スキル『睡眠』で眠ること数百年、気づくと最強に~LV999で未来の世界を無双~

雪月花

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第3話 LV999の肉体

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「レベル999って……」

 思わずその数値に頭がくらりとする。
 なんだこれ、どういうことだよ? 能力値も軒並みカンストだ。
 これはつまり、あれか? オレのスキル『睡眠』の効果で最高時間まで眠ったことでレベルや能力値、その他もろもろ最強レベルまで到達したということか?
 一方、先程オレに攻撃を仕掛け、逆に吹き飛ばされたオーガは近くにあった樹を片手で引き抜くとそれを武器にしてオレに振り下ろす。

「ぐがああああああああああああ!!」

「うわっ!」

 思わず驚いて右手で樹を受け止めようとするがオレの手に触れた瞬間、樹は真っ二つに折れてしまう。
 オレとオーガの間にわずかな沈黙が流れる。

「……えっと、とりあえず襲ってきた以上は倒すな」

「ぐがっ!?」

 そう言って一応、オーガにそう宣言した後、オレは右手を大きく振りかぶって拳を振るう。
 オーガは慌てた様子で両手でガードしようとするが、オレが放った拳はそんなオーガの両手を突き抜けオーガの体に大きさ風穴を開ける。

「あ、がぁ……」

 僅かな叫び声をあげた後、オーガはそのまま前のめりに倒れる。
 おお、マジかよ。ワンパン。オレはオーガを一撃で倒した己の右手を恐る恐る凝視する。
 いずれにせよこれで確信せざる負えなくなった。
 スキル『睡眠』によって眠り続けたオレは気づくとこの世界最強の存在になってしまったようだ。

◇  ◇  ◇

「驚いた……外れだと思っていたこのスキルにこんな効果があったとは……」

 ステータス画面を開き、オレはそこに写る自分のスキルをマジマジと見つめる。
 睡眠スキルには『所有者の睡眠に比例したレベルや能力値等が上昇する』と書かれている。
 オレはこのスキルの最高睡眠時間を選択し、それによってレベルが能力値が限界まで上昇した。だが、そのためにオレは通常では考えられないほどの長い睡眠に入っていた。
 問題はその睡眠時間がいくらかだ。
 先ほどのオレの力やこのレベル999を考えるに並大抵の時間ではなさそうだ。
 手紙の件といい、オレは嫌な予感に支配される。

「……とにかくまずはホープスの街へ行こう」

 オレは一旦考えるのはやめて、手紙に書かれたホープスへと向かうのだった。

◇  ◇  ◇

「ここが……ホープス、なのか?」

 その場所にたどり着いたオレは思わず唖然とした。
 ホープス。
 その街には以前、立ち寄ったことがあった。
 というよりもオレの記憶では数日前――実際は違うがあくまでもオレの感覚で――この街に現れたオーガをオレや湊達で退治したからだ。
 その時には街の領主に感謝され、街の人達からもオレ達は異世界の勇者と歓迎された。
 だが、その時に見たホープスの街並みは村が少し発展した程度であり、お世辞にも都市と呼べるほど発展した場所ではなかった。
 しかし今オレの目の前に広がっているのは明らかに別の街であった。
 舗装された地面。
 以前は木造の大きな扉だったのが鉄の扉に変わり、街並みも明らかに綺麗になっている。
 どうなっているんだこれは、とオレが戸惑っていると近くにいた兵士が話しかけてくる。

「やあ、見ない顔だね。君はもしかして旅人かな?」

「え、ええ、まあ、そうですね」

「そうか。なら、この街でゆっくりするといい。あそこにちょうどいい宿があるからな」

 そう言って兵士が指したのは四階建ての大きな建物。
 もはやホテルと呼んでいいその建物の看板には『ミランスの宿』と書かれていた。

「嘘だろう……」

 その看板を見た時、オレは思わず小さく呟いた。
 なぜなら、そこはオレや湊達がオーガを倒した際、この街に泊まった宿。だが、その時の宿はこのようなホテルのような豪勢なものではなくなんの変哲もない二階建ての宿屋だったのだから。
 そんなオレの様子を不信に思ったのか続けて兵士が問いかけてくる。

「どうかしたのか?」

「あ、いえ……その、つかぬことを聞きたいのですが……この街にオーガが襲撃したことってありませんでした?」

「オーガ?」

 突然のオレの質問に兵士は考え込むような仕草をするが、すぐさま首を横に振る。

「いやぁ、聞いたことないな。最近は街道付近に魔物が現れることも滅多にないし、街を襲いに来る魔物なんて百年近くないはずだが」

「百!?」

 その数値にオレは思わず驚く。
 嘘だろう? 百年近く魔物の襲撃がない? ということはオレが睡眠に入った時間は……。
 そこまで聞いて顔が青ざめていくのが自分でも分かった。

 百年。
 つまりオレは最低でもその年数、眠りについていた。
 ならば、その間、仲間は? 湊や花澄、壮一達はどうなった!? 百年も経ったということは彼らはもう――?

「あのすみません! この街の領主はどこにいますか!?」

「領主様かい? それならこの街の一番奥にある白い建物だが――」

「分かりました! ありがとうございます!」

 オレは兵士から聞いたその場所を目指すべく、懐に入れたままの花澄からの手紙を握り締めるのだった。
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