きぃちゃんと明石さん

うりれお

文字の大きさ
28 / 48
この先、イチャつくだけです(番外編Ⅰ?)

②〇〇〇〇〇なんて聞いてません!

しおりを挟む




「「いただきます」」

お風呂から上がると、机の上に季衣作のオムライスが完成していた。
教えた通り、少しトロっとした卵の上には、ケチャップでパンダの顔が描かれている。
彼女によると俺のイメージがパンダらしい。
自分ではよく分からないが、可愛いので良しとする。

それにしてもエプロンつけて出迎えに来てくれたきぃちゃんが可愛すぎる。
フリフリが付いているわけでもないシンプルなエプロンだが、新婚のようなシチュエーションに心臓が鷲掴みされた。
可愛いすぎて、一瞬その場で襲いそうになったが、火を使っている可能性が浮かんで、なんとか思いとどまった。
思いとどまったのに、寂し過ぎて俺のベッドで寝てたとか言い出すから、その姿を想像して、抱き着いているから顔が見えないのをいい事に一人悶えて、やっぱりこのまま寝室に連れ込もうか真剣に悩んだのである。
 
「うまっ」

スプーンにキラキラ輝く卵とケチャップライスをすくって口に入れると、確かに自分が教えたのに近いが、どこか違う味がする。うまい。
なんというか、コクが深くなったような。

「美味しくできてますか?」

「うん。めちゃめちゃうまい。
  何か俺のより美味しくない?
  隠し味何か入れたの? ……あっ、ツナだ。」

ケチャップライスの中に鶏肉ではなくツナがはいっている。

「そーなんです!
  ツナ余ってたんで鶏肉の代わりにして、
  卵にマヨネーズ混ぜてみました。」

なるほど、マヨネーズか。そりゃうまい訳だ。
マヨネーズを愛するマヨラーの彼女らしいアレンジだと思う。

にしてもうまいなぁ。
料理はあまり上手くないと言う彼女だが、こうやって自分好みにアレンジしているのを見ると、料理好きの母と案外気が合うかもしれない。

「言われて見ればマヨネーズの味するね。
  今度俺も真似していい?」

「えっ、もちろんいいですよ!
  そんなに美味しかったですか?」

「うん。俺の好きな味。
  きぃちゃんに出会えてなかったら
  食べられなかった味だね。」

「よっしゃっ!師匠に認められたぜっ。
  でもでも、そんな事言ったら私やって、
  明石さんに出会えてなかったら、
  こんなに美味しいオムライス作れるようになって
  ないですよ?えへへっ。」

ガッツポーズして喜ぶ季衣にもっと色んな料理を教えたら、こんな風にアレンジして食べさせてくれるのだろうかと考えて、これから週末は一緒に料理するのもいいなと思う。

「こんなに可愛くて優秀な弟子を持てて俺は幸
  せだよ。
  明日は一緒にお昼ご飯作ろうか。
  今日も泊まっていくでしょ?」

「……一緒に作りたいし、泊まりたいけど、
  明石さん疲れてるんじゃないかと思って…
  今日は帰ろっかなーって……。」

オムライスを食べる手を一旦止めた季衣が柊真の顔を伺うように上目遣いで見つめてくる。
気を使って帰ろうとしているのだろうが、なんだか早く抱き合いたいと思っているのは俺だけだと言われているようで、少し自分の腹の底がドロっとするのを感じた。

「薄情だなぁ。
  寂しかったって言ったのは嘘だったの?」

「うっ、嘘じゃないっ!寂しかったぁっ。」

「じゃあ、誰もいない家できぃちゃんは一人で
  寝れるの?
  寂しくて俺のベッドで寝ちゃってた人が?」

いつもだろと言われればその通りなのだが、今日は特に帰したくなくて、思いの外冷たい声で問い詰めてしまう。

「うっ……、でも、明石さんくま凄いですよ?」

「それはきぃちゃんに会えなかったからだよ。
  ……ねぇ、俺はもう我慢の限界なんだけど。」

「えっ、あ、う、」 

何の我慢とは言わなかったが季衣には十分通じているはずだ。
その証拠に顔が耳が紅く染まっている。

唇が腫れるぐらいしつこくキスして、指四本余裕で咥え込んじゃうぐらいトロトロに解して、ささやかで可愛い胸を苛めながら、奥をとんとん突いて、涙でぐちゃぐちゃになった季衣の顔が見たい。

そう言ったら引かれるだろうか。
逃げられるだろうか。

欲望にまみれた眼を隠すことなく彼女に向けると、それを感じとったのか、だんだん涙目になってくる。

「きぃちゃんは違うんだ?」

「……ちっ、違わへんっ。
  もう、帰るとか、言わへんからぁ。」

焦って敬語が外れて、関西弁が出ちゃってるきぃちゃん可愛いなぁ。
ホントに閉じ込めてしまいたいぐらい可愛い。

いっそ一緒に住めたらと何度も思うが、それが出来たら、同じアパートの隣同士の部屋を借りるなんて、煩わしい事になっていないのである。
確かに季衣に逃げ場は必要かもしれない。
彼女への執着から俺はいつ何をするか分からないし、人間だからどうしても顔を合わせるのがしんどい時もある。
理解してるつもりだし、納得も出来るのだが、ちょっとした時に二つの部屋を区切る壁が煩わしく感じてしまう。

「ちゃんと反省してよ?
  俺の気持ちを甘く見たこと。」

「するっ。ちゃんと反省するっ。
  ……ほんまは帰る気なんて無かったの。
  明石さんに帰らんとってって言って欲しかった
  だけやの。」

は?え?可愛いすぎだろ。
そんな事言われたら一生帰したくなくなるんだけど?
ていうか、焦って色々捲し立ててた俺、恥ずかしすぎない?

「……ごめん。俺も焦ってた。
  朝まで一緒にいたいって思ってるの、
  俺だけなんじゃないかと思って。」

「今日は明石さんにぎゅってしてもらわないと
  寝れないです。」

彼女がよく見せる、唇を尖らせてむぅっとする顔に愛しさが溢れてくる。

「寝かす気ないけどね。」

「……っ、んもうっ!
  ご飯冷めちゃいますよ!」

耳だけでなく顔全体を真っ赤にして、オムライスをパクパクと頬張り始める季衣を見て、世界一可愛い照れ隠しだと思った。
 














しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...