きぃちゃんと明石さん

うりれお

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本編

こんなに可愛いなんて聞いてない(再び)

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「あかしさん……、ごめんなさい、お腹痛い。」

季衣のちゅん、と上を向いた可愛い唇を啄んだ後、再び抱き合っていたら、申し訳なさそうに季衣が身体の不調を伝えてきた。

なんてこった。
季衣に告白されて、付き合う事になって、めちゃくちゃ浮かれて、夢じゃないのかとか考えていたせいで、季衣の不調に気付けなかった。

「謝んないで。
  俺の方がごめん、気付けなかった。
  どうする?ベッド行く?」

「うぅ~、………………借りてもいいですか?
  薬、飲み忘れちゃったから、とりあえず飲みます。」

「常温の水あったかな。
  ちょっと待ってて。」

「ありがとう。」

抱きしめていた身体を離して、ブランケットを季衣に掛けてからその場を離れる。

予備の布団どこにあったっけな。
あ、湯たんぽいるかな。
両方クローゼットの中か。

月経が重かった妹を世話していた時を思い出して、何が必要かを頭に思い浮かべる。

やはり浮かれているのか。
季衣が苦しんでいるというのに、世話出来ることに喜んでしまっている自分がいる。

阿呆。

月経体験とか行った方がいいんじゃないのか。
気分が高揚したり、自分の愚かさに落ち込んだり、情緒が不安定だ。
とりあえず玄関横の物置きにストックしている天然水を手に取って、季衣の元へ戻った。

「おまたせ、白湯とかの方がいい?」

「いや、これで大丈夫。
  助かります。」

既視感あるな、この光景。
あー、先週の金曜日、水こぼれたんだった。
一週間でこんなに人の関係って変わるもんなんだな。

きぃちゃんが彼女だよ?
信じられる?
浅沼に自慢してやらなければ。
戒めたばかりなのに、ちょっとした事でまた浮かれてしまう。

「湯たんぽは?いる?」

「……いる。」

「きぃちゃん寝るの、俺のベッドでもいい?」

嫌なら久しぶりに布団を敷くかと考えていたら、コクッと季衣が頷き、季衣がベッドで寝る事になった。

「……色々すいません。」

「いいのいいの。
  せっかく彼氏にしてくれたんだから、
  俺に甘やかさせて。」

「……かれし。」

季衣が慣れない単語を飲み込むように口に出す。

「うん、彼氏。
  きぃちゃんは俺の彼女になってくれたんでしょ?」

「……うん。」

「俺ね、今めちゃくちゃ浮かれてんの。
  きぃちゃんがしんどいの分かってんのに
  舞い上がっちゃってんの。
  怒ってくれていいくらいだよ、調子乗ってるから。」
 
「もう、そんなん言ったら、
  私やってめちゃくちゃ浮かれてますよ。
  …………まだ夢なんちゃうかって、
  信じられへんぐらい。
  だから、いっぱい甘やかしてください、ふふっ。」

かわいいっ、なんだこれ可愛い。
明らかに甘さの増した季衣に悶絶しそうになる。

「あ~可愛いっ、好きッ。」

嘘、悶絶した。

「んふっ、私も好きです。
  ……明石さん、抱っこして?」

「う''んっ。」

ダメだ、幸せ過ぎて死にそうだ。
季衣をソファに運んだ時と同じように横抱きにして、ベッドに連れていく。
優しく毛布を掛けたあと、湯たんぽを温めて持って行った。

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

ベッドの脇で膝を折って季衣の頭を撫でると、気持ちよさそうに目を細める。

「明石さん、我儘言ってもいいですか?」

「うん、なに?」

「……いっしょに布団入って、寝て欲しいなって。      
  …………あかん?」

うっッわ、いちいち可愛いな。
俺が方言弱いの分かっててやってるでしょ。

「んぅん、いいよ。」 

季衣に少し寄ってもらって、柊真も布団に入る。
腕枕をして、反対の手で季衣の腰を抱いた。

「明石さんいい匂いやし、あったかくてきもちぃ。」

季衣が柊真の胸元に擦り寄ってくる。
なんか………………、実家の猫を布団においでってしたみたいな気分。

「あの、明石さん。
  …………今までの彼女さんに……生理重い人
  おったんですか?」

うん?
予想もしない質問が飛んできた。

「うーん……、いなかったんじゃないかなぁ。
  もしかしたら俺が気付けてなかっただけかもだけど。」

思い返してみるが、前の前の彼女にデートの行先を変えて欲しい、と言われたぐらいしか思い出せない。

デートに行かないで家でまったりするかと聞いたら、それは違うと言われた。
無理をしてまでデートに行きたいと思ってくれていたのか、痛みはあまりなくてただ量の問題だったのかまでは分からなかった。

他の元カノはあまり長く続かなかったし、柊真の方からデートに誘うことも少なかったように思う。

「ふーん。」

なんでちょっと機嫌が悪くなったの!?
きぃちゃんから聞いてきたんだよね?
俺、なんて答えるのが正解だった?

「どしたの。
  俺なんか無神経な事しちゃった?」

もぞもぞと布団の中で季衣が首を振る。

「……なんか、その、
  対応が、慣れてるなって思っちゃって……、
  私が勝手に……モヤモヤしただけです。」


……………………え?それは、嫉妬ってこと?

えぇ~ーー、何それ無理可愛い。
元カノの影を感じて無意識に妬いている季衣が愛おしくてたまらない。

「妹だよ。」

「……いもうと?」

「うん。
  重かったのは俺の妹。
  慣れてるのもあいつの世話してたから。
  …………………………もしかして、妬いてくれたの?」

「~~ッ!!
  ち、違うしっ。
  そんなっ、勘違いっ、~~ッもう知らんッ、寝るっ。」

耳まで真っ赤にした季衣が、柊真の胸に埋めるようにして顔を隠した。

はぁー~?可愛すぎんだろ。

大丈夫かなぁ。
これから俺、理性もつかなぁ。



















 
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