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第11話 豪邸を補修しよう
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「ご、ごめんなさい、ご主人様! そ、その私、生まれたばかりで力の加減がよく分からなくって……! こ、この弁償になんでもしますから許してください~!」
あのあと、オレを助けてくれた少女はすぐさま自分の攻撃で消失した豪邸の一部を見て、顔を青くした後、オレに謝りだした。
「いやいや、気にしなくていいよ。これくらいだったらまた作ればいいし。それになにより君は命の恩人なんだから、謝る必要なんてないよ」
「ほ、本当ですか! そう言われて嬉しいです、ご主人様!」
パタパタと見て分かるほど嬉しそうに尻尾を振る少女。
うーん、やっぱり犬なんだろうか?
いわゆる亜人、いや獣人というやつだろうか?
気になったオレは少女の正体について聞く。
「ところで君は一体何者だい?」
「あっ、自己紹介が遅れて申し訳ありません! 私は地獄の番人ケルベロス。これからはご主人様の下僕として誠心誠意お仕え致しますので、どうぞよろしくお願いいたします!」
ペコリと頭を下げる少女。
ケルベロスっていうと、あのケルベロス?
三つの頭がある黒い猛犬。ゲームとかでも、時折強敵として登場するあの魔物?
しかし、目の前の少女は全くそんな風には見えず、可憐で可愛らしい姿であった。
「えっと、ケルベロスってオレのイメージだと三つ首の黒い犬だったんだけど」
「ああ、それですか。はい、なれますよ。ただ私くらいの上位魔物になれば人の姿に変化する能力は備えています。というよりもご主人様が私を生み出す際、通常では考えられないほどの創造エネルギーを注いでくれたので普通では出来ないことも可能となっています。他にも色々と出来ることはありますが、一からご説明した方がいいでしょうか?」
「えっと、それ聞くとどれくらいかかる?」
「そうですね……。最低限の能力の説明だけでも一日はかかるかと」
「ああ、じゃあ、今はいいや。気が向いた時にでも」
「了解です!」
「ところで名前なんだけど、ケルベロスって呼んだ方がいいかな」
「いえ、ご主人様のお好きなように呼んでくださって大丈夫です。なんでしたら犬とかでも私は全然構いません」
いや、さすがにそれはダメでしょう。
「それじゃあ、ケルちゃん……とか」
「け、ケルちゃん!?」
「え、あっ、ダメだった!?」
オレがちゃん付けすると顔を真っ赤にして動揺するが、すぐさま首をぶんぶん横に振る。
「い、いえ! 全然いいです! ぜ、ぜひケルちゃんでお願いします!」
「そ、そう? わ、分かった」
オレがそう答えるとケルちゃんは再び、さっきよりも嬉しそうに尻尾をぶんぶん振り回していた。
なんだろう。尻尾のおかげかすごく分かりやすい。
「それでご主人様。これからいかが致しますか?」
「え? うーん、そうだな。とりあえず、壊れた部分の補修でもしようか」
「うっ! ご、ごめんなさい……」
「え? い、いや! 気にしなくていいから! ホント! こんなのすぐに治るから!」
そう言ってオレは急ぎ財布から一円玉を取り出すと豪邸の消失した部分に投げる。
すると、瞬く間にその部分が補修され、それだけではなく、豪邸そのものが進化するかのように前よりも多くのフロアや壁や扉など、明らかに以前より頑丈な作りになった。
おお、これはもしかしてあのゴブリン襲来でオレが危機感を感じたために館の防御力が上がったのだろうか?
部屋の扉も以前はただの木造だったが、何やら奇妙な紋様が刻まれており、魔力的なものを感じる。
「す、すごいです! さすがはご主人様! この扉、特殊な魔力が施されて、普通の衝撃や物理的な攻撃では破壊されないようになってますよ!」
「え、マジ?」
扉を見たケルちゃんが興奮した様子で説明する。
そうか、やはりオレの心配に同調して、どうやらその辺りの強化がされたようだ。
確かにここが異世界なら魔物の存在は切っても切り離せないはず。しかも、あのようにどこからともなく現れて襲ってくることもあるんだ。
うん、早い段階でその危険性を感じて、豪邸を強化出来たのはいい判断だったかもしれない。
そう思ったオレだが、その時ふと腹の虫が鳴く。
あっ、しまった。朝からゴブリンの襲撃でご飯を食べていなかったんだ。
気づけばもうすっかり昼のため、今からご飯を作ろうとキッチンへ向かおうとするオレであったが、
「お待ちください、ご主人様! お料理ならぜひ私にお任せください!」
「へ、ケルちゃんに?」
思わぬ申し出に面を食らうオレ。
だが、当のケルちゃんは意気揚々とした様子で「ぜひお任せを!」と声を上げるので、それに甘えることにした。
「了解しました! ところで食材の方は……」
「ああ、一応外に野菜とあと川に魚。それから森の方にも動物がいくらかいて……」
「分かりました! ただちに材料を調達して調理してきますので、しばらくお待ちくださいー!」
言うや否やすぐさま部屋を飛び出していくケルちゃん。
ま、まあ、とりあえずここは彼女に任せるか。
そう思い十分ほど部屋で待機していると、再び扉が開かれ、その奥から両手に数々の料理を抱えたケルちゃんが現れた。
「お待たせしました、ご主人様! お料理お持ちしましたー!」
「はやっ!」
思わず叫ぶオレであったが、更に驚愕したのはそのケルちゃんが持ってきた料理の数々であった。
野菜、魚、肉とありとあらゆる料理のオンパレードであり、しかもどれも見事に調理されていた。漂う匂いからして美味しさがこみ上げてくる。
「さあ、ご主人様。どうぞ」
笑顔でオレに料理を進めるケルちゃんを尻目にまずは更に置かれた脂身がしっかりと乗った肉をナイフで切り、口に運ぶ。
「んぐっ!」
めちゃくちゃ美味しい! なんだこれ!? ヒレ!? ヒレ肉か!?
そのまま隣にあった魚のムニエルを口に入れるが、こちらも絶品!
オレも料理の腕は人並みにあったつもりだが、この料理は比べるのもおこがましいほど一級品の出来栄えである。
しかし、この肉はひょっとして……?
「ケルちゃん。つかぬことを聞くんだけど、この肉どこで調達したの?」
「えっと、森の中に羽の生えた牛みたいなのがいたので、それを捕まえて調理しました」
羽の生えた牛……。ああ、そんなのいたね。
そうか、美味しく調理されちゃったのか……。
ま、まあ、元々そのつもりで作った生き物ではあったし、そこを引きずるのもアレだ。
むしろ、こうして美味しいお肉となった以上はきちんと食べてあげないと逆に失礼。
そう感謝しつつ、オレはお残しせず、ケルちゃんが作ってくれた料理を全て平らげた。
「ふーっ、すっごい美味しかったよー」
「ほ、本当ですか! ありがとうございます、ご主人様!!」
思わず呟いたセリフにケルちゃんは嬉しそうな笑顔を見せる。
とは言え、これは本当のことなので包み隠す必要もない。
それにしても……千円から生まれた存在ではあるが、強いだけでなく、料理の腕も一級品とはさすがだ。見た目もすごく可愛いし、うーむ。とケルちゃんを見つめるオレであったが、そんなオレのマジマジとした視線にたまらなくなったのか顔を赤くして、少しだけ視線を逸らすケルちゃんであった。
残り通貨:12620円
【創造物】
豪邸×1
村×1
野菜畑×1
りんごの樹×1
魚達がいる川×1
動物達の森×1
聖剣×1
ケルベロス×1
あのあと、オレを助けてくれた少女はすぐさま自分の攻撃で消失した豪邸の一部を見て、顔を青くした後、オレに謝りだした。
「いやいや、気にしなくていいよ。これくらいだったらまた作ればいいし。それになにより君は命の恩人なんだから、謝る必要なんてないよ」
「ほ、本当ですか! そう言われて嬉しいです、ご主人様!」
パタパタと見て分かるほど嬉しそうに尻尾を振る少女。
うーん、やっぱり犬なんだろうか?
いわゆる亜人、いや獣人というやつだろうか?
気になったオレは少女の正体について聞く。
「ところで君は一体何者だい?」
「あっ、自己紹介が遅れて申し訳ありません! 私は地獄の番人ケルベロス。これからはご主人様の下僕として誠心誠意お仕え致しますので、どうぞよろしくお願いいたします!」
ペコリと頭を下げる少女。
ケルベロスっていうと、あのケルベロス?
三つの頭がある黒い猛犬。ゲームとかでも、時折強敵として登場するあの魔物?
しかし、目の前の少女は全くそんな風には見えず、可憐で可愛らしい姿であった。
「えっと、ケルベロスってオレのイメージだと三つ首の黒い犬だったんだけど」
「ああ、それですか。はい、なれますよ。ただ私くらいの上位魔物になれば人の姿に変化する能力は備えています。というよりもご主人様が私を生み出す際、通常では考えられないほどの創造エネルギーを注いでくれたので普通では出来ないことも可能となっています。他にも色々と出来ることはありますが、一からご説明した方がいいでしょうか?」
「えっと、それ聞くとどれくらいかかる?」
「そうですね……。最低限の能力の説明だけでも一日はかかるかと」
「ああ、じゃあ、今はいいや。気が向いた時にでも」
「了解です!」
「ところで名前なんだけど、ケルベロスって呼んだ方がいいかな」
「いえ、ご主人様のお好きなように呼んでくださって大丈夫です。なんでしたら犬とかでも私は全然構いません」
いや、さすがにそれはダメでしょう。
「それじゃあ、ケルちゃん……とか」
「け、ケルちゃん!?」
「え、あっ、ダメだった!?」
オレがちゃん付けすると顔を真っ赤にして動揺するが、すぐさま首をぶんぶん横に振る。
「い、いえ! 全然いいです! ぜ、ぜひケルちゃんでお願いします!」
「そ、そう? わ、分かった」
オレがそう答えるとケルちゃんは再び、さっきよりも嬉しそうに尻尾をぶんぶん振り回していた。
なんだろう。尻尾のおかげかすごく分かりやすい。
「それでご主人様。これからいかが致しますか?」
「え? うーん、そうだな。とりあえず、壊れた部分の補修でもしようか」
「うっ! ご、ごめんなさい……」
「え? い、いや! 気にしなくていいから! ホント! こんなのすぐに治るから!」
そう言ってオレは急ぎ財布から一円玉を取り出すと豪邸の消失した部分に投げる。
すると、瞬く間にその部分が補修され、それだけではなく、豪邸そのものが進化するかのように前よりも多くのフロアや壁や扉など、明らかに以前より頑丈な作りになった。
おお、これはもしかしてあのゴブリン襲来でオレが危機感を感じたために館の防御力が上がったのだろうか?
部屋の扉も以前はただの木造だったが、何やら奇妙な紋様が刻まれており、魔力的なものを感じる。
「す、すごいです! さすがはご主人様! この扉、特殊な魔力が施されて、普通の衝撃や物理的な攻撃では破壊されないようになってますよ!」
「え、マジ?」
扉を見たケルちゃんが興奮した様子で説明する。
そうか、やはりオレの心配に同調して、どうやらその辺りの強化がされたようだ。
確かにここが異世界なら魔物の存在は切っても切り離せないはず。しかも、あのようにどこからともなく現れて襲ってくることもあるんだ。
うん、早い段階でその危険性を感じて、豪邸を強化出来たのはいい判断だったかもしれない。
そう思ったオレだが、その時ふと腹の虫が鳴く。
あっ、しまった。朝からゴブリンの襲撃でご飯を食べていなかったんだ。
気づけばもうすっかり昼のため、今からご飯を作ろうとキッチンへ向かおうとするオレであったが、
「お待ちください、ご主人様! お料理ならぜひ私にお任せください!」
「へ、ケルちゃんに?」
思わぬ申し出に面を食らうオレ。
だが、当のケルちゃんは意気揚々とした様子で「ぜひお任せを!」と声を上げるので、それに甘えることにした。
「了解しました! ところで食材の方は……」
「ああ、一応外に野菜とあと川に魚。それから森の方にも動物がいくらかいて……」
「分かりました! ただちに材料を調達して調理してきますので、しばらくお待ちくださいー!」
言うや否やすぐさま部屋を飛び出していくケルちゃん。
ま、まあ、とりあえずここは彼女に任せるか。
そう思い十分ほど部屋で待機していると、再び扉が開かれ、その奥から両手に数々の料理を抱えたケルちゃんが現れた。
「お待たせしました、ご主人様! お料理お持ちしましたー!」
「はやっ!」
思わず叫ぶオレであったが、更に驚愕したのはそのケルちゃんが持ってきた料理の数々であった。
野菜、魚、肉とありとあらゆる料理のオンパレードであり、しかもどれも見事に調理されていた。漂う匂いからして美味しさがこみ上げてくる。
「さあ、ご主人様。どうぞ」
笑顔でオレに料理を進めるケルちゃんを尻目にまずは更に置かれた脂身がしっかりと乗った肉をナイフで切り、口に運ぶ。
「んぐっ!」
めちゃくちゃ美味しい! なんだこれ!? ヒレ!? ヒレ肉か!?
そのまま隣にあった魚のムニエルを口に入れるが、こちらも絶品!
オレも料理の腕は人並みにあったつもりだが、この料理は比べるのもおこがましいほど一級品の出来栄えである。
しかし、この肉はひょっとして……?
「ケルちゃん。つかぬことを聞くんだけど、この肉どこで調達したの?」
「えっと、森の中に羽の生えた牛みたいなのがいたので、それを捕まえて調理しました」
羽の生えた牛……。ああ、そんなのいたね。
そうか、美味しく調理されちゃったのか……。
ま、まあ、元々そのつもりで作った生き物ではあったし、そこを引きずるのもアレだ。
むしろ、こうして美味しいお肉となった以上はきちんと食べてあげないと逆に失礼。
そう感謝しつつ、オレはお残しせず、ケルちゃんが作ってくれた料理を全て平らげた。
「ふーっ、すっごい美味しかったよー」
「ほ、本当ですか! ありがとうございます、ご主人様!!」
思わず呟いたセリフにケルちゃんは嬉しそうな笑顔を見せる。
とは言え、これは本当のことなので包み隠す必要もない。
それにしても……千円から生まれた存在ではあるが、強いだけでなく、料理の腕も一級品とはさすがだ。見た目もすごく可愛いし、うーむ。とケルちゃんを見つめるオレであったが、そんなオレのマジマジとした視線にたまらなくなったのか顔を赤くして、少しだけ視線を逸らすケルちゃんであった。
残り通貨:12620円
【創造物】
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