命の対価

桜庭 葉菜

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交わらない思い出 1

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 あの教室での1件以来、佐倉さんとはもちろん、裕貴とも話すことはなかった。

 もちろん、そんな状況でも毎日のように部活は続き。

 お互いにプレー中は出来るだけいつも通りにしようと意識してはいたが、俺たちの間で何かあったことはもはや一目瞭然だった。

 雅也も気にかけてくれはしたが、うまいこと和解できるようなタイミングもなく、よくも悪くもならないまま1週間が経った。

 そして今は電車の中。

 やっと鈴木さんと図書館で勉強をする日になったのだ。

 今週1週間の部活は正直苦痛と言っていいほどで。

 この時間が早く終わらないかと思えば思うほどいつもより長く感じていた。

 今日は勉強をするために会うとはいえ、ここ最近の自分の気分転換のためにも、今まで以上に楽しみにしている自分がいた。

 今日が終わればまた明日から部活があるということは、今は忘れてしまおう。

 目的の駅までの2駅は思ったよりもあっという間だった。

 改札を出たところで鈴木さんと合流する。

 もう慣れたやり取りを終えた後に、図書館までの道を先導して歩いた。

「ほんっとごめん!」

「いやいや、大丈夫だよ」

 頭を下げる俺に鈴木さんが両手をわたわたとさせながら言う。

 俺はなんてミスをしてしまったんだ。

 今日は鈴木さんと図書館で宿題をするということになっていた。

 しかし、その肝心の図書館が今日は休館日だったのだ。

 なんで確認しなかったんだろう。

 ……いや、今はそんなことを悔やんでいるわけにはいかない。

 この真夏の太陽の下、俺たちを守ってくれるものは何1つなく。

 暑さと焦りとが入り交じった汗が吹き出る。

 今日はこのまま帰った方がいいか。

 そう思った時、俺は不意にあることを思いつき、すぐさまそれを行動に移した。

「もしもし、母さん?」

 俺は現在家にいる母さんに諸々の事情を説明し、家で一緒に勉強をさせて貰えないかと頼んだ。

 急に俺が女の子を家に連れて行きたいなんて、驚くだろうな。

 そう思ったのに、母さんは意外とあっさりしていて。

「わかったわ! 待ってるわねー!」

 と、少し嬉しそうにも聞こえた。

「佐々木くん?」

 電話を終えた俺の元へと駆け寄ってきた鈴木さんに、今の電話の内容を説明した。

「佐々木くんの、家に?」

「い、嫌だったらいいけど……」

 女の子がいきなり男の家に行くことになるなんて、断られたとしてもそれは自然なこと。

 そう自分に言い聞かせ、断られた時のダメージを予め最小限に抑え込む。

「嫌じゃない! 佐々木くんが嫌じゃないなら……」
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