
目的地まで後3駅。
ぎゅうぎゅうの車内、他人の体温や息遣いが気持ち悪いけど‥
10分ちょっと辛抱だ‥
諦めのため息をついた瞬間
キィッ
カーブにさしかかった車内が大きく揺れた。
「わわっ‥‥!?」
バランスを崩した私の体は車内の隅っこに押し付けられた。
もう、びっくりした‥。
息を整え顔を上げた、その時。
太ももの内側に感じた違和感に息を飲んだ。
「‥‥!」
すりすりと私の太ももの内側を上下に撫でる指。
間違いなく痴漢だ。
「やっ‥‥」
小さな声を上げ、逃げようと身を捩らせるもスペースの無い車内では何の意味も無い行為だった。
むしろ、全身の圧迫感は強まる一方だ。
そんな私の様子を嘲笑うかのよう、痴漢の指先は遠慮無く身体の表面を這う。
ニーハイソックスの隙間にイタズラに指をこじ入れて来たり、タイトなニットワンピースのスカート裾を捲り上げてきたり、礼儀知らずに右往左往。
初めは嫌悪しかなかった。
それなのに‥今はなんだかくすぐったくて‥
息が上がる。
続く━━
今は休日を利用して彼氏の家に向かっている所。
「‥‥っ」
あまりの苦しさに吐息が漏れる。
その理由は乗車率120%を越えるこの超満員電車にある。
━━土曜日なのになんでこんなに混んでるの?
ほら、今夜はあの有名アイドルグループのライヴがあるから
通りでオタクっぽい人達が多いと思った━━━
周りのそんな会話を耳にして、私もなるほどなと頷く。
目的地まで後3駅。
ぎゅうぎゅうの車内、他人の体温や息遣いが気持ち悪いけど‥
10分ちょっと辛抱だ‥
諦めのため息をついた瞬間
キィッ
カーブにさしかかった車内が大きく揺れた。
「わわっ‥‥!?」
バランスを崩した私の体は車内の隅っこに押し付けられた。
もう、びっくりした‥。
息を整え顔を上げた、その時。
太ももの内側に感じた違和感に息を飲んだ。
「‥‥!」
すりすりと私の太ももの内側を上下に撫でる指。
間違いなく痴漢だ。
「やっ‥‥」
小さな声を上げ、逃げようと身を捩らせるもスペースの無い車内では何の意味も無い行為だった。
むしろ、全身の圧迫感は強まる一方だ。
そんな私の様子を嘲笑うかのよう、痴漢の指先は遠慮無く身体の表面を這う。
ニーハイソックスの隙間にイタズラに指をこじ入れて来たり、タイトなニットワンピースのスカート裾を捲り上げてきたり、礼儀知らずに右往左往。
初めは嫌悪しかなかった。
それなのに‥今はなんだかくすぐったくて‥
息が上がる。
続く━━
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる