日本円から始まる異世界造り

雪月花

文字の大きさ
17 / 45

第17話 街を作ろう

しおりを挟む
「さてと、まずどんな風に作るか……」

「はいはーい! ご主人様! 私、考えがありまーす!」

 悩むオレにすぐさま手を挙げるケルちゃん。
 だが、オレはそんな彼女に対し笑顔を向け断る。

「ありがとう、ケルちゃん。けど、今回の事に関しては出来ればアドバイスは避けてくれないかな」

「え?」

「今回の街の創造にはオレだけの力で挑んでみたい。セバスがどんな街を作ってくるのか、正直楽しみだし、それに対し自分の力で競いたいんだ」

 戸惑うケルちゃんにそう説明すると、ケルちゃんは納得したように頷く。

「分かりました。さすがはご主人様です! ケルもアドバイスは控え、ご主人様のサポートに全力を尽くします!」

「ああ、よろしく頼むよ。ケルちゃん」

 犬耳をピコピコ動かすケルちゃんの頭を撫でると、ケルちゃんは嬉しそうな顔をして尻尾を振る。

「とりあえずは村の様子を見に行こうか」

「了解です! ご主人様!」

 そう言ってオレはケルちゃんを連れて、村の方へ行く。
 そこでは新しく建てた家で採れた稲を米に変えたり、森や川で採ってきた獲物を捌いて商品として売っている村の人達の姿があった。

「あ、これは領主様! お疲れ様です!」

 彼らの多くはオレの顔を見ると挨拶をしてくる。

「あ、領主様だー!」

「領主様、こんにちわー!」

「お、トムにリナか。久しぶりだなー」

 広場へ行くと、そこには遊んでいた二人の子供達がおり、彼らはオレを見かけると足元に寄ってくる。

「ねえねえ、領主様。久しぶりに遊ぼうよー!」

「遊ぼうよー! この村、子供が少ないから私とトムだけじゃ、おままごともすぐに飽きちゃうのー」

 実はこの二人とはたまに遊んでりして、そのため下手な村人より親しくなった。

「せっかくの誘いだけど、ごめんな。今日は視察に来てるんだ」

「しさつってなにー?」

「うーん。まあ、新しい街を作るために今ある村の様子を見て、次の街はどこを発展させればいいかなーって」

「え、領主様。新しい街を作るの!?」

「すごーい! ねえねえ、それなら領主様! 今度は僕達が遊べるようなおもちゃが子供がたくさんいる場所作ってよー」

「ちょっとちょっと、君達ー。ご主人様の創造は遊びじゃないんだよー。そんな遊びメインの創造なんてしてたら、村や街の発展に繋がらないでしょー」

「えー」

「でも私達だけじゃつまんないよー」

 ケルちゃんに反論するように唇を尖らせるトムとリナであったが、遊ぶ場所か……。
 オレはそんな二人の意見にある閃きを感じ取る。

◇  ◇  ◇

「よし、それじゃあ、早速街を作ってみるか」

 村から少し離れた平野に移動したオレは百円玉を両替し、そこから十円を取り出す。
 一円玉で村が出来るなら、恐らく十円もあれば街の形くらいはできるはず。
 そう思いオレは早速十円玉を投げる。
 すると、十円玉が地面に落ちた瞬間、地面がうねり、そこから次々と建物が生まれる。
 それだけではなくただの平野の上にレンガのようなものが積み上がり、道が舗装され、壁もせり立つ。
 気づくとそこにはまさに街と呼べる家々の数々が出来上がり、その周囲を取り囲むように巨大な壁が立っている。

「こりゃすごいな。街だけじゃなく、ちゃんと壁まで作ってくれるとは」

「さすがご主人様です! すごいですよ!」

 隣ではケルちゃんもはしゃいだ様子で目の前の街を見ている。
 オレは早速門をくぐり、街の中に移動する。
 そこにはまさにファンタジーと呼ばれるふさわしい中世をイメージした街の数々が広がっている。
 家の種類も様々であり、中には武器屋、防具屋、道具屋、酒場、食材屋、レストランといった街に必要な店の数々まで広がっている。
 広さもかなりのものがあり、ざっと大通りを歩いた感じ、街の広さは一キロはあるだろうか。
 人もこの大きさなら五百人は居住できそうだ。
 オレは出来上がった街の様子を見て、悪くないと笑みを浮かべる。

「よーし、それじゃあ、本番はここからだ」

「次はいよいよ、住民の創造ですね!」

 街を見て、興奮した様子でそう告げるケルちゃん。
 だが、オレはそれを否定する。

「いや、次はこの街のメイン。オレがこの先作りたいものを作る」

「この先作りたいもの、ですか?」

「ああ、ズバリそいつは――」


残り通貨:12408円
【創造物】
豪邸×1
村×1
野菜畑×1
りんごの樹×1
魚達がいる川×1
動物達の森×1
聖剣×1
ケルベロス×1
執事×1
メイド×9
塔×6
村人×50
牧場×1
稲作×1
街×1
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

誰からも食べられずに捨てられたおからクッキーは異世界転生して肥満令嬢を幸福へ導く!

ariya
ファンタジー
誰にも食べられずゴミ箱に捨てられた「おからクッキー」は、異世界で150kgの絶望令嬢・ロザリンドと出会う。 転生チートを武器に、88kgの減量を導く! 婚約破棄され「豚令嬢」と罵られたロザリンドは、 クッキーの叱咤と分裂で空腹を乗り越え、 薔薇のように美しく咲き変わる。 舞踏会での王太子へのスカッとする一撃、 父との涙の再会、 そして最後の別れ―― 「僕を食べてくれて、ありがとう」 捨てられた一枚が紡いだ、奇跡のダイエット革命! ※カクヨム・小説家になろうでも同時掲載中 ※表紙イラストはAIに作成していただきました。

処理中です...