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第2章 シャクンタラー対ファウスト
第33話 南くんの初恋⑨
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夢を見ていた。
それが彼女の異能によって見せられている夢だと分かっていた。
しかし、それはあの異能による、いつもの大音量の声とか、乱反射する光ではない。
本当に夢を見ているようだった。
悪夢には変わりないが。
その夢に既視感を覚える。いやある種の現実味というのか、自分の記憶の閉じていたドアの向こうをのぞき込んでいるようだ。
多分高校生一年生だろう俺は誰かの部屋の前にいる。
いや。これは見覚えがある。多分、西京の部屋だ。
そこで俺は彼の部屋のドアの前に立ち、ドア越しに彼に優しく語りかける。
それはまるで病室にお見舞いに来た人間の様に。優しく彼に語り掛けるのだ。
「おーい。西京?起きてるか?西京?今日は晴れてるし、なんだろう、教室も心なしか騒がしかった気がする。それに来月からは食堂に新しくパン屋が併設されるそうだ。ずっと前から言っていたのに半月もかかるなんて誰が想像しただろうな?なぁ。西京。教室は今日も同じ感じだ。何も起こらず、いつもどおり何の変化もない。」
俺の話には誰も相槌を打たない。
西京の声はしない。俺は彼がいないのに、彼の部屋に向かって話しかける奇特な人間なんだろうか?
いや。そうとしか思えない。
彼の声は一切しないのだ。西京の部屋からは物音ひとつせず、ただ俺の声だけが彼の家の廊下に響く。もしかすると寝ているのかもしれない。
しかし、その俺は自分が満足いくまで話せたのか、5分ほど一人で話し続けると彼からの返答も待たずに帰っていった。
そうして、静寂だけがそこに残った。
また違う日。
この日の俺は何故か荒れていた。
西京の部屋に向かって吠えているのだ。それも何故か泣きながら目を赤くして、彼の部屋のドアに思いのたけをぶつけているように見える。
そうして何かを叫んで疲れ果てたと思えば、涙ぐんだ顔を手で拭って、彼に語り掛ける。
「なんでだろうな…………なんであんなことになったんだろう。俺には分からないよ。お前はその現場にいたんだろ?一体どんな気持ちでお前がそこに立っていたか想像もできないんだ。あんなに近くにいたのに…………。俺がもっと頑張っていたらってなんども自分を責めたよ。…………でもこんなことになるなんて思わなかった。あんなことになるならなんでもっとちゃんとしなかったのかって何度も何度も自問自答して…………それでもなんでああなったか分からないんだ。謝ってもしょうがないことなんだって自覚してる。それでも、ごめん。悪かった。俺がもっと。もっと…………すまん。」
俺はそうして、彼の部屋のドアの前で跪いて彼に何かの許しを請うていた。そうして泣きじゃくった子供の様にドアの前で俯いて、顔を伏せて嗚咽を漏らす。
見るに耐えない自分の姿に俺は目を背けたくなった。
しかし悪夢は終わらない。
「…………な。なぁ。」
その時、声が聞こえた。
確かに、ドアの向こうから微音ながら掠れた声が聞こえたのだ。それは俺の知っている西京の声に聞こえた。
「…………なぁ。み、みなみ。もういいかな?もういいよな?こんな世界…………しょうがないんだ。ああ。そうだ。馬鹿馬鹿しいんだ。もう終わったんだ。なんで俺はこんなところで毎日生きてるんだ?なぁ。もういいよな。」
まるで呪詛のように、その声は淡々と言葉を吐く。俺は泣きながらもその彼の辞世の句を聞く。
そして、ドアに向かって諦観のこもった顔付きで彼に語りかける。
「…………馬鹿馬鹿しいよな。でも生きていかなくちゃならない。…………お前は置いて行かれた人間の気持ちが分かるだろ?お前にも行かれたら俺はどうすればいい?俺は…………。
西京。いつまでも部屋から出ないなんてことは出来ないんだ。俺もお前も生きていかなくちゃいけない。」
俺は彼を説得していた。しかし、その瞬間、掠れた笑い声が聞こえてくる。
それは悪魔でも乗り移っていると勘違いしてしまいそうな、しゃがれた老婆のような機械音に近い笑い声。
「へへへっへへ。なんだ?それ?おかしいなぁ?なんで生きなくちゃいけないんだ?もう意味ないだろう?
ああ?
ああ。でもあいつらを殺すためにか?そうか?それなら生きる意味もあるかもな?
そうだ。あいつら皆殺しにしてやりてぇなぁ。肉を裂いて、あいつらの仲間ってやつらのもとに内臓でもぶちまけてやるか?あ?そんなことで俺の気が収まるのか?…………そんな訳ねぇよな?…………そんな訳ないだろ!!!そんなことで!!そんなことで!!」
彼の怒鳴り声と同時に部屋の中で暴れる音が聞こえる。何かが割れる音や、何かが潰れる音。
それを俺は悲痛な面持ちでただただ見守るのみだ。
そうして数分経つと、また呪詛のような彼の声が続く。それの繰り返しだった。
ただただその繰り返しを見せられていた。
俺は通い妻のごとく彼の家に行き、彼に話しかけ、後悔と苦悩を吐き、彼の辞世の句、狂喜乱舞した吐露を聞くのみだ。
そんなものを毎日まざまざと見せつけられて、また俺は泣きそうな顔で帰るのだ。
なんだこれは?
そんなドア蹴倒して、早く西京を一発ぶん殴ってやれよ?友達だろうが。
壊れた友のために泣くだけなんて何を考えてるんだ?
俺は心の中で何度も叫ぶが、夢の中の彼はただただ泣き疲れると、重い腰を上げて彼の家を去っていく。
そうして夢は何度もループする様に同じ時を見せるのだ。
何日も同じような事が続いていたのにその日は違った。
ある日。
いつかは分からない。部屋の前から変わって、通学路の鉄橋にさしかかる。
完全に日が暮れて、夜の帳が下りていた。
俺はただただぼんやり橋の上に立っている西京を見ていた。
その鉄橋は川を渡るために作られた橋であり、その川は底が視認できぬほど深い。川の深さから、流れの速さを見るに大人の男性を攫うことも可能だろう。
西京は外灯に照らされながらその橋の真中で、手すりに手をかけて空を見ている。
西京は虚ろな顔で、かと思えば歪に表情を変えて笑みを貼り付け、また悲痛な顔をしたかと思えば、口元をもじもじと動かせて、虚空を見つめる。
情緒不安定としか思えない。
俺は彼になにかを言っている。それは聞こえない。
しかし、何かを叫んでいるのだ。
そうして、彼は最後に俺の方に振り返ると、こちらにいつも教室で見せていたように笑いかけて橋の上から身を投げた。
その様子をただじっと見ている俺はまたもや何かを叫んでいるが、もう彼には届かない。
橋の下に彼が吸い込まれていく。
そうして目の前が光で包まれていき、俺は目が覚めた。
それが彼女の異能によって見せられている夢だと分かっていた。
しかし、それはあの異能による、いつもの大音量の声とか、乱反射する光ではない。
本当に夢を見ているようだった。
悪夢には変わりないが。
その夢に既視感を覚える。いやある種の現実味というのか、自分の記憶の閉じていたドアの向こうをのぞき込んでいるようだ。
多分高校生一年生だろう俺は誰かの部屋の前にいる。
いや。これは見覚えがある。多分、西京の部屋だ。
そこで俺は彼の部屋のドアの前に立ち、ドア越しに彼に優しく語りかける。
それはまるで病室にお見舞いに来た人間の様に。優しく彼に語り掛けるのだ。
「おーい。西京?起きてるか?西京?今日は晴れてるし、なんだろう、教室も心なしか騒がしかった気がする。それに来月からは食堂に新しくパン屋が併設されるそうだ。ずっと前から言っていたのに半月もかかるなんて誰が想像しただろうな?なぁ。西京。教室は今日も同じ感じだ。何も起こらず、いつもどおり何の変化もない。」
俺の話には誰も相槌を打たない。
西京の声はしない。俺は彼がいないのに、彼の部屋に向かって話しかける奇特な人間なんだろうか?
いや。そうとしか思えない。
彼の声は一切しないのだ。西京の部屋からは物音ひとつせず、ただ俺の声だけが彼の家の廊下に響く。もしかすると寝ているのかもしれない。
しかし、その俺は自分が満足いくまで話せたのか、5分ほど一人で話し続けると彼からの返答も待たずに帰っていった。
そうして、静寂だけがそこに残った。
また違う日。
この日の俺は何故か荒れていた。
西京の部屋に向かって吠えているのだ。それも何故か泣きながら目を赤くして、彼の部屋のドアに思いのたけをぶつけているように見える。
そうして何かを叫んで疲れ果てたと思えば、涙ぐんだ顔を手で拭って、彼に語り掛ける。
「なんでだろうな…………なんであんなことになったんだろう。俺には分からないよ。お前はその現場にいたんだろ?一体どんな気持ちでお前がそこに立っていたか想像もできないんだ。あんなに近くにいたのに…………。俺がもっと頑張っていたらってなんども自分を責めたよ。…………でもこんなことになるなんて思わなかった。あんなことになるならなんでもっとちゃんとしなかったのかって何度も何度も自問自答して…………それでもなんでああなったか分からないんだ。謝ってもしょうがないことなんだって自覚してる。それでも、ごめん。悪かった。俺がもっと。もっと…………すまん。」
俺はそうして、彼の部屋のドアの前で跪いて彼に何かの許しを請うていた。そうして泣きじゃくった子供の様にドアの前で俯いて、顔を伏せて嗚咽を漏らす。
見るに耐えない自分の姿に俺は目を背けたくなった。
しかし悪夢は終わらない。
「…………な。なぁ。」
その時、声が聞こえた。
確かに、ドアの向こうから微音ながら掠れた声が聞こえたのだ。それは俺の知っている西京の声に聞こえた。
「…………なぁ。み、みなみ。もういいかな?もういいよな?こんな世界…………しょうがないんだ。ああ。そうだ。馬鹿馬鹿しいんだ。もう終わったんだ。なんで俺はこんなところで毎日生きてるんだ?なぁ。もういいよな。」
まるで呪詛のように、その声は淡々と言葉を吐く。俺は泣きながらもその彼の辞世の句を聞く。
そして、ドアに向かって諦観のこもった顔付きで彼に語りかける。
「…………馬鹿馬鹿しいよな。でも生きていかなくちゃならない。…………お前は置いて行かれた人間の気持ちが分かるだろ?お前にも行かれたら俺はどうすればいい?俺は…………。
西京。いつまでも部屋から出ないなんてことは出来ないんだ。俺もお前も生きていかなくちゃいけない。」
俺は彼を説得していた。しかし、その瞬間、掠れた笑い声が聞こえてくる。
それは悪魔でも乗り移っていると勘違いしてしまいそうな、しゃがれた老婆のような機械音に近い笑い声。
「へへへっへへ。なんだ?それ?おかしいなぁ?なんで生きなくちゃいけないんだ?もう意味ないだろう?
ああ?
ああ。でもあいつらを殺すためにか?そうか?それなら生きる意味もあるかもな?
そうだ。あいつら皆殺しにしてやりてぇなぁ。肉を裂いて、あいつらの仲間ってやつらのもとに内臓でもぶちまけてやるか?あ?そんなことで俺の気が収まるのか?…………そんな訳ねぇよな?…………そんな訳ないだろ!!!そんなことで!!そんなことで!!」
彼の怒鳴り声と同時に部屋の中で暴れる音が聞こえる。何かが割れる音や、何かが潰れる音。
それを俺は悲痛な面持ちでただただ見守るのみだ。
そうして数分経つと、また呪詛のような彼の声が続く。それの繰り返しだった。
ただただその繰り返しを見せられていた。
俺は通い妻のごとく彼の家に行き、彼に話しかけ、後悔と苦悩を吐き、彼の辞世の句、狂喜乱舞した吐露を聞くのみだ。
そんなものを毎日まざまざと見せつけられて、また俺は泣きそうな顔で帰るのだ。
なんだこれは?
そんなドア蹴倒して、早く西京を一発ぶん殴ってやれよ?友達だろうが。
壊れた友のために泣くだけなんて何を考えてるんだ?
俺は心の中で何度も叫ぶが、夢の中の彼はただただ泣き疲れると、重い腰を上げて彼の家を去っていく。
そうして夢は何度もループする様に同じ時を見せるのだ。
何日も同じような事が続いていたのにその日は違った。
ある日。
いつかは分からない。部屋の前から変わって、通学路の鉄橋にさしかかる。
完全に日が暮れて、夜の帳が下りていた。
俺はただただぼんやり橋の上に立っている西京を見ていた。
その鉄橋は川を渡るために作られた橋であり、その川は底が視認できぬほど深い。川の深さから、流れの速さを見るに大人の男性を攫うことも可能だろう。
西京は外灯に照らされながらその橋の真中で、手すりに手をかけて空を見ている。
西京は虚ろな顔で、かと思えば歪に表情を変えて笑みを貼り付け、また悲痛な顔をしたかと思えば、口元をもじもじと動かせて、虚空を見つめる。
情緒不安定としか思えない。
俺は彼になにかを言っている。それは聞こえない。
しかし、何かを叫んでいるのだ。
そうして、彼は最後に俺の方に振り返ると、こちらにいつも教室で見せていたように笑いかけて橋の上から身を投げた。
その様子をただじっと見ている俺はまたもや何かを叫んでいるが、もう彼には届かない。
橋の下に彼が吸い込まれていく。
そうして目の前が光で包まれていき、俺は目が覚めた。
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