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夢の中の女の子 2
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文化祭は2日間あるので、時間は1日目の午前と午後、2日目も同様に、計4つの時間の中から必ず1回は働くことが決まりだ。
役割を先に決めておくことで、調理担当は焼きそばづくりの練習を、宣伝担当は宣伝用の看板づくりを、ウエイトレス担当は飲食店でバイトをしている人たち中心に接客の仕方を練習することができる。
とまあ、こんな感じでざっくりと要点をおさえた説明を終えた。
「なんか、すごいな。ちなみに、お前らの仕事する時間はいつ?」
「俺と雅也は2日目の午前だよ」
俺は調理担当、雅也は宣伝担当で仕事は違うが同じ時間にすることができたので、これで文化祭中はほかのサッカー部の奴らも集めながら遊ぶことができる。
正直俺は料理なんて調理実習でしかしたことがない。
だが調理班には必ず料理のできる人が入っているので、その人に頼りながらなんとか頑張ろうと思っている。
「裕貴のクラスはお化け屋敷だろ?」
「なんで知ってるんだよ! 雅也、お前まさか俺のことが好き──」
「んなわけあるか!!」
あーあ、始まった、裕貴のおふざけタイム。
雅也が食い気味に言い返す。
「この前裕貴と同じクラスのサッカー部の奴から聞いたんだよ」
と、代わりに俺が説明をした。
「雅也……お前のツンデレ、なかなかいいぞ」
そう言いながら雅也の肩をポンポン叩く。
おい、俺の話を聞いていたか?
「ほら、もうすぐ文化祭だし、いい出会いがあるかも」
雅也が話を逸らそうと、必死になっている。
「いい出会いか~」
裕貴は一瞬だけ考えてからまたすぐに口を開いた。
「やっぱり俺は雅也が──」
「もうやめてくれ」
そろそろ止めに入る。
「冗談だよ~、俺は女にしか興味ないよ?」
俺はもう慣れたが、どこかで止めないとこれ以上雅也が持たない。
隣を見ると雅也は顔面蒼白で何かをつぶやいていた。
まったくこいつも、もっと人の冗談を真に受けずにうまく流せる人間になってほしい。
とはいえ俺も、そんな雅也を見るのが面白くてぎりぎりまで止めない。
そんな調子で男3人、真夏の太陽に照らされながら10分歩き、今度は涼しい電車で過ごすこと10分。
そこから最後に5分歩けば高校につく。
こんな暑い中の通学だと、あいだ10分の電車は天国だ。
燃えるような太陽様の真下を歩くよりも、たとえ満員電車になろうが、クーラーのある場所にいる方が断然マシだった。
俺たちは前半同様、くだらない話を交えながら電車内で過ごしたあと、ラストの徒歩5分を耐えた。
「俺だけクラス違うんだもんな……また帰りな」
「おう」
「また」
今日に限って妙に女々しいキャラの裕貴。
1人だけクラスが違うことを今になって未練タラタラにアピールしながら去っていった。
逆に残された形となった俺と雅也も、5分ぶりのクーラー恋しさから足早に教室へ向かった。
教室には男女合わせて10人程度が集まっていた。
昨日まで学校があったというのにもう怠けてしまったのか、それとも夏休み初日にしては集まった方なのか、俺にはわからない。
「これしか集まってないのか」
雅也からすれば、どうやら前者のようだ。
結局俺たちの後に来た人はいなくて、クラスの半分も集まらぬまま、1日目の準備が始まった。
3人くらいの女子がレシピを考え、調理室で試作をする。
そして残りの人で教室の内装を作ることになった。
役割を先に決めておくことで、調理担当は焼きそばづくりの練習を、宣伝担当は宣伝用の看板づくりを、ウエイトレス担当は飲食店でバイトをしている人たち中心に接客の仕方を練習することができる。
とまあ、こんな感じでざっくりと要点をおさえた説明を終えた。
「なんか、すごいな。ちなみに、お前らの仕事する時間はいつ?」
「俺と雅也は2日目の午前だよ」
俺は調理担当、雅也は宣伝担当で仕事は違うが同じ時間にすることができたので、これで文化祭中はほかのサッカー部の奴らも集めながら遊ぶことができる。
正直俺は料理なんて調理実習でしかしたことがない。
だが調理班には必ず料理のできる人が入っているので、その人に頼りながらなんとか頑張ろうと思っている。
「裕貴のクラスはお化け屋敷だろ?」
「なんで知ってるんだよ! 雅也、お前まさか俺のことが好き──」
「んなわけあるか!!」
あーあ、始まった、裕貴のおふざけタイム。
雅也が食い気味に言い返す。
「この前裕貴と同じクラスのサッカー部の奴から聞いたんだよ」
と、代わりに俺が説明をした。
「雅也……お前のツンデレ、なかなかいいぞ」
そう言いながら雅也の肩をポンポン叩く。
おい、俺の話を聞いていたか?
「ほら、もうすぐ文化祭だし、いい出会いがあるかも」
雅也が話を逸らそうと、必死になっている。
「いい出会いか~」
裕貴は一瞬だけ考えてからまたすぐに口を開いた。
「やっぱり俺は雅也が──」
「もうやめてくれ」
そろそろ止めに入る。
「冗談だよ~、俺は女にしか興味ないよ?」
俺はもう慣れたが、どこかで止めないとこれ以上雅也が持たない。
隣を見ると雅也は顔面蒼白で何かをつぶやいていた。
まったくこいつも、もっと人の冗談を真に受けずにうまく流せる人間になってほしい。
とはいえ俺も、そんな雅也を見るのが面白くてぎりぎりまで止めない。
そんな調子で男3人、真夏の太陽に照らされながら10分歩き、今度は涼しい電車で過ごすこと10分。
そこから最後に5分歩けば高校につく。
こんな暑い中の通学だと、あいだ10分の電車は天国だ。
燃えるような太陽様の真下を歩くよりも、たとえ満員電車になろうが、クーラーのある場所にいる方が断然マシだった。
俺たちは前半同様、くだらない話を交えながら電車内で過ごしたあと、ラストの徒歩5分を耐えた。
「俺だけクラス違うんだもんな……また帰りな」
「おう」
「また」
今日に限って妙に女々しいキャラの裕貴。
1人だけクラスが違うことを今になって未練タラタラにアピールしながら去っていった。
逆に残された形となった俺と雅也も、5分ぶりのクーラー恋しさから足早に教室へ向かった。
教室には男女合わせて10人程度が集まっていた。
昨日まで学校があったというのにもう怠けてしまったのか、それとも夏休み初日にしては集まった方なのか、俺にはわからない。
「これしか集まってないのか」
雅也からすれば、どうやら前者のようだ。
結局俺たちの後に来た人はいなくて、クラスの半分も集まらぬまま、1日目の準備が始まった。
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そして残りの人で教室の内装を作ることになった。
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