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07 初めての漫画完成
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「下書き、全部終わったぞ! では次はペン入れじゃ! 佳祐よ、やり方を教えよ!」
「はい! ペンはここにあるペン先というのに墨をつけて下書きを清書していきます。ペンにはGペンや丸ペン、カブラペンなど色々あって描きたいものによって変えていきます」
「ええい、面倒じゃのぉ。漫画を描く際は主にどのペン先を使うのじゃ!」
「お、主にこのGペンです! でもGペンは扱いが難しくて、プロの先生でもこれを使いこなすには時間がかかったって……」
「じぃペンじゃな! よし、それをよこせ! すぐさま描くぞ!」
「って、えええええ! いきなり原稿にペン入れするんですか!? ちょ、待ってくださいよ! まずは適当な下書きしたやつにペン入れを……って上手っ!? 刑部さん、本当に初めてペンを握ったんですか!?」
「ふむ。この程度のペン、江戸自体に使った筆に比べれば天国のような書きやすさじゃ。じぃペンとか言ったか。こやつ、気に入ったぞ!」
佳祐から受け取ったペンを手に目を輝かせる刑部姫。
その後の彼女の原稿へのペン入れはまさに神がかり的なものであり、とてもつい先ほどペンを握ったばかりの素人とは思えないものであった。
わずか数時間の内にペン入れを完全にマスターした刑部姫のペンさばきは現役漫画家であった佳祐を完全に抜き去り、ここにペン入れを含んだ漫画力として実力もわずか一日未満であやかしの少女に抜かれることとなり、僅かに残った佳祐のプライドも粉々に砕かれるのであった。
(とはいえ、本当にすごい。ここまで漫画に対して天性の才能を持った人は見たことない。……いや、相手は人じゃなくってあやかしだけど)
しかし、目の前で原稿に向かう刑部姫の姿は紛れもなく漫画に情熱を抱き、それを楽しんで描いている人の姿であり、種族がどうあれ彼女はもう立派な漫画家になりつつあると、佳祐は彼女の横顔を見ながら笑顔を浮かべるのであった。
◇ ◇ ◇
そして、それから三日後。
「――出来たぞー!」
「おおおおおおお! すごい! 本当に三日で完成だー!!」
三日で仕上げるという宣言通り、刑部姫は見事に漫画原稿を完成させた。
無論、その原稿の仕上がりは漫画家である佳祐をうならせるほどのものであった。
「すごい……。とても初めて描いたとは思えない出来だよ……」
「ふふん! 当然じゃ。昔から言うであろう『好きこそものの上手なれ』とわらわの好きなものに関する情熱はまだまだこの程度ではないぞー!」
そう言ってペンを握り締める刑部姫。
しかし、ここ三日ずっとペンを握り、墨を使っていたため手は真っ黒に汚れ、顔も墨による汚れがついておりせっかくの美少女が台無しである。
が、そんなことなどお構いなしに初めて描いた原稿を前に喜ぶ姿は、あやかしというよりも年相応の少女そのもの。
そんな刑部姫を見ながら、佳祐は初めて自分が漫画原稿を完成させた学生時代を思い出し、知らず笑みを浮かべていた。
「ところで、この原稿はいつこの漫画本とやらになるんじゃ!? わらわは早く見てみたいぞ!」
キラキラと完成した原稿を手に持ち、佳祐に問いかける刑部姫。
しかし、そんな彼女を前に佳祐は困ったような笑みを浮かべる。
「あ、あははは、それはどうだろうか。原稿を完成させてもそれがすぐ本になるとは限らないんだ。まずは雑誌に掲載されないといけない。しかもそれが連載という形でね。で、それを何回も繰り返してある程度話数が溜まって初めて単行本になるんだ。ちなみに一冊の本を出すのに大体半年くらいかかると思っていいよ」
「な、なにいいいいい!? 半年じゃと!? そ、そんなに待たなければならないのか!?」
「う、うん、まあね。オレがお世話になってるところが月刊誌で月に一回しか雑誌が出ないから。週刊誌なら、それよりも早くなるけど、週間は毎週一本漫画を描かないといけないから色々大変なんだよ」
「むううぅ。なにやら専門用語が多くてよくわからぬが、まずはその『ざっし』とやらにわらわが描いたこの漫画が載らないといけないのだな?」
「そういうこと」
佳祐のなにやら少し不満げな表情をする刑部姫だが、彼からの説明を聞き「致し方ない……」と納得をする。
「して、どうすればその雑誌とやらに漫画が掲載されるのじゃ?」
「まあ、方法は色々あるね。雑誌で開催される新人賞に応募して、それで賞を取れば漫画が掲載される。とは言ってもその新人賞はこの間あったばかりで次は三ヶ月後。普通ならそこまで待たないといけないけれど、オレはこの雑誌に連載していた漫画家だから、当然担当がついている。そして現在、担当さんから次の漫画のネタを催促されていたところなんだ」
「つまり、どういうことじゃ?」
疑問符を浮かべる刑部姫に佳祐は原稿を手に満面の笑みで答える。
「つまり、これからこの原稿をその担当に見せる。その人が気に入ってくれればこの漫画は――即座に連載決定だよ!」
「はい! ペンはここにあるペン先というのに墨をつけて下書きを清書していきます。ペンにはGペンや丸ペン、カブラペンなど色々あって描きたいものによって変えていきます」
「ええい、面倒じゃのぉ。漫画を描く際は主にどのペン先を使うのじゃ!」
「お、主にこのGペンです! でもGペンは扱いが難しくて、プロの先生でもこれを使いこなすには時間がかかったって……」
「じぃペンじゃな! よし、それをよこせ! すぐさま描くぞ!」
「って、えええええ! いきなり原稿にペン入れするんですか!? ちょ、待ってくださいよ! まずは適当な下書きしたやつにペン入れを……って上手っ!? 刑部さん、本当に初めてペンを握ったんですか!?」
「ふむ。この程度のペン、江戸自体に使った筆に比べれば天国のような書きやすさじゃ。じぃペンとか言ったか。こやつ、気に入ったぞ!」
佳祐から受け取ったペンを手に目を輝かせる刑部姫。
その後の彼女の原稿へのペン入れはまさに神がかり的なものであり、とてもつい先ほどペンを握ったばかりの素人とは思えないものであった。
わずか数時間の内にペン入れを完全にマスターした刑部姫のペンさばきは現役漫画家であった佳祐を完全に抜き去り、ここにペン入れを含んだ漫画力として実力もわずか一日未満であやかしの少女に抜かれることとなり、僅かに残った佳祐のプライドも粉々に砕かれるのであった。
(とはいえ、本当にすごい。ここまで漫画に対して天性の才能を持った人は見たことない。……いや、相手は人じゃなくってあやかしだけど)
しかし、目の前で原稿に向かう刑部姫の姿は紛れもなく漫画に情熱を抱き、それを楽しんで描いている人の姿であり、種族がどうあれ彼女はもう立派な漫画家になりつつあると、佳祐は彼女の横顔を見ながら笑顔を浮かべるのであった。
◇ ◇ ◇
そして、それから三日後。
「――出来たぞー!」
「おおおおおおお! すごい! 本当に三日で完成だー!!」
三日で仕上げるという宣言通り、刑部姫は見事に漫画原稿を完成させた。
無論、その原稿の仕上がりは漫画家である佳祐をうならせるほどのものであった。
「すごい……。とても初めて描いたとは思えない出来だよ……」
「ふふん! 当然じゃ。昔から言うであろう『好きこそものの上手なれ』とわらわの好きなものに関する情熱はまだまだこの程度ではないぞー!」
そう言ってペンを握り締める刑部姫。
しかし、ここ三日ずっとペンを握り、墨を使っていたため手は真っ黒に汚れ、顔も墨による汚れがついておりせっかくの美少女が台無しである。
が、そんなことなどお構いなしに初めて描いた原稿を前に喜ぶ姿は、あやかしというよりも年相応の少女そのもの。
そんな刑部姫を見ながら、佳祐は初めて自分が漫画原稿を完成させた学生時代を思い出し、知らず笑みを浮かべていた。
「ところで、この原稿はいつこの漫画本とやらになるんじゃ!? わらわは早く見てみたいぞ!」
キラキラと完成した原稿を手に持ち、佳祐に問いかける刑部姫。
しかし、そんな彼女を前に佳祐は困ったような笑みを浮かべる。
「あ、あははは、それはどうだろうか。原稿を完成させてもそれがすぐ本になるとは限らないんだ。まずは雑誌に掲載されないといけない。しかもそれが連載という形でね。で、それを何回も繰り返してある程度話数が溜まって初めて単行本になるんだ。ちなみに一冊の本を出すのに大体半年くらいかかると思っていいよ」
「な、なにいいいいい!? 半年じゃと!? そ、そんなに待たなければならないのか!?」
「う、うん、まあね。オレがお世話になってるところが月刊誌で月に一回しか雑誌が出ないから。週刊誌なら、それよりも早くなるけど、週間は毎週一本漫画を描かないといけないから色々大変なんだよ」
「むううぅ。なにやら専門用語が多くてよくわからぬが、まずはその『ざっし』とやらにわらわが描いたこの漫画が載らないといけないのだな?」
「そういうこと」
佳祐のなにやら少し不満げな表情をする刑部姫だが、彼からの説明を聞き「致し方ない……」と納得をする。
「して、どうすればその雑誌とやらに漫画が掲載されるのじゃ?」
「まあ、方法は色々あるね。雑誌で開催される新人賞に応募して、それで賞を取れば漫画が掲載される。とは言ってもその新人賞はこの間あったばかりで次は三ヶ月後。普通ならそこまで待たないといけないけれど、オレはこの雑誌に連載していた漫画家だから、当然担当がついている。そして現在、担当さんから次の漫画のネタを催促されていたところなんだ」
「つまり、どういうことじゃ?」
疑問符を浮かべる刑部姫に佳祐は原稿を手に満面の笑みで答える。
「つまり、これからこの原稿をその担当に見せる。その人が気に入ってくれればこの漫画は――即座に連載決定だよ!」
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