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第4章 吸血鬼王国編

祭りの後

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 テレポーテーションを使用して途切れなく複数箇所から攻撃を加える。
 女王は図体は大きく魔力は膨大になっているが俺のスピードには全くついてこれてない。
 九つある目のうち一つを潰す。
 ぐおおおおおお

「なぜ至高なる吸血鬼上位の力を得て価値なき家畜どもなんぞに味方する!」
「価値のない者なんていない! 力があれば何をしてもいいとでも言うのか!」

 女王は化け物部分から凄まじい黒炎を吐きつけた。
 バーストはテレポーテーションによりそれをなんとかかわす。

「理不尽に振る舞えるは力あるものの特権。力を有してそれを用いないは愚かな無能よ」
「違う! 力があるからこそその力を行使する先が重要なんだ! 数百年、数千年と生きる癖にそんな事も分からないのか!」

 俺は闇闘気を斬撃として繰り出す。
 女王の前に構成されていた魔法バリアだが俺がその斬撃の攻撃を絶え間なく与える事によって破壊された。

「ぬぅーーーー! 忌々しい! 折角セカンドにまでしてやった人間がこんなに愚かで無能な者だとはな! 所詮は家畜はすぐには家畜の思考しかできんという事か。」

『アルティメットグラビガ』

 女王は超級の重力魔法を発動する。
 その凄まじい重力により押し潰されそうになるが、
「ウォーーー!」
 俺はそれを跳ね除けた。

「ならばお前は家畜たちにやられるのだ! お前が今まで虐げ、搾取し、蹂躙し、その命を奪ってきたな!」

 俺は吸血鬼上位の力を使って思考加速を最大限まで加速させる。
 それによって人智を超えた移動と攻撃スピードを得るのだ。
 ここでもう戻ってこれなくなってもいい!
 俺の全てをここでかける!!!

 バーストはテレポーテーションと斬撃、思考加速により、光の速度ほど早いのではないかというそのスピードで絶え間ない攻撃を女王に与える。
 バーストのその絶え間ない攻撃は女王の周りに黒い円球が生じるように周りからは見えた。
 しばらく女王のその巨体を構成するバリアは耐えたが、

 バリーーーーン

 とそのバリアも破られ、

「ぐぎゃあああああああああ」

 バリアなき後、巨体部分はズタズタに分断されていく。
 巨体の化け物部分は次々とズタズタに切り刻まれ、最終的には残るは女王の上半身の一部分のみとなった。

「俺たちの勝利だ」
 バーストは勝利を宣言する。
 そうすると最早虫の息の女王が、

「おのれ忌々しい家畜ども……」

 と最後のセリフを言い終わる前にバーストはその首を跳ねた。



 全てを出し切った彼はその場に崩れ落ちる。
 そこにユウナが駆け寄るが……バーストの目にはそれは今は亡きレイナの残像に移る。

「お兄ちゃん大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ! 今度は……今度は……守れたぞ!……」

 そう言ってバーストは泣きながらユウナを抱きしめた。
 ユウナはというと、そんなバーストの頭をよしよしと撫でていた。




 女王を失った吸血鬼王国はその後、ケイン帝国に降伏する。
 降伏後、ケイン達や帝国兵が引き上げた女王の間の残骸にて。

 かつて女王だったグレースの首を失った上半身が動き出す。
 自身の首を取り、それを上半身に引っ付けた。
 手足を動かし首を回して結合が問題ないことを確認後。

「ふぅーー、上位の吸血鬼が首を跳ねられたぐらいで死ぬものか。覚えておれケイン帝国のゴミどもめ」
 グレースはまだ生きていた。
 上位の吸血鬼については完全に焼却などされない限りは死ぬことはないのであった。

「あなたに次はありませんよ」
 突然、見知らぬ声がグレースに話しかける。
 グレースは声が聞こえた方を振り返る。
 そこには見慣れない男がいた。
 魔族? いや吸血鬼だ。だが見るからに上位だが自身の知らない人物。

「誰だお前は?」
「ゼロの使い魔と言えば分かりますかね?」

 ゼロ! まさか今回の件があの方の不興を買ったのか?
 グレースは恐れ慄く。

「ゼロからの伝言はこうです。私の許可なく人間と戦争した挙句、敗北するような無能は不要。だそうです」
「………………」

 勝負は一瞬でついた。
 かつて女王だったものは、ちり一つ残さないように最終的に燃え尽くされた。

「それにしても随分と暴れましたね。城もめちゃくちゃだ。まあ新たな王として私好みに作り替えましょうか」
 ゼロの使い魔と名乗った男はそう言ってその後、吸血鬼王国を再興することとなるがそれはまた別の話。



 バーストはユウナと手をつなぎ、俺たち、俺、ラミア、ノストラード、ハイエルフと別れの挨拶で向き合っていた。
 ユウナの傍にはフェンリルのロジェがいた。

「じゃあ世話になったな。俺たちは別の街で生活するよ。この街は俺もユウナもお互い辛い事が多過ぎた」
 そう言ってバーストはユウナを優しい眼差しで見つめる。

「たまには森には顔出しなさいよ。妖精王や妖精達が寂しがるわ」
「うん、ユウナ知らなかったけどまた妖精さん達に会いに行くね!」
 フェリーニは笑顔で同意する。

「何か困った事あったらなんでも言ってこいよ!」
 ケインのその言葉を最後にバーストとユウナはお互い手を繋ぎどこかへ向かっていった。

 そんな彼らを確認してか――

「よかったねー」
「これでもう安心だねー」

 聖なる森のどこからかそんな小さな声が聞こえてきた。
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