3 / 45
第3話 豪邸を作ろう①
しおりを挟む
「さて、まずはこの日本円……『神の通貨』で出来ることを把握しないとな」
オレは手持ちの13746円と、目の前の村を確認する。
うん。まずは出来た村を確認しよう。
家はそれぞれ遠すぎず近すぎずといった感覚で建っており、ちょうど円になるような形で密集していた。
村を歩く際、地面の土などは整備されており、中央には井戸が設置され、家以外にも必要最低限の設備が整っていた。
一応、井戸の水を取り付けてあった桶で汲んでみたが問題なく綺麗な水が取れ、飲んでみたところ喉の渇きが癒された。
うーん。一円だけでこんな大盤振る舞いの創造をして本当にいいのだろうか?
とりあえずオレは近くの木造りの家の扉をノックし、中に入ってみる。
「おじゃましまーす」
当然、人の声も反応もない。
中に入ると、まず玄関と厨房がひとつになった場所が広がっていた。
そこを上がると寝床と思われる部屋があり、中央には椅子と机があった。
奥にも部屋が二つほどあり、片方は小部屋。もう片方は風呂場であった。
それほど広い作りではないようだが、家族三人くらいなら暮らしていけそうな構造だ。
イメージとしては江戸時代の民家が近いだろうか。
家具やかまどなど最低限のものもしっかりついていた。
石造りの家に関しても似たような作りであり、多少の部屋の大きさの違いなどはあっても、どれも似たような構造と広さであった。
次にオレは二階建ての少し大きめの家に入る。
そこは入口からして、しっかりとした作りであり中も先ほどの簡素な家とはまるで違った。
「うわ、ちゃんと玄関があって、廊下もある。それに部屋も一階だけで三つもある?」
そこはまさに新築の家と言っても過言ではない作りであった。
部屋を確認すると、ベッドや家具がしっかりと揃っていた。
台所も今までは玄関あたりと一緒になっていたが、この家ではちゃんと台所は別の部屋に用意されており、浴槽も他の家より広めであった。
また二階には部屋が二つあり、その部屋も一階同様しっかりとしたつくりであった。
二階建ての家は村に五つほどあり、確認したところどれも同じような作りであった。
なるほど。ここは村の中でも特に力の強い人が住む家という感じかな。村長とか?
しかし、この二階建ての家だけでも一円の価値あるんじゃ? と色々と感覚がおかしくなってくる。
「けど、こうなってくると10円や100円で街を作ると一体どうなるんだ?」
試したくなる衝動が湧き上がるが、その前にしなければいけないことがあるとオレは手に握るお金を財布にしまいながら、村から少し離れていく。
◇ ◇ ◇
「さてと、それじゃあ試してみるか」
場所は先ほどの村から少し離れた拓けた平野。
相変わらず周りには草原しか広がっていない。
陽の光と草原を駆け回る風を感じながら、オレは一円玉を握り締めし、あるイメージを抱く。
それは一つの家。
先ほどオレは一円玉を投げる際、神様の言った『村』をイメージして、その結果あの村が出来た。
実際、神の通貨の説明にも一円玉で創れる具体例には『村』とあった。
だが、もしこの一円玉を『家一つ』を作るためだけに使ったとしたら、どうなるであろうか?
具体的な答えは説明にも無かった。
だからこそ、今ここで試しておきたい。
そう思いながらオレは『家一つ』を頭にイメージしながら一円玉を投げる。
瞬間、一円玉が空中で光輝き地面に飲み込まれると同時に、その場所を中心に瞬く間に白く巨大な家が立ち上がっていく。
「なッ!?」
豪邸。まさにそう言っていい、とんでもない家が一瞬にして目の前に生まれた。
広さはおよそ五百メートル。
真っ白な巨大な豪邸はまさにハリウッドのスターが住んでいそうな大豪邸。
敷地内には庭は勿論、噴水、ガーデニング、倉庫、更にはプールまで完備されていた。
驚きのまま館の中に入るオレであったが、中に入った際の驚きはそれ以上であった。
「……マジかよ」
目の前に広がるのは映画などでしか見たことのないような広大な館の玄関。
天井にはシャンデリアがぶら下がり、そこから明るい光が玄関を灯している。
奥のリビングに入ると、そこはまるで豪華ホテルのスィート並。
テーブルや家具など必要なものは一式揃えてあった。
その後、館内の部屋の数を調べると合計二十部屋以上あり、その全てが豪華絢爛な部屋であった。
さらに、お風呂やトイレなども当然のように設備されていた。
なるほどなぁ。
一円玉で村を作るのではなく、一つの家に使った場合、その分、家の性能が大幅に上がって、このような形になるのか。
だとすると、普通に暮らす分にはもうこの豪邸一つあれば十分なんじゃ?
オレは一度外に出てもう一度、館を見ると扉の端に奇妙な文字が浮かんでいるのに気づく。
これは神の通貨の際に見た説明文と同じものだ。
それに気づくと、すぐさまそれをタッチする。
【豪邸】
1円を使うことにより生み出した一軒家。
一つの村相当の価値を持つ豪邸であり、一部の家具には魔力が宿る。
な、なるほど。水やお風呂が使えたのはこういうことだったのか。
まさか一円でここまでのものが創れるとは思ってもおらず、オレは知らずこの異世界での日本円、『神の通貨』の使い方に胸を躍らせつつあった。
こうなると、次は一体何を作ってみようか……。
残り通貨:13745円
【創造物】
豪邸×1
村×1
オレは手持ちの13746円と、目の前の村を確認する。
うん。まずは出来た村を確認しよう。
家はそれぞれ遠すぎず近すぎずといった感覚で建っており、ちょうど円になるような形で密集していた。
村を歩く際、地面の土などは整備されており、中央には井戸が設置され、家以外にも必要最低限の設備が整っていた。
一応、井戸の水を取り付けてあった桶で汲んでみたが問題なく綺麗な水が取れ、飲んでみたところ喉の渇きが癒された。
うーん。一円だけでこんな大盤振る舞いの創造をして本当にいいのだろうか?
とりあえずオレは近くの木造りの家の扉をノックし、中に入ってみる。
「おじゃましまーす」
当然、人の声も反応もない。
中に入ると、まず玄関と厨房がひとつになった場所が広がっていた。
そこを上がると寝床と思われる部屋があり、中央には椅子と机があった。
奥にも部屋が二つほどあり、片方は小部屋。もう片方は風呂場であった。
それほど広い作りではないようだが、家族三人くらいなら暮らしていけそうな構造だ。
イメージとしては江戸時代の民家が近いだろうか。
家具やかまどなど最低限のものもしっかりついていた。
石造りの家に関しても似たような作りであり、多少の部屋の大きさの違いなどはあっても、どれも似たような構造と広さであった。
次にオレは二階建ての少し大きめの家に入る。
そこは入口からして、しっかりとした作りであり中も先ほどの簡素な家とはまるで違った。
「うわ、ちゃんと玄関があって、廊下もある。それに部屋も一階だけで三つもある?」
そこはまさに新築の家と言っても過言ではない作りであった。
部屋を確認すると、ベッドや家具がしっかりと揃っていた。
台所も今までは玄関あたりと一緒になっていたが、この家ではちゃんと台所は別の部屋に用意されており、浴槽も他の家より広めであった。
また二階には部屋が二つあり、その部屋も一階同様しっかりとしたつくりであった。
二階建ての家は村に五つほどあり、確認したところどれも同じような作りであった。
なるほど。ここは村の中でも特に力の強い人が住む家という感じかな。村長とか?
しかし、この二階建ての家だけでも一円の価値あるんじゃ? と色々と感覚がおかしくなってくる。
「けど、こうなってくると10円や100円で街を作ると一体どうなるんだ?」
試したくなる衝動が湧き上がるが、その前にしなければいけないことがあるとオレは手に握るお金を財布にしまいながら、村から少し離れていく。
◇ ◇ ◇
「さてと、それじゃあ試してみるか」
場所は先ほどの村から少し離れた拓けた平野。
相変わらず周りには草原しか広がっていない。
陽の光と草原を駆け回る風を感じながら、オレは一円玉を握り締めし、あるイメージを抱く。
それは一つの家。
先ほどオレは一円玉を投げる際、神様の言った『村』をイメージして、その結果あの村が出来た。
実際、神の通貨の説明にも一円玉で創れる具体例には『村』とあった。
だが、もしこの一円玉を『家一つ』を作るためだけに使ったとしたら、どうなるであろうか?
具体的な答えは説明にも無かった。
だからこそ、今ここで試しておきたい。
そう思いながらオレは『家一つ』を頭にイメージしながら一円玉を投げる。
瞬間、一円玉が空中で光輝き地面に飲み込まれると同時に、その場所を中心に瞬く間に白く巨大な家が立ち上がっていく。
「なッ!?」
豪邸。まさにそう言っていい、とんでもない家が一瞬にして目の前に生まれた。
広さはおよそ五百メートル。
真っ白な巨大な豪邸はまさにハリウッドのスターが住んでいそうな大豪邸。
敷地内には庭は勿論、噴水、ガーデニング、倉庫、更にはプールまで完備されていた。
驚きのまま館の中に入るオレであったが、中に入った際の驚きはそれ以上であった。
「……マジかよ」
目の前に広がるのは映画などでしか見たことのないような広大な館の玄関。
天井にはシャンデリアがぶら下がり、そこから明るい光が玄関を灯している。
奥のリビングに入ると、そこはまるで豪華ホテルのスィート並。
テーブルや家具など必要なものは一式揃えてあった。
その後、館内の部屋の数を調べると合計二十部屋以上あり、その全てが豪華絢爛な部屋であった。
さらに、お風呂やトイレなども当然のように設備されていた。
なるほどなぁ。
一円玉で村を作るのではなく、一つの家に使った場合、その分、家の性能が大幅に上がって、このような形になるのか。
だとすると、普通に暮らす分にはもうこの豪邸一つあれば十分なんじゃ?
オレは一度外に出てもう一度、館を見ると扉の端に奇妙な文字が浮かんでいるのに気づく。
これは神の通貨の際に見た説明文と同じものだ。
それに気づくと、すぐさまそれをタッチする。
【豪邸】
1円を使うことにより生み出した一軒家。
一つの村相当の価値を持つ豪邸であり、一部の家具には魔力が宿る。
な、なるほど。水やお風呂が使えたのはこういうことだったのか。
まさか一円でここまでのものが創れるとは思ってもおらず、オレは知らずこの異世界での日本円、『神の通貨』の使い方に胸を躍らせつつあった。
こうなると、次は一体何を作ってみようか……。
残り通貨:13745円
【創造物】
豪邸×1
村×1
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
誰からも食べられずに捨てられたおからクッキーは異世界転生して肥満令嬢を幸福へ導く!
ariya
ファンタジー
誰にも食べられずゴミ箱に捨てられた「おからクッキー」は、異世界で150kgの絶望令嬢・ロザリンドと出会う。
転生チートを武器に、88kgの減量を導く!
婚約破棄され「豚令嬢」と罵られたロザリンドは、
クッキーの叱咤と分裂で空腹を乗り越え、
薔薇のように美しく咲き変わる。
舞踏会での王太子へのスカッとする一撃、
父との涙の再会、
そして最後の別れ――
「僕を食べてくれて、ありがとう」
捨てられた一枚が紡いだ、奇跡のダイエット革命!
※カクヨム・小説家になろうでも同時掲載中
※表紙イラストはAIに作成していただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる