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第27話 街を比べよう③
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「なるほど、なかなかに興味深い街であったのぉ。ほっほっほっ」
「お褒めに預かり光栄です」
あれからセバスの作った街を一通り見たオレ達であったが、そこにあった未知の技術、新たなテクノロジーとも呼べるものを見せられ驚嘆の一言である。
神様も予想外といった反応を示し、その反応は明らかに上機嫌であった。
「うむ。では次はトオルの作った街へ行ってみるとするかのぉ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「では、先ほど皆様が移動に使った蒸気機関車を再び使用しましょう。さあ、こちらへどうぞ」
次はオレの街を見学するべく、先ほどの蒸気機関車へ全員が移動する。
いよいよか。
正直、セバスのあの街を見せられたあとじゃ、あまり自信がなくなってくる。
オレは街そのものの発展というよりも、それ以外の発展を優先させて面がある。
果たしてそれが吉と出るか凶と出るか。
緊張するオレであったが、そんなオレの手を隣にいるケルちゃんが握る。
「大丈夫です、ご主人様。ケルはご主人様の作った街はとても素晴らしいものだと信じています。だから、どうかご主人様も自信を持ってください」
「ケルちゃん……」
思わぬケルちゃんからの励ましにオレは少しだけ胸が軽くなる。
そうだな。もうここまで来たらあとは自分の作った街をアピールするだけ。
それに結果がどうであれ、セバスはオレのためにあの街を用意してくれたんだ。
それを考えれば、むしろセバスを褒めるべきであり、オレも喜ぶべきだ。
オレは自分自身を奮い立たせるべく、蒸気機関車で移動する先を見据えるのであった。
◇ ◇ ◇
「ここがオレの作った街です。名前はまだつけてませんので、とりあえず街とだけ」
「これは……」
「ほお」
街へ入ってすぐ、セバスと神様が興味深そうに息を漏らす。
その先では様々な街人が活気に満ち溢れ、あちらこちらで明るい喧騒が聞こえ、店はどこもオープン。
店先に並んでいる商品も普通とは異なるものがいくつか並んでいた。
「これは……普通の道具とも、私の街で作っている道具とも異なりますね。これは一体なんですか?」
そう言ってセバスが手にとったのは店先に並んでいた金のランプ。
無論、それはただの照明器具としてのランプではなく、もっと別の用途を秘めたランプである。
「セバス。それをこすってみてくれ」
「? はい」
セバスがオレの言うとおり、ランプを手で軽くこすると水差しの部分から淡い光の塊が現れる。
「これは!?」
「見ての通り、いわゆるマジックアイテムだ」
「ほお」
「マジックアイテム……つまり魔法の品ですか? ということはこれらの品を街と一緒に作ったということですか?」
「いいや、オレが作ったのは街と住人。それからあと二つだけ。ここにある品物やマジックアイテムを作ったのは全部この街の住人だ」
「なんと!? 本当なのですか!? しかし、これほどの品をどうやって……!」
オレの説明にセバスは驚く。
この世界でマジックアイテムがどれほどの価値や数があるのかは分からない。
だが、やはりファンタジーの世界と言えば、その特色を宿したアイテムの生成であろうとオレはこのマジックアイテムの製作を頼んだ。
無論、これを行うための地盤はしっかりと作ったわけだが。
「とりあえず、この街の中心――『要』に連れて行くから来てくれ」
そういってオレはセバス達を連れて移動する。
向かう先は無論、一つ。
大通りを抜けた先、巨大な十回建ての建物――ギルドである。
その巨大な建造物を前にさすがのセバスや神様も驚いた表情をしていた。
「これは……」
「ギルドさ」
戸惑うセバスにオレはそう一言を返す。
そのまま中に入ると、そこにはいつものギルド内部の姿があった。
「いらっしゃいませー。あっ、これは領主様。ようこそ、いらっしゃいました!」
「やっ、サリー。今日もお疲れ様」
「後ろの方々は領主様のお知り合いですか?」
「ああ、まあ、そんなところだ。彼らにこのギルド内部を案内したいんだが、いいかな?」
「はい! もちろんですよ! それじゃあ、私が案内につきますね」
そう言って受付をしていた娘サリーがカウンターから出てくると、セバスと神様の前に移動する。
一方のセバスと神様はこのギルド内部の様子に驚いているのか、物珍しげに中を見渡している。
「これは……随分と冒険者がいるのだな。いや、冒険者だけではない。魔術師に僧侶……あれは何かの職人か?」
「はい、その通りです。このギルド内部には様々な専門職の人々がギルドを結成して、互いに協力し合っているのです」
セバスの独白に頷くようにサリーが答える。
その声に反応し、セバスはサリーからの説明を待つ。
「一階はここ受付と冒険者ギルドのフロアとなっております。二階は職人ギルド。三階は魔術ギルド。四階は商人ギルド。五階は教会ギルド。六階は料理ギルド。七階は農業ギルド。八階は魔物ギルド。九階は騎士ギルド。そして十階が統治ギルドです」
「ふむ。七階まではどのようなギルドか判断出来ますが、八階の魔物ギルドと九階の騎士ギルド、それに十階の統治ギルドとは?」
「魔物ギルドは主に魔物に関する研究を行っているギルドです。どのような魔物がいて好物は何か? 弱点はなにか? どのような言語を使うのか? そのような研究を行っています。また最近では魔物を使役、召喚する術も研究中です」
「ほお、それはなかなかに面白いですな」
サリーからの説明にセバスは興味深そうに目を細める。
まあ、もうすでに魔物ならうちにも一人大物が仲間になっていますが、ケルちゃんという大物が。
「九階の騎士ギルドは治安維持のために作られたギルドです。冒険者が外への冒険、探索、または傭兵として赴く中、この街そのものの防衛、またこのギルドそのものを守護するために用意された精鋭、騎士になります」
「なるほど。確かに本拠地の守りは必要。もし、ここが首都となった際には冒険者とは別にそのような騎士団はあってしかるべしですね。主様、さすがの慧眼です」
と、オレを褒め称えるようにお辞儀をするセバス。
まあ、まだここが首都になるかどうかは決まってないけど。
「そして、統治ギルドはここギルドの運用を統治する司令塔の役割です。どのギルドにどの依頼や指示を出すか。その適材適所を見極める頭脳。また緊急の際、それぞれのギルドに指示を出す役割も持ち、現在も各ギルドの活動や成果をまとめ、それをどのように街に与えるかを日々調整しています」
「なるほど。確かにそれぞれのギルドの成果をどのように街へと貢献させていくか、それを考える司令塔は必要。道理ですね」
サリーの説明に一通り納得した様子を見せるセバス。しかし、その顔にはわずかな疑問が残っていた。
「ですが、ひとつだけお聞きしたいことが。ここが各役割に特化したギルドというのは理解しました。ですが、冒険者ギルドといっても現状、このあたりに冒険者を必要とするものなどないはずでは? 周りは平野。このギルドの機構そのものは素晴らしいですが、その要となるのはここ一階の冒険者ギルドのはず。冒険者ギルドが持ち帰った戦利品や成果を職人ギルドなどが活かす。ですが、肝心の冒険者ギルドが活動地点となる場所を持たなければ、十全な機能は果たせないのでは?」
「それなら心配無用だぜ」
セバスの疑問にオレははっきりと答える。
「さっき言っただろう。オレが作ったものは四つ。街と住人、ギルド。そして残る最後の一つがそのギルドの活動地――『ダンジョン』だ」
「お褒めに預かり光栄です」
あれからセバスの作った街を一通り見たオレ達であったが、そこにあった未知の技術、新たなテクノロジーとも呼べるものを見せられ驚嘆の一言である。
神様も予想外といった反応を示し、その反応は明らかに上機嫌であった。
「うむ。では次はトオルの作った街へ行ってみるとするかのぉ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「では、先ほど皆様が移動に使った蒸気機関車を再び使用しましょう。さあ、こちらへどうぞ」
次はオレの街を見学するべく、先ほどの蒸気機関車へ全員が移動する。
いよいよか。
正直、セバスのあの街を見せられたあとじゃ、あまり自信がなくなってくる。
オレは街そのものの発展というよりも、それ以外の発展を優先させて面がある。
果たしてそれが吉と出るか凶と出るか。
緊張するオレであったが、そんなオレの手を隣にいるケルちゃんが握る。
「大丈夫です、ご主人様。ケルはご主人様の作った街はとても素晴らしいものだと信じています。だから、どうかご主人様も自信を持ってください」
「ケルちゃん……」
思わぬケルちゃんからの励ましにオレは少しだけ胸が軽くなる。
そうだな。もうここまで来たらあとは自分の作った街をアピールするだけ。
それに結果がどうであれ、セバスはオレのためにあの街を用意してくれたんだ。
それを考えれば、むしろセバスを褒めるべきであり、オレも喜ぶべきだ。
オレは自分自身を奮い立たせるべく、蒸気機関車で移動する先を見据えるのであった。
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「ここがオレの作った街です。名前はまだつけてませんので、とりあえず街とだけ」
「これは……」
「ほお」
街へ入ってすぐ、セバスと神様が興味深そうに息を漏らす。
その先では様々な街人が活気に満ち溢れ、あちらこちらで明るい喧騒が聞こえ、店はどこもオープン。
店先に並んでいる商品も普通とは異なるものがいくつか並んでいた。
「これは……普通の道具とも、私の街で作っている道具とも異なりますね。これは一体なんですか?」
そう言ってセバスが手にとったのは店先に並んでいた金のランプ。
無論、それはただの照明器具としてのランプではなく、もっと別の用途を秘めたランプである。
「セバス。それをこすってみてくれ」
「? はい」
セバスがオレの言うとおり、ランプを手で軽くこすると水差しの部分から淡い光の塊が現れる。
「これは!?」
「見ての通り、いわゆるマジックアイテムだ」
「ほお」
「マジックアイテム……つまり魔法の品ですか? ということはこれらの品を街と一緒に作ったということですか?」
「いいや、オレが作ったのは街と住人。それからあと二つだけ。ここにある品物やマジックアイテムを作ったのは全部この街の住人だ」
「なんと!? 本当なのですか!? しかし、これほどの品をどうやって……!」
オレの説明にセバスは驚く。
この世界でマジックアイテムがどれほどの価値や数があるのかは分からない。
だが、やはりファンタジーの世界と言えば、その特色を宿したアイテムの生成であろうとオレはこのマジックアイテムの製作を頼んだ。
無論、これを行うための地盤はしっかりと作ったわけだが。
「とりあえず、この街の中心――『要』に連れて行くから来てくれ」
そういってオレはセバス達を連れて移動する。
向かう先は無論、一つ。
大通りを抜けた先、巨大な十回建ての建物――ギルドである。
その巨大な建造物を前にさすがのセバスや神様も驚いた表情をしていた。
「これは……」
「ギルドさ」
戸惑うセバスにオレはそう一言を返す。
そのまま中に入ると、そこにはいつものギルド内部の姿があった。
「いらっしゃいませー。あっ、これは領主様。ようこそ、いらっしゃいました!」
「やっ、サリー。今日もお疲れ様」
「後ろの方々は領主様のお知り合いですか?」
「ああ、まあ、そんなところだ。彼らにこのギルド内部を案内したいんだが、いいかな?」
「はい! もちろんですよ! それじゃあ、私が案内につきますね」
そう言って受付をしていた娘サリーがカウンターから出てくると、セバスと神様の前に移動する。
一方のセバスと神様はこのギルド内部の様子に驚いているのか、物珍しげに中を見渡している。
「これは……随分と冒険者がいるのだな。いや、冒険者だけではない。魔術師に僧侶……あれは何かの職人か?」
「はい、その通りです。このギルド内部には様々な専門職の人々がギルドを結成して、互いに協力し合っているのです」
セバスの独白に頷くようにサリーが答える。
その声に反応し、セバスはサリーからの説明を待つ。
「一階はここ受付と冒険者ギルドのフロアとなっております。二階は職人ギルド。三階は魔術ギルド。四階は商人ギルド。五階は教会ギルド。六階は料理ギルド。七階は農業ギルド。八階は魔物ギルド。九階は騎士ギルド。そして十階が統治ギルドです」
「ふむ。七階まではどのようなギルドか判断出来ますが、八階の魔物ギルドと九階の騎士ギルド、それに十階の統治ギルドとは?」
「魔物ギルドは主に魔物に関する研究を行っているギルドです。どのような魔物がいて好物は何か? 弱点はなにか? どのような言語を使うのか? そのような研究を行っています。また最近では魔物を使役、召喚する術も研究中です」
「ほお、それはなかなかに面白いですな」
サリーからの説明にセバスは興味深そうに目を細める。
まあ、もうすでに魔物ならうちにも一人大物が仲間になっていますが、ケルちゃんという大物が。
「九階の騎士ギルドは治安維持のために作られたギルドです。冒険者が外への冒険、探索、または傭兵として赴く中、この街そのものの防衛、またこのギルドそのものを守護するために用意された精鋭、騎士になります」
「なるほど。確かに本拠地の守りは必要。もし、ここが首都となった際には冒険者とは別にそのような騎士団はあってしかるべしですね。主様、さすがの慧眼です」
と、オレを褒め称えるようにお辞儀をするセバス。
まあ、まだここが首都になるかどうかは決まってないけど。
「そして、統治ギルドはここギルドの運用を統治する司令塔の役割です。どのギルドにどの依頼や指示を出すか。その適材適所を見極める頭脳。また緊急の際、それぞれのギルドに指示を出す役割も持ち、現在も各ギルドの活動や成果をまとめ、それをどのように街に与えるかを日々調整しています」
「なるほど。確かにそれぞれのギルドの成果をどのように街へと貢献させていくか、それを考える司令塔は必要。道理ですね」
サリーの説明に一通り納得した様子を見せるセバス。しかし、その顔にはわずかな疑問が残っていた。
「ですが、ひとつだけお聞きしたいことが。ここが各役割に特化したギルドというのは理解しました。ですが、冒険者ギルドといっても現状、このあたりに冒険者を必要とするものなどないはずでは? 周りは平野。このギルドの機構そのものは素晴らしいですが、その要となるのはここ一階の冒険者ギルドのはず。冒険者ギルドが持ち帰った戦利品や成果を職人ギルドなどが活かす。ですが、肝心の冒険者ギルドが活動地点となる場所を持たなければ、十全な機能は果たせないのでは?」
「それなら心配無用だぜ」
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