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「ダンジョンの隣の店を買収して武器防具パン屋を始めるぞ」
「さすがユータね」
「さすがです、ユータ様」
「さすがはご主人様です」
店は店主を洗脳したら好意で店を譲ってもらったので対価として金貨721枚を支払った。
良い心掛けなので人参もおまけで渡してやった。
まあ付け届けってやつだな。
「まずは武器だ。木の枝から木の棒、棍棒、木の槍、木剣まで揃えたぞ」
「さすがユータね。金属の武器は扱わないの?」
「高くなるからな。貧乏人でも無理すれば買えるようにしてやっただけだ。俺が本気を出すとこの世界が滅ぶからな」
「さすがユータ様です。貧乏人にも寛大ですね」
「まあ当然だろう」
「ご主人様の偉大さを改めて感じました。ところで仕入れはどうするのでしょうか?」
「雇用対策も兼ねてその辺の住民に拾ってこさせる。つまりは俺の店で買い取りだな」
「さすがはご主人様です」
まあな。
「もしいい感じの木の枝だったら最高で金貨114514枚まで支払ってもいい」
「さすがユータね。貧乏人も一攫千金を狙えるわね」
「さすがです、ユータ様。素晴らしい買い取り金額です」
「さすがはご主人様です」
まあな。
「防具は木の板だ。盾として使えるかもしれないぞ。しかも高級品で優の字を書いたものも売ってやろう」
「それって…」
「ああ。俺の名を広める一環だな。優れているという意味もある。まあ俺が優れているのは常識だけどな。これがあればダンジョンの即死トラップを無効できる」
「さすがです、ユータ様。神々しさを感じる文字です」
「これがご主人様の真名ですか…。頬擦りしたくなる欲求を抑えきれません」
エルフは頭が残念な奴しかいないのか?
洗脳をやり直したほうがいいのか?
「パン屋は目下研究中だ。せっかくだから手作りしてやろうと思うけど難しくてな」
「さすがユータね。無添加ね」
「さすがです、ユータ様。わたし、全力で作らせていただきます」
「さすがはご主人様です。パンという高度な料理を提供するなんて見事です」
まあな。
でもパンはなぜか膨らまないんだよな。
まあ今の俺なら魔法で膨らませてやることもできるからな。
でも待てよ。
そもそも俺が作るパンが普通のはずないじゃないか。
俺が間違っているはずがないのだから世の中のパンのほうが間違っている。
この世界のパンのほうが日本で食べていたパンよりも真実に近かった?
でも残念、正解は俺のパンだ。
まあパンは後回しにする。
「まあ説明はこれくらいにして店を開くとしよう」

客が来るよう精神操作の魔法を使ったら行列ができた。
さっそく木の枝を持ってきた優秀な貧乏人もいる。
「木の枝を持ってきたお前は特別に高く買い取ってやろう。ジャガイモ5個と金貨3枚だ」
「ありがとうございます。ありがとうございますユータ様」
感謝できる人材には早歩きが5%早くなる加護を与えた。
「棍棒が金貨1枚だと?そんなのぼったくりだ!」
やれやれ、どこにもクレーマーは存在するんだな。
俺の店で売っているんだからただの棍棒のはずがないだろう?
俺の店で売られていた棍棒という価値を理解できないクレーマーは死ねばいい。
だが俺は寛大だから地獄送りで許してやる。
「対象指定転移魔法。行先は地獄」
生きたまま地獄へ行った最初の人間かもしれないな。
このクレーマーは歴史に名を残したかもしれないな。
名前は鑑定魔法で調べたらクレイマだった。
生まれながらにクレーマーだったのか。
来世で真っ当に生きるんだな。
地獄落ちに来世があるかは知らないけどな。
「見事なクレーマー対応だったわ。さすがユータね」
「不届き者には当然の対処です。さすがです、ユータ様」
「ご主人様のお優しさに感動しました。さすがはご主人様です」
まあな。
こうして大きなトラブルもなく俺の店は順調だ。
ダンジョンは大盛況。
頭からシチューを浴びて帰還する人もいた。
あいつら絶対に頭おかしいぞ。
浴びるほど食べたい気持ちは理解できるけど浴びたままだともったいないじゃないか。
だがシチューとの一体感で幸せを感じているのかもしれない。
俺はミツナと一体感を感じて気持ち良くなるとしよう。
「おいミツナ、出番だぞ」
「お待ちしておりました、ユータ様」
俺はミツナと一緒に夜遅くまで一緒にパン作りの練習をした。
パン作りは難しいな。
でもミツナが嬉しそうだったからいいだろう。
でもな、本当はパン作りではなくて一緒に運動するほうがメインだった。
詳しく書くとR-18になるから省略だ。
パンパン、パン。
パンパンは頭を悩ませないのにパンは頭を悩ませる。
もっと研究が必要だな。
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