命の対価

桜庭 葉菜

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交わらない思い出 2

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「お、俺だって嫌じゃないよ!」

 口に出した後でそれを引っ込めてしまいたくなった。

 恥ずかしすぎる。

 え、俺、大胆すぎないか?

 嫌じゃない。

 確かに嫌じゃないけど。

 女の子が俺の部屋に来る。

 掃除してあったっけ?

 なんか変なもの出しっぱなしになってないっけ?

 不安と緊張が膨れ上がる。

「じゃあ、い、行こうか」

 いくら考えても俺の部屋が勝手に綺麗になることはない。

 俺は仕方なく、自分から歩き出した。

 ここに来た道を戻っていく。

 つい十数分前に出た駅に入り、反対方向の電車に2人で乗る。

 静かに車内の涼しさに浸る人々。

 さほど人が多い訳でもないこの時間、この静寂。

 どうしよう、心臓が、ばくばくしすぎてて。

 不規則に揺れる電車と、一定に早く大きく鳴り続ける自分の鼓動と。

 綺麗に交わることのない2つの動きに慣れることのないまま、電車を降りた。

 不規則な揺れはもうないものの、自分の鼓動は変わらぬまま。

 そこに駅特有の喧騒が重なり、次第に鼓動が小さく感じるようになった。

 そして改札を出れば再びの猛暑。

 車内の涼しさを感じることのできなかった俺の気は休まることなく、家までの歩を進めさせた。

「あ、公園……」

 不意に鈴木さんが立ち止まった。

 合わせて俺も止まる。

「ここ、懐かしいなー」

 なぜこのタイミングで思い出したのかはわからない。

「俺、毎日ここで友達と遊んでてさ。あ、小学生のころなんだけどね」

 なぜこんなことを鈴木さんに話し始めてしまったのかはわからない。

 それでも俺は話をつづけた。

 ゆっくりとあの頃のメンツを思い出す。

 みゆ、ともか、あきと、ひろゆき、ゆうき。

 ずっと6人で遊んでた。

「中学上がってからみんな段々忙しくなって、高校行ってからはもう全然会えなくなったけど」

 また、6人で会いたい。

 いつの間にか、そんなことを口にしていた。

「あ、ごめん。なんか話したい気分になっちゃって。行こうか」

 ここを離れるのは何だか名残惜しいが、この話はまたすればいい。

 鈴木さんとはこれからもたくさん会うんだ。

 というか、俺が会いたいんだ。

 だからまた機会があったら話そう。

 なんだか今日は積極的な気持ちになってしまう。

 俺はこのむず痒い感情を隠したくて、1人で先に歩き出した。

「久しぶりじゃん!」

 俺が足を進めたその目の前に、そんなに歳の変わらなさそうな見知らぬ男の人が現れた。

 いや、見知らぬなんかじゃない。

「お前もしかして……ひろゆき!」
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