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第一部ヴァルキュリャ編 第一章 ベルゲン
Fantasy Homey
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ハッピ~♪ ラッキ~♪ ふんふんふんふ~んふん♪
この世界に来てから、鼻唄を歌ったのは初めてじゃないだろうか?
そんな自分が嬉しくてしょうがなかった。
俺はご機嫌のようですっっ。
タクミさんちの、居間と繋がってる部屋で、俺は独り寝仕度を整える。
俺とアセウスは今後タクミさんちに居候することになり、居間と扉続きであるこの空き部屋を使わせて貰えることになったのだ。
10畳以上はあると思う。
こんな大きな使ってない部屋があるなんて、さすがタクミ邸だ。
二人一緒の部屋っつーのはちょっと不本意だが、寝泊まりする時だけだからまぁしゃぁねぇか、と思う。
もう野宿しなくていいんだぜ?!
今まで宿に泊まる以外は全部野宿だったんだ。
相部屋どころじゃないぞ? 部屋がないんだから!
到底耐えられなくて、俺は可能な限り宿に泊まりたがった。個室で。
金銭的負担がでかかった。
野宿を避ければ毎日確実に支出がかさむ。だが、俺らに安定した収入なんてないのだ。
だから俺は宿泊以外では節約魔になったし、金に変えられそうな物や手間にはコスくなっていた。
それでも、このまま続けていたらヤバイことになると分かっていた。
いつかは「野宿が普通」の現実を受け入れなければならないのが怖かった。
それがっっ!!
ふわっふわの毛皮の上に広げたシーツ代わりの布にダイブするっ。
そのままゴロゴロと嬉しさを噛み締める。
いつでも、
例え一文無しになってても、
帰って来て寝れる部屋があるんだっっ!!
この気持ち、なんて言ったら伝わるっっ?
ふんふんふんふふふんふ~んっ
え? そんな気持ち伝わらなくても良いけど、なんで独りなのかって?
あー、それな。
今日はジトレフがいて三人だから、居間も使って良いってことになったんだ。
どう分かれるかって話になったから、そりゃ広い方に二人だろ? 酒臭い同士が一緒だろ? って俺が即決めした。
素晴らしきかな、このプライベート空間っ!!
ごろんっっ、と仰向けに大の字になって、俺だけの部屋を満喫する。
……あ。この部屋、窓もないんだ。
ふと一時期はまったシチュエーション映画を思い出す。
居間と繋がる扉を閉めると、本当に閉じた箱になっていた。
もともと、何用に作った部屋なんだろ。
タクミさんはもう一部屋増やせないか大工と相談してみるよ、なんてありがたい話もしていた。
本当にタクミさん様様。タクミさん最高。タクミさん神。
衣食住という三大人権の二つが一気にエリート待遇だ。
なんかお礼できるならしなくちゃなぁ。
そのタクミさんを骨抜きにしたアセウスにも感謝ではある。
アセウスとも相談しよ。
そーいや、ジトレフ、何にも言わなかったな。
あいつ、どーすることにしたんだろ。
アセウスの言葉を思い出す。
「狙われてるのは俺だったって報告は構わない。祖先にワルキューレがいたってことも。けど、封印された魔力のことは忘れて欲しい。その上で……『災い』の可能性も、監視の必要性もない、と報告して終わりにして欲しい。俺が『災い』になるとしても、それを理由に俺は殺せない。だから、監視を続けること自体無駄なんだ。ジトレフはオッダへ帰ったらいいと思う」
あれから、今日を除いても四日はあった。
部隊に報告する機会はいくらでもあったし、四日もあれば一回はしてるだろう。
俺達に言わないってことは、アセウスの自虐的踏み絵は失敗に終わったのか。
あれから、俺達の方も四日あった。
俺、聞いたんだよな、アセウスに。
なんでバカ正直に全部(が全部ではないけど大方全部w)話したんだって。
巻き込みたくなくてオッダに帰したいなら、「災い」じゃないみたいって適当な理由言えば良かったんだ。
過去にも、他の一族にも魔物に襲われた奴はいないから、アセウスが襲われたわけじゃない、とか。
魔物の狙いは青い塊で、青い塊を持ってきたハイリザードマンが「災い」ってことじゃ、なんてさ。
それを見越して、青い塊の話、ジトレフにもしたんだし。
え? そうなのかって? そうだよ。
ジトレフが任務をカミングアウトしたあの時から、どーやったらジトレフを追い払えるか、追い返す決定的な建前はないか、ずっと考えてたんだから、俺。
アセウスは言ったんだ。
ジトレフはランドヴィーク家の次期当主だから、ワルキューレ一族を調べていく過程で関わらざるを得ないだろうって。
一族から聞かされていないジトレフに、今アセウスの口から伝えるのも違うけど、適当な嘘で誤魔化すのも違うと思うって。
多分、アセウスは期待してるんだ。
何も知らずに、任務の延長上で一方的に巻き込まれるジトレフ・ランドヴィークじゃなくて、
自分が何者か分かった上で、自らの意思でアセウスの前に立つランドヴィーク家次期当主ジトレフを。
アセウスはあんなに拗らせてるくせに、甘ちゃんロマンチストなんだ。
バカなやつ。
この世界に来てから、鼻唄を歌ったのは初めてじゃないだろうか?
そんな自分が嬉しくてしょうがなかった。
俺はご機嫌のようですっっ。
タクミさんちの、居間と繋がってる部屋で、俺は独り寝仕度を整える。
俺とアセウスは今後タクミさんちに居候することになり、居間と扉続きであるこの空き部屋を使わせて貰えることになったのだ。
10畳以上はあると思う。
こんな大きな使ってない部屋があるなんて、さすがタクミ邸だ。
二人一緒の部屋っつーのはちょっと不本意だが、寝泊まりする時だけだからまぁしゃぁねぇか、と思う。
もう野宿しなくていいんだぜ?!
今まで宿に泊まる以外は全部野宿だったんだ。
相部屋どころじゃないぞ? 部屋がないんだから!
到底耐えられなくて、俺は可能な限り宿に泊まりたがった。個室で。
金銭的負担がでかかった。
野宿を避ければ毎日確実に支出がかさむ。だが、俺らに安定した収入なんてないのだ。
だから俺は宿泊以外では節約魔になったし、金に変えられそうな物や手間にはコスくなっていた。
それでも、このまま続けていたらヤバイことになると分かっていた。
いつかは「野宿が普通」の現実を受け入れなければならないのが怖かった。
それがっっ!!
ふわっふわの毛皮の上に広げたシーツ代わりの布にダイブするっ。
そのままゴロゴロと嬉しさを噛み締める。
いつでも、
例え一文無しになってても、
帰って来て寝れる部屋があるんだっっ!!
この気持ち、なんて言ったら伝わるっっ?
ふんふんふんふふふんふ~んっ
え? そんな気持ち伝わらなくても良いけど、なんで独りなのかって?
あー、それな。
今日はジトレフがいて三人だから、居間も使って良いってことになったんだ。
どう分かれるかって話になったから、そりゃ広い方に二人だろ? 酒臭い同士が一緒だろ? って俺が即決めした。
素晴らしきかな、このプライベート空間っ!!
ごろんっっ、と仰向けに大の字になって、俺だけの部屋を満喫する。
……あ。この部屋、窓もないんだ。
ふと一時期はまったシチュエーション映画を思い出す。
居間と繋がる扉を閉めると、本当に閉じた箱になっていた。
もともと、何用に作った部屋なんだろ。
タクミさんはもう一部屋増やせないか大工と相談してみるよ、なんてありがたい話もしていた。
本当にタクミさん様様。タクミさん最高。タクミさん神。
衣食住という三大人権の二つが一気にエリート待遇だ。
なんかお礼できるならしなくちゃなぁ。
そのタクミさんを骨抜きにしたアセウスにも感謝ではある。
アセウスとも相談しよ。
そーいや、ジトレフ、何にも言わなかったな。
あいつ、どーすることにしたんだろ。
アセウスの言葉を思い出す。
「狙われてるのは俺だったって報告は構わない。祖先にワルキューレがいたってことも。けど、封印された魔力のことは忘れて欲しい。その上で……『災い』の可能性も、監視の必要性もない、と報告して終わりにして欲しい。俺が『災い』になるとしても、それを理由に俺は殺せない。だから、監視を続けること自体無駄なんだ。ジトレフはオッダへ帰ったらいいと思う」
あれから、今日を除いても四日はあった。
部隊に報告する機会はいくらでもあったし、四日もあれば一回はしてるだろう。
俺達に言わないってことは、アセウスの自虐的踏み絵は失敗に終わったのか。
あれから、俺達の方も四日あった。
俺、聞いたんだよな、アセウスに。
なんでバカ正直に全部(が全部ではないけど大方全部w)話したんだって。
巻き込みたくなくてオッダに帰したいなら、「災い」じゃないみたいって適当な理由言えば良かったんだ。
過去にも、他の一族にも魔物に襲われた奴はいないから、アセウスが襲われたわけじゃない、とか。
魔物の狙いは青い塊で、青い塊を持ってきたハイリザードマンが「災い」ってことじゃ、なんてさ。
それを見越して、青い塊の話、ジトレフにもしたんだし。
え? そうなのかって? そうだよ。
ジトレフが任務をカミングアウトしたあの時から、どーやったらジトレフを追い払えるか、追い返す決定的な建前はないか、ずっと考えてたんだから、俺。
アセウスは言ったんだ。
ジトレフはランドヴィーク家の次期当主だから、ワルキューレ一族を調べていく過程で関わらざるを得ないだろうって。
一族から聞かされていないジトレフに、今アセウスの口から伝えるのも違うけど、適当な嘘で誤魔化すのも違うと思うって。
多分、アセウスは期待してるんだ。
何も知らずに、任務の延長上で一方的に巻き込まれるジトレフ・ランドヴィークじゃなくて、
自分が何者か分かった上で、自らの意思でアセウスの前に立つランドヴィーク家次期当主ジトレフを。
アセウスはあんなに拗らせてるくせに、甘ちゃんロマンチストなんだ。
バカなやつ。
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