43 / 98
すきだよ
しおりを挟む
髪を撫でられてとても気持ち良くて、寝返りをうった。
すると体中が悲鳴を上げていて、眠気が何処かに吹っ飛んだ。
目を見開いて前を見ると、そこには昨日の怖さはどこにいったのかベッドに頭を乗せて落ち込んでいるイヴがいた。
窓からは日差しが室内を照らしていたのに、イヴの周りだけ暗い。
何をしているのか分からないが、落ち込んでいるのは分かる。
俺の顔を見ていないのに、俺の頭に触れる手は止めていない。
見ていないから俺が起きた事にも気付いていないようだ。
「イヴ…さん」
「ユーリ、もうしないって言ったのに…俺は約束を破った」
「俺だって拒絶しなかったんだし…」
「ユーリは俺が怖かったんだよな、体が震えていたのに俺は自分が止められなかった……ユーリを見ると理性なんてないようなものだ」
「……俺で良かったら性処理の相手が出来ます、聖騎士様は女の子とそういう事が出来ないと思うし」
男だけど、イヴの役に立つならそれでいいかと思った…俺の気持ちなんて惚れた時から終わっていたんだ。
イヴは男とした事を後悔しているのかと思ってフォローのつもりで言っただけだった。
イヴは顔を上げて、手のひらを眺めていた。
手のひらに現れたのは真っ黒な剣で、イヴはそれを片手で握っていた。
何をするのか分からなくて、イヴを眺めていたらイヴは俺の肩を掴んで俺の顔の横に黒い剣が突き刺さった。
真っ赤に染まったイヴに、ぞくりと体が震えた。
「ユーリ、誰が誰のなんて言った?」
「……えっ、あ…」
「ユーリは俺の気持ちを疑うんだ、俺がユーリに触れた意味にも気付かずに」
「い、イヴ…さ…」
「そんなに疑うなら分かるまで閉じ込めようか……本当はそんな事、したくなかったけどユーリに分かってもらうために」
ベッドに黒い剣が刺さったところから黒いシミのようなものが出てきてシーツが黒くなる。
俺の体は黒くならないが、イヴの体と俺の視界は黒くなっていく。
俺の腕が鎖に繋がられて、イヴの口元に笑みを浮かべていた。
「ユーリ、俺はユーリに全てあげる…だからユーリの全てを俺のものに…」
その言葉を最後に俺の意識はフッと糸が切れたようになくなった。
次に目が覚めると、俺は色のある普通の世界の中にいた。
イヴはベッドに座って、俺に向かって微笑んでいた。
瞳は黒く、イヴの手には物騒な剣は握られていなかった。
何事もなかったかのように「おはようユーリ」と言うから俺も「イヴさん、おはようございます」と声を掛けた。
ベッドを見ても剣の傷跡はなくて、夢だったんだなと思った。
外は夕日に染まっていて、おはようの時間じゃないなと苦笑いする。
そうだ食事、今の時間だと夕飯かなと思いながらベッドから降りる
服に着替えようと思ってクローゼットを開けてから気付いた。
あんなに痛かったのに、もう体は痛くなかった。
あれ?痛かったのは夢だったんだっけ?イヴとしたのも?
なにが夢でなにが現実か分からないけど、今はとりあえず夕飯の事を考えよう。
イヴは気を利かせて部屋を出ていこうとして、扉の前で足を止めた。
俺の方に振り返りイヴは俺に「ユーリ、俺の気持ち分かった?」と聞いてきた。
何を言っているんだと不思議だったけど、当たり前のように言った。
「イヴさんの気持ち、分かってますよ」
そう言うと、イヴさんは満足そうに笑っていた。
でも不思議だ、俺はいつの間にイヴの気持ちを理解したんだろう。
昨日までイヴがよく分かんなかった気がしたんだけどな。
今ではイヴが俺を大切に愛してくれる事が分かっている。
自分で思っててとても恥ずかしくなって、気を紛らわすために野菜を切った。
カウンターに立っていつものように俺を見つめていたイヴが急に手首を掴んできた。
考え事をしていたからか、人差し指に赤い液体が付いていた。
痛みはないが傷口が熱くなり、急いで水の魔術で血を洗い流そうと思った。
その前にイヴに腕を引かれて、俺の人差し指をイヴが咥えた。
目を丸くしてイヴを見つめていたら、ぬるっとした感触がしてゾワゾワとした。
吸われて、ビクンと体が跳ねた。
「もう大丈夫ですから!後は救急箱で!」
「…どうして?」
「だって、こんな…汚いですよ」
「昔、ユーリだってしていたのに」
イヴは楽しそうにそう言って、一度口を離したのにまた咥えた。
昔?俺、昔何をしてたっけ……俺も同じように傷口を舐めた?
小さな頃、確かに一度初対面の少年と出会って…そこで、俺は黒い…ものを…
一瞬思考が停止して、倒れそうになったところでイヴに腕を掴まれて倒れなかった。
俺の名を呼ぶイヴの声がするが、それとは別の声が聞こえた。
*****
『エラー、エラー、強制修正ヲ開始シマス』
俺が生まれ変わる前に聞いた最後の声が聞こえた。
脳内に直接響く声は、ノイズに混じり不協和音になっていた。
エラーって何の事だ?強制修正ってどういう意味?
その意味が分からないまま、俺の意識は深い深い黒い水の底に沈んだ。
すると体中が悲鳴を上げていて、眠気が何処かに吹っ飛んだ。
目を見開いて前を見ると、そこには昨日の怖さはどこにいったのかベッドに頭を乗せて落ち込んでいるイヴがいた。
窓からは日差しが室内を照らしていたのに、イヴの周りだけ暗い。
何をしているのか分からないが、落ち込んでいるのは分かる。
俺の顔を見ていないのに、俺の頭に触れる手は止めていない。
見ていないから俺が起きた事にも気付いていないようだ。
「イヴ…さん」
「ユーリ、もうしないって言ったのに…俺は約束を破った」
「俺だって拒絶しなかったんだし…」
「ユーリは俺が怖かったんだよな、体が震えていたのに俺は自分が止められなかった……ユーリを見ると理性なんてないようなものだ」
「……俺で良かったら性処理の相手が出来ます、聖騎士様は女の子とそういう事が出来ないと思うし」
男だけど、イヴの役に立つならそれでいいかと思った…俺の気持ちなんて惚れた時から終わっていたんだ。
イヴは男とした事を後悔しているのかと思ってフォローのつもりで言っただけだった。
イヴは顔を上げて、手のひらを眺めていた。
手のひらに現れたのは真っ黒な剣で、イヴはそれを片手で握っていた。
何をするのか分からなくて、イヴを眺めていたらイヴは俺の肩を掴んで俺の顔の横に黒い剣が突き刺さった。
真っ赤に染まったイヴに、ぞくりと体が震えた。
「ユーリ、誰が誰のなんて言った?」
「……えっ、あ…」
「ユーリは俺の気持ちを疑うんだ、俺がユーリに触れた意味にも気付かずに」
「い、イヴ…さ…」
「そんなに疑うなら分かるまで閉じ込めようか……本当はそんな事、したくなかったけどユーリに分かってもらうために」
ベッドに黒い剣が刺さったところから黒いシミのようなものが出てきてシーツが黒くなる。
俺の体は黒くならないが、イヴの体と俺の視界は黒くなっていく。
俺の腕が鎖に繋がられて、イヴの口元に笑みを浮かべていた。
「ユーリ、俺はユーリに全てあげる…だからユーリの全てを俺のものに…」
その言葉を最後に俺の意識はフッと糸が切れたようになくなった。
次に目が覚めると、俺は色のある普通の世界の中にいた。
イヴはベッドに座って、俺に向かって微笑んでいた。
瞳は黒く、イヴの手には物騒な剣は握られていなかった。
何事もなかったかのように「おはようユーリ」と言うから俺も「イヴさん、おはようございます」と声を掛けた。
ベッドを見ても剣の傷跡はなくて、夢だったんだなと思った。
外は夕日に染まっていて、おはようの時間じゃないなと苦笑いする。
そうだ食事、今の時間だと夕飯かなと思いながらベッドから降りる
服に着替えようと思ってクローゼットを開けてから気付いた。
あんなに痛かったのに、もう体は痛くなかった。
あれ?痛かったのは夢だったんだっけ?イヴとしたのも?
なにが夢でなにが現実か分からないけど、今はとりあえず夕飯の事を考えよう。
イヴは気を利かせて部屋を出ていこうとして、扉の前で足を止めた。
俺の方に振り返りイヴは俺に「ユーリ、俺の気持ち分かった?」と聞いてきた。
何を言っているんだと不思議だったけど、当たり前のように言った。
「イヴさんの気持ち、分かってますよ」
そう言うと、イヴさんは満足そうに笑っていた。
でも不思議だ、俺はいつの間にイヴの気持ちを理解したんだろう。
昨日までイヴがよく分かんなかった気がしたんだけどな。
今ではイヴが俺を大切に愛してくれる事が分かっている。
自分で思っててとても恥ずかしくなって、気を紛らわすために野菜を切った。
カウンターに立っていつものように俺を見つめていたイヴが急に手首を掴んできた。
考え事をしていたからか、人差し指に赤い液体が付いていた。
痛みはないが傷口が熱くなり、急いで水の魔術で血を洗い流そうと思った。
その前にイヴに腕を引かれて、俺の人差し指をイヴが咥えた。
目を丸くしてイヴを見つめていたら、ぬるっとした感触がしてゾワゾワとした。
吸われて、ビクンと体が跳ねた。
「もう大丈夫ですから!後は救急箱で!」
「…どうして?」
「だって、こんな…汚いですよ」
「昔、ユーリだってしていたのに」
イヴは楽しそうにそう言って、一度口を離したのにまた咥えた。
昔?俺、昔何をしてたっけ……俺も同じように傷口を舐めた?
小さな頃、確かに一度初対面の少年と出会って…そこで、俺は黒い…ものを…
一瞬思考が停止して、倒れそうになったところでイヴに腕を掴まれて倒れなかった。
俺の名を呼ぶイヴの声がするが、それとは別の声が聞こえた。
*****
『エラー、エラー、強制修正ヲ開始シマス』
俺が生まれ変わる前に聞いた最後の声が聞こえた。
脳内に直接響く声は、ノイズに混じり不協和音になっていた。
エラーって何の事だ?強制修正ってどういう意味?
その意味が分からないまま、俺の意識は深い深い黒い水の底に沈んだ。
50
あなたにおすすめの小説
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
魔法使い、双子の悪魔を飼う
yondo
BL
「僕、魔法使いでよかった」
リュシーは宮廷専属の優秀な魔法使い。
人が寄りつけない程強い自身の力のせいで常に孤独なリュシーは、ある日何気なく街を歩いていた際に闇商人の話を聞いてしまう。貴重で価値ある''モノ''を高値で買い取る悪趣味な会が近くであるらしく気になったリュシーは其処で不思議な双子と出逢いを果たす。
本の見よう見まねで無償の愛を与え続けるリュシーに育てられた双子はいつしか胸の内に何とも言えない感情を抱く様になり...
独りぼっちだった魔法使いが出逢いを通して彼等と関係を紡いでいき幸せを知る微闇要素有りのBLファンタジー。
(※) 過激描写のある話に付けています。
*** 攻め視点
※不定期更新です。
※誤字脱字の報告助かるので嬉しいです。
※何でもOKな方のみ拝読お願いします。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
(無断転載×)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる